ついに習近平が本気の「台湾獲り」に動き出す 2期目の最大の目標は「中台統一」
近藤 大介 2017.01.10
『トランプ新政権は、第二次世界大戦後の歴代アメリカ政権のように「理念」ではなく、「実利」で行動するようになる。
・・・
アメリカ軍は徐々にアジアから引いていくだろう。・・・その代わり、アメリカ製の武器・兵器をどんどん買わせようとするだろう。そちらの方がアメリカ人の雇用が増えてアメリカが儲かるからだ。
・・・
私は、中でも一番リスクが高まるのは、台湾海峡だと見ている。その理由は、今年秋に2期目を迎える習近平政権が、2期目5年間の最大の目標として「台湾統一」を掲げ、本気で取りに来ると思われるからだ。』(近藤)
アメリカ時間の12月2日に、蔡英文総統がトランプ次期大統領に電話をかけて、大統領選勝利の祝意を述べたこは驚きでした。
米中が国交正常化交渉に入ったのは1972年ですが、それから7年後の1979年に、ようやく国交正常化を果たしました。7年もかかった理由は、「台湾をどう扱うか」というただ1点において、米中が合意できなかったからです。結局、「台湾独立を支持せず、中国が主張する『一つの中国』を尊重する」ということで落ち着きました。
現職大統領もしくは大統領当選者が、台湾総統と電話で話すなどということは、考えられなかったのです。(近藤より)
1996年3月に、台湾の李登輝総統が、初の台湾総統直接選挙を実施し、再選を狙いました。このとき中国は、台湾海峡に向かってミサイルを発射し、台湾を威嚇しました。これに対して米国は、台湾を救援するため、空母『ニミッツ』と『インディペンデンス』を台湾周辺に派遣しました。これだけで、このときの中国軍は撤退を余儀なくされたのでした。(近藤より)
このときの状況については、日経新聞の「私の履歴書」米ウィリアム・ペリー元国防長官の巻について、このブログで記事にしました(中国の「空母キラー」ミサイル)。
『あの事件以来、中国は海軍力の増強にまい進するようになっていった。そして、今、中国は南シナ海の南沙諸島だけでなく、東シナ海の尖閣諸島を巡っても領有権を主張。自国の海軍に所属する軍艦部隊を沖縄・宮古島周辺海域で堂々と航行させるなど日本と台湾の周辺海域で軍事プレゼンスを誇示している。』(2010年12月26日記事)
中国軍では2010年現在、「対艦弾道ミサイル(ASBM)」がほぼ完成してすでに部隊配置も始まっていたようです。ASBMとは中距離弾道ミサイル(DF21)を改造して、はるかかなたの洋上を航行する空母を攻撃できるようにした新兵器で、防御が難しいことから「空母キラー」とも呼ばれています。人工衛星から誘導するようです。
射程は1500キロを超えるということで、日本列島は沖縄を含めてすべてその範囲内に入り、グアムのアンダーセン基地のみがかろうじて射程から外れています。弾道ミサイルは迎撃が難しいと言われているようで、ということは、もはや米国空母は中国近海に進出することがきわめて危険であるということになります(中国の「空母キラー」ミサイル)。
1996年の事件の時、習近平は福州軍分区党委第一書記であり、台湾海峡の最前線で中国人民解放軍が台湾を威嚇する指揮を執った一人だったということです。
『以後、習近平は臥薪嘗胆してきた。習近平主席が誰よりも尊敬する毛沢東元主席がやり残した最大の事業が、台湾の統一である。「毛沢東の後継者」の意識が強い習近平主席は、「毛沢東の遺訓」である台湾統一を、常に胸に刻んでいるのである。』(近藤)
中国は、2005年3月に「反国家分裂法」を定めています。その第8条では、〈「台湾独立」の分裂勢力が、台湾の中国からの分裂の行動を起こした場合、・・・国家は平和的でない方式で、・・・国家主権と領土の完全な整備に死守しなければならない 〉と規定しています。蔡英文総統がトランプ次期大統領に電話したことを「分裂の行動」と捉えることも可能です。(近藤より)
習近平は、中国の国内法を根拠として、対外的政策を実行しますから、そこが恐ろしいところです。
実際に中国軍による台湾の武力統一は可能なのでしょうか。渡部悦和・元陸上自衛隊東部方面総監の「米中戦争シミュレーション 台湾紛争シナリオ」によると、台湾を巡って米中が全面戦争に突入したとしても、2017年の段階で、すでに中国軍が勝利してしまう可能性に言及しているのだそうです。また、中台戦争になってもアメリカ軍が台湾を助けないことを示唆しているといいます。(近藤より)
私は2年半前、「飯柴智亮著「2020年日本から米軍はいなくなる」」を記事にしました。
《はじめに》
『今回、飯芝氏の元米陸軍情報将校としての能力と、ミリタリー・アドバイザーのコネクションを駆使し、在日米軍が撤退する可能性とその時期について、米国内において、政府・軍関係者、および軍産複合体関係者に広く取材を敢行した。』
『台湾が中国のものになると、ドミノ倒しのように均衡が崩れていく。そのとき、米軍との戦力バランスは完璧に中国に傾く。習主席の中国は2020年頃に台湾を手に入れるだろう。
習主席は、台湾を取り戻して自国のものとして、さらに、かつて中国を侵略した日本に復讐し、アジア全域を支配下に置くという国家指針を持っている。
中国に空母が3隻揃うと、台湾に軍事侵攻を開始する。
2024年から2025年頃に、現在の練習空母遼寧に加えて、プラス2隻で、空母3隻体制が整う。』
上記のように、飯芝氏が米軍関係者から取材した予想では、習近平中国が武力で台湾を手に入れるのは、2020年頃、としていました。今回の近藤大介氏の評論によると、それよりも前倒しで、中国は台湾に対して武力行使を開始するかのようです。
別の報道によると、中国は2隻目、3隻目の空母をすでに建造中といいます。さらに、3隻目はカタパルトを装備している、とのことです。
「飯柴智亮著「2020年日本から米軍はいなくなる」」によると、中国が台湾を武力で手に入れると、東アジアのバランスが崩れ、米軍の制空権が失われるので、沖縄の米軍は順次後方に下がるといいます。そのあと、日本周辺の抑止力は、まずは日本自身が有する防衛力によって確保せざるを得ません。そのような時期が、飯芝氏が預言したとおり、本当に2020年頃に到来するのでしょうか。
近藤 大介 2017.01.10
『トランプ新政権は、第二次世界大戦後の歴代アメリカ政権のように「理念」ではなく、「実利」で行動するようになる。
・・・
アメリカ軍は徐々にアジアから引いていくだろう。・・・その代わり、アメリカ製の武器・兵器をどんどん買わせようとするだろう。そちらの方がアメリカ人の雇用が増えてアメリカが儲かるからだ。
・・・
私は、中でも一番リスクが高まるのは、台湾海峡だと見ている。その理由は、今年秋に2期目を迎える習近平政権が、2期目5年間の最大の目標として「台湾統一」を掲げ、本気で取りに来ると思われるからだ。』(近藤)
アメリカ時間の12月2日に、蔡英文総統がトランプ次期大統領に電話をかけて、大統領選勝利の祝意を述べたこは驚きでした。
米中が国交正常化交渉に入ったのは1972年ですが、それから7年後の1979年に、ようやく国交正常化を果たしました。7年もかかった理由は、「台湾をどう扱うか」というただ1点において、米中が合意できなかったからです。結局、「台湾独立を支持せず、中国が主張する『一つの中国』を尊重する」ということで落ち着きました。
現職大統領もしくは大統領当選者が、台湾総統と電話で話すなどということは、考えられなかったのです。(近藤より)
1996年3月に、台湾の李登輝総統が、初の台湾総統直接選挙を実施し、再選を狙いました。このとき中国は、台湾海峡に向かってミサイルを発射し、台湾を威嚇しました。これに対して米国は、台湾を救援するため、空母『ニミッツ』と『インディペンデンス』を台湾周辺に派遣しました。これだけで、このときの中国軍は撤退を余儀なくされたのでした。(近藤より)
このときの状況については、日経新聞の「私の履歴書」米ウィリアム・ペリー元国防長官の巻について、このブログで記事にしました(中国の「空母キラー」ミサイル)。
『あの事件以来、中国は海軍力の増強にまい進するようになっていった。そして、今、中国は南シナ海の南沙諸島だけでなく、東シナ海の尖閣諸島を巡っても領有権を主張。自国の海軍に所属する軍艦部隊を沖縄・宮古島周辺海域で堂々と航行させるなど日本と台湾の周辺海域で軍事プレゼンスを誇示している。』(2010年12月26日記事)
中国軍では2010年現在、「対艦弾道ミサイル(ASBM)」がほぼ完成してすでに部隊配置も始まっていたようです。ASBMとは中距離弾道ミサイル(DF21)を改造して、はるかかなたの洋上を航行する空母を攻撃できるようにした新兵器で、防御が難しいことから「空母キラー」とも呼ばれています。人工衛星から誘導するようです。
射程は1500キロを超えるということで、日本列島は沖縄を含めてすべてその範囲内に入り、グアムのアンダーセン基地のみがかろうじて射程から外れています。弾道ミサイルは迎撃が難しいと言われているようで、ということは、もはや米国空母は中国近海に進出することがきわめて危険であるということになります(中国の「空母キラー」ミサイル)。
1996年の事件の時、習近平は福州軍分区党委第一書記であり、台湾海峡の最前線で中国人民解放軍が台湾を威嚇する指揮を執った一人だったということです。
『以後、習近平は臥薪嘗胆してきた。習近平主席が誰よりも尊敬する毛沢東元主席がやり残した最大の事業が、台湾の統一である。「毛沢東の後継者」の意識が強い習近平主席は、「毛沢東の遺訓」である台湾統一を、常に胸に刻んでいるのである。』(近藤)
中国は、2005年3月に「反国家分裂法」を定めています。その第8条では、〈「台湾独立」の分裂勢力が、台湾の中国からの分裂の行動を起こした場合、・・・国家は平和的でない方式で、・・・国家主権と領土の完全な整備に死守しなければならない 〉と規定しています。蔡英文総統がトランプ次期大統領に電話したことを「分裂の行動」と捉えることも可能です。(近藤より)
習近平は、中国の国内法を根拠として、対外的政策を実行しますから、そこが恐ろしいところです。
実際に中国軍による台湾の武力統一は可能なのでしょうか。渡部悦和・元陸上自衛隊東部方面総監の「米中戦争シミュレーション 台湾紛争シナリオ」によると、台湾を巡って米中が全面戦争に突入したとしても、2017年の段階で、すでに中国軍が勝利してしまう可能性に言及しているのだそうです。また、中台戦争になってもアメリカ軍が台湾を助けないことを示唆しているといいます。(近藤より)
私は2年半前、「飯柴智亮著「2020年日本から米軍はいなくなる」」を記事にしました。
《はじめに》
『今回、飯芝氏の元米陸軍情報将校としての能力と、ミリタリー・アドバイザーのコネクションを駆使し、在日米軍が撤退する可能性とその時期について、米国内において、政府・軍関係者、および軍産複合体関係者に広く取材を敢行した。』
『台湾が中国のものになると、ドミノ倒しのように均衡が崩れていく。そのとき、米軍との戦力バランスは完璧に中国に傾く。習主席の中国は2020年頃に台湾を手に入れるだろう。
習主席は、台湾を取り戻して自国のものとして、さらに、かつて中国を侵略した日本に復讐し、アジア全域を支配下に置くという国家指針を持っている。
中国に空母が3隻揃うと、台湾に軍事侵攻を開始する。
2024年から2025年頃に、現在の練習空母遼寧に加えて、プラス2隻で、空母3隻体制が整う。』
上記のように、飯芝氏が米軍関係者から取材した予想では、習近平中国が武力で台湾を手に入れるのは、2020年頃、としていました。今回の近藤大介氏の評論によると、それよりも前倒しで、中国は台湾に対して武力行使を開始するかのようです。
別の報道によると、中国は2隻目、3隻目の空母をすでに建造中といいます。さらに、3隻目はカタパルトを装備している、とのことです。
「飯柴智亮著「2020年日本から米軍はいなくなる」」によると、中国が台湾を武力で手に入れると、東アジアのバランスが崩れ、米軍の制空権が失われるので、沖縄の米軍は順次後方に下がるといいます。そのあと、日本周辺の抑止力は、まずは日本自身が有する防衛力によって確保せざるを得ません。そのような時期が、飯芝氏が預言したとおり、本当に2020年頃に到来するのでしょうか。