子馬の肢軸異常の手術を、ことしもかなりの数をやっている。
以前は腕節でのX脚(外反)が多かったのだが、最近は球節の方が多い。
腕節は蹄のエクステンション処置によく反応するし、
肢は先端から成長板が閉じるので、球節にくらべて腕節の矯正は時間的余裕がある。
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球節は、中手骨/中足骨の遠位成長板を貫くようにscrewを1本入れる方法で矯正するのだが、
肢の細い部分なので、あとあと骨増勢や皮下の肉芽が目立ち易い。
Veterinary Surgery にケンタッキーの有名診療所Hagyard-Davidson-McGeeのRodgerson先生が前肢球節の新しい矯正方法を報告した。
2017年にやった成績だ。
成長板の外側部分をドリリングして成長抑制すると、内反が矯正される。
もちろんscrewを抜かなくて良いので、手術は1回で済む。
外貌の問題もない。
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この子馬は後肢。
成長板の位置をX線撮影して確かめる。
ドリルを当ててみて、角度を確かめる。
もう少し近位向けた方がよさそうだ。
この成長板の内側は内反しているために荷重がかかりすぎて骨端板炎を起こし始めている。
そうなると内側が成長しないので、さらに骨端が変形し、内反する。
Rodgerson先生はseveral times ドリリングした、と報告している。
ドリリングした深さと方向を確認した。
球節の肢軸矯正は、この方法が主流になっていくかもしれない。
適応かもしれない、と思ったらお問い合わせください。
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Hagyard-Davidson-McGeeは本当にうちとやっている仕事が重なる。
ぱられるわーるど、のようだ;笑
こっちが教えてもらうことばかりなんだけどね。
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海の向こうから学ぶこと。
楽しいことでもある。
成長を抑制したら、4肢のバランスはどうなのだろう?と思った。
遺跡を見てきた。古くから、ヒトはさまざまに交流していたんだと思うと、インターネットの発達もヒトの欲求に合っている。と思った。おべんきょ、楽しぃ。
オラ君の足跡を波が消してる。際を攻めましたね。
内外片側の成長抑制は、他の方法でやっても基本的にはその肢が短くなるということはありません。しかし、ひどく曲がっている肢は成長板が二次的に潰れてきていたりして、その影響が出ることがごくまれにあります。それは、もともと”畸形”レベルに曲がっていた肢の話です。
インターネットは世界を変えましたね。おべんきょ、も変えました。
相棒は海岸が大好きです。いろいろなものがいっぱい落ちているから;笑
可逆性を求めるならスクリューは無視できないでしょうし、矯正力が弱いと判断されれば手術の回数を重ねていく事にもなるのでしょう。
術後の疼痛管理のやり方や、それ次第の結果も変わってくるのでしょうか。
合わせ技が功を奏する方法ではないかとも考えますが如何でしょう。
スクリューの矯正力を増す方法ですとか、エクステンションに対する反応をよくする方法と解釈すると言うのもありなのではないでしょうか。
海の向こうはあれこれ試す余地が大きいのでしょう。
少なくとも良いを掻い摘んで適用されるhig先生らのクライアントは幸せではないですか。
先進先取の気質もクライアントのため、そういうことです。
負重がかかりすぎて骨端板炎になるなら蹄の摩滅や肢軸矯正が求められて、それでエクステンションが出てくるのだと思います。
今回の症例にエクステンションを追加することにさほどデメリットをもたらすことはないと思いますが如何でしょう。
もし処置した外惻に過剰な負重をもたらし疼痛の原因になったならばエクステンション外せば良いと思います。
骨端板崩してスクリューで押さえれば閉鎖してしまうかも知れませんけれど、それは矯正力の裏返しかも知れません。
ともあれ骨端板炎の有無ですとか様々な所見に基づいて与えられる選択肢が増えるなら、技術者としてのステータスを向上させることは間違いないと思います。
先進先取の実践はイマジネーションの共有でしょうからね。
それを説明できるインスピレーションパースピレーションも然りながら、その成功体験や失敗を許容できる豊かさがないと難しいでしょうが、それで進歩してきた国なのでしょう。USAは。
「これは蹄処置では良くならない」とやってくれない装蹄師さんも居るので、その場合は、手術の時にわれわれが蹄処置をしています。
肢軸異常の処置は、われわれが取り入れている方法以外にも、いくつもケンタッキーでは試されてきました。
成長促進、なんて方法もありますし、ショックウェーヴが効く、と実践していた獣医師も居たようです。骨膜剥離もまだやられていると思います。
豊かさ、だけじゃないかもしれません。