真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「女スパイ 太股エロ仕掛け」(2002/製作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/撮影:飯岡聖英/照明:小川満/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/監督助手:宇野寛之/撮影助手:小宮由紀夫/照明助手:石井拓也/録音:シネキャビン/現像:東映化学/協力:広瀬寛巳・森角威之/衣裳・下着 協賛:《株》ウィズ/出演:デヴィ・ゆき・林由美香・ささきまこと・菅野裕士・秀)。>シネキャの前に元永斉がスチール担当
 ジャーンと銅鑼開巻、障子の向かうでテレテレ踊る影の主は林由美香。風俗目当てで来日したオーピーランド共和国大統領・金玉男(キン・ギョクナン/ささきまこと)と、ホテトル嬢・弥生(林)の一戦。聞くからに偉大なる将軍様を連想させる役名ながら、ターバン姿でアル言葉を操る金の造形は、西方向に大分足を伸ばす。喜び勇んで本番、ところがあまりの短かさと小ささとに挿れられてゐるのに気付かない弥生に動揺した金は、驚異のジョイトイ・ゴールドペニス(以下面倒臭いのでGP)を、要は一物に張形をマルッと被せる形で装着。吹き荒れる目覚まし時計と嵐のSE、カメラはワシワシ動き金色の照明が飛び交ふチープ・スペクタクルな演出の中、弥生を失神とアクメが連続する強烈な快感に叩き込む。事後、コンパクト型の秘密道具で背後のGPを撮影した、実は国際秘密警察の潜入捜査官である弥生は隙を突き由美香キック一閃、GPを奪ふ。逃走する弥生は回転しながら飛んで来る鋼鉄製のブラジャーに被弾、GPを残し脱出する。チャイナドレスの女が、GPを回収する足下を抜いてタイトル・イン。
 世界の平和を守るシャドーズ・エンジェル―他メンバーの存在は不明―の私立探偵・間宮凛(デヴィ)は謎の大富豪・シャドー(声は菅野裕士、本体役は“?”とされる)の一命を帯び、某大国大統領の密命を受け極秘来日した日系人スパイ、ボンドならぬジェームス板東(秀)に接触する、ナベ絶好調だ。何故か浅黒く日焼けしてグラサンを常備する板東のヴィジュアルは、マーチンこと鈴木雅之に掠つてゐる。“接触して目的を探れ”といふ指令を、“セックスしてモッコリを弄れ”と華麗に聞き違へた―断固としてナベ絶好調だ―凛は、結婚式場から逃げ出して来た花嫁に扮して坂東に再接触、迸るウィズ魂が清々しい。何はともあれ、凄腕ボディガード・豹の牙(ゆき)の警護を掻い潜り金からGPを強奪する、「ゴールドピ~作戦」への協力を坂東は凛に要請、シャドーも作戦協力を指示する。
 大体この時期のオーピー作は駅前で順々に詰めて来てゐる筈なのに、抜けてゐたことに気付きDMMで落穂拾ひした渡邊元嗣2002年最終第四作。因みに前作がデヴィ初陣、シリーズ化も決して夢ではなかつたフーテンもとい「昇天の昇子」第一で唯一作「小悪魔デヴィ とろけ湯穴覗き」(脚本:五代暁子)。量的にも質的にも充実した濡れ場の僅かな僅かな隙間で、最終的には類型的ともいへそれなりに凝つたスパイ大作戦を器用に展開する。如何にもナベらしいポップでキュートな娯楽活劇、を狙へてゐて全くおかしくなかつたところが、案外実際の仕上がりはさうでもない。二戦目にして打ち止めのデヴィはキラキラと華のある表情作りも所作も問題ない反面、素頓狂な口跡はどうにも映画の足を地から浮かせる。秀(ex.十日市秀悦)が―セーラー戦士(青)コスの―林由美香とゆき、二戦続けてコッテリと濃厚な絡みを披露した上で、クライマックスの凛V.S.金戦、流れ上デヴィの裸をコメディで消費せざるを得ないのは裸映画的に地味に苦しい。ちぐはぐなオチの切れ味も悪く、よくてそこそこの一作である。

 ところで、意外なやうで未整理も甚だしいシャドーの正体は兎も角、坂東が真に受ける、ゴールドピ~作戦の建前。GPを奪取する目的が、オーピーランド共和国に対する外交カドーと短小でも性生活を謳歌し得るセックス革命といふのは、よく出来た話に聞こえてよくよく考へると疑問も残る。国家元首の醜聞を盾に外交上の切札とするにはGPを表舞台に出す訳には行かず、さうなると大量生産を前提としたセックス革命とは両立しないやうに思へる。


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