弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

イラク戦争と酒井啓子さん

2006-03-04 11:28:40 | 歴史・社会
2003年3月にイラク戦争が始まって3年が経過します。戦争自体はあっという間に終結しましたが、戦後のイラク正常化の方向は、3年経った今でもまだ見えてきません。

酒井啓子さんという方は、アジア経済研究所に所属し、イラク政治研究をされている方です。今から2年前、酒井啓子さんが執筆した岩波新書の「イラク 戦争と占領」を読みました。現地を訪問した著者が取材した結果をまとめたものです。
イラク 戦争と占領 (岩波新書)
酒井 啓子
岩波書店

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その後、バクダード近郊のファルージャで4人の米国人の焼死体が橋に吊される映像が流され、激怒した米軍がファルージャに侵攻し、イラク人600人が殺害されたと伝えられました。それと前後して、3人の日本人がファルージャの近くで拉致されて人質となり、大変な騒動になりました。
そのような事件のたびに、「イラク戦争開始以後ファルージャで何があったの?」あるいは「暴れ回っているシーア派のムクタダサドルってだれ?」「日本人人質解放に協力したスンニー派の聖職者協会ってどんな団体?」と疑問が生じるたびに、酒井啓子さんの「イラク 戦争と占領」を紐解くとちゃんと私の疑問に答えてくれます。すごい本だと思いました。

それから1年、今から1年前ですね。さすがに上記の本ではもう追いつかなくなり、酒井啓子さんの新しい本を待っていたところ、岩波ブックレットで「イラクはどこへ行くのか」が刊行されました。そのときは酒井さんも現地取材をすることは不可能となっており、インターネットを通じて入手した情報に基づいて書かれたようです。
その本によると、イラクの情勢はますます悪くなっており、宗派間の対立が激化し、内戦の勃発も杞憂ではない、としています。

さらに1年が経過した現在、まさに内戦の危機が杞憂ではなくなっているようです。酒井啓子さんの分析力の確かさにまた驚きました。
今また、1年ごとに発刊されてきた酒井啓子さんの新刊を待っているのですが、今年はまだ新刊の声を聞かないようです。

コメント
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