弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

自民党公約~憲法改正

2016-06-18 20:33:32 | 歴史・社会
6月17日のBSフジプライムニュース『アベノミクスと憲法観 公示直前…与野党激論』(前編後編)で、以下のような話が反町さんから出たと聞きました。
『参院選の自民党公約集の一番最後に、「一つの都道府県から必ず一人の議員が選出できるように、憲法を改正する」と書かれている。』
前編の18分あたりから見ることができます。

今まで聞いたことがなかったので、取りあえずは自民党のホームページで探してみました。
なかなか見つかりませんでしたが、やっと政策パンフレット2016に辿り着きました。
15ページから26ページまで、各ページ横書き3段組でびっしりと文章が続いています。そしてその最終26ページの一番最後に、問題の文章が記述されています。

V.国の基本
・・・
参議院選挙制度改革
都道府県が、歴史的にも文化的にも政治的にも意義と実態を有している中で、二院制における参議院のあり方、役割を踏まえ、参議院の選挙制度については、都道府県から少なくとも一人が選出されることを前提として、憲法改正を含めそのあり方を検討します。

国民合意の上に憲法改正
わが党は、結党以来、自主憲法の制定を党是に挙げています。・・・
・・・
そこで、参議院・衆議院の憲法審査会における議論を進め、各党との連携を図り、あわせて国民の合意形成に努め、憲法改正を目指します。』

まず、対象になっているのは参議院だけでした。
「一票の格差」を是正しようとすると、人口の少ない県においては、2つの県で一人の当選枠とならざるをえないところが出てきます。それは当然のことで、やむを得ないものと理解していました。しかし自民党内では、これに待ったをかける勢力がいるのですね。しかし、1県から1人の当選枠を確保しようとすると、一票の格差が拡大したままとなり、憲法の規定に合致しません。そこで憲法を変えてしまおうというわけですか。
これを「憲法改正」というのでしょうか。一票の格差はなくすべきであり、格差を是認する改変というのは「憲法改悪」にあたるものと思われます。
自民党公約の中で言っている
『都道府県が、歴史的にも文化的にも政治的にも意義と実態を有している』がそんなに大事とは思えませんし、
『二院制における参議院のあり方、役割』を踏まえたとしても、「1県に一人の当選枠」が必要との結論には至りそうもありません。

どうしても1県から一人を当選させたいのであれば、議院における各議員の議決権に重み付けをする、ということまで必要になってくるでしょう。有権者数の少ない選挙区で当選した議員は、議院本会議での議決権が0.5しか与えられない、といったような方向です。

大事な話と思いますが、私は今まで知りませんでした。少なくともマスコミにおいて大きく取り上げられてはいなさそうです。新聞各紙、テレビ各局は、もっと大きな声でこの件を報道してよろしいのではないでしょうか。今までは舛添劇場で手一杯だったでしょうが、それももう終わりました。

ネットニュースを検索する限りでは、以下のような記事しか見つかりませんでした。
参院「都道府県代表」に=自民、改憲草案に追加
『自民党憲法改正推進本部(船田元本部長)は2日午前の会合で、参院議員を都道府県の代表者として位置付ける条文を党の憲法改正草案に追加することを決めた。参院選挙区の「1票の格差」を是正する選挙制度改革をめぐり、複数の都道府県を一つの選挙区とする「合区」に慎重論が多い参院側の主張を反映させた。(時事通信)』
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「炉心溶融、使うな」東電社長が指示

2016-06-17 21:26:18 | サイエンス・パソコン
<福島原発事故>「炉心溶融、使うな」東電社長が指示 ◇第三者委が報告書
毎日新聞 6月16日(木)20時33分配信
『東京電力福島第1原発事故で、核燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」の公表が遅れた問題で、東電の第三者検証委員会(委員長・田中康久弁護士)は16日、清水正孝社長(当時)が「炉心溶融」の言葉を使わないよう指示したとする報告書をまとめ、東電に提出した。指示は電話などで広く社内で共有していたと認定。首相官邸の関与については「炉心溶融に慎重な対応をするように要請を受けたと(清水氏が)理解していたと推定される」と指摘した。
・・・
清水氏の記憶はあいまいで、第三者委は当時の官邸にいた政治家には聞き取りを実施しておらず、「官邸の誰から具体的にどんな指示、要請を受けたかを解明するに至らなかった」としている。
東電は今年3月に弁護士3人による第三者委を設置し、経緯や原因を調査。事故対応に関わった社員約60人からヒアリングした。』

報告書の内容を、当時の時系列で並べ直すと以下のとおりです。
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2011年3月13日午後2時ごろ、清水氏らは官邸で菅直人首相、枝野幸男官房長官(ともに当時)らと会談。清水氏がその後、報道発表については事前に官邸の了解を得るように幹部に指示していた経緯があった。

14日午後8時40分ごろ、清水氏は記者会見していた武藤栄副社長(当時)に対し、社員を経由して「炉心溶融」などと記載された手書きのメモを渡し、「官邸からの指示により、これとこの言葉は使わないように」と耳打ちした。
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この内容は、当時、原子力安全保安院の記者会見をずっとフォローしてきた私の印象と合致しています。

このブログで今年2月、「炉心溶融の判定基準発見」として記事にしました。以下のとおりです。
2011年3月12日午後2時、原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官は、福島第一原発1号機で原子炉の心臓部が損なわれる「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と会見で発表しました。発電所の周辺地域から、燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が検出されたことによります。
ところが、同じ12日、17時から始まった会見で、官邸との協議を終えた中村審議官の口ぶりは重かったのです。
「詳しいことについて、東京電力に確認できていないので何も申し上げられない」「(炉心溶融が起きているか)予断をもったことを申し上げるのは適当ではない」
ある記者は「これまでは今後の可能性も含めて詳しく説明してくれていたのに、まるで別人のようだ。何か官邸に言われたのか」といぶかしんでいました。

以上から、早くも3月12日の14時から17時の間に、原子力安全・保安院に対して官邸は、「炉心溶融とはいうな」ときつく言い渡していたことが目に見えるようです。
ですから、その翌日の13日午後2時に、東電の清水社長(当時)が官邸で会談すれば、官邸から同じことを言われていて当然です。

東電第三者委員会の今回報告を聞いて、当時の菅直人首相、枝野幸男官房長官はともに、「そんなこと言っていない」と憤激しているようですが、すべての証拠は、「そう言っていた」ことを物語っております。
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