心的外傷


D810 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

大きな画像

Dlifeで、20年位前の「Xファイル」という作品を見ていた。
今見ると、内容的には陳腐で、現代のドラマとしてはちょっと通用しないように思う。
超常現象を扱ったドラマだが、オカルト的な事象に対する世の中の見方も変わっており、恐らくそれも陳腐化の原因になっている。
真面目に鑑賞する気にはなれず、流す程度に見ている。

その中で、捜査官役の女性が、椅子にくくり付けられて、男から殺されかけるシーンがあった。
もう少しで殺されるところで、主人公の男性が乗り込んできて命拾いする。
問題はその後で、あれだけの目に遭ったのに、その後比較的短い時間でケロッとしてしまうのだ。
これは、今のドラマの基準からすると不可解に映る。

ああいう目に遭えば、まずはPTSD「心的外傷後ストレス障害」になるだろう。
身動きできないようにされて、アイスピックで突き刺されそうになり、悲鳴を上げるのだ。
間一髪で助かり、ああよかったで終わってしまうのは、心理描写がラフすぎる。
それとも20年前の人は、あのくらい何とも思わないほど強かったのだろうか(笑)

最近のドラマ、たとえば「クリミナル・マインド」は、主人公がひとり自分の家に帰ると、暗闇から出てきた男に襲われて、何度もナイフで刺される。
極めてクールな主人公だが、仕事に復帰しても、さすがに事件を引きずり、しばらくは精神的におかしい状態が続く。
「コールドケース」でも人質にとられた女性主人公が男に撃たれる。
これが強いPTSDとなり、次のシーズンでも彼女を悩ませる。
「メンタリスト」も、家族を惨殺されたのをきっかけに生き方を変えた男が主人公だ。
そういえば大好きだった「モンク」の主人公などは、妻が爆死して精神的におかしくなった男だった。

こうして見ると、米国のテレビドラマには、過去の悲惨な体験からの立ち直りを描くドラマがやたら多いことに気付く。
そこの心理描写がリアルでしっかりしている事が、作品を評価する上で重要になる。
身近にそういうことが起こることの多い社会なのかもしれない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )