比率


D810 + Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

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もう40年も前に、パチンコ台の内部のプログラムを作った、という人と話をした。
パチンコ台のメーカーから依頼されて、いろいろロジックを考えたという。
もともと怪しい業界という印象が強いが、当時は今のようにイメージを取り繕うこともなく、会社に行くと堅気とは思えない危なっかしい雰囲気が漂っていたという(笑)

何のプログラムか。
打った玉が穴に入った時、どのくらいの確率で「当たり」が出るかを制御するプログラムである。
確かにそれなら電子的に制御することが可能である。
台の中でルーレットのようなものが回っていて、ランダムに結果が表示されるようなイメージがあるが、実際には当たりの確率は最初から決められているのだ。

しかもそれは「お上」からの命令であり、法的に勝ち負けの比率の数値が定められていたという。
つまりお店が儲かる場合とお客が儲かる場合の比率が、お役所によって決められているのだ。
当然のことながら、お店が儲かる方が多くないと、商売としては成り立たない。

新型の試作台は、機械稼動で長時間テストを行い、実際の結果が決められた比率通りになるか確認される。
その結果と、さらにはプログラムのロジックまでもを「お上」に提出して、初めてその台の販売許可が出るという。
ああいう業界ではあるが、当時としては最先端の高度なプログラムであったという。

しかし、プログラムを単純にその比率に沿うよう作ってしまうと、台の動きが単調になり、つまらないものとなってしまう。
お客には頭脳明晰な人も多く、すぐにその「法則性」に気付いてしまう。
娯楽性を高めるためには、味付けが必要なのだ。

具体的には、あえて集中的に「当たり」が出るタイミングを作るようにする。
もちろんトータルでは決められた比率を守る必要があるため、当たりが出すぎた分、その後は外れが続くことになる。
そういうギャンブル性を上手く取り入れないと、お客がついてくれないのだ。
頭のいい人は、プログラムのロジックを読み、連続して負けている台があると、逆にそろそろ当りが出る頃だと目をつけるわけだ。

これは既に40年も前のことであるから、現在の状況はかなり違っているだろう。
僕はギャンブルをしないのでよくわからないのだが、システムとしては、ずっと高度になっているはずである。

考えてみれば、これは当たり前のことである。
ギャンブルを提供する施設が、すべて自然に任せて運営していたら、経営が成り立たない。
たまたま1兆円当たった人が出てしまったら、たちまち会社は潰れてしまう。
最初からお客がいくら儲け、いくら負けるか決まっている必要があるのだ。

もちろん競馬などは、先に運営側の取り分が引かれてから分配されるので、このような「裏」はないだろう。
そもそも動物が相手では制御しようが無い。
しかしたとえばカジノなどの施設は、やはり何か仕掛けがあるのだろうか。
実情はわからないが、もし勝ち負けがコントロールされているとしたら、次のような事も考えられる。

仮に1000人お客が来るとして、そのうちの100人に10万円儲けさせる。
残りの900人は、3万円ずつ損をさせる。
すると運営側には1000万円支出があり、2700万円収入があり、トータルでは利益が出る。
実際には比率は違うだろうが、いずれにしても利益は安定している。

10万円勝った人が100人もいれば、勝った勝ったとあちこちで宣伝してくれるだろう。
一方負けた人は、仕方ないと黙ってしまう。
ご存知の通り、一般にギャンブル好きは、勝ったときにしか言わない傾向がある。
しかし彼らの人生におけるトータルでの勝ち負けは、恐らく先程の決められた比率に、ほぼ一致するはずである(笑)
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