「出雲八重垣妻ごみに」

2008-10-17 | 読書
 古事記、八俣の大蛇とそれに続く段。 
 須佐之男命は、出雲の国に着き、「すがすがしい」と言う。そこは、気持ちが落ち着くいい場所なのだろう。乱暴者の面影は消えている。
 須佐之男命は、八俣の大蛇に食われることになっていた娘(櫛名田比売)を娶り、その大蛇を酒に酔わせて退治する。そして、尾のなかに剣を見つける。草薙の剣である。
 その大蛇は、次のように表現されている。
 「その目は赤かがちの如くして、身一つに八頭八尾あり。またその身に蘿と檜・椙と生ひ、その長は谿八谷・峡八尾に渡りて、その腹を見れば悉に常に血に爛れたり」
 吉野裕子の「山の神」にあったが、そのイメージは、山並みである。そして、山裾は、赤い土・岩がむき出しになっているようである。海に突き出した岬などを思い浮かべるのもいいかもしれぬ。
 そして、須佐之男命は、櫛名田比売との間に子をつくるが、その末裔(神裔)に、大国主命が生まれる。
 大国主命には、五つの名がある。古事記を読むうえで、覚えておいた方がいい名前である。
 大穴牟遅神(オホナムチノカミ)
 葦原色許男神(アシハラシコヲノカミ)
 八千矛神(ヤチホコノカミ)
 宇都志国玉神(ウツシクニタマノカミ)
 また、この段には、須佐之男命が作った歌が載っている。
 「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」

ほとに麦生える

2008-10-17 | 読書
 古事記、五穀の起源にまつわる短い話。
 大気都比売神(オオゲツヒメノカミ)の身体(生体、死体)から、稲、粟、小豆、麦、大豆などが生まれる。なにやら、グロテスクな感じがするが、春に芽生え、秋に刈り取るという生と死のことがからんでいるようである。

あのときさながら

2008-10-17 | 読書
 古事記は天の岩屋戸の段。
 ここに出てくる植物は、以下の通り。
 波々迦(ははか):朱桜。その皮を燃やし鹿の骨を焼いて占いに用いた。
 賢木(さかき):勾玉をかける木として使った。
 日影〈蔓〉(ひかげかずら):アメノウズメノミコトがたすきとして用いた。
 真拆(まさき):アメノウズメノミコトが、その蔓性植物を髪飾りとして用いた。
 小竹葉(ささば):アメノウズメノミコトが、これを手にして踊った。
 話は、概ね以下の通り。
 誓約(うけい)に勝ったと、スサノヲは、うかれ騒ぎて、とどまらず。
 乱暴狼藉、悪戯と、ついには死人もでる始末。
 糞はあたりにまき散らす、馬を殺して血だらけの皮投げ、ひとを驚かす。
 機織りの舟形の梭、ほとに突き刺さされ、死ぬ女。
 恐れをなしたアマテラス、窟の奥へと隠れたり。
 おかげで、世の中真っ暗け。
 困った神たち、智慧しぼり、窟の前にてどんちゃん騒ぎ。
 決め手となりしは、ウズメノミコトのストリップ。
 乳房揺らして、揉みしだき、
 恥も外聞、なにするものぞ、
 あのときさながらうっとりと、
 くねらす腰には、細い紐、一筋垂らすばかりなり。
 真に迫りたその演に、神々たち、やんやのどよめき笑い。
 そのようなことがあり、天照大神は、何事かと洞窟から顔を出し、世は明るさを取り戻す。アメノウズメノミコト(天宇受売命)の功績大。以上、いささか脚色。
 須佐之男命は、髭、手足の爪を抜かれ、高天原から追放される。