弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

意匠法等の一部改正案

2006-03-10 00:07:57 | 知的財産権
意匠法等の一部を改正する法律案が公表されました。
意匠法は普段扱わないのでさておき、特許法がどのように変わるのかについて確認しました。実務に影響する順に見ていきます。

1.拒絶理由通知後の補正範囲が狭まります。「補正前の拒絶理由通知で特許性を判断された発明と、補正後の発明とが、37条の発明の単一性の要件を満たす」必要があります(17条の2新設4項)。
出願時の特許請求の範囲が
請求項1:発明A
請求項2:発明B
だったとして、
拒絶理由通知で「請求項1は進歩性なし、請求項1と2は発明の単一性がないので、請求項2については審査していない」とされた場合、今までであれば、「請求項1を削除し、請求項2のみを残す」という補正が可能でしたが、これからはできなくなります。発明Bを残したいと思ったら、分割出願しかないですね。
これだったら、米国のように審査前に「発明の単一性がないから、どの発明を審査して欲しいか申告せよ」という制度にしてもらいたいですね。
法改正にのぞむ特許庁の姿勢は、審査が楽になることであればなりふり構わず何でもやる、という感じですね。

2.分割出願
(1) 特許査定送達・拒絶査定送達から30日間は分割出願できます。
(2) 分割出願の拒絶理由が親出願の拒絶理由と同じだった場合、分割出願で拒絶理由に応じてした補正が補正要件違反だったら、補正却下されます(多分)(50条の2、53条)。

3.発明の実施に「輸出」が加わりました。また、特101条の「みなし侵害」に、「譲渡又は輸出のための所持」が加わりました。

4.外国語書面出願で、翻訳文の提出期限が変わります。従来は「出願日から2ヶ月」でしたが、これからは「優先日から1年2ヶ月」になります。
法改正の解説では「2ヶ月以内 → 1年2ヶ月以内」と説明されていますが、大嘘ですね。

5.その他、刑事罰の強化など

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