丸亀製麺が話題になっていますね。例えば、
香川県民からも怒り!「丸亀製麺」が“文化の盗用”と大炎上した根本原因
『讃岐うどんブームの仕掛け人集団「麺通団」の団長が「讃岐うどん巡りブームの歴史のウソを全国ネットで広められるのは非常に不本意だ」と、うどんチェーンの「丸亀製麺」に苦言を呈したブログがツイッター上で拡散し、トレンド入りするなど大きな話題となった。』
私も、ずいぶん前ですがさぬきうどんブームに興味を持ち、麺通団の田尾団長の書籍を中心に調べてこのブログにも記事をアップした経緯があります。
讃岐うどん 2008-11-24
麺通団「恐るべきさぬきうどん」 2008-12-25
「恐るべきさぬきうどん」その後 2008-12-31
田尾和俊「団長の事件簿」 2009-01-07
そのようないきさつもあり、「丸亀製麺」という社名を最初に目にしたときにさっそく調べてみて、この会社が香川県丸亀市とは関係がなさそうなことは確認していました。「何と紛らわしい」とは思いましたが、そのままにしていました。
その後、丸亀製麺は全国チェーンを急速に拡大してきたようです。
私が直接見聞した讃岐うどんに関する知識は、私が2008年に高松を最初に訪れたときの以下の記事(讃岐うどん)とおりです。
--208年記事------------------------
『(2008年)11月はじめの連休で高松を訪問しました。高松といえば讃岐うどんです。
高松市内の某所を訪問したときに、窓口の女性に讃岐うどんのおいしい店を紹介してもらいました。「高松市内にはいい店がない」という答えでしたが、2店を紹介してくれました。こんぴらや兵庫店と竹清(ちくせい)です。
しかし竹清は土日(祝日除く)定休で営業時間は11:00~14:30、こんぴらやは日曜定休で営業時間は19時までです。ときは土曜の18時過ぎ。今からだったら急いでこんぴらやへ行くしかありません。
こんぴらやは、高松市街中心のアーケードにありました。

こんぴらや さぬき麺業
こんぴらやを外から覗くと、何だかセルフサービスの小さな店です。その隣にさぬき麺業という店がありました。ちゃんとした椅子席です。今回はそちらに入ることにしました。
翌日、別の訪問先に行ったら、「さぬきうどんの作り方」という本が置いてありました。開いてみると、昨日のさぬき麺業も編集に加わっています。釜あげうどんの由来が書いてありました。
この本には、讃岐うどんに特有の「セルフ」についての説明があるとともに、竹清が1ページをかけて紹介されていました。
「セルフ型うどん店」では、かけうどんが一玉150円前後と激安です。そのうどんを、客が自分で湯の中に漬けて温めるのです。また山積みされている天ぷらの中から欲しいものを選び、代金を支払い、最後に自分でどんぶりの中につゆ(讃岐うどんでは「だし」という。)をかけてできあがりです。
こうなったのは、香川県のうどん店の多くが製麺所から生まれたという独特の理由によります。うどん玉を卸す製麺所が工場のそばでお客の注文に応じてセルフスタイルで売り始めたため、普通の飲食店よりはるかに安い売値がつけられました。
旅行から帰ってしばらくして、朝のテレビ番組を見ていたら、かばちゃんと女子アナが讃岐うどんを食べる、という番組を放送していました。3軒のうどんやを廻りましたが、いずれも山の中や田畑のど真ん中にある店でした。あばら屋のような建物で営業しています。われわれが不動産屋で讃岐うどんの店を紹介してもらったとき、「高松市内にはあまりない」ということでしたが、このテレビ番組で紹介されたような店が、地元の人にとって「おいしい店」なのでしょう。』
--208年記事終わり------------------------
香川県内の各地には多くの小さなうどん屋が散在し(全部で700軒ほどだとか(2008年現在))、その土地の人たちが日常に利用しているようです。そしてその中には、香川のうどん好きの人たちがうなるようなおいしいうどん屋が存在し、それがまた近くを通ってもうどん屋だとわからないようなへんてこな店が多いといいます。
実は、高松に住む麺通団の田尾団長ですら、香川県内の田舎でひっそりと営業し、絶品のさぬきうどんを提供する「怪しいうどんや」の存在を知りませんでした。タウン誌の編集長をしていたときに知り、びっくり仰天し、その後の田尾団長の活動により、「怪しいうどんや」が全国にブームを巻き起こしたのです。
私が実際に高松で見聞した知識、および田尾団長の話を総合すると、香川県内のうどんやのすべてが絶品のうどんを提供するわけではなく、ごくわずかなディープな店が、絶品のうどんを提供しているようです。
さて、丸亀製麺です。そこに今回の騒動です。久しぶりに、麺通団公式ウェブサイトの団長日記をチェックしてみました。2019年9月14日(土)の記事ですね。
丸亀製麺が、普通のさぬきうどん提供を謳っている限りであれば、会社名が丸亀製麺であって、会社所在地や社長の出身が香川でなくても、田尾団長は問題にしなかったでしょう。
問題は、丸亀製麺の社長が、大手テレビ会社の番組で、「自分たちが提供するさぬきうどんは、ディープなさぬきうどんの文化を継承してつくられたものである」趣旨の内容を語ったことにあるようです。
今回の騒動後、「丸亀製麺を擁護する発言も多い」とされています。「他店では質の悪いうどんが提供されて問題となっており、それと比較すれば丸亀製麺は良心的」「丸亀市のPRになっているのでありがたい」などなど。たぶんいずれも、そのとおりでしょう。
麺通団団長が声を上げたのは、丸亀製麺社長が「自分たちはディープなさぬきうどんの文化を継承している」趣旨をマスコミで発言し、その内容が「本当のディープなさぬきうどん」から乖離している、と見たからでしょう。
そもそも「さぬきうどん」について、香川の田尾団長のようなディープなファンが「うまい」というさぬきうどんと、県外の一般人が「讃岐うどんを食べた」と感じるうどんとの間には隔たりがあります。
書籍「恐るべきさぬきうどん」のどこかで読んだのですが、田尾団長が県外(本州)の客をうどん屋でもてなしたとき、出てきたうどんが柔らかめで団長は内心「なんじゃこりゃ」と焦ったのですが、客人は「さすがに讃岐うどんは硬めでおいしいですね」と感想を述べたそうです。
丸亀製麺も、香川県外の人たち向けに一般受けする「讃岐うどん」を(能書きをのたまわずに)提供している限り、何も問題はなかったでしょう。
香川県民からも怒り!「丸亀製麺」が“文化の盗用”と大炎上した根本原因
『讃岐うどんブームの仕掛け人集団「麺通団」の団長が「讃岐うどん巡りブームの歴史のウソを全国ネットで広められるのは非常に不本意だ」と、うどんチェーンの「丸亀製麺」に苦言を呈したブログがツイッター上で拡散し、トレンド入りするなど大きな話題となった。』
私も、ずいぶん前ですがさぬきうどんブームに興味を持ち、麺通団の田尾団長の書籍を中心に調べてこのブログにも記事をアップした経緯があります。
讃岐うどん 2008-11-24
麺通団「恐るべきさぬきうどん」 2008-12-25
「恐るべきさぬきうどん」その後 2008-12-31
田尾和俊「団長の事件簿」 2009-01-07
そのようないきさつもあり、「丸亀製麺」という社名を最初に目にしたときにさっそく調べてみて、この会社が香川県丸亀市とは関係がなさそうなことは確認していました。「何と紛らわしい」とは思いましたが、そのままにしていました。
その後、丸亀製麺は全国チェーンを急速に拡大してきたようです。
私が直接見聞した讃岐うどんに関する知識は、私が2008年に高松を最初に訪れたときの以下の記事(讃岐うどん)とおりです。
--208年記事------------------------
『(2008年)11月はじめの連休で高松を訪問しました。高松といえば讃岐うどんです。
高松市内の某所を訪問したときに、窓口の女性に讃岐うどんのおいしい店を紹介してもらいました。「高松市内にはいい店がない」という答えでしたが、2店を紹介してくれました。こんぴらや兵庫店と竹清(ちくせい)です。
しかし竹清は土日(祝日除く)定休で営業時間は11:00~14:30、こんぴらやは日曜定休で営業時間は19時までです。ときは土曜の18時過ぎ。今からだったら急いでこんぴらやへ行くしかありません。
こんぴらやは、高松市街中心のアーケードにありました。


こんぴらや さぬき麺業
こんぴらやを外から覗くと、何だかセルフサービスの小さな店です。その隣にさぬき麺業という店がありました。ちゃんとした椅子席です。今回はそちらに入ることにしました。
翌日、別の訪問先に行ったら、「さぬきうどんの作り方」という本が置いてありました。開いてみると、昨日のさぬき麺業も編集に加わっています。釜あげうどんの由来が書いてありました。
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この本には、讃岐うどんに特有の「セルフ」についての説明があるとともに、竹清が1ページをかけて紹介されていました。
「セルフ型うどん店」では、かけうどんが一玉150円前後と激安です。そのうどんを、客が自分で湯の中に漬けて温めるのです。また山積みされている天ぷらの中から欲しいものを選び、代金を支払い、最後に自分でどんぶりの中につゆ(讃岐うどんでは「だし」という。)をかけてできあがりです。
こうなったのは、香川県のうどん店の多くが製麺所から生まれたという独特の理由によります。うどん玉を卸す製麺所が工場のそばでお客の注文に応じてセルフスタイルで売り始めたため、普通の飲食店よりはるかに安い売値がつけられました。
旅行から帰ってしばらくして、朝のテレビ番組を見ていたら、かばちゃんと女子アナが讃岐うどんを食べる、という番組を放送していました。3軒のうどんやを廻りましたが、いずれも山の中や田畑のど真ん中にある店でした。あばら屋のような建物で営業しています。われわれが不動産屋で讃岐うどんの店を紹介してもらったとき、「高松市内にはあまりない」ということでしたが、このテレビ番組で紹介されたような店が、地元の人にとって「おいしい店」なのでしょう。』
--208年記事終わり------------------------
香川県内の各地には多くの小さなうどん屋が散在し(全部で700軒ほどだとか(2008年現在))、その土地の人たちが日常に利用しているようです。そしてその中には、香川のうどん好きの人たちがうなるようなおいしいうどん屋が存在し、それがまた近くを通ってもうどん屋だとわからないようなへんてこな店が多いといいます。
実は、高松に住む麺通団の田尾団長ですら、香川県内の田舎でひっそりと営業し、絶品のさぬきうどんを提供する「怪しいうどんや」の存在を知りませんでした。タウン誌の編集長をしていたときに知り、びっくり仰天し、その後の田尾団長の活動により、「怪しいうどんや」が全国にブームを巻き起こしたのです。
私が実際に高松で見聞した知識、および田尾団長の話を総合すると、香川県内のうどんやのすべてが絶品のうどんを提供するわけではなく、ごくわずかなディープな店が、絶品のうどんを提供しているようです。
さて、丸亀製麺です。そこに今回の騒動です。久しぶりに、麺通団公式ウェブサイトの団長日記をチェックしてみました。2019年9月14日(土)の記事ですね。
丸亀製麺が、普通のさぬきうどん提供を謳っている限りであれば、会社名が丸亀製麺であって、会社所在地や社長の出身が香川でなくても、田尾団長は問題にしなかったでしょう。
問題は、丸亀製麺の社長が、大手テレビ会社の番組で、「自分たちが提供するさぬきうどんは、ディープなさぬきうどんの文化を継承してつくられたものである」趣旨の内容を語ったことにあるようです。
今回の騒動後、「丸亀製麺を擁護する発言も多い」とされています。「他店では質の悪いうどんが提供されて問題となっており、それと比較すれば丸亀製麺は良心的」「丸亀市のPRになっているのでありがたい」などなど。たぶんいずれも、そのとおりでしょう。
麺通団団長が声を上げたのは、丸亀製麺社長が「自分たちはディープなさぬきうどんの文化を継承している」趣旨をマスコミで発言し、その内容が「本当のディープなさぬきうどん」から乖離している、と見たからでしょう。
そもそも「さぬきうどん」について、香川の田尾団長のようなディープなファンが「うまい」というさぬきうどんと、県外の一般人が「讃岐うどんを食べた」と感じるうどんとの間には隔たりがあります。
書籍「恐るべきさぬきうどん」のどこかで読んだのですが、田尾団長が県外(本州)の客をうどん屋でもてなしたとき、出てきたうどんが柔らかめで団長は内心「なんじゃこりゃ」と焦ったのですが、客人は「さすがに讃岐うどんは硬めでおいしいですね」と感想を述べたそうです。
丸亀製麺も、香川県外の人たち向けに一般受けする「讃岐うどん」を(能書きをのたまわずに)提供している限り、何も問題はなかったでしょう。