【足立計器製作所のノギス】

【足立計器製作所のノギス】

仕事の得意先で本の厚さを計ろうということになり、編集者が、
「これ、どうやって使うんでしたっけ?」
と持ってきたのがなんとノギスで、しかも見たことのないデザインでとても美しく、写真に撮らせていただいた(本当は頂戴したかったくらいなのだけれど)。

製造者は足立計器製作所とあり、電話帳で調べると東京都足立区に現存する会社だった。どう見ても、かなり古い物のようだ。
このノギスというヘンな名前の計測器具を考案したのはフランス人で P.Vernier といい、彼の名を取って Vernier Callipers(バーニヤ・カリパス)と呼ばれた。Callipers(カリパス)は Compasses(コンパス)とほぼ同義である。この計測具、単に物を挟んだり、物に突っ込んだりして外法・内法を測るだけのもののように思えるけれど、本尺と副尺を用いて小数点以下まで計測できるアイデア商品なのである。フランスでは副尺を発明者に因んで Vernier(バーニヤ)と呼び、ドイツでは副尺を Nonius(ノニス)と呼ぶのだけれど、ドイツから伝わったノニスが日本ではノギスと変じたらしい。

意外と便利なので簡便小型なキーホルダー式や、医療用などでデジタル式のノギスを見かけるけれど、副尺(ノニス)を持たない物をノギスと呼ぶのはおかしい気がする。

上の写真は足立計器製作所のノギスで、下の写真は僕が愛用しているミツトヨのものだ。ちょっと 12mm 強の物を計測してみた。上の目盛りが本尺で下の目盛りは副尺。上の目盛りは正寸だけれど、下の目盛りは 19mm を 20 分割したもので、ひと目盛りが 0.95mm になっている。副尺の起点  0 の線が本尺で 12 ~ 13 の間にあるので 12 と小数点以下を割愛して読みとり、同時に副尺の目盛りのどれかひとつだけが本尺の目盛りと一直線に重なる箇所を探す。そうすると(小数点以下)85であることがわかるので、この場合計測した寸法は両者を足して 12.85mm であるとわかる。ノギスでは副尺を用いて  0.05mm 単位の計測ができるのである。

(閉鎖した電脳六義園通信所 2008 年 1 月 31 日、14 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)

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