弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

菅外交は想像以上にスゴかった??

2021-04-30 17:39:42 | 歴史・社会
菅外交は想像以上にスゴかった…「日米共同声明」がほぼ完璧だと断言できる理由
渡瀬 裕哉 4月28日 現代ビジネス
『バイデン大統領と菅総理の日米首脳会談の内容は極めてエポックメイキングなものだった。なぜなら、同会談後に公表された日米共同声明は今後4年間の世界の方向性を決定付けるものになったからだ。このような歴史の扉を開く首脳会談は歴史上数えるほどしかないものと思う。』
『《見事に調節された声明内容》
さらに、バイデン大統領・菅総理による日米共同声明は、日本にとって触れるべきこと、曖昧にすべきこと、言及しないこと、が見事に調節されたものでもあった。
多くのメディアの注目を集めた「台湾海峡」に関する言及は、日本が米国側に立つ意思を明確に世界に示すシンボリックな効果を持っている。もちろん世界中の国々は日本が米国と歩調を合わせる以外に選択肢がないことは了解している。それでも米中対決における日本の立ち位置が早々に誰にでも分かる形で提示されたインパクトは重要だ。』

『今後、菅政権は共同声明の内容に実質を持たせていく段階に移行していく。そのため、同政権は台湾海峡有事を前提としたプランを策定するため、NSCを早期に召集して関連省庁に体制整備を指示する必要がある。そして、米国や台湾などの直接的なステークホルダーだけでなく、欧米各国とも台湾海峡有事に備えた共同ミッションを行うことが急務となってくる。』
この話が重要です。「台湾有事の際、日本は武器を取って米国とともに(憲法のの許す範囲で)中国に対抗する」などという外交・防衛の基本方針について、日本国民はまともに聞かされていません。このような日本の動きが明確になったときの、中国による経済制裁の恐ろしさもまだシミュレーションされていません。

以下、渡瀬裕哉さんの論文から断片的に拾います。
中国側にとっては台湾問題は死活的な問題ですが、中国が日本の行動に対して露骨に強い対応をすることは難しいといいます。
日本は香港やウイグルの人権問題について、今回の日米共同声明でも「懸念を共有」する曖昧なレベルの表現に留めています。・・・これは中国が日本に対して踏み込んだ措置を取った場合、日本側にさらにもう一歩進んだ行動に出る余地が残されていることを意味しているとのことです。

日米共同声明のパースペクティブの大半をインド太平洋地域に限定できたことも望ましいことでした。
ロシアや中東諸国との間にも外交的な軋轢など、仮に日本と米国の同盟関係の射程が全世界の問題に及んだ場合、日本側として本来は抱える必要がない問題まで背負いこむ可能性がありました。現状においては自らの影響力を及ぼす地域をインド太平洋地域に限定することは賢明な判断だと言えるとのことです。

『このように菅外交は日米共同声明の内容を緩急織り交ぜたものに仕立てることに成功しており、その外交センスは非常に巧みであると評価しても良いだろう。
バイデン大統領・菅総理による日米首脳会談は、日米同盟のシンボリックな意味合いから現実的な実利面まで含む網羅的な内容を確認するものであった。
安倍外交のような美辞麗句を並べる派手な打ち出しではなく、菅外交は日本の国益を冷静に追求するクレバーな姿勢に特徴がある。菅政権の実務的な性格が色濃く反映された外交は、後世の歴史家が「世界史の転換点」であったと評する成果を淡々と積み上げていくことになるだろう。』

渡瀬裕哉さん、今回の日米首脳会談での菅総理についてべた褒めですね。下記に示す戸坂弘毅さんの論評とは真逆です。

とにかく見せ場を作れ」菅首相の初訪米、その異様な舞台裏
頭にあるのはパフォーマンスばかり
戸坂 弘毅 4月25日現代ビジネス

バイデン政権は、最初の首脳会談の相手として日本の菅首相を選びました。
『だが、日米関係筋は、「常に指導力不足を指摘されてきたバイデンにとって、強い姿勢で中国に対峙することを同盟国とともに高らかに宣言することで『強い指導力』を米国民に印象付けることができる会談相手は、日本の首相だけだった」と解説する。要するに、米国内の事情で菅首相が最初の会談相手になっただけなのだ。』

水面下における事前の日米外交当局間の折衝を辿れば、菅首相が肝心の首脳会談の中身よりも、会談の「特別感」をいかに世論にアピールするかの「演出」ばかりに腐心していたことが浮き彫りになるといいます。
『具体的には▼通訳以外は大統領と2人だけの、いわゆる「テタテ」の会談、▼大統領やハリス副大統領との食事会、▼大統領と並んでのポトマック河畔の桜の観賞、▼安倍前首相も4回泊まった大統領迎賓館「ブレアハウス」への宿泊などだった。』

しかし、菅の目論見は当初、ほとんど相手にされませんでした。
『首相は一連の会談の冒頭にテタテ会談を入れるよう外務省に強く指示。米側が「感染防止の観点から難しい」と難色を示しても譲らず、首相の出発直前に何とかねじ込んだ。だが、その時間はわずか20分。通訳を入れての会談だったことを考えれば、実質的には10分の会談だった。』
この短時間の会談になぜハンバーガーが出されたのか。それは、首相がギリギリまで晩餐会の実現に拘ったからだといいます。
首相は外務省幹部らに繰り返し晩餐会の実現を指示したが米側に拒否され、「それではワーキングランチはどうか」と打診したが実現せず。その代わりが、菅の前に置かれた一個のハンバーガーだったのです。
菅首相がこうしたパフォーマンスの実現に異様なほど固執したため、日米間の事前折衝は、肝心の会談の中身もさることながら、こうした首相の拘る「ロジ」――すなわち段取り部分の交渉で難航したため、会談前日まで全体のスケジュールが定まらない異例の事態に陥りました。

菅首相はご自分のブレーンから、「今回の首脳会談で中国が強く反発して、日中の経済関係が傷つくのはまずい」と釘を刺されていたためか、菅首相は外務省や官邸スタッフに対し、「いたずらに中国を刺激することは避けたい」として、中国が猛反発することが明らかな台湾問題をクローズアップさせないよう指示していました。
それに対して米国は、3月に東京で行われた日米の「2プラス2」共同文書の書きぶりよりも強い表現で中国を牽制することに同意を求めてきました。そのため、米側の共同声明案が示された時点で菅首相は、台湾問題の記述について「『2プラス2』の範囲内であれば仕方がないが、それ以上踏み込まないように」と指示したといいます。
しかし、そもそも菅首相を最初の会談相手に選んだ米側の目的は、「日本とともに中国に対し強い姿勢で臨むこと」を国内外に発信することでしたから、台湾問題の記述に関する米側の姿勢は固く、交渉は難航。文言の調整は、首脳会談当日まで続きました。

結局、首脳会談の共同声明では52年ぶりに台湾問題を明確に盛り込んだものの、米側が妥協して「2プラス2」の範囲内に収まることになったとのことです。

『《本当に菅首相で大丈夫なのか》
政権基盤の弱い無派閥の菅首相は、党内実力者たちの意向に敏感にならざるを得ない。最近はとりわけ麻生氏と二階氏との距離感の取り方に腐心している。共同声明には日本側の主張で「両岸(台湾海峡)問題の平和的解決を促す」との文言も入り、日本政府内には「最後は落ち着くとところに落ち着いた」との声が聞こえる。共同声明の文案作りで米側の主張を押し戻し、中国との対話も重視する姿勢を盛り込んだことは決して悪いことではないだろう。
だが、今回の日米首脳会談をきっかけに見えてきたのは、菅首相自身がかつて親しい永田町関係者に漏らした「私には国家観というものがない。しょせん地方議員上がりですから、安倍さんとは違いますよ」との言葉だ。
菅首相は、首相の役割として極めて重要な外交や防衛に関し、北朝鮮による拉致問題は別にして、就任以前に関心を示してきた形跡がない。本人のプロフィールを見ても国交省、経産省、それに総務省関係の役職は歴任しているものの、党の部会等を含め外交や防衛問題に関わった形跡は見当たらない。
「国家観がない」と自任する菅氏に国の命運を託して本当に大丈夫なのか――菅氏が首相の有力候補に浮上した際の疑問が、改めて頭をよぎる首脳会談だった。』

これはまた厳しい評価ですね。

渡瀬裕哉さんのべた褒め評価と、戸坂弘毅さんの厳しい評価を読み比べ、今後の日米中台外交・防衛問題を考えていきたいと思います。
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コロナ対策の数理モデルとは

2021-04-27 17:24:08 | 歴史・社会
感染の連鎖を断ち切る
数理モデルが導くコロナ対策 「広島方式」の要は徹底検査
2021年4月26日 日経新聞
『人から人へのウイルス感染を封じ込めるイロハは「検査と隔離」である。広島県が4月、誰もが何回でもPCR検査を無料で受けられる独自の新型コロナウイルス対策を始めた。流行の火種となるクラスター(感染者集団)を「見つけて潰す」のではなく「そもそもつくらない」。日本と中国の数学者がコロナ禍の1年を振り返り考案した数理モデルに基づいている。
この感染症モデルをつくったのは、東京大学の合原一幸特別教授と中国・上海師範大学の応用数学者らの共同研究グループ。・・・
結論は感染者の増加率は「感染率」「感染に関与する人口」そして「新規感染者の見逃し率」の3つのパラメーター(変数)に比例するというものだ。』
『「感染率」はマスク・手洗いや3密回避で低下するファクター。「感染に関与する人口」は外出する人の流れ。これらを今まで以上に下げるのは難しい。
「検査と隔離を徹底し、新規感染者の見逃し率を下げることで、(一人の感染者から何人に感染が広がるかを示す)実効再生産数を抑えることができる」(合原特別教授)という。
広島方式は湯崎秀彦知事がこの感染症モデルの存在を知り、トップダウンで始まった。・・・県が確保するPCR検査能力は一日6300件。2月の6日間のトライアルで6500人が検査を受け、陽性率は0.06%だった。・・・検査コストは一人当たり2000円という。』

上記「数理モデル」の話、1年前の私のブログ記事とよく似ています。下記記事です。
「新しい生活様式」とは 2020-05-10
面倒だからポイントを再掲しましょう。
---再掲はじめ------------------
専門家会議の「状況分析・提言」で述べたように、
新型コロナウイルス感染症対策本部のホームページにアップされた、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」
2020年5月1日版
2020年5月4日版
では、以下の提言がされています。

《今後の国民生活》
【地域別に、新規感染者数が「一定水準」まで低減したら、「感染拡大を予防する」「新しい生活様式」に移行する。】
私の予想では、「ワクチンが開発され、国民の多数に接種され、免疫を獲得するまで」は、「新しい生活様式」を継続し、「実効再生産数=1となる程度」を維持することが必要と思われます。

実効再生産数については、以前「実効再生産数とは」で取り上げ、
「推定実効再生産数Re」
「実績実効再生産数Rr」
を導入しました。
推定実効再生産数Reは、Ro:基本再生産数、p:接触削減率(-)を用いて、
Re=(1-p)Ro     (B)’
で算出されます。西浦教授はRo=2.5を採用しています。
実績実効再生産数Rrは、対数成長速度Kを用いて、
Rr=63・K²+16・K+1    (E)
K=(LOG(過去5日間の感染確認者数計)ーLOG(さらにその前の5日間の感染確認者数計))/5日間     (F)
のように計算されます。

推定、実績ともに、実効再生産数が1より大きいと新規感染者数は増え続け、値が大きいほど増加速度が高くなります。また1より小さいと新規感染者数は減り続け、値が小さいほど減少速度が高くなります。実効再生産数が1であれば、新規感染者数は横ばいとなります。

話の都合上、接触率q(-)を導入します。
 q=1-p     (L)
 Re=q・Ro     (M)
もともと、基本再生産数Ro=2.5というのは、どうもドイツのデータらしいですね。日本ではそもそも、何の対策も打たなくても、2.5よりも低い値だろうと考えます。「BCG効果、土足で家に入らない効果、きれい好き効果」などが影響します。そこで、日本係数J(0~1)を導入します。
新しい習慣として、「手洗いの励行、マスク着用、2m距離」などの行動様式で低減する効果を、行動様式効果Y(0~1)としましょう。
「休校、在宅勤務、外出自粛、会合自粛、自主休業」などで接触が低下する効果を、行動自粛効果G(0~1)としましょう。
国民の抗体保持比率が高くなると、それによる効果もあります。しかし抗体保持効果Cは、現時点ではまだ0.97~0.99程度でしょう(大阪、神戸での評価結果)。
最後に、「検査・隔離効果D」です。新規感染者が発生しても、発生するそばからPCR検査で把握して隔離することができれば、発生はするものの再生産に寄与しません。これをどのようにカウントするかですが、接触率qの一因、とする考えもできます。
 q=J×Y×G×C×D     (N1)
とおきます。
 q=0.4           (N2)
が、新規感染者(のうちの野放し部分)を横ばいとするための条件です。
J(日本効果)、C(抗体保持効果)は現時点では固定の値です。Y(手洗いの励行、マスク着用、2m距離)については、生活習慣にしてしまえば、大きな犠牲なく、現在の値を維持することが可能でしょう。
問題はG(行動自粛効果)(休校、在宅勤務、外出自粛、会合自粛、自主休業)とD(検査・隔離効果)です。

現在の東京は、新規感染者数が減少傾向です。しかし、わずかな減少傾向であり、新たな対策を打たない限り、G(行動自粛効果)を緩和できる緩和しろはわずかでしょう。緩めすぎると、新規感染者数が増加傾向に転じてしまうことになります。即ち、経済活動の急速な再開は不可能です。
では、どのような新たな対策が取り得るのか。
ここで、D(検査・隔離効果)が登場します。
G(行動自粛効果)を現状より緩和して新規感染者数が増加に転じても、その増加分を、PCR検査でキャッチして隔離することができれば、(見かけ上は隔離分として新規感染者数が増加しますが、)再生産に寄与する感染者数は横ばいのままとできます。

D(検査・隔離効果)については、現状ではD≒1でしょう。これを有意な値まで下げることができれば、結果としてGを緩和して1に近づけても、新規感染者数の増大を抑えることが可能です。
以上、まとめると、
(1)日本は、J「BCG効果、土足で家に入らない効果、きれい好き効果」をもともと有している点で諸外国よりも有利です。
(2)Y「手洗いの励行、マスク着用、2m距離」は、今後の努力で生活習慣にすることができるでしょう。
(3)さらに、PCR検査を拡充してD「検査と隔離」を徹底すれば、それによって市中感染率を低減できます。
(4)D「検査・隔離効果」の助力を得て、G「休校、在宅勤務、外出自粛、会合自粛、自主休業」などの真に痛みを伴う対策を緩和しても、q=0.4を実現して新規感染者数横ばいとすることができるでしょう。

政府は、現状のJ、Y、G、C、Dの値を数値化し、q=0.4を実現するために必要なGとDの目標値を定め、Dを目標値とするためにはどれだけのPCR検査が必要であるかを数値化します。
そして、Gを目標値とするためには、どのような行動の緩和まで許されるのか(「新しい生活様式」のうちの行動自粛部分)、それを具体的に示してもらうことが必要です。
---再掲終わり---------------

広島県モデルと私のモデルは、以下のように対応しています。
[広島県モデル] [私のモデル]
「感染率」    Y(手洗いの励行、マスク着用、2m距離)
「関与する人口」 G(行動自粛効果)
「検査と隔離」  D「検査・隔離効果」
『感染者の増加率は「感染率」と「感染に関与する人口」として「新規感染者の見逃し率」の3つのパラメーターに比例する』という広島県モデルも、私の(N1)式に対応しています。

問題は、私の1年前の記事の最後に書いたように、数式モデルを作るだけではダメで、数式モデルの各パラメータを定量化することが重要です。そのためには、データ解析に足りるだけの項目と精度を備えた良質なデータを収集することが必須です。その上で、数式モデルの各パラメータを改善するための具体的な対応が明らかになることでしょう。当分は日本ではそのような良質なデータが収集されることはなさそうですが・・・。
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日米共同声明 真相深層

2021-04-25 15:17:04 | 歴史・社会
日経新聞4月23日第2面に以下の記事が掲載されました。
「日米共同声明、52年ぶり台湾言及 真相深層」
「中国寄りの印象払拭」「首相、軍事バランス懸念共有」(重田俊介)
『菅義偉首相は16日の売電米大統領との首脳会談で日本の防衛力強化への決意に加え、中国が敏感に反応する「台湾海峡の清和と安定の重要性」にも踏み込んだ。』
『16日午後、ホワイトは数の大統領執務室で開いた首脳会談の少人数会合、首相が「日本は防衛力を強化ずく必要がある」と切り出すと、両首脳の話題は東アジアの軍事バランスへと移った。』

こうして、日米首脳制限の骨格である
日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意した。』
『日米両国は、困難を増す安全保障環境に即して、抑止力及び対処力を強化すること、サイバー及び宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力を深化させること、そして、拡大抑止を強化することコミットした。』
『日米両国はまた、地域の平和及び安定を維持するための抑止の重要性も認識する。』
『日米両国は、東シナ海におけるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対する。日米両国は、南シナ海における、中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明するとともに、国際法により律せられ、国連海洋法条約に合致した形で航行及び上空飛行の自由が保証される、自由で開かれた南シナ海における強固な共通の利益を再確認した。日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。日米両国は、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する。』
ができあがっていったのですね。

23日日経記事に戻ります。
『実は日本側には首脳会談に臨むにあたって懸念があった。少人数会合に出席していた米国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官を務めるキャンベル氏。首脳会談の直前に来日し、台湾問題で日本側により踏み込んだ対応を迫っていた。・・・日本側が水面下で難色を示すと、米欧メディアは日本側が台湾問題への言及に慎重だと報じた。』
『「中国と距離が近いと思われていますよ。少なくとも米国はそうみています。」首相は会談前に会った首相経験者の一人からこう言われ「そんなふうに見られているんですか」と聞き返した。
そのときから首相の周辺では、中国寄りとのイメージ払拭が訪米の隠れたテーマとなった。』

日経記事に関して、以下のネット記事を読みました。
「中国と距離が近いと思われていますよ」麻生副総理が菅首相に告げた「ある助言」
日米共同声明の舞台裏 歳川 隆雄

とにかく見せ場を作れ」菅首相の初訪米、その異様な舞台裏
頭にあるのはパフォーマンスばかり 戸坂 弘毅

「首相経験者の一人」とは、麻生さんだそうです。
こんなことから、日米首脳共同宣言の骨格が定まっていったということでしょうか。日本の近未来を方向付ける外交方針に関して、このように安直に定まっていったとすると、恐ろしさを感じます。

米側では8日に厳しい対中制裁を求める「戦略的競争法案」を発表した米上院外交委員会(ボブ・メネンデス委員長=民主党)スタッフら米議会関係者も菅氏の台湾問題対応を高く評価しているそうです。(歳川 隆雄)

一方で日米共同声明に「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。」と記述し、「平和的解決」という文言が入ったことで中国側にとっても予想外のマイルドな批判に収まったことになり、中国からの極端な反発を招くこともなかったということのようです。
『菅氏が首脳会談を終えた直後から上機嫌であったことに象徴されるように首相訪米を「成功裡に終えた」と言い募ることが出来たのだ。』(戸坂 弘毅)

菅総理は、「今回の日米首脳会談で、アメリカにも中国にもいい顔ができた」と上機嫌かも知れませんが、それは一時だけのことです。
前回の私のブログ記事にも書いたように、今回の日米首脳共同宣言の趣旨は、「中国が台湾に軍事侵攻するようなことがあれば、日米両国には覚悟があるぞ」と言っているように受け取れます。「覚悟」とは、「中国が台湾に軍事侵攻するようなことがあれば、米国は軍事力で体を張って台湾を防衛し、日本は憲法の許す範囲内で軍事協力する」ということになります。
中国が武力侵攻の兆候を見せない限り、具体的には何も変わらないのですから、中国が直ちに強硬にならなくても頷けます。しかし、「中国の態度次第で日本には覚悟がある」と述べ、それが「言うだけ番長」に成り下がらないためには、「中国」対「日米台連合軍」武力衝突に対応できる軍備を早急に準備しなければなりません。その準備開始が中国に知られるや、日中間は大変なことになるでしょう。経済制裁が極大化することは覚悟しなければなりません。
菅総理にそれだけの覚悟があるのか、また、日本国民にその覚悟を促す発信をする気があるのか、注視したいと思います。
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日米首脳共同声明

2021-04-17 14:22:34 | 歴史・社会
本日発表されたはずの日米共同声明を探し回り、外務省のホームページで見つけました。日米首脳共同声明 令和3年4月16日
『現地時間4月16日、ワシントンDC訪問中の菅義偉内閣総理大臣は、ジョセフ・バイデン米国大統領(The Honorable Joseph R. Biden, Jr. President of the United States of America)と日米首脳会談を行い、共同声明を発出しました。
日米首脳共同声明(英文(PDF)仮訳(PDF)
 別添文書1 日米気候パートナーシップ(英文(PDF) /仮訳(PDF))
 別添文書2 日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ(英文(PDF)/(仮訳(PDF))』

正文は英語のみで日本語正文はなく、日本語は仮訳のみです。そんなものでしょうか。

仮訳の日本語を読んでみました。6ページにわたります。

日米首脳共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」2021年4月16日
《自由で開かれたインド太平洋を形作る日米同盟》
日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意した。』(1)
『日米両国は、困難を増す安全保障環境に即して、抑止力及び対処力を強化すること、サイバー及び宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力を深化させること、そして、拡大抑止を強化することコミットした。』(2)
『日米両国はまた、地域の平和及び安定を維持するための抑止の重要性も認識する。』(3)
『日米両国は、東シナ海におけるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対する。日米両国は、南シナ海における、中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明するとともに、国際法により律せられ、国連海洋法条約に合致した形で航行及び上空飛行の自由が保証される、自由で開かれた南シナ海における強固な共通の利益を再確認した。日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。日米両国は、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する。』(4)

上記(1)~(3)は、「地域の安全保障」のための日米軍事同盟の強化を謳っていますね。「中国」とは一言も書かれていませんが、「中国を仮想敵とする日米軍事同盟の強化」であることは誰にも明らかです。日本政府は、ここまで踏み込むことを予定していたのでしょうか。
台湾については(4)のみに現れ、軍事的な脅威については明示していませんが、(1)~(3)を合わせて読めば、「中国が台湾に軍事侵攻するようなことがあれば、日米両国には覚悟があるぞ」と言っているように受け取れます。「覚悟」とは何でしょうか。「中国が台湾に軍事侵攻するようなことがあれば、米国は軍事力で体を張って台湾を防衛し、日本は憲法の許す範囲内で軍事協力する」ということになります。
日本国民に、そのような覚悟ができあがっているようには思えません。今後、日本国内でどのように議論していくのでしょうか。
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コロナ対策の行方

2021-04-11 11:12:53 | 歴史・社会
日本でのコロナ対策の無策については目に余るものがあります。しかし、ここで私が何を言っても、のれんに腕押し、糠に釘で、最近は発言をする気力も失っていました。
先日、コロナ対策政策立案能力(2021-03-21)は書きましたが・・・。

日経新聞に以下の記事が掲載されたので、取り敢えずその中のポイントだけを抜き出してみようと思います。
コロナ、統治の弱点露呈 政治主導・デジタル・国と地方
2021年4月7日 日経新聞
『政府が初めて緊急事態宣言を発令して7日で1年となる。いまも止まらない新型コロナウイルスの感染拡大は、日本の統治機構の弱点を浮き彫りにした。デジタル化の遅れや国と地方のあいまいな責任と権限、既得権が臨機応変な対応を妨げ、政治主導の動きも鈍かった。新型コロナが明らかにした脆弱さを一から見直すべき時に来ている。』

《幕張メッセを1千床規模の臨時の医療施設に》
臨時の医療施設は当時、緊急事態宣言下でしか認められておらず、消防法、建築基準法、地方自治法などの要件クリアのために奔走していたものの時間切れとなった。
強制力がない限り医師らを一気に集められない実態も分かった。

《政治主導不在》
官僚は既存の法や制度にとらわれる。危機時にそれを突破するのが政治の役割といえるが、その政治も既得権の壁を越えようとしない。衆院解散・総選挙を控え、日本医師会への配慮もにじむ。
海外では非常時に国が強制措置をとるための緊急事態条項を持つ国がある。
日本は戦前の反動で国が私権を制約することへの警戒感は強い。

《デジタル化》
HER-SYSは、入力項目を120から40に減らしたものの、医療現場で「使い勝手が悪い」との不満が残る。
新型コロナでも初の患者が出て入院患者の特徴の分析結果をまとめるのに7ヶ月かかった。

《国と地方》
病床の確保は都道府県が実施し、国は強制できない。保健所は市や特別区も運営主体となる。
----------------
以上が日経新聞記事です。記事の最後で「統治機構と政治主導の死角を検証し、見直す時期が来た」とはしているものの、具体的な検証と見直しは全く記載されていないようです。これからの記事に期待、ということでしょうか。

「8割おじさん」の西浦教授の発言も見つかったので書き留めておきます。
政治家、覚悟のかけらもなかった 「8割削減」西浦教授
2021年4月2日 朝日新聞
『「第1波のとき、厚生労働省のクラスター対策班・・・で分析した結果が官邸に届くまでに、厚い壁のようなものが何枚もありました。科学的な知見を採り入れた政策判断と、官僚制システムがかみ合っていない」
「当時の厚労大臣だった加藤勝信さんには毎日のように会って、かなり厳しいことも言わせてもらっていました。しかし、その後、官邸での会議に専門家の提言が直接出されるわけではないのです。厚労省内で調整して、ようやく事務次官や医系技官のトップの医務技監が官邸に伝える」
「昨年3月、・・・僕は重症者数のシミュレーションをして、このままだと病床が足りなくなるという試算を会議に出したのですが、厚労省側からは『混乱を招く』と大反対された。一方で、会議の直前になって、政府側から『こういう別の対策が入ります』と言ってくる。前日の夜に資料が回覧されるものもあり、専門家の意見を採り入れたり、変えたりできない状態でした」』

《ワクチンについて》
新型コロナワクチンについて、あまりにも短期間での開発だったので、実際の大量摂取で弊害(副反応)が心配されましたが、諸外国の実績では圧倒的に摂取のメリットが高いようです。これに安心して日本もワクチン接種を進めたいところですが、先進諸国内では圧倒的に低い摂取率です。
日本での摂取を増大するために、「日本でもワクチン開発を進めるべきだ」という議論はよく聞きます。なぜ「ワクチンの開発」なのでしょうか。「既存の、例えばファイザーが開発したワクチンのライセンス生産」という話がなぜ出てこないのでしょうか。効くワクチンの量が確保できれば良いのであって、日本発である必要はありません。
しかし、「ファイザー」「ライセンス生産」で検索しても記事に遭遇しません。
唯一見つかったのは、国境なき医師団による以下の記事です。
新型コロナウイルス:ファイザーとモデルナのワクチンは、生産者を増やして世界的な普及を」 2020年12月08日
『一方、ファイザー/ビオンテックは、英国で先週、ワクチンが緊急承認されているが、知的財産権で守られた技術のライセンス許諾や、技術移転をする予定はないとの見解を示している。世界規模の生産と供給の拡充を実現するには、同社も世界的なライセンス共有を進め、他のワクチンメーカーへの技術移転を全面的に行うべきである。』
昨年12月という古い記事ではあるものの、その後「ファイザーがライセンス生産を認めた」との情報が全く見当たらないので、今も変わらないのでしょう。
他社へのライセンスを認めるか認めないのかの決定権はファイザーが持っているのでしょうが、世界中が声を大にして要求すれば、このパンデミックですから、ファイザーも態度を変えると思います。
これが特許権だけの問題だとしたら、日本であれば特許法93条の《公共の利益のための通常実施権の設定の裁定》を利用して強制通常実施権を得ることが可能でしょう。しかし、今回のワクチンについては、特許権の問題ではなく、ノウハウが重要でしょうから、やはりファイザーがノウハウをライセンスしない限り解決しないのでしょう。
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自分の来し方を辿ってみた

2021-04-10 18:35:16 | Weblog
3月8日の当ブログ記事「菊池昇先生『研究者は2つの「E」を磨け』」で、菊池先生の『私は東京工業大学で土木工学を学んだが、アルバイトで手掛けたコンピューターを使う模擬実験や可視化に魅了され、以来IT(情報技術)を駆使した工学を専門にしてきた。』に触発され、私がコンピュータプログラムによるシミュレーションで得た成果について2つ、記載しました。
これを機に、私の来し方をちょっと振り返ってみる気になり、私がなした成果の学会発表などを探すことになりました。

まずは、前回にも紹介しましたが、東京工業大学機械物理工学科での学部4年生と修士の2年間、丹生慶四郎先生のもとで流体力学の問題をコンピュータシミュレーションで数値計算を行う研究に専念した成果です。学部の卒論を論文投稿しました(J. Phys. Soc. Jpn. 32, p. 584 (1972))(本文)。

大学院修士修了後の勤務先は、大学の研究室の専門とは関係のない、製鉄会社に勤めました。新人研修時代に製鋼工場のDH真空脱ガス装置の担当となり、流体の挙動を数値シミュレーションで解くためにフォートランを駆使しました(学会発表:鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 62 (11) S512 1976-09-03 社団法人日本鉄鋼協会、特許:特公昭57-022970)。

連続鋳造装置として、当時の職場に垂直曲げ型のマシンが導入されました。連続鋳造鋳型の直下にある鋳片の曲げ部で鋳片表面割れが多発したのですが、それを解決するに至った成果が、以下の発表に記述されているはずです。
『討 12 連鋳スラブにおける表面割れ疵の改善(II 連鋳鋳片の品質と鋼の高温における力学的特性, 第 104 回講演大会討論会講演概要) ID 110001488738』
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 68 (10) A161 - A164 1982-08-01 社団法人日本鉄鋼協会
しかし、どうしても上記文献をネット上で見つけることができませんでした。そこで、関連する公開公報を掲載します。
特開昭58-224054

p.s.7/4
つい最近、上記文献を印刷したものを私が持っていることに気づきました。そこで、その印刷物をスキャンしてネットにアップしました。
討 12 連鋳スラブにおける表面割れ疵の改善(II 連鋳鋳片の品質と鋼の高温における力学的特性, 第 104 回講演大会討論会講演概要)
不鮮明な印刷物で申し訳ありません。

連続鋳造における表面疵の問題が解決すると、次には連続鋳造の中心偏析問題が待っていました。この問題に関わった初期の成果が以下の文献です。
216 分割ロールによる連鋳々片の中心偏析低減効果 : 連鋳々片の中心偏析低減対策の検討 II(凝固偏析・凝固組織, 連鋳偏析, 製鋼, 日本鉄鋼協会第 109 回講演大会)
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 71 (4) S216 1985-03-04 社団法人日本鉄鋼協会

連続鋳造に従事した私の職歴の最後に、鋳片の鋳造中幅変更技術について新機軸を着想しました。それ以前の高速幅可変は、微分方程式を「鋳造速度=一定」との前提で解いた上で制御を行っていました。私は、幅可変装置が「積分器」として機能していることに気付き、微分方程式を解かないままでの制御を実現しました。その結果、幅変更中に鋳造速度が変動しても対応が可能となりました。高速幅可変技術の最終形だと自負しているのですが、世間ではあまり注目されませんでした。特開昭62-263857公告公報

1986年に私に転勤命令が下り、それまでの製鉄関連から突然シリコンウェーハ製造技術関連に異動になりました。シリコンウェーハについて新規参入企業だったので、当初は製造技術に関して産みの苦しみを味わいました。
当時、先行していたウェーハメーカーは、学会発表もしないし特許出願もしておらず、技術が闇の中でした。ウェーハの品質作り込み技術に関しても、先行メーカーは詳しく知っていたはずですが、公知ではありません。当方は後発メーカーですから、知り得たことを公開しても失うものはありません。先行メーカーはすでに知っていたはずですから。以下の論文も、そのようないきさつで文献公知にしたものです。
CZシリコンウエハー中のリング状分布積層欠陥
応用物理1988 年 57 巻 10 号 p. 1541-1545
結果として、CZシリコンウエハー中のリング状分布積層欠陥に関しては、当方が学界をリードする形となりました。

私は、以上のような経歴をたどった後、知財関連に転じ、発明する側から発明を権利化する側に転身し、現在に至っています。
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要約書の【課題】欄への符号の記載

2021-04-06 17:39:17 | 知的財産権
久しぶりの知財ネタです。

特許出願時には、明細書、特許請求の範囲、図面に加えて、要約書を提出します。
要約書について特許庁は、「第五節 要約書の作成方法」において、
「発明の概要を平易な文章で簡潔に記載したものであり、一般の技術者が特許文献の調査の際に、その発明の要点を速やかにかつ的確に判断できるように記載したもの」であることを期待しています。
そして要約書の書式について、以下のように定めています。
-------------------
1.要約書は、次の様式により作成します。
   特施規様式第31(第25条の3関係)
『【書類名】 要約書
【要約】
【課題】○○○○○○○○○○○○○○○○○○
【解決手段】○○○○○○○○○○○○○○○○○○
【選択図】図○』
〔備考〕
11 「【要約】」の欄には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要を次の要領で記載する。
ハ 要約の記載の内容を理解するため必要があるときは、選択図において使用した符号を使用する。
-------------------
ここで「選択図」とは、特許出願文書に添付した図面のうちの一つを選択したものです。図面中では、部品、部材などを符号(数字)で参照しています。要約書で発明を説明するに際し、発明のそれぞれの要素が図面中のどこと対応しているかがわかると発明を理解しやすいので、要約書中でも、発明を説明する際に符号を添えます。読者は、要約書を読むに際し、説明されている部分が選択図中のどの部分を指しているのかを把握しながら読むことができます。

要約書の構成は、上記のように、【課題】欄、【解決手段】欄、【選択図】欄に、内容が記載されています。発明の中身は主に【解決手段】欄に記述されるので、当然ながら、符号についても主に【解決手段】欄中の文章に添えられます。
一方、【課題】欄中の記載についても、選択図を見ながら読んだ方が理解しやすい場合があり、そのような場合に私は、【課題】欄中にも符号を添えるようにしています。

今般、私が明細書類を執筆した出願について、出願経緯を調査する機会がありました。するとその中で、「要約書の記載を職権修正した」旨の記載が見つかりました。あれっ、どんな不都合があったのだろう?
そこで、公開公報と出願書類を比較してみたところ、要約書の【課題】欄において、出願時は符号を記載していたのに公開公報ではその符号が削除されていました。修正箇所はそこだけです。

「要約書の【課題】欄には符号を記載してはいけない」というルールは聞いたことがありません。今回ネットで調べましたが、そのようなルールを見つけることができませんでした。そこで、特許庁に電話で問い合わせてみました。
その結果、
「要約書の【課題】欄には符号を記載しないようにお願いしている。記載があった場合は、職権修正で削除している」
との回答でした。当方から、
「そのようなルールはどこに書かれていますか?」
と聞いたところ、「書いたものはない。説明会では口頭でお願いしている。最近は説明会を開催していないが。」とのご回答でした。

このような運用がなされていることについて、私は知りませんでしたし知らない人が多いのではないかと考え、ここにお知らせする次第です。
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ブログの画像格納サイトの変更

2021-04-04 16:27:42 | Weblog
このブログはgooブログですが、ブログで表示している写真等のファイルについては、gooではない別のサイトに格納しています。ブログ記事内でリンクによって関連付けています。このようにしている理由は、記事ごとに多数の写真をアップするに際し、FTPによってファイルを一気にアップしたいからです。
画像データのアップ先としては、2006年にブログを開設した当初から、@niftyのエリアを使っていました。
私と@niftyとの関係は、1980年代のパソコン通信時代に遡ります。NIFTY-SERVEと呼ばれていたパソコン通信を、私の主戦場としていたのです。現在に至るまで、@niftyのホームページエリアを確保し、そこに写真等のファイルを格納していました。

最近になって、私のブログをブラウザーで閲覧するに際し、写真が表示されないというトラブルに見舞われました。Internet ExplorerやiPadでは表示されるのですが、Google Chromeやマイクロソフトエッジでは表示されないのです。

まず、gooブログに質問しました。すぐに帰ってきた返答は
『goo blogでは、2018年より、常時SSL化を実施しておりますので、「http://」から始まる文字列での指定は、ご利用環境によって正常に表示されない場合がございます。
恐れ入りますが、コンテンツのURLを「https://」から始まるURLに変更いただきますようお願いいたします。』
というものでした。たしかに、「http://fuzoku.life.coocan.jp/ファイル名」のように参照しており、httpsではなくhttpです。

次に、@niftyに質問しました。すぐに帰ってきた返答は
『ご利用いただいております「@niftyホームページサービス」につきましては、現在SSL機能(https化)に対応の予定がございません。
このたびはお客様のご要望にお応えすることができず、大変心苦しい限りではございますが、何卒ご容赦くださいますようお願いいたします。』
というものでした。
これから分かることは、@niftyホームページサービスは最新のサービスを提供する状況にはなく、いずれ近いうちに消滅が予想されるものである、ということです。

さてどうするか。
写真等の格納場所を、SSL機能(https化)に対応した場所に変更しなければなりません。最初は途方に暮れましたが、「レンタルサーバー」のキーワードで調べれば良いことがわかってきました。
そして、【徹底比較】レンタルサーバーおすすめランキング【速度・料金・安定性】にて第2位にランクインしているエックスサーバーに決定しました。

データの移動については、現在@niftyにアップしているデータをすべて一括でFTPにてパソコンにダウンロードし、そのデータをFTPにてエックスサーバーに一括でアップロードしました。それぞれの作業が、せいぜい20分程度で完了し、データの移動は苦労なくできました。データの総量は10GBにも満たない量でした。エックスサーバーは300GBも契約したのに。

次に、ブログ記事の参照アドレスの書き換えです。
ここは、写真を掲載しているページごとに作業していかなければなりません。まず、変更しようとしているページのソースを表示させ、コピー・ペーストでテキストエディター(秀丸)に読み込みます。そして、秀丸上で一括置換にてアドレスを書き換えます。書き換えた情報を再度gooブログに読み込ませて完了です。
この作業を、写真を掲載しているページ数だけ延々と行いました。とは言っても、この週末に作業は完了しました。

こうして、私のブログは甦ることができました。
今までは、データ容量を気にして写真の解像度を落としてアップしていました。エックスサーバーに乗り換えた結果として、容量が300GBに増大しました。現時点で容量300GB中の10GB程度しか使っていないのですから、これからは容量を気にせずに高い解像度で写真をアップしようと思っています。
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