今日8日は二つの出来事で、人々の心に刻まれている。日本が米英に無謀な戦いを挑んだ1941年、ジョン・レノンが銃弾に斃れた80年……。今回はジョンについて語ることにする。
俺が洋楽に目覚めた頃、ビートルズは既に活動を停止していた。聖域にズカズカ踏み込んだヨーコ、脱退を宣言したポール・マッカートニーが、バンドを解散に至らしめた元凶として悪者扱いされていた。
ジョンとヨーコの反戦パフォーマンスは、<底の浅い茶番>と否定的に報道されていた。ジョンは<革命家>か、<愛と平和の殉教者>か、時代の熱に浮かされた<お調子者>か……。実像は死後、明らかになる。ジョンはトロツキストに資金を提供するラディカルで、IRAとの関係も取り沙汰されていた。長年ジョンを監視していたFBIを暗殺首謀者とするルポルタージュが数冊発表され、今では定説になりつつある。
「ビートルズは今や、キリストより人気がある。キリストは正しいが、弟子たちが捻じ曲げてキリスト教を滅ぼした」(抜粋)……。ジョンの<キリスト発言>(66年)は、とりわけアメリカで物議を醸す。政治的スタンスが近いパゾリーニの「奇跡の丘」(64年)を見れば、ジョンの真意を理解できるはずだ。体制側はもちろん意趣返しをする。代表作「イマジン」は左翼的かつ反宗教的楽曲と見なされ、実質的な放送禁止が継続している。
ジョンで連想する映画は「市民ケーン」だ。主人公同様、両親と疎遠だったジョンは、絶叫調の「マザー」で幼少時の孤独を表現した。ジョンがケーンより幸せだったのは、<バラのつぼみ>が象徴する喪失感を癒やす存在(ヨーコ)と出会えたことだ。ジョンはヨーコへの愛を、衒いもなく等身大で表現している。徹底して一人の女性への愛を謳った芸術家はジョン以外、高村光太郎(「智恵子抄」)しか思いつかない。
ジョンとポールは70年代前半、曲で互いを攻撃する泥仕合を演じたが、和解するのも早かった。映画「イマジン」(88年)で、ジョンは「僕が一声掛ければ、ビートルズ再結成もありうる」と話していたが、70年代後半には、米ツアー中のポールがジョン宅を訪ねるほど関係は修復されていた。
ジョンの<キリスト発言>に、「ロックンロールとキリストのうち、どちらが先になくなるかわからない」というくだりがある。21世紀に入って魂を失ったロックは、絶滅の危機に瀕している。次稿「億万長者はロックンロールを殺す」で、ロックをめぐる貧困な状況について述べてみたい。
最後に、ジョンにちなんだ朝日杯FSの予想を。ジョンにピッタリくる馬名ならスズジュピターだ。「ジュピター」はモーツァルトの交響曲41番の通称で、牝系には「ジャズ」「ビーバップ」と音楽関連の言葉が散見する。ビートルズのリーダーだったジョンに敬意を表してキャプテントゥーレ、「夢の夢」(「心の壁、愛の橋」収録)の曲名からドリームガードナー、ドリームシグナルも買うことにする。
結論。◎⑨スズジュピター、○⑦キャプテントゥーレ、▲⑮ドリームガードナー、△④ドリームシグナル。馬連は4頭ボックスの計6点、3連単は⑨1頭軸の4頭ボックスで計18点。
俺だってジョンみたいに純粋に、真摯に生きてみたい。心の浄化を一番邪魔しているのは、競馬かもしれないが……。
俺が洋楽に目覚めた頃、ビートルズは既に活動を停止していた。聖域にズカズカ踏み込んだヨーコ、脱退を宣言したポール・マッカートニーが、バンドを解散に至らしめた元凶として悪者扱いされていた。
ジョンとヨーコの反戦パフォーマンスは、<底の浅い茶番>と否定的に報道されていた。ジョンは<革命家>か、<愛と平和の殉教者>か、時代の熱に浮かされた<お調子者>か……。実像は死後、明らかになる。ジョンはトロツキストに資金を提供するラディカルで、IRAとの関係も取り沙汰されていた。長年ジョンを監視していたFBIを暗殺首謀者とするルポルタージュが数冊発表され、今では定説になりつつある。
「ビートルズは今や、キリストより人気がある。キリストは正しいが、弟子たちが捻じ曲げてキリスト教を滅ぼした」(抜粋)……。ジョンの<キリスト発言>(66年)は、とりわけアメリカで物議を醸す。政治的スタンスが近いパゾリーニの「奇跡の丘」(64年)を見れば、ジョンの真意を理解できるはずだ。体制側はもちろん意趣返しをする。代表作「イマジン」は左翼的かつ反宗教的楽曲と見なされ、実質的な放送禁止が継続している。
ジョンで連想する映画は「市民ケーン」だ。主人公同様、両親と疎遠だったジョンは、絶叫調の「マザー」で幼少時の孤独を表現した。ジョンがケーンより幸せだったのは、<バラのつぼみ>が象徴する喪失感を癒やす存在(ヨーコ)と出会えたことだ。ジョンはヨーコへの愛を、衒いもなく等身大で表現している。徹底して一人の女性への愛を謳った芸術家はジョン以外、高村光太郎(「智恵子抄」)しか思いつかない。
ジョンとポールは70年代前半、曲で互いを攻撃する泥仕合を演じたが、和解するのも早かった。映画「イマジン」(88年)で、ジョンは「僕が一声掛ければ、ビートルズ再結成もありうる」と話していたが、70年代後半には、米ツアー中のポールがジョン宅を訪ねるほど関係は修復されていた。
ジョンの<キリスト発言>に、「ロックンロールとキリストのうち、どちらが先になくなるかわからない」というくだりがある。21世紀に入って魂を失ったロックは、絶滅の危機に瀕している。次稿「億万長者はロックンロールを殺す」で、ロックをめぐる貧困な状況について述べてみたい。
最後に、ジョンにちなんだ朝日杯FSの予想を。ジョンにピッタリくる馬名ならスズジュピターだ。「ジュピター」はモーツァルトの交響曲41番の通称で、牝系には「ジャズ」「ビーバップ」と音楽関連の言葉が散見する。ビートルズのリーダーだったジョンに敬意を表してキャプテントゥーレ、「夢の夢」(「心の壁、愛の橋」収録)の曲名からドリームガードナー、ドリームシグナルも買うことにする。
結論。◎⑨スズジュピター、○⑦キャプテントゥーレ、▲⑮ドリームガードナー、△④ドリームシグナル。馬連は4頭ボックスの計6点、3連単は⑨1頭軸の4頭ボックスで計18点。
俺だってジョンみたいに純粋に、真摯に生きてみたい。心の浄化を一番邪魔しているのは、競馬かもしれないが……。
ビートルズ解散の原因説・・・メンバーはスワッピングを繰り返していたが、オノ・ヨーコは他のメンバーが嫌だと言って解散となった(わが世代は信じている者多し)
ヨーコさんですが、欧米から見たアジア女性の典型的な顔という見方もあります。欧米人の目には、どのように映っているんでしょうか。
私の同世代では、ビートルズの洗礼を受けずに洋楽を聴くようになった人が多く、ちょっと寂しいです。
「聖域にズカズカ踏み込んだヨーコ」
昔は私もそんな風に思っていました。
でも歳をとった今は、ビートルズのバンドとしての存続より、ジョンが1人の人間として、かけがえのない女性と出会い、心の安定を得られたことの方がずっと意味があると思うようになりました。
いろいろ考えさせられますね。
生きていたら、ポールともう一度コンビを組み、刺激し合って、素晴らしい曲を作ったのではないでしょうか。