その国のサッカーA代表の力量というのは、
○その国の子ども達の中からどのような選手が出現するか
○その国のトップリーグ(日本ならJリーグ)がどのような選手を育て上げるか
○その中から選手を選抜し、代表チームとしてどのようなチームを作り上げるのか
の3点が総合してできあがってくると思います。
その中の3点目については、直接には代表監督の力量にかかります。
代表監督はどのように決まるかというと、その国のサッカー協会が選別するわけです。
代表監督は入れ替え可能ですし、いろいろの事情で頻繁に交代することでしょう。そのような状況の中で、その国の代表チームの方向性を確固たるものにするためには、サッカー協会が「良いサッカー」の方向をきちんと見定め、協会が目指す「良いサッカー」を実現してくれる監督を選別することが大事です。
そのような原則さえしっかりしていれば、たとえ監督が交代したとしても、代表チームの一貫性は保たれます。
そして日本です。
オシム氏が代表監督である間、「考えて走る」が標語となりました。
われわれ一般人には目新しい標語でしたが、湯浅健二氏の評論によれば、ヨーロッパのサッカー先進国の間で「良いサッカー」とされている方向性とまさに一致しており、決して目新しいものではないということでした。ここでも、去年の10月(23日、28日)に取り上げました。
オシム氏の目指すサッカーがヨーロッパサッカー先進国での共通認識なのであれば、たとえオシム氏が倒れたとしても、同じ方向を目指す優秀な監督は選別可能であろうと私は考えました。
しかし、最近の日本代表の動向を見ていると、どうもそうではなさそうです。
岡田監督が最初に唱えた「接近・展開・連続」には驚かされました。サッカー先進国の知恵ではありません。日本のラグビーの先駆者が唱えた思想を拝借しているのです。例えばこちら。何でまたラグビーから???
しかし、その戦法で臨んだ1月の試合で、日本代表は機能不全の状態でした。私だけでなく、新聞記者も、川淵キャプテンもふくめ、試合後に一様に危惧していました。
岡田監督はさすがに賢い人です。すぐにこの「接近・展開・連続」を封印しました。
ところが2月のタイ戦では別の方向にシフトします。
岡田監督 勝ち点3へ「接近」封印
「タイ戦に向けた練習で、イレブンに指示を出す岡田監督
岡ちゃんが理想より現実を選んだ。日本代表は2日、千葉県内で6日のW杯アジア3次予選タイ戦に向けて練習を行ったが、岡田武史監督(51)はテーマに掲げている「接近・展開・連続」を“封印”。ロングパスを交えた速攻の練習を繰り返した。タイ代表の予想以上の実力に、急きょ方針転換。3日からは練習を3日連続で非公開にするなど、過剰なまでの警戒心を示した。
寒空の下に岡田監督の声が響いた。「常にトップを見ろ」「トップが空いてたらトップに入れた方が楽だろ」「FWは守備しなくていいぞ。下がるな」。
・・・
最終ラインやボランチから2トップの高原&巻をめがけて次々にロングパスが蹴り込まれた。FWが落としたボールをMFが素早くサイドに展開し、クロスに対して2、3人がゴール前に飛び込むのが基本パターン。これまで取り組んできた「接近・展開・連続」とは対照的に、手数をかけない攻撃が展開された。
中村憲は「2、3本パスをつないで縦へ行ければいいが、横パスをさらわれてしまうなら1本で出してもいいんじゃないか」とリスク回避の必要性を強調したが、裏を返せば理想より現実を重視した戦術。ある選手は「今までは細かいパス回しだったけど、違うところに行っている。横浜のときの岡田さんっぽい」と戸惑いを隠さなかった。」[2008年02月03日]
これって、先日のバーレーン戦の日本代表そのものじゃないですか。
上の記事の中に出てくる岡田監督の方針は、湯浅健二氏が唱える「サッカー先進国で言われている『良いサッカー』」からかけ離れています。
湯浅氏は、代表戦における大久保について、「動かないから、スペースに栓をしているようなもの」と批評しています。しかし上の記事によれば、それは岡田監督の指示に従った結果です。
ところが今、状況はさらに進展しています。
岡田監督「今後は思い通りやる」=守備など戦術変更も示唆-サッカー日本代表
「サッカー日本代表の岡田武史監督は28日、代表スタッフ会議で今後の強化方針について話し合い、「今までは前(オシム前監督)のやり方を踏襲している部分があったが、今後は自分の思い通りやらせてもらう」と、戦術面などで変更を行う考えを明らかにした。
日本は先のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会アジア3次予選でバーレーンに敗戦。岡田監督は「変えるのは3次予選が終わってからと思っていたが、甘かった」と話した。具体的な変更点については明言を避けたが、「今まで人に付くディフェンスをやってきたが、自分のやり方ではなかった」と話した。」3月28日19時31分配信 時事通信
契約により監督に就任した人は、それは自分の目指すサッカーを実現しようとするでしょう。従って、その国の代表チームがどのようなサッカーを目指すかという点については、代表監督を選択するときにほとんどすべてが決まります。
従って、まずはその国のサッカー協会がめざすべきサッカー像を形成した上で、その方向に合致し、同時に優れた指導力を持った人の中から人選すべきです。
今からでも遅くありません。
ドイツの二部リーグチームの監督をしているブッフヴァルト氏と接触し、この夏からでも日本代表監督に就任してもらったらどうでしょうか。
湯浅氏によれば、ブッフヴァルト氏の目指すサッカーは湯浅氏の「良いサッカー」と同じ方向であり、即ちオシム流とも一致します。そして、有能な監督であることは浦和レッズで実証済みです。
○その国の子ども達の中からどのような選手が出現するか
○その国のトップリーグ(日本ならJリーグ)がどのような選手を育て上げるか
○その中から選手を選抜し、代表チームとしてどのようなチームを作り上げるのか
の3点が総合してできあがってくると思います。
その中の3点目については、直接には代表監督の力量にかかります。
代表監督はどのように決まるかというと、その国のサッカー協会が選別するわけです。
代表監督は入れ替え可能ですし、いろいろの事情で頻繁に交代することでしょう。そのような状況の中で、その国の代表チームの方向性を確固たるものにするためには、サッカー協会が「良いサッカー」の方向をきちんと見定め、協会が目指す「良いサッカー」を実現してくれる監督を選別することが大事です。
そのような原則さえしっかりしていれば、たとえ監督が交代したとしても、代表チームの一貫性は保たれます。
そして日本です。
オシム氏が代表監督である間、「考えて走る」が標語となりました。
われわれ一般人には目新しい標語でしたが、湯浅健二氏の評論によれば、ヨーロッパのサッカー先進国の間で「良いサッカー」とされている方向性とまさに一致しており、決して目新しいものではないということでした。ここでも、去年の10月(23日、28日)に取り上げました。
オシム氏の目指すサッカーがヨーロッパサッカー先進国での共通認識なのであれば、たとえオシム氏が倒れたとしても、同じ方向を目指す優秀な監督は選別可能であろうと私は考えました。
しかし、最近の日本代表の動向を見ていると、どうもそうではなさそうです。
岡田監督が最初に唱えた「接近・展開・連続」には驚かされました。サッカー先進国の知恵ではありません。日本のラグビーの先駆者が唱えた思想を拝借しているのです。例えばこちら。何でまたラグビーから???
しかし、その戦法で臨んだ1月の試合で、日本代表は機能不全の状態でした。私だけでなく、新聞記者も、川淵キャプテンもふくめ、試合後に一様に危惧していました。
岡田監督はさすがに賢い人です。すぐにこの「接近・展開・連続」を封印しました。
ところが2月のタイ戦では別の方向にシフトします。
岡田監督 勝ち点3へ「接近」封印
「タイ戦に向けた練習で、イレブンに指示を出す岡田監督
岡ちゃんが理想より現実を選んだ。日本代表は2日、千葉県内で6日のW杯アジア3次予選タイ戦に向けて練習を行ったが、岡田武史監督(51)はテーマに掲げている「接近・展開・連続」を“封印”。ロングパスを交えた速攻の練習を繰り返した。タイ代表の予想以上の実力に、急きょ方針転換。3日からは練習を3日連続で非公開にするなど、過剰なまでの警戒心を示した。
寒空の下に岡田監督の声が響いた。「常にトップを見ろ」「トップが空いてたらトップに入れた方が楽だろ」「FWは守備しなくていいぞ。下がるな」。
・・・
最終ラインやボランチから2トップの高原&巻をめがけて次々にロングパスが蹴り込まれた。FWが落としたボールをMFが素早くサイドに展開し、クロスに対して2、3人がゴール前に飛び込むのが基本パターン。これまで取り組んできた「接近・展開・連続」とは対照的に、手数をかけない攻撃が展開された。
中村憲は「2、3本パスをつないで縦へ行ければいいが、横パスをさらわれてしまうなら1本で出してもいいんじゃないか」とリスク回避の必要性を強調したが、裏を返せば理想より現実を重視した戦術。ある選手は「今までは細かいパス回しだったけど、違うところに行っている。横浜のときの岡田さんっぽい」と戸惑いを隠さなかった。」[2008年02月03日]
これって、先日のバーレーン戦の日本代表そのものじゃないですか。
上の記事の中に出てくる岡田監督の方針は、湯浅健二氏が唱える「サッカー先進国で言われている『良いサッカー』」からかけ離れています。
湯浅氏は、代表戦における大久保について、「動かないから、スペースに栓をしているようなもの」と批評しています。しかし上の記事によれば、それは岡田監督の指示に従った結果です。
ところが今、状況はさらに進展しています。
岡田監督「今後は思い通りやる」=守備など戦術変更も示唆-サッカー日本代表
「サッカー日本代表の岡田武史監督は28日、代表スタッフ会議で今後の強化方針について話し合い、「今までは前(オシム前監督)のやり方を踏襲している部分があったが、今後は自分の思い通りやらせてもらう」と、戦術面などで変更を行う考えを明らかにした。
日本は先のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会アジア3次予選でバーレーンに敗戦。岡田監督は「変えるのは3次予選が終わってからと思っていたが、甘かった」と話した。具体的な変更点については明言を避けたが、「今まで人に付くディフェンスをやってきたが、自分のやり方ではなかった」と話した。」3月28日19時31分配信 時事通信
契約により監督に就任した人は、それは自分の目指すサッカーを実現しようとするでしょう。従って、その国の代表チームがどのようなサッカーを目指すかという点については、代表監督を選択するときにほとんどすべてが決まります。
従って、まずはその国のサッカー協会がめざすべきサッカー像を形成した上で、その方向に合致し、同時に優れた指導力を持った人の中から人選すべきです。
今からでも遅くありません。
ドイツの二部リーグチームの監督をしているブッフヴァルト氏と接触し、この夏からでも日本代表監督に就任してもらったらどうでしょうか。
湯浅氏によれば、ブッフヴァルト氏の目指すサッカーは湯浅氏の「良いサッカー」と同じ方向であり、即ちオシム流とも一致します。そして、有能な監督であることは浦和レッズで実証済みです。