弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

ドイツ車のドアロック

2010-05-30 18:49:42 | 趣味・読書
今までずっと国産車に乗ってきました。
国産車のドアについては、ドアロックをかけると、ドアの内側からドアノブを操作してもドアは開きません。走行中に誤ってドアノブを操作したとしてもドアが開かないようにとの安全策であると思っています。
走行中にドアロックしていないと、誤ってドアノブを操作してドアが不意に開いてしまうのではないかと心配になります。大部分の自動車利用者は、そのような観点から走行中にドアロックをしていると思います。

そこでわが家で購入したドイツ車です。
引き渡し時に説明を受けてびっくりしました。

ドアロックをしていても、内側からドアノブを操作するとドアが開いてしまうのです。

ドアロック用のノブは各ドアに付いており、これは国産車と同じです。しかしそのロックノブ、上から押してロックすることはできるのですが、引っ張り上げてロック解除することができません。ロックノブが押し込まれると、引っ張り出す手がかりがないのです。
ドアを内側から開けるときは、ロックがかかっていてもドアノブの操作で開くのですから、ロックを解除する必要がないのです。

説明するヤナセの人に「これは不便ではないか」と言ってしまいました。
なぜこのようなことになっているのか。ヤナセの人によると・・・。

(1) 交通事故でドアが破損したとき、日本車のようにドアロック解除後でないとドアノブ操作でドアを開くことができない構造だと、ドアを開けない可能性があるんだそうです。そのような不都合が起きないようにするため、ドアロックがかかっていてもドアノブ操作でドアが開くようにしています。
(2) 外から暴漢に襲われたとき、ドアガラスを破壊して手でドアロックを解除されると、外からドアが開いてしまいます。ロックノブをロック解除ができない構造にしているのはそのためです。
(3) 走行中にドアノブの誤操作でドアが開いてしまう心配については、「そこは自己責任」との考え方だそうです。そのような不安がある人が同乗する場合はチャイルドロックを使用すべきとの考えです。つまり、幼児でない限り、走行中にドアノブ操作をすることは想定していない、ということでしょうか。

ずいぶん考え方が違うのですね。
私は、「走行中はドアロックしていないと心配」とすり込まれています。暴漢に襲われることが心配なのではなく、走行中に不用意にドアノブに触れる心配です。今回のドイツ車に知り合いを乗せる場合には心配が絶えないでしょう。最初にお乗せするときに、「この車はロックしていても内側から見るとロックしていないのと同じ」と念を押す必要があります。

このような構造、今回購入したドイツ車(メルセデス)に限るのか、ドイツ車全般か、ヨーロッパ車全般か、世界の中で日本のみが特殊なのか、その点は不明です。
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ダイソンのDC12が大変なことに

2010-05-28 21:41:03 | Weblog
わが家ではダイソンの掃除機「DC12」を使っており、その掃除機のトラブルについては昨年11月にダイソンの掃除機として記事にしました。

この一両日、このブログに「ダイソン DC12 発火」というキーワードで訪問される方が出てきました。これは何かあったに違いない、と調べたところ、以下のようなニュースが流れていたのですね。

ダイソン掃除機やけど続発 電源コード交換9万4千台
2010年5月26日16時21分 asahi.com
『英国メーカーのダイソンのサイクロン式掃除機「DC12」でやけど事故が多発している問題で、同社が販売台数の約1割にあたる9万4千台について、原因の電源コードを無償交換していることがわかった。コードの異常の訴えがあった1万6千台に加え、別のパーツの修理依頼があったものも含んでいる。』

わが家のダイソンは、購入して使用を開始した当初から、使用するときに差し込みプラグや電源コードが熱くなっていました。今まで使ってきた家電製品でこんなのは初めてです。何か設計上で問題があるに違いないと思っていましたが、使えないほどの熱さではないので継続して使ってきました。
コードの昇温以外にも、コードの被覆の柔軟性が足りずに固かったり、コード収納ボタンを押しても引き込み力が弱くてなかなかコードをしまえなかったりと、電源コードまわりの品質レベルは相当低いものでした。
わが家で起きた修理しなければならないほどの電源コードトラブルは、コード被覆の亀裂です。ある日、右下写真にあるような亀裂を見つけたのです。
 
掃除機の外観                コードの亀裂箇所

被覆に亀裂が出たのでは修理するしかありません。
ダイソンのセンターに電話したところ、「コードをドアに挟むようなことはありませんでしたか?」など、当方の使い方に問題があったかのような質問です。私は「これはコード劣化が原因だと思います」と言いきりました。
電話の向こうでどこかと相談した結果として、「今回は保証対象ではありませんが無償で修理します」ということで、特別なお情けで無償になったような言い方でした。

すぐに宅配やさんが受け取りに来て、2日ほどで戻ってきました。
コードが新しくなったことはもちろん、使ってみると電源プラグやコードが熱くなりません。内部抵抗の少ないコードに変更になっているようです。コードの引き込み力も増大し、ボタンを押すとスムースにコードを収納できるようになりました。

それが昨年の秋、そしてこの度の上記報道です。

記事によると、この掃除機は2004年6月に販売が始まり、これまでに約95万台売れています。コードの差し込みプラグ付近が断線して火花や煙が出たり、プラグが過熱したりする事故が07年6月以降に26件起き、24人が指などに軽いやけどをしたとのことです。
同社はこれまでにコードの異常の訴えがあった1万6700台についてコードの無償交換に応じたほか、別のパーツの修理依頼があった7万7800台についてもコードの無償交換を同時に実施しているのですね。
この機種の実に1割が何らかの故障でメーカーに送り返されている、というのもすごいです。

『ただ、全使用者を対象としたリコールは実施していない。「コードを無理に引っ張ったりねじ曲げたりしたためで、正しく使えば事故は防げる」とし、「あえて混乱させないように、使用者に対して事前の交換の呼びかけはしない」としている。』

私が受けた電話と同じです。ユーザーの使い方が悪かったせいにしています。しかし私は経験者だからわかるのですが、使い方のせいではありません。コードの品質に最初から問題があったのです。
そして、今回大々的に問題が報道されたにもかかわらず、ダイソンのホームページでは、右下に小さく
DC12に関する重要なお知らせ
電源コード及びプラグに関するご注意のお知らせです。DC12ユーザーの方は必ずご覧ください。」
と掲載されているのみです。

さらに今回の新聞記事には以下のような記載があります。
『経済産業省によると、サイクロン式などの大出力掃除機で、配電電圧を海外仕様(230ボルト)から日本仕様(100ボルト)に変更した製品は、コードに流れる電流が約2倍、発熱量は約5倍になり、被覆が熱で軟らかくなりやすく、断線しやすいという。』

これはびっくりしました。
ダイソンの掃除機の電源コードは、欧州での230V対応のコードをそのまま使っていたということでしょうか。記事にあるように、230Vであれば100Vに比較してコードを流れる電流が低いから、銅線の太さを細くすることができます。その細い銅線を100Vでもそのまま使っていたのだとしたら、そりゃコードが熱くなります。火花も出るでしょう。

あの高価なダイソンが、そんなお粗末な設計だったとは。唖然として声も出ません。

p.s. わが家のダイソンの最期についてはこちらに記しました。

p.s.2 この新聞記事の縮刷版を確認してきました(2016/10/26)
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郵便不正事件の謎(8)供述調書証拠不採用

2010-05-26 21:55:03 | 歴史・社会
郵便不正、供述調書の証拠採用却下 大阪地裁
5月26日20時58分配信 産経新聞
『障害者団体向け割引郵便制度をめぐり偽の証明書を発行したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)の第20回公判が26日、大阪地裁であり、関係者の供述調書の証拠採否が行われた。横田信之裁判長は元係長の上村勉被告(40)と凛の会元会長、倉沢邦夫被告(74)=1審一部無罪、検察側控訴=の調書について、「取り調べに問題があった」などとして採用を却下した。』

本日は証拠整理の公判があるということで注目していたのですが、あるべき方向(と私が思っている方向)に向かって進んでいるようです。

検察側が証拠請求していたのは、8人の供述調書計43通です。

まず、今回事件の主犯である上村被告(事件当時の厚労省係長)と倉沢被告(凛の会元会長)の調書21通はすべて却下です。凛の会元メンバーの調書も却下されました。

残る5人の調書は合計で21通ありましたが、そのうちの9通のみが証拠として採用されましたが、裁判長は、「信用性の判断は別」と注釈をつけました。

『横田裁判長は決定理由で、上村被告について、取り調べ中に記した「被疑者ノート」の信用性を認めたうえで、「検察側の意図に沿って誘導された可能性がある」と指摘。「取り調べには問題があり信用できない」と述べた。
倉沢被告については、供述内容の変遷を検証。「検察側に大きな問題があったとまではいえない」としながらも、誘導の可能性を指摘し、「検察側の意図に合わせて作成したことがうかがえる」とした。』
『今後は、6月22日に論告求刑、29日に弁護側の最終弁論が行われて結審し、判決は9月中旬にも言い渡される見通し。』

上村被告の供述調書が証拠として採用されなかったら、村木被告を有罪とすることはほとんど不可能でしょうから、報道されているように、村木さんの地裁での無罪判決は間違いなさそうです。
しかし検察は控訴するでしょうから、村木さんにとってはまだまだ長い戦いの日々が続くことになります。

ところで、凛の会側の被告の一人である河野氏については
障害者郵便割引不正:凜の会発起人が控訴、一転無罪主張へ 元局長との共謀否定
ということで、控訴するようです。
河野氏は地裁では検察と争わず、検察の供述調書をすべて認めた上で、執行猶予付きの有罪判決を受けました(郵便不正事件の謎(7)河野判決・倉沢裁判控訴)。今までは「執行猶予さえつけばよい」との考えで来たのでしょうが、凛の会のもう一人である倉沢氏が徹底的に争った結果として無罪を勝ち取ったのを見て、気が変わったのでしょうか。
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クラス会ボケ

2010-05-25 21:09:20 | Weblog
5月連休のヨーロッパ旅行から帰っての時差ボケは、まあ数日で解消することができました。
その後、5月15日には中学のクラス会があり(お会いした担任の田崎先生についてはこちらで紹介し、先生から誉めていただきました)、さらに先週末の5月22日には大学研究室のOB同窓会が開かれました。
中学のクラス会は参加するだけだったのですが、大学研究室の同窓会は私が幹事を務め、なにかと忙しい思いをしました。幹事ですから、終わってからも会計報告やら何やら、それに今回は写真の整理も速攻で済ませました。写真については中学クラス会についてもやっちゃいました。
そんなこんなで、事務処理やらお礼のメールを受けて返事を書いたりやらで結局月曜は仕事をしていないような気がします。何だか“クラス会ボケ”です。

写真については、ネット上のクローズドなサイトにデータをアップし、クラスの人たちだけに閲覧・ダウンロードをしてもらおうというものです。
大学時代の同期生が以前利用していたサービスがあり、同じようなサービスを利用しようとしたのですが自宅ではどうしても見つけることができませんでした。
私が使っているインターネットプロバイダーは@niftyであり、そこで利用可能なサービスとして、「パスワードで保護されたホームページ作成」というサービス(具体的にはLaCoocanの「アクセス制限」)が見つかったのでそれを使うことにしました。そのかわりフォトアルバムに特化したサービスがあるわけではないので、写真データはFTPで転送し、自前のhtmlファイルを作成してこれもFTPで転送するという手作業です。
それを中学クラス会の分と大学研究室の分、それぞれ作成しました。

そんなこんなで日曜がつぶれてしまい、月曜まで作業がかかったわけです。

しかし今日になって、大学時代の同期生が利用していたサービスが分かりました。googleのPicasaというサービスだったのでした。私が自前で作成したのより、こちらの方がスマートで使い勝手が良さそうです。当然ですが。
あせって日曜のうちに手を出さずに、Picasaを知ってから作業を開始すべきでした。

取り敢えず、これでクラス会ボケは何とか解消したこととして、明日からはばりばり働きますよ。
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知財高裁の進歩性ハードルが低下

2010-05-23 21:12:48 | 知的財産権
先週5月17日の日経新聞朝刊「法務」ページ「法務インサイド」に、以下の記事が載っていました。
「知財高裁5年~特許成立ハードル低く
権利者寄り判断増える~「進歩性」認定厳格さ薄まる・企業活動への配慮も」

「今年4月に発足から満5年を迎えた知的財産高等裁判所。当初は特許権者に厳しい判決が多かったが、この1~2年は逆に権利者寄りの判断が増えてきた。知財高裁がひょう変した背景には、閉塞感が強まる日本市場での企業活動を、知財保護の面から何とか後押ししたいという意図があるようだ。」

右下の図は、「特許庁が特許を認めなかった審決を認めなかった審決を裁判所が取り消し、特許を有効とした比率」について2000年度から09年度までの推移を示したものです。おそらく、「査定不服審判に対する審決取消訴訟」に限定しているものと思われます。
 
図を見ると、2004年度が特に低かったのですねえ。3%しかなかったといいます。「(その後)上昇に転じ、それまでの10%前後から08年度に一気に30%台に上昇。09年度も同水準で推移しているとされる。」

図に「(注)特許庁調べ」とあるので、特許庁のホームページでデータを探したのですが、見つけることができませんでした。

記事では併せて、09年3月に、酒井化学工業と川上産業の間で争われた審決取消訴訟に言及しています。「判決を書いた飯村敏明判事は、進歩性を判断する際の留意点として、以下を挙げた。①発明の明細書から得た知識を前提に事後的に分析して、その発明が容易に思いつくものだと判断してはならない、②(進歩性を否定するためには)先行技術の文献に、当該発明に関する示唆が存在する必要がある--などだ。進歩性をむやみに否定しないよう、特許成立のハードルを下げたといえる。」

記事では、以前は知財高裁で進歩性のハードルが高かったことの理由として、『保護に値しないアイデアに安易に特許権を認めないことが健全な産業の発展に資するものとの考えのもと、同高裁は進歩性を「厳しく」判断していた。しかし、欧米に比べても厳格な基準を採用したことに加えて不況の影響もあり、企業の出願意欲が低下。』とし、
さらに侵害訴訟と並行する無効審判で特許が無効となる確率が高かった、とした上で『近年の知財高裁の方向転換について「過去に対する反省ではないか」との見方がある。ある法曹関係者は「景気低迷に加えて技術開発しても特許が認められないとなると、日本は企業にとって開発投資を回収できない国とみなされて市場としての魅力を失い。日本の競争力を弱める原因となっているのであれば、(知財高裁の)揺り戻しは必要、と話す。』と続けています。

それにしても、査定不服審判に対する審決取消訴訟で、「請求容認」との判決が30%程度となり、それが2年も続いたというのは画期的ですね。今までは、弁理士・弁護士にとって、『査定不服審判に対する審決取消訴訟で「請求容認」との判決を勝ち取ったら勲章』と思っていましたが、そうでもなくなりました。

このように知財高裁の判決傾向が変化した原因は、日経記事が解説している通りかどうか、わかりません。私自身は、『査定不服審判に対する審決取消訴訟で「請求容認」となる確率が10%前後』というのはあまりにも低すぎると思っていましたから、最近の傾向はいいことだと思っています。
日経の記事の解説が正しいとすると、産業政策として判決傾向が変化してきたことになります。特許法の目的は(日本における)産業の発達ですから、このような変化はあり得ることです。
ただし、そうだとしたら、2004年頃は「進歩性のハードルを厳しくした方が産業の発達に寄与する」と考えていたことになり、そちらの方が理解しがたい、というのが私の考えです。
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スチールホイールのホイールキャップ

2010-05-20 21:19:27 | 趣味・読書
アルミホイールとスチールホイールの関係について、5月14日に記事にしました。
ところで、私は今まで、以下の4台の車を乗り継いできました。タイヤホイールはいずれもスチール(鉄ホイール)です。
ホイールキャップの有無についてはそれぞれ以下の通りでした。
 1972年 トヨペットコロナ ホイールキャップあり
 1981年 ホンダアコード  ホイールキャップなし
 1983年 三菱シャリオ   ホイールキャップなし
 1992年 三菱シャリオ   ホイールキャップあり
 2010年 ドイツ製Aクラス ホイールキャップあり

以上からは、
『スチールホイールについて、1970年代まで「ホイールキャップあり」で販売されていたのに対し、1980年代には「ホイールキャップなし」に流れが変わった。ところが1990年代以降になると、再度「ホイールキャップあり」に流れが戻った。』ということになります。
さらに写真から推測すると、1980年代の「ホイールキャップなし」の時代、スチールホイールの色は白ないし銀色であったのに対し、1990年以降に「ホイールキャップあり」の時代になると、スチールホイールの色が黒に変化しています。

私は、「スチールホイールのホイールキャップは不要であるどころか、ない方がベター」という論者です。1972年製のトヨペットコロナを運転していて、運転中にホイールキャップが外れた経験を持っているからです。運転中にホイールキャップが外れて転がると、歩行者にぶつかって大怪我を負わせる危険性があります。
1980年代に新車からホイールキャップが消えたことは、理にかなっていると思っていました。

ところが、1990年代になってホイールキャップ復活です。
パンフレットを見ると、1990年以降のパンフレットでは、掲載されている写真は、オプションであるアルミホイールを装着したものがほとんどとなります。すでに、世の中のユーザーはアルミホイールを良しとする傾向が定着していたのでしょう。そして軌を一にして、スチールホイールの色が黒になり、ホイールキャップを装着するようになりました。
そうとすると、「黒いスチールホイールにホイールキャップ」というスタイルは、「アルミホイールに似せたスタイル」と言えなくもありません。そのような姑息な動機から、スチールホイールのホイールキャップが復活した可能性があります。

「ホイールキャップは走行中に外れる危険性があるのではないか」という私の疑問に対して、ヤナセの方は「今回のAクラスを始めとするこの会社の場合、ホイールキャップが外れたという事例を聞いたことがないので、大丈夫です」という太鼓判でした。

そしたら偶然、以下のようなニュースが入ってきました。
ホイールキャップ恐喝男、再逮捕へ
『走行中に外れたホイールキャップが車に当たったなどとうそをつき、現金を脅し取ったとして、埼玉県警は20日にも、同県蕨市塚越、無職○○○○容疑者(37)を恐喝容疑で再逮捕する方針を固めた。
捜査関係者によると、○○容疑者は3月下旬、同県川口市の路上で、男性会社員(25)に「走っているおまえの車からホイールキャップが外れて、俺の車にぶつかった」などと因縁をつけ、現金二十数万円を脅し取った疑いが持たれている。○○容疑者は同じ日、この男性から「タクシー代」名目で現金5000円を脅し取ったとして、恐喝容疑で現行犯逮捕されていた。
○○容疑者は、事前にホイールキャップを外しておき、その車を追跡。相手が止まり降車したところで、キャップを手に現れ、被害を装っていた。調べに対し、「ドライバーが気づきにくいよう、後部タイヤのホイールキャップを狙った」などと供述しているという。
県内では、同様の恐喝・詐欺被害が少なくとも30件近く確認されている。
(2010年4月20日15時35分 読売新聞)』

ホイールキャップ装着車は、これからは「ホイールキャップ恐喝」の心配をしなければならないようです。
しかし取り敢えず、常習者は逮捕されたので、模倣犯が現れない限り当面は心配なさそうです。
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かんぽの宿の適正譲渡価格とは

2010-05-18 22:34:31 | 歴史・社会
5月16日の朝日新聞朝刊35面には
『かんぽの宿221億円~07年鑑定 郵政「再検討を」~1週間後に97億円』
という記事が載っています。
『日本郵政が宿泊施設「かんぽの宿」などをオリックス不動産に一括譲渡しようとした問題で、民営化前の日本郵政公社が2007年8月の不動産鑑定評価の際、鑑定業者に2回にわたり評価の再検討を求めるなどして1週間で評価額が当初の約221億円から約97億円に減っていたことが関係者の話で分かった。』

この記事だけ読むと、何か郵政公社が不当な圧力をかけ、鑑定額を不当に押し下げたような印象を受けます。それも221億円から97億円といったら、あまりにも額が異なりすぎます。一体どうなっているのでしょうか。

鑑定に際しては、かんぽの宿など70施設の不動産鑑定を3社に依頼しました。3社は8月24日に評価額を計約221億円と内示します。これに対し郵政公社その他の関係者は「実際に売れる額なのか再検討してほしい」などと要請。3社は4~6日後に2回目の評価額として計約125億円を内示します。郵政公社側はこの金額にも納得せず「本当にこの価格で買い手がつくのか」などと発言。結果として2社がさらに価格を下げて8月31日までに提出し、合計額が97億円となった、というのです。

これだけ読むと意味不明です。
しかし、記事には実態を明かすヒントが隠されていました。
『ある施設では、鑑定業者が最初の内示で、施設の原価、老朽化や機能性などを考慮して算定する「積算価格」と、施設からどの程度の収益が得られるかを基準にする「収益価格」の割合を8対2にして評価額を約60億円とした。
ところが、民営化前の郵政公社側から収益性を重視して再検討するよう依頼され、積算価格の割合を1対9にひっくり返し、約16億円まで減額していたという。』

なあんだ。そういうことですか。
この施設の「積算価格」をa、「収益価格」をbと置いて連立方程式を立てます。
 8a+2b=600億
  a+9b=160億
この方程式を解くと、
 a=72.7億円
 b=9.7億円
という答えが出ます。

つまりこの施設は、単純に施設の原価、老朽化や機能性などを考慮して算定すると約73億円の価値がありますが、施設からどの程度の収益が得られるかを基準にすると10億円の価値しかない、ということです。
以上から分かることは・・・
(1) 問題となった1週間で何があったかというと、「積算価格」対「収益価格」の比率を変更したにすぎない、ということになります。
(2) かんぽの宿には、積算価格と収益価格との間に7倍もの開きがあったことがわかります。

郵政公社・その後の日本郵政株式会社は、かんぽの宿譲渡の条件として、従業員の雇用保証まで求めていました。そうだとしたら、入札に参加する業者は、従業員丸抱えの上で収益が見込めるような価格で応札するしかありません。上記の施設だったら、10億円で応札するしかないわけです。ですから、2007年8月の1週間で鑑定価格が大幅ダウンした件については、当然ダウンすべきだった、という結論になります。

そもそも鑑定を依頼するに際し、「積算価格」と「収益価格」それぞれについて鑑定結果を提出せよ、との依頼を出せば良かったのです。そうすればこんな謎めいた話にはならなかったでしょう。
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田崎清忠先生

2010-05-16 20:53:11 | Weblog
私は昭和36~39年(1961~64)に中学時代を過ごしました。中学3年間を通して、担任は田崎清忠先生でした。
昨日(5月15日)、本当に久しぶりに中学のクラス会が開かれ、田崎先生とお会いすることができました。今年80歳になられるというのにお元気で、安心した次第です。

田崎清忠先生をご存じでしょうか。NHKのテレビ英会話で活躍された先生です。
詳しくは、田崎先生のサイトである田崎清忠 オフィシャルウェブサイトPersonal Historyで確認することができます。
田崎先生は1930(昭和5)年(昭和一桁)生まれで、終戦時は15歳ということになります。工業高校の航空機科に在学し、終戦直前は軍事工場に勤労動員していました。

中学1年で最初に田崎先生から英語の授業を受けたときのことを、今でも鮮明に覚えています。そのときのお話によると・・・
終戦後、工業高校の生徒でしたが英語に興味を持ち、必死に内職で英語の勉強をした上で東京高等師範の英語科に入学を果たしました。卒業後に英語の先生となった上でアメリカに留学し、帰ってきて私らの中学の英語の先生になっていたというわけです。アメリカでの体験談をいろいろと聞かせていただきました。「ミシガン大学の応援歌」のメロディーと歌詞が私の頭の中に残っているのですが、Personal Historyによると「フルブライト法により米国ミシガン大学英語研究所に留学(1956)」だったのですね。
英語の授業では発音に重点をおき、(発音記号)"i:"と"i"の違い、"th"と"s"の違いなどを仕込まれました。

私が中学生で先生に担任をしていただいていた頃、すでにNHKの番組を担当されていました。記憶では「Teach Me English」という番組だったはずです。我がクラスの学級新聞の名前も、そこから拝借して「Teach Me News」としていました。そこでネットで検索してみました。
昭和37年テレビ番組表(関西)7月1~7日」というところで、確かにNHK教育の月曜と水曜の夕方6時30分から『英語会話「Teach Me English」田崎清忠』が放映されていました。

ところで、この「昭和37年テレビ番組表」を眺めてみたら、懐かしい番組が目白押しでした。
「チロリン村とくるみの木」「バス通り裏」「兼高かおる世界の旅」「七人の刑事」「おとなの漫画 」「少年ジェット」「珍犬ハックル」「アニーよ銃をとれ 」「ペリー・メイスン」「サーフサイド6」「日真名氏飛び出す」「ローハイド」「夢であいましょう」「ルート66」「スチャラカ社員」「てなもんや三度笠」「タイトロープ」「シャボン玉ホリデー 」「パパ大好き」「若い季節」「ポパイ」「ローン・レンジャー」「ジェスチャー」「お笑い三人組」「事件記者」「ヒッチコック劇場」「87分署」「アイ・ラブ・ルーシー」「ガンスモーク」「サンセット77」
当時はテレビドラマの黄金時代であったような気がします。アメリカ製ドラマが多かったですね。

話がそれました。
田崎先生は「昭和一桁生まれ」です。「昭和一桁世代」について私は以下のような仮説を立てています。
昭和一桁生まれということは、ティーンエージャーのときに終戦を経験しています。
これより早く生まれた人は、終戦時にすでに20歳を超えており、それなりに分別もついて敗戦も理性的に受け入れることができたようです。またこれより遅く生まれた人は、終戦時に10歳未満で「お腹いっぱい食べたい」という記憶しかないようです。
それに対し「昭和一桁世代」は、多感な年頃に終戦を迎え、終戦までは「軍国少年・軍国少女」で信じていたものが、終戦とともに価値観が180°転換して心に混乱を抱えたことがその後の人生に影響を及ぼしているように見受けられます。
それに対し田崎先生は、Personal Historyにあるように、戦時中、
『敵艦攻撃用特殊爆弾の製造。B29の爆撃により、工場内で働いていた女子挺身隊(女子大学生)が悲惨な死を遂げた状況を目撃。「戦争はダメ」と密かに気が付く。』
という経験をされていたのですね。空襲の爆撃で死亡した現場の惨状は、目を蔽うようであったはずです。この経験が15歳の田崎少年を大人に成長させていたかもしれません。

最近の田崎先生は、2000年から2008年まで東京純心女子大学の学長を務められ、その後も現在は5つの業務を行っておられるようです。今後ともお元気でご活躍されることを祈念します。
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アルミホイールとスチールホイール

2010-05-14 21:40:31 | 趣味・読書
わが家では、ここ8年ほどマイカーを保有していません。
最近になって方針を変え、マイカーを購入することとなりました。外国製の小型車ということで検討し、たまたまわが家の近くに位置するヤナセが取り扱っている車種ということもあり、さるドイツ車のAクラスというタイプを選択しました。
全長3885mm、ホイールベース2570mmというコンパクトカーより若干大きめというサイズです。しかし車幅が1765mmと5ナンバーの範囲を超えているため、何とコンパクトカーなのに3ナンバーです。

2ヶ月ほど前に仕様を決める打合せをしました。
車輪は、スチールホイールが標準で、オプションにアルミホイールがあります。アルミホイールを選ぶと10万円ほど高くなります。私と家内は、今まで購入したクルマがすべてスチールホイールでしたし、特に希望もなく、何となくスチールホイールの標準タイプを選択しました。

最近までクルマにはさほど興味がなく、街を走っているクルマに注意を向けたことがありませんでしたが、いざ購入となると俄然興味が湧きます。そこで注意をして観察すると、なんと走っている車の大部分がアルミホイールを履いているではないですか。アルミホイールはかっこよく、スチールホイールが野暮ったく見えます。
さてどうするか。
わが家で購入を決めたクルマは、ホイールの選択がメーカーオプションなので、ホイールを変更するにはドイツ発送段階にさかのぼって変更する必要が生じます。「標準がスチールホイールということは、ドイツではスチールホイールがこのクルマにフィットしていると考えているに違いない」と自分を納得させ、変更しないこととしました。

スチールホイール(鉄ホイール、鉄っちんホイールとも呼ばれる)からアルミホイールに変更する目的は、「軽くなるから」である筈です。ホイールを軽量化することによってバネ下重量(SI単位でバネ下質量と呼ぶことにします)を低減し、道路の凹凸に対する車輪の追従性を改善することが主目的の筈です。
そこで、ヤナセに対し、Aクラスで採用しているスチールホイールとアルミホイールそれぞれの質量を調べてもらいました。
スチールホイール:15インチ(タイヤ:185/65R15) → 6.5kg
アルミホイール:16インチ(タイヤ:195/55R16) → 9.3kg

何ということでしょう。アルミホイールの方が3kg近くも重い、という驚くべき結果が報告されたのです。

若干ややこしいところがあります。
タイヤサイズで「185/65R15」とある場合、185はタイヤの幅(mm)、65はタイヤの扁平度、15はホイールの直径(インチ)を表します。タイヤの外径はこの数値から計算で出さないといけません。
そしてAクラスの2種類の車輪は、タイヤの外径は両方とも620mm程度で同じなのですが、アルミホイールの方は、タイヤの半径方向長さ(サイドウォール高さ)が0.5インチ短く、タイヤの幅が185mmから195mmと10mm広くなっています。その分、ホイールの直径が1インチ大きく、幅も広くなっているはずです。
材質の差(スチール → アルミ)とサイズ差(15 → 16インチ、広幅化)を総合して、質量が3kg近くも増えてしまったということです。

タイヤ外径は同じのまま、ホイール径を大きくしてタイヤのサイドウォール高さを低くする改造を「インチアップ」と呼んでいるようです。サイドウォール高さを低くするだけではタイヤ内の空気容量が減ってしまうので、タイヤ幅アップが同時に行われます。
インチアップの目的は性能面では、タイヤのグリップ能力の向上と思われます。デメリットとして、路面の凹凸の影響をもろに車軸に伝えてしまう点があるようです。さらに今回のホイール質量調査から明らかなように、ホイールの質量が大幅にアップしてしまいます。

以上のように、「アルミかスチールか」という比較をしたいのに、「インチアップ」が絡んでしまい、両者を分離することができません。
ご近所に同じAクラスを持たれている家があります。車種の現バージョンがA180であるのに対し、一世代前のA170です。駐車している車を拝見したら、タイヤが185/65R15で15インチアルミホイールを履いています。つまり、このホイールの質量がわかったら、同じサイズでスチールホイールとアルミホイールの比較ができるということです。
さっそくヤナセさんにメールで問い合わせたところ、翌日返答がありました。何と7.7kgでした。つまり、
スチールホイール:15インチ(タイヤ:185/65R15) → 6.5kg
アルミホイール:15インチ(タイヤ:185/65R15) → 7.7kg
アルミホイール:16インチ(タイヤ:195/55R16) → 9.3kg
ということです。

同じ15インチホイールで、スチールからアルミに変更すると1.2kgも質量が重くなるということです。スチールホイールの場合にはホイールキャップを用いるので、質量差はこれより小さくなるでしょうが。つまり、アルミホイールを選択する理由は、決してバネ下質量の軽量化による走行性能のアップではなかったのです。おそらく、「かっこいいから」だけでしょう。もちろん、通常はホイールの質量が公開されていないので、「軽くなって性能もアップしている」と思い込んでいるのでしょうね。

次に、「ホイールの質量が3kg近くもアップするのに、インチアップははたしてすべきなのか」という疑問が生じます。
[メリット]:タイヤのグリップ力が増大する。
[デメリット]:地面のゴツゴツ感が車体に伝わり、乗り心地が(多分)悪くなる。
       :バネ下質量が3kg近くも大きくなり、車輪の地面追従性が悪くなる。
そもそも、スチールホイールの185/65R15ですでに、十分にインチアップです。私が直前に乗っていたシャリオは、185/70R14でしたから、それに比較して1インチアップです。タイヤグリップ性能はそれだけで十分に向上しているはずです。Aクラスというのは街乗りを主とするファミリーコンパクトカーですから、タイヤグリップ力のさらなる増強よりも、乗り心地を重視すべき筈です。
ヤナセの人に疑問をぶつけてみました。
結論としては、「Aクラスにおいて、バネ下質量を車輪あたり3kgも増大させる犠牲と価格10万円アップの犠牲を払ってまで16インチにインチアップする必要性は感じられない。単純に『ホイールが大きい方が見てくれがいい』というスタイルだけの問題である。」ということです。
アルミホイールを採用することについても、「アルミホイールでないと客が買ってくれない」が主な理由のようです。
また、「185/65R15(6.5kg)と195/55R16(9.3kg)では走行性能に与える影響が異なるはずだから、サスペンションの設定を変更していますか?」と質問しましたが、「変更していない」との回答でした。

この議論の際はまだ15インチアルミホイールの質量が不明でした。ヤナセの人は、「①同じ15インチ同士だったらスチールよりもアルミの方が軽い」「②16インチにおいては、スチールだと重くなりすぎるのでアルミしか選択肢がない」とおっしゃっていましたが、実際は逆だったわけです。

ネット情報でも、「アルミホイールのサイズ別の質量比較」というデータが本当に見つからないですね。世の中のカーユーザーがホイールの材質を検討するに際し、あるいはインチアップを検討するに際し、ホイール質量を気にかけている人が極めて僅かであることの証左であるように思います。

以上の検討から得られた結論として、「現在のアルミホイールの流行、インチアップの流行は、クルマの総合性能の必要から生じたものではなく、単に見てくれを良くするためだけのものである。実際には、インチアップしていないスチールホイールの方がクルマの総合性能が上であるかもしれない」が得られました。

これからスチールホイールのAクラスを自信を持って運転することにしましょう。
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郵便不正事件の謎(7)河野判決・倉沢裁判控訴

2010-05-12 22:03:17 | 歴史・社会
郵便不正事件に関しては、当時厚労省の局長だった村木厚子さんの裁判とは別に、凛の会の倉沢邦夫被告、河野克志被告の裁判が並行して進んでいました。先日、倉沢裁判に関しては、虚偽公文書作成・行使については無罪の判決が出されました。こちらで紹介したとおりです。
昨12日、河野被告に対する判決が言い渡されました。河野被告に対しては一転して有罪判決です。
郵便不正 共謀者は有罪…矛盾判決、調書採否が原因
5月12日9時5分配信 産経新聞
『障害者団体向け割引郵便制度をめぐり、厚生労働省に偽の証明書を発行させたとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた障害者団体「凛(りん)の会」発起人、河野克史被告(69)の判決公判が11日、大阪地裁であった。横田信之裁判長は「郵便料金不正免脱事件の端緒となった結果は大きい」として、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
河野克史被告に対する大阪地裁の判決は、4月28日に同じ担当裁判官3人から一部無罪を言い渡された倉沢邦夫被告との共謀を認定する矛盾した内容になった。これは、河野被告が起訴内容をすべて認めていたためで、同じ裁判官が担当している村木厚子被告の公判には影響はないとみられる。
倉沢被告の判決では、「倉沢被告の供述調書の信用性には疑いが残る」として村木被告に不正な証明書の発行を依頼していなかったと認定。「証明書は違法なものと思わなかった」とする倉沢被告の主張を認め、虚偽有印公文書作成・同行使罪は無罪とした。
一方、元係長の上村勉被告にたびたび証明書の発行を働きかけていた河野被告は、起訴内容をまったく争わず、検察側が証拠として提出していた捜査段階の関係者の供述調書にも同意した。このため判決は「法廷で取り調べた証拠に基づく」との原則に沿って、裁判官は起訴内容をそのまま認定する形になった。
今回の判決について、村木被告の弁護人は「村木被告と河野被告の裁判は主張の違い、あるいは裁判所が取り調べた証拠の違いからして、結論が異なるのは当然。今回の判決は村木被告の裁判にはプラスの影響もマイナスの影響もなく全く別のものだ」とした。
大阪地検の玉井英章次席検事は「検察官の主張を的確に評価した適正・妥当な判決」とコメントを出した。』

刑事訴訟においても、被告が争わなければ検察が提出した証拠(捜査段階での供述調書など)についてはそのまま「書いてあるとおり」として採用されるのですね。
村木裁判、倉沢裁判の経緯を眺めると、厚労省の村木氏が、倉沢氏や河野氏と共謀したとはとても思えません。河野氏はなぜ共謀を認めてしまったのでしょうか。捜査段階の供述で認めてしまった以上、その点については争わず、情状で執行猶予をもらうことを優先したのでしょうか。これで河野氏が控訴しなければ判決が確定するわけですから。

一方、倉沢裁判の方は、検察が控訴しました。
郵便不正公判 「凛の会」元会長の一部無罪で検察側が控訴
5月10日12時9分配信 産経新聞
『障害者団体向け割引郵便制度をめぐり、厚生労働省に偽の障害者団体証明書を発行させるなどしたとして虚偽有印公文書作成・同行使罪などに問われ、大阪地裁で一部無罪とされた障害者団体「凛(りん)の会」元会長、倉沢邦夫被告(74)について、大阪地検は10日、判決を不服として大阪高裁に控訴した。』
控訴審で高裁がどんな判断を示すのか、予断は許されません。全く逆の判決が出ることもあり得ます。倉沢氏にとってはつらい日々が続くことになります。

しかし検察は、控訴審での勝ち目をどの程度と踏んでいるのでしょうか。
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