◉「たなばた空襲」と井伏鱒二

2019年2月12日(火)
◉「たなばた空襲」と井伏鱒二

わが母親と太宰治一家が甲駿の山を隔てて同時に体験した「たなばた空襲」のことを数日前の日記に書いた。


井伏鱒二の随筆を読んでいると甲府で空襲に遭った話が出てきて、彼もまた「たなばた空襲」を体験したのだろうかと気になっていた。そうしたらこんな記述が出てきた。

七月上旬に甲府の町が焼け、私たちの行きつけの宿も焼けた。友人の疎開していた家も焼けてしまった。この戦災を蒙った翌日、私は甲府の町に出て偶然に彼に遭った。(井伏鱒二『点滴』)

彼とは太宰のことである。空襲を生き延びて、のちに敗戦後の東京に再転入したのは、「無慙な最期」を遂げるために帰ってきたようなものだと痛恨の思いを込めて書いていた。
 
(2019/02/12)

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