弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

PCT国内移行後の処理開始時期(2)

2006-03-16 00:13:30 | 知的財産権
3月12日にPCT国内移行後の処理開始時期として書いた記事に対し、Kenさんからコメントをいただきました。Kenさんのコメントに基づき、PCTと規則、日本特許法の国際出願条文を久しぶりに整理しました(^ ^;)。また、特許庁の国際出願課指定官庁に電話し、実際の取扱いを確認しました。

1.国際出願は、国際公開の後速やかに、各指定官庁に送達される(PCT20条(1)(a),規則47.1(b))。
2.指定官庁は、PCT22条に規定する期間の満了までは審査を行ってはならないが、出願人の明示の請求により、審査をいつでも行うことができる(PCT23条(1)(2))。
3.国際事務局は、出願人が20条に規定する送達が行われる前に指定官庁に対し23条(2)の明示の請求を行った場合には、出願人又は当該指定官庁の請求により、当該指定官庁に対しその送達を速やかに行う(PCT規則47.4)。

特許庁の話では、日本特許庁に対する出願審査請求が、PCT23条(2)の明示の請求に該当するそうです。この点は橋本・逐条解説にも記載されています。
同じ特許庁の話で、出願審査請求がされると、特許庁(指定官庁)から国際事務局に、PCT規則47.4に基づく送達請求を行っているということです。ところが国際事務局は、速やかに送達せず、国際公開がなされてから送達する慣行になっている、ということでした。
送達がされてから処理が始まるので、結局国際公開後しばらくたたないと国内処理は始まらないと言うことです。

電話に出た特許庁の窓口の人は、何度も何度も電話を保留コールにして誰かに聞きに行っていましたので、回答が本当に実務内容に合致しているかどうか不安ではあります。

今回の場合、優先日:一昨年夏、国際出願日・国内書面提出日:昨年夏、審査請求:昨年秋、国際公開:今年冬、というスケジュールです。

電話での特許庁の話が正しいとすれば、「昨年秋に審査請求した時点で、特許庁から国際事務局に送達請求を行っているのだが、国際事務局からは送達されていない。最近国際公開されているので、そのうちに送達してくるだろう」ということになります。

国際事務局に対する送達請求は、出願人からもできるということなので、次回本当に急ぐ場合には、ひとつ国際事務局に対して送達請求をしてみましょう。そのときの国際事務局の対応によって、実務慣行を知ることができます。

p.s.
アップしてから思い出したのですが、私が参照したPCT条文は「みなし全指定」改正前のものです。現行条約条文にあたる必要がありますね。
コメント
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