弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

少子化対策の財源確保

2023-04-19 19:37:38 | 歴史・社会
中外時評 負担の連立方程式を解けるか 育児支援拡充の落とし穴
論説委員 柳瀬 和央
2023年4月18日 日経新聞
『岸田文雄政権の少子化対策の実像は財源のあり方しだいで大きく変わる。負担を巡る連立方程式を解き、子育て世帯の支援にしっかりつなげることができるだろうか。
政権は小倉将信少子化相が公表した少子化対策のたたき台を踏まえ、6月にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で財源を含む対策の大枠を示す方針だ。
自民党の茂木敏充幹事長は4日のBS日テレの番組で確保する財源規模に関し、こども家庭庁の2023年度予算が4.8兆円だと説明した上で述べている。「最低でも半分はやると思う。2/3だとすると3兆円はやる。」
ではその巨額の財源をどこに求めるのか。茂木氏は「増税と国債(⑥)は、いま考えていない。」(①~⑥はブログ主が記入しました)

① 医療保険など既存の社会保険の運営者に少子化対策を目的とする拠出金の納付を求める。・・保険料にはいずれ反映される。
社会保険に少子化対策の財源を求めると、この構図(現役世代への社会保障の負担が重くなる)を強めかねない。
② 児童手当などの財源として企業から徴収している「子ども・子育て拠出金」の増額。これは事業主に化される税金である。

児童手当など育児世帯への給付を拡充しても保険料や賃金低迷で相殺される。こんな落とし穴を避けるには、現役世代の中だけで再配分するのではなく、高齢者に協力を求めることが欠かせない。
問題は所得で加入者の保険料をはじく社会保険の枠組みでは高齢者の負担が限られる点だ。・・・所得が少なくても資産を持つ高齢者は少なくない。
③ 資産も含めて負担能力に応じた協力を求める仕組みがいるが、それは消費税の方が優れている。
④(消費税の議論を封印するなら)所得だけでなく、保有する資産も勘案して保険料を決める。
⑤ 育児世帯が最も恩恵を受けるのは、年金、医療など既存の社会保障給付の削減で財源を捻出することだ。

関東学院大の島澤諭教授が子育て給付を6兆円増やす想定で財源別に出生率を上げる効果を推計したところ、最も大きい年3万人あまりの効果が期待できるのは、高齢者向け給付の削減(⑤)で賄うケースだった。次に効果があるのは消費税(③)で約7000人。将来世代の負担になる赤字国債(⑥)の約6000人を上回った。現状の社会保険料(①②)だと逆に出生率が5000人程度減るという。』

これから純粋に増加する歳出として、上記の「異次元の少子化対策」に加え、「防衛費のGDP比1%→2%」もあります。
私は常々、「歳出増加に見合う財源を確保する上では、高齢者向けの社会保障給付(年金、医療費)を削減することが最も必要だ」と考えています。年金制度を単独で見ても、現在の現役世代が年金世代になったときの年金崩壊を食い止めるためには、現在の年金受け取り世代の給付額を減らすことが最も重要です。
しかし、「現在の高齢者向け給付を減らそう」という意見は、政治家から出てこないことはもちろん、ニュースでもマスコミは口をつぐんでいます。
今回初めて、上記日経記事でその主旨の主張がなされました。しかし、論調としては決して強力ではありません。「そっと言い添えた」程度ですね。

高齢者のうち、「資産の多い人から多く徴収する」というのは、現在の相続税の累進課税制度によってなされています。上記「(高齢者の)保有する資産も勘案して保険料を決める(④)」は、相続税ではできますが、生きている高齢者の資産を毎年勘案することは難しそうです。
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ウクライナでのイギリス特殊部隊の活動

2023-04-12 18:06:04 | 歴史・社会
西側の特殊部隊、ウクライナで活動か 米機密文書流出で表面化
4/12(水) BBC
『ロシアのウクライナ侵攻などに関する米国防総省の機密文書が流出したとされる問題で、イギリスなど多くの国がウクライナ国内で軍事特殊部隊を活動させていることが、一部文書で示されている。
流出文書は、ウクライナ侵攻をめぐって1年以上にわたってひそかに憶測を呼んでいた、西側諸国の関与を裏付けるものとなった。
 ・・・
■西側の特殊部隊
3月23日付の文書によると、ウクライナに派遣されている特殊部隊の規模はイギリスが最多の50人、イギリスと同じく北大西洋条約機構(NATO)加盟国のラトヴィアが17人、フランスが15人、アメリカが14人、オランダが1人。
 ・・・
■英特殊部隊
イギリスの特殊部隊は、専門分野の異なる複数の精鋭部隊で構成され、世界有数の能力を持つとされる。
英政府はアメリカなどとは対照的に、自国の特殊部隊についてコメントしない方針を取っている。
イギリスはウクライナを声高に支援し、アメリカに次ぐ規模の軍事支援を実施している。』

欧米の謀略を打ち破り よみがえるロシア帝国
副島隆彦、佐藤優
昨年、上記書籍を読みました。そして、副島隆彦、佐藤優 「よみがえるロシア帝国」 2022-11-16として記事にしました。

上記書籍は、副島隆彦氏と佐藤優氏の対談をまとめたものです。

副島氏が、以下の発言をしています。

《ウクライナ問題で悪いのはイギリスとバチカン》(ディープステイト)
『(ディープステイトとは)西側を500年前から支配してきた、頂点に隠れている人々のことです。はっきり書くと、ヨーロッパの王族や大貴族たちです。彼らは政治の表面には出てこない。
ディープステイトを構成するのは、カトリックの総本山、ローマ教会だ。そしてもう1つは英国国教会(アングリカン・チャーチ)です。これはイギリス国王と貴族たちだ。これに連なるヨーロッパ各国の王族と貴族。元貴族、それからアメリカの大富豪たち。この連合体がディープステイトだ。
結局のところ、イギリスがアメリカを引きずり込んだのです。イギリスと、それから本当はバチカンが悪いんですよ。
世界最大のワルは、この2つです。70人の英SASが、2021年の11月からゼレンスキーの回りにピタッとついています。・・やはり、全部仕組んでいるのはイギリスです。だからSASがゼレンスキーに「次はこうしろ」「次はこんなふうに演説しろ」と指図している。

ウクライナに派遣されているイギリス特殊部隊の規模について、今回流出した機密文書では50人、副島氏の発言では70人と若干の相違はありますが、概ね副島氏の発言の通りです。
副島氏の発言からは目を離せません。

上記書籍では、
《安倍元総理殺害》
『爆発音に驚いて安倍が後ろを振り向き、その後地面にベタッと小さくなった。その後、首から2発、SPが撃った。SPの中のアメリカCIAの息のかかった人物がやったのだ。アメリカのCIAが統一教会の内部分裂を利用して、大きく上から仕組んで安倍晋三を殺した。』

という発言もあります。最近の週刊文春の記事と符合するように思います。
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新任の第8師団長はなぜ宮古島を空中視察したのか

2023-04-08 15:28:28 | 歴史・社会
安否不明の陸上自衛隊第8師団の坂本 雄一 師団長「地域に惚れたい」と語っていた【熊本】
4/7(金) TKUテレビ熊本
『沖縄県の宮古島周辺で消息を絶った陸上自衛隊のヘリコプターには、南九州3県や南西諸島の防衛を担う第8師団の坂本 雄一 師団長も搭乗しています。3月30日付で着任したばかりで、「地域に惚れたい」と抱負を語っていました。
【陸上自衛隊第8師団 坂本 雄一 師団長】
北海道旭川市出身の55歳。
日本列島を5つの区域に分けた方面隊のひとつ西部方面隊に属する第8師団の師団長は5000人を超える隊員を率い、南九州3県と緊張が高まる南西諸島の防衛を担う指揮官です。
近年、中国の艦船が頻繁に往来する宮古島海域での偵察任務にあたるヘリに搭乗していました。
第8師団は台湾や尖閣諸島情勢の緊迫化で『南西シフト』が進む安全保障の要ともいわれ、『鎮西機動師団』として、担当する熊本・宮崎・鹿児島以外にも展開する任務を担っています。』

熊本を拠点とする第8師団と、宮古島に駐屯する陸上自衛隊の部隊との関係がよくわかりません。最初は、「第8師団が宮古島駐屯地の陸自を管轄している」かと思っていたのですが、どうもそうではなさそうです。

西部方面軍、宮古島駐屯地の陸自、第8師団の関係について、ウィキペディアで調べて見ました。
宮古島駐屯地には、主に以下の部隊が駐屯しているようです。
・第15旅団隷下部隊
 ・宮古警備隊:主に陸上戦闘にあたる守備隊のようです。
・西部方面隊隷下部隊
 ・第2高射特科団
  ・第7高射特科群:03式中距離地対空誘導弾(中SAM)を運用して、島の防空を担うようです。
・西部方面特科隊
 ・第5地対艦ミサイル連隊12式地対艦誘導弾などを装備
  ・第302地対艦ミサイル中隊

上記の構成から、宮古島駐屯地に駐屯する陸上自衛隊部隊は、主に地対艦ミサイルで洋上の敵艦船を攻撃することが主任務であり、そのミサイル部隊を守るため、敵兵やゲリラ部隊の上陸には宮古警備隊があたり、敵ミサイルの迎撃には高射特科軍があたる、ということと理解できます。

次に、上記宮古島駐屯地の陸自部隊がどのような組織に属しているのかを、調べて見ました。すべての部隊は西部方面軍に含まれています。
西部方面軍
・第4師団
第8師団
第15旅団宮古警備隊
第2高射特科団第7高射特科群
西部方面特科隊第5地対艦ミサイル連隊

宮古警備隊は第15旅団に所属し、高射特科軍と地対艦ミサイル連隊はいずれも西部方面軍の直属です。宮古島駐屯のいずれの部隊も、第8師団には属していません。
それでは、着任したばかりの第8師団長は、何を目的に宮古島の視察を行ったのでしょうか。
第8師団は、九州南部に位置する3県(熊本県、宮崎県、鹿児島県)の防衛警備、災害派遣を任務とします。
宮古島を含む沖縄県は、第8師団とは別の、第15旅団の管轄です。第15旅団は、『沖縄地方の防衛警備・災害派遣などを任務としている。中期防衛力整備計画 (2005)に基づき2010年(平成22年)3月26日、第1混成団の後継として南西諸島の地理的特性を踏まえつつ、ゲリラや特殊部隊による攻撃やNBC攻撃、島嶼部に対する侵略、大規模特殊災害等の新たな脅威や様々な事態に迅速かつ実効的に対応できる体制を構築する一環として編成された離島型旅団である。』ということです。
一方第8師団は、『冷戦終結後は台湾問題、南西諸島有事が懸念され、担任区域に約960個の離島を抱える地域的特性がある本師団の重要性が増している。そのため、米国にて米海兵隊との島嶼(とうしょ)防衛に関する共同訓練を行なうなど地域特性に応じた能力の向上に努めている。
26中期防において「事態が生起した場合、必要に応じ、警備区域を越えて緊急展開する」ことを目的に、全国に先駆けて平成29年度末に即応近代化型師団から「機動師団」(1個即応機動連隊、2個普通科連隊基幹)に改編された。』とされています。
「事態が生起した場合、必要に応じ、警備区域を越えて、『沖縄県の宮古島まで』緊急展開する」ということでしょうか。宮古島は、「離島型旅団」である第15旅団の管轄です。宮古島有事の場合は、第15旅団と共同して、第8師団も宮古島防衛にあたる、ということになるのでしょうか。

それにしても、新任の第8師団長が、着任後5日しか経っていないのに、警備区域外である宮古島を視察しなければならない理由があったのでしょうか。この点に関しては、陸自ヘリ墜落、防衛省に「強烈な違和感」を抱いた理由…中国海軍空母が航行するなか、なぜ「重大事故」は起きたのか陸自ヘリ墜落への“不可解な疑念”…「第8師団長が搭乗」「事故と判明」防衛省の異例の発表で「深まる謎」の記事が目にとまりました。
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