焼けた石と木の割れ目

2008-10-20 | 読書
 古事記、大国主命(大穴牟遅神)の死と再生の段。
 大国主命の兄弟神たちは、因幡の八上比売(ヤガミヒメ)を娶りたいと思っていた。ところが、八上比売は、つれなくも「あなた達の言うことは聞きたくない。わたしは、大穴牟遅神に嫁ぎたい」と言う。苦しんでいる兎ちゃんをいじめるような兄弟神たちである。嫌われて当然であるが、怒りの矛先は大国主命に向かうことになる。
 大国主命は、兄弟神達に、二回殺される。そして、二回とも、御祖の命(御母神)の力によって生き返っている。死と再生、成長のプロセスでもある。
 一回目は、山の上から転がり落とされた焼けた大石を猪と偽られ、抱き留めて落命。
 二回目は、大木に楔を打ち込んで出来た割れ目に入れられ、楔を抜かれて潰される。
 以上のような話であるが、木を使っての殺戮方法に、当時の人が、木をどういうふうに扱っていたかが伺えて興味深い。

騙し騙され救われる

2008-10-20 | 読書
 古事記の大国主命の話、因幡の白兎の段。
 この段では、大国主命は、大穴牟遅神(オホナムチノカミ)として登場する。
 和邇(ワニ)に衣服を剥がされ、大国主命の兄弟神たちに騙されて、皮膚の痛みに苦しんでいる兎を大国主命がたすけてやる話である。
 それなりの事情はあったようだが、もとは、兎が和邇を騙したことに起因したことである。隠岐島から因幡の気多まで、和邇たちを列べさせ、兎をその上を渡ってきたのである。ここに登場する和邇であるが、いわゆる鰐ではなく、「鰐魚」とされるもので、鮫や鱶のことだそうだ。
 大国主命は、苦しむ兎に、皮膚を真水で洗い、蒲の花粉をつけて癒すことを教える。このことは、以前、蒲について、ブログに書いたときに触れた。