弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

シェルター整備に財政支援検討へ

2023-01-28 11:05:34 | 歴史・社会
シェルター整備に財政支援検討へ 政府・与党、有事に備え
2023年1月27日 日経新聞
『【この記事のポイント】
・ミサイルに備えるシェルター、政府・与党が普及策検討
・公共施設、商業ビルなどを想定。設置費や維持費を補助
・有事の避難施設、海外で整備先行。人口上回る収容力も
政府・与党はミサイル攻撃から人命を守るシェルターの普及を促す。設置する企業への財政支援などを2024年度にも打ち出す案を検討する。ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射を受けて有事への備えを急ぐ。』

日本の市街地にミサイルをぶち込みそうな国として、どこが挙げられるでしょうか。
《北朝鮮》
小川和久著「メディアが報じない戦争のリアル」 2022-12-18でも紹介したとおり、
『北朝鮮からの攻撃については、北朝鮮が日本に向けて弾道ミサイルを発射する可能性はほとんどない。日本列島は77箇所の米軍基地を置くアメリカの拠点だから、日本への攻撃があれば、韓国と日本から猛烈な反撃が行われ、北朝鮮は壊滅的な損害を被る。』
ということであり、北朝鮮が理性的である限り日本の市街地にミサイルをぶち込む可能性は極めて低いはずです。北朝鮮が理性を失った場合を想定するのであれば、どこに打ってくるか予想できないので、日本人全体が避難できるだけのシェルターを整備する必要が生じ、極めて非現実的です。
むしろ、日本のすべての原発に、パトリオットミサイルを配備すべきと思います。原発がターゲットになったら、実際にミサイルを撃ち込まれたときの被害が全国に及ぶからです。
また、少なくとも日本海側の原発については、敵特殊部隊の奇襲に備えるため、陸自による防御網を構築すべきでしょう。

《ロシア》
ロシアが日本の市街地にミサイルをぶち込むことを想定して、日本人全体が避難できるだけのシェルターを整備することも、極めて非現実的です。

《中国》
中国も、日本の市街地にミサイルをぶち込む事態はほとんど想定できません。
日本人全体のシェルターの整備より優先すべきは、日本の軍用機のシェルターです。
中国が空自AWACS模型を破壊 2022-07-16でも書いたように、
『中国が新疆ウイグル自治区の砂漠地帯に設置していた航空自衛隊の早期警戒管制機(AWACS)に似た構造物を破壊したことが分かった。日本経済新聞が衛星写真を複数の専門家と分析して確認した。日本を仮想標的とするミサイル攻撃の訓練に使った可能性がある。』
日本の防衛予算を対GDP比で1%から2%に上げたとき、対中国抑止力を確保するために何を充実すべきなのか、その答を、今回中国が直接教えてくれました。
『まずは、航空機、特にAWACS早期空中警戒管制機を守るための掩体壕(バンカー)を建設すべし。もちろんF-35、F-2戦闘機の掩体壕も。』
耐弾性の高い有効な掩体壕が1基100億円もする、というのは驚きですが、対GDP比で予算が1%も増えるのですから、その中で対応可能でしょう。
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車載向け半導体が不足

2023-01-25 18:22:46 | 歴史・社会
半導体不足、車生産なお混乱 レクサス受注制限、納車数年先も トヨタ
2023年1月24日 朝日新聞
『半導体不足が改善しているが、自動車の生産は混乱が続いている。トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」は、多くの車種で販売店からの受注を制限している。新型車も発表しているが、買い手のもとに届くのは数カ月から数年先になる。程度の差はあるものの、他の国内自動車大手にも共通している。』
『(福岡県にあるトヨタ自動車九州の)宮田工場の生産能力は年間43万台。・・・21年度の生産台数は・・・能力の8割程度、22年度はそれをも下回る可能性があるという。・・・半導体の供給が滞ったことが原因だ。』
『半導体は、コロナ禍による巣ごもり需要の高まりに伴い、パソコンやスマホなどの家電製品向けの引き合いが急増。結果として、自動車向けの供給が細ってしまった。
中でも、設備投資が限られる古いタイプの半導体は、需要に供給が追いつかず、入手が難しい。半導体業界関係者によると、今後、生産能力の増加は見込みにくく、「需給の緩和は24年と想定されている」。
東海東京調査センターの杉浦誠司氏は「パソコンやスマホ向けの半導体は昨年末に在庫調整しており、余っている。だが、車載向けは足りていない」と指摘。
「半導体メーカーにとって、車載向けは価格を低く抑えられてもうからなかった。価格引き上げや商慣習の是正を目指して、要求された数を出していない可能性がある」と話す。』

これには驚きました。
一時期、半導体を使用するあらゆる分野で、半導体不足が深刻でした。しかし最近は、特にメモリーの分野では、供給がだぶついており、すでに半導体不況が到来しています。何で車載向けのみが、半導体不足のままなのでしょうか。

車載向けで大量に使われている半導体というと、主にロジック品であると思われます。車載向けのロジック半導体は、主にルネサスが供給しています。ルネサスはずっと、車メーカーからは部品屋とみなされ、車メーカーのコスト切り下げのために、半導体製品の価格切り下げ圧力を受け続けてきました。そのため、収益を上げるためには、ルネサス自身のコストを切り下げざるを得ず、国内生産に関してはリストラにリストラを重ねて国内工場を閉鎖し、台湾のTSMCに生産委託して、やっと倒産せずに生きながらえてきました。リストラの過程では多くの優秀な技術者が職を失ったことでしょう。国内生産は40nmレベルまでとした結果、それよりも微細加工の製品については日本国内で生産することができません。TSMC熊本がやっと20nm品生産を開始しますが・・・。
半導体不足に見舞われて判明したように、自動車工業にとって、半導体部品は死命を制する重要部品です。今までのようにルネサスをコストカットでいじめるのではなく、体力があり開発力を有する会社に育てていくべきでしょう。

しかしルネサスも、『価格引き上げや商慣習の是正を目指して、要求された数を出していない可能性がある』がもし本当だとしたら、大人げない対応ですね。
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米軍海兵隊の海兵沿岸連隊(MLR)とは

2023-01-18 18:05:08 | 歴史・社会
日米、南西防衛の強化鮮明 説明は二の次、深める協力
2023年1月17日 朝日新聞
『米ワシントンで開かれた日米首脳会談と日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、台頭する中国に対抗するため、日本の南西地域の防衛力強化を進める姿勢がいっそう鮮明に打ち出された。情報収集や部隊の改編、施設整備など幅広い分野で協力を深める。一方で、国民への十分な説明は後回しとなっている。』
『米国政府は沖縄の海兵隊を25年までに改編し、離島防衛に即応する「海兵沿岸連隊(MLR)を設けると表明。防衛省は「MLR」は対艦ミサイルを備え、より強靱で機動的な体制になる」と説明する。
横浜市の米軍施設「横浜ノースドック」には今春、小型揚陸艇部隊を新たに置く。南西諸島などに迅速に部隊や物資を運ぶことを目的とする。』

上記記事によると、米軍の「海兵沿岸連隊(MLR)」は、離島そのものを敵から防衛する目的であるように聞こえます。
しかし、私が知る限りでは、米軍海兵隊は、部隊の小規模・分散展開を中心とする新たな運用指針「遠征前方基地作戦」(EABO)に基づいて作戦を展開する、と理解しています(アメリカ海兵隊の変容と日本 2022-10-30)。離島に展開した小規模な海兵隊は、その島を固守するのではなく、島から島へと転々と移動して敵の攻撃を避けながら、敵艦船を攻撃することを主目的とするはずです。決して、固守する離島そのものを敵から防衛する目的ではありません。

そこで、「海兵沿岸連隊」「MLR」「EABO」で検索したところ、以下のサイトが見つかりました。
在日米軍の態勢の最適化について 令和5年1月 防衛省・外務省
--テキストにすると以下のような内容です------
➢ 厳しさを増す安全保障環境に対応するため、日本における米軍の戦力態勢を、より多面的な能力を有し、より強靱で、より機動的なものに強化する必要。
➡ 日米両国は、沖縄を含む地元の負担に対しても最大限配慮しつつ、米軍の態勢の最適化に向けた取組を進めることで一致。

《沖縄》
➢ 現行の米軍再編計画を再調整
・第3海兵師団司令部及び第12海兵連隊を沖縄に残留
・同連隊を2025年までに第12海兵沿岸連隊(MLR)に改編
※MLR:Marine Littoral Regiment

《海兵沿岸連隊(MLR)》
➢海兵沿岸連隊(MLR)は、米海兵隊の新たな運用構想(EABO)を実行する中核となる部隊。
※対艦ミサイル部隊も含む歩兵部隊である沿岸戦闘チーム、対空ミサイルを有する沿岸防空大隊、独立した持続的な活動を可能とする沿岸後方大隊からなる部隊。
⇒より多面的な能力を有し、より強靱で、より機動的な態勢に。

EABO(機動展開前進基地作戦):事態発生前から部隊を分散展開。展開した部隊は、防空、機動・分散等の能力により、敵の攻撃から残存。また、情報収集しつつ、対艦ミサイルで敵の行動を制約するとともに、海軍・空軍を中心とする作戦を支援

従来の第12海兵連隊(砲兵)が、155mm榴弾砲 HIMARSを主装備としていたのに対し、
改編後の第12海兵沿岸連隊(MLR)の構成(イメージ)は、対艦ミサイル、低高度防空システムを主装備とした、沿岸戦闘チーム(歩兵大隊ベース)、沿岸防空大隊、沿岸後方大隊の構成となる。

《横浜ノース・ドックにおける米軍の小型揚陸艇部隊の新編について》
1.概要
◼ 令和5年春頃、横浜ノース・ドックに米陸軍が小型揚陸艇部隊を新編予定(13隻及び約280名の編成)
2.意義
◼ 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、南西諸島を含む所要の場所に迅速に部隊・物資を展開可能
◼ 小型揚陸艇の特徴:
・ ヘリや輸送機と比較して大量の物資の輸送可能
・ 港湾がない場所や港湾が破壊された場所でも接岸可能

(参考)陸上自衛隊も導入中
⇒陸上自衛隊も輸送力強化のため同種の輸送船舶を導入中
※海上輸送力の強化は、自衛隊にとっても重要な課題
《写真》陸上自衛隊で導入予定の小型級船舶(イメージ)
--以上-----------------

防衛省と外務省の上記の記事から、全体が見えてきました。
やはり、海兵沿岸連隊(MLR)は、米海兵隊の新たな運用構想(EABO)を実行する中核となる部隊なのでした。
海兵隊は敵の攻撃を阻止するため、中国のミサイル、航空機、海軍の兵器の攻撃可能範囲内で戦う部隊(Stand-in Forces)になります。海軍前方展開部隊は、米海軍の作戦を支援するために、小規模なチームに分散し、揚陸艇などで南シナ海や東シナ海に点在する離島や沿岸部に上陸し、前方展開前線基地(EAB: Expeditionary Advanced Bases)を設定します。
敵の反撃を避けるため、海兵隊は遠隔操縦できる新世代の水陸両用艇を駆使し、48~72 時間ごとに島から島へと移動します。

今まで私は、島から島へと迅速に移動するための手段が見えませんでした。今回、上記記事で「横浜ノース・ドックにおける米軍の小型揚陸艇部隊の新編」がなされることがわかりました。この小型揚陸艇が、離島から離島への迅速な移動の主な手段になりそうです。

そしていよいよ、在沖縄米軍海兵隊は、その役割・構成を一変することになりそうです。
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山下進著「アルツハイマー征服」から

2023-01-10 08:02:25 | 歴史・社会
先日、鈴木蘭美さん~エーザイ~バイオジェン 2023-01-09で記事にしたように、アルツハイマー病治療薬で大きな発表がありました。
米当局、アルツハイマー薬を承認 エーザイとバイオジェンが開発
2023年1月7日5:52 ロイター
『米食品医薬品局(FDA)は6日、エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を承認した。早期アルツハイマー病の患者が使用対象となる。
エーザイによると、1月23日の週までに発売する。価格は年間2万6500ドルに設定される見通し。
レカネマブは脳にたまった「アミロイドβ(ベータ)」と呼ばれる異常なたんぱく質を減らし、病気の進行を遅らせる。
今回は「迅速承認」と呼ばれる特例で、レカネマブを使った療法をより早く提供するための措置。
・・・
米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」の適用制限などから、当初はレカネマブを使用できる患者は限られる見通し。
FDAの完全な承認が下りれば保険適用を拡大するとした。
エーザイとバイオジェンは7日、エーザイがFDAの完全承認を申請したと発表した。』

その後、エーザイ、バイオジェンとアルツハイマー病治療薬について、以下の本を購入して読んでみました。
下山 進 (著)アルツハイマー征服
 山下進
本の中では、以下の状況が書かれていました。
イギリスの医薬ベンチャーキャピタルからエーザイに2004年4月に入社した鈴木蘭美さんは、事業開発部で仕事を始めていました。その鈴木さんが2013年から取り組んだのが認知症分野での導入でした。エーザイはその時点で、E2609、のちにエレンベセスタットという名前がつけられる低分子のベース阻害剤を持っていました。もうひとつ、BAN2401というスウェーデンの医療ベンチャーから導入した抗体薬を持っていました。しかし、当時エーザイはアリセプトの特許が切れたあとで経営が厳しく、この2薬を単独で治験を行うことは不可能でした。当時、アルツハイマー病新薬の治験には、1薬あたり2千億円~3千億円が必要となっていました。
鈴木さんは提携先を3社に絞り、交渉を行っていました。その中にバイオジェンがありました。バイオジェンは、フェーズ2に進んでいる「自然抗体」のBIIB037、後のアデュカヌマブがありました。
2014年3月5日、エーザイとバイオジェンは契約の締結にいたりました。エーザイ側からは、ベース阻害剤のE2609(エレンベセスタット)とBAN2401、バイオジェン側からは抗体薬BIIB037(アデュカヌマブ)とタウ抗体薬を出します。
アデュカヌマブのフェーズ2の結果は、2016年8月のネイチャーに発表。バイオジェンとエーザイは、被験者総数3210人という空前の規模の治験を(エレンベセスタットとともに)2本同時進行で進めることになります。
2019年3月、アデュカヌマブのフェーズ3「中間解析」で、治験効果がない、という結果が出ました。治験は中止です。1万円を超えていたエーザイの株価は、5千円台まで下落しました。
しかし大逆転があります。「中間解析」は、2018年12月までの18ヶ月の治験を終えたデータを元に行われました。その後、治験が中止になる19年3月までの間にも治験が行われていました。そしてそのデータを追加したところ、治験の大きな二つのグループのうちの一つでは効果が認められたのです。2019年10月に、「新たな解析結果に基づき、新薬承認申請を予定」と発表しました。
2020年8月、米国のFDAはバイオジェンに対してアデュカヌマブに関して優先審査をとることを通知しました。薬が承認されるサインだと捉えて、バイオジェンとエーザイの株価は急騰しました。しかし、FDAは外部の委員による諮問委員会を設け、諮問委員会は否定的な結論を出しました。

以上が、「アルツハイマー征服」で述べられた経緯です。
その後の経緯は、・・・
2021年6月、FDAはアデュカヌマブをアルツハイマー病型認知症の新薬として条件付き承認したと発表しました。このニュースは、驚きと不安をもって迎えられ、先述の諮問委員会のメンバー数人は、FDAの決定に抗議する形で辞任を表明しました。
日本では、2021年12月に厚生労働省は、アルツハイマー病治療薬としてのアデュカヌマブの承認を見送り、継続審議する決定を下したと報じられました。

そして今回の、レカネマブについての報道です。
調べたところ、エーザイがバイオジェンと提携する前から研究していたBAN2401こそ、今回のレカネマブだったのです。

エーザイとバイオジェンは、提携することでいずれも保険をかけていました。エーザイは、バイオジェンのアデュカヌマブを保険とし、バイオジェンはエーザイのレカネマブを保険としました。結局この提携で、利益を得たのはエーザイではなくバイオジェンだったようです。しかし、エーザイはどこかと提携していなければ今回の成功まで至っていなかった可能性もあるので、エーザイにとって損ではなかったことでしょう。

ネットで検索すると、2021年7月にエーザイとバイオジェンが発表した以下の記事が見つかりました。
Lecanemab(BAN2401)の臨床効果についてアルツハイマー病協会国際会議2021のLate Breakingとして発表
2021年7月30日
エーザイ株式会社
バイオジェン・インク
『Lecanemabについては、現在、臨床第Ⅲ相試験が進行中であり、2021年3月に1,795人の早期アルツハイマー病の被験者登録を完了し、2022年9月末までにPrimary endpointの取得をめざしています。また、プレクリニカルAD当事者様における効果を検証する臨床第Ⅲ相試験AHEAD 3-45試験が進行中です。』
『1. Lecanemab(開発コード: BAN2401)について
 Lecanemabは、BioArctic AB(本社:スウェーデン)とエーザイの共同研究から得られた、可溶性のAβ凝集体(プロトフィブリル)に対するヒト化モノクローナル抗体です。・・・
2014年3月に、エーザイとバイオジェンはlecanemabに関する共同開発・共同販促に関する契約を締結し、2017年10月に内容の一部変更契約を締結しています。

2. エーザイとバイオジェンによるアルツハイマー病領域の提携内容について
 エーザイとバイオジェンは、アルツハイマー病治療剤の共同開発・共同販売にする提携を行っています。lecanemabについては、エーザイ主導のもとで共同開発を行い、抗Aβ抗体であるアデュカヌマブについては、バイオジェン主導のもとで共同開発を行います。

3. エーザイとバイオアークティックによるアルツハイマー病領域の提携について
 2005年以来、バイオアークティックはAD治療薬の開発と商品化に関してエーザイと長期的な協力関係を築いてきました。2007年12月にlecanemabの商品化契約を締結し、2015年5月にAD用抗体lecanemabバックアップの開発・商品化契約を締結しました。エーザイは、AD向け製品の臨床開発、市場承認申請、商品化を担当しています。 』
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鈴木蘭美さん~エーザイ~バイオジェン

2023-01-09 10:29:42 | 歴史・社会
米当局、アルツハイマー薬を承認 エーザイとバイオジェンが開発
2023年1月7日5:52 ロイター
『米食品医薬品局(FDA)は6日、エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を承認した。早期アルツハイマー病の患者が使用対象となる。
エーザイによると、1月23日の週までに発売する。価格は年間2万6500ドルに設定される見通し。
レカネマブは脳にたまった「アミロイドβ(ベータ)」と呼ばれる異常なたんぱく質を減らし、病気の進行を遅らせる。
今回は「迅速承認」と呼ばれる特例で、レカネマブを使った療法をより早く提供するための措置。
・・・
米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」の適用制限などから、当初はレカネマブを使用できる患者は限られる見通し。
FDAの完全な承認が下りれば保険適用を拡大するとした。
エーザイとバイオジェンは7日、エーザイがFDAの完全承認を申請したと発表した。』
アルツハイマー病の治療薬について、大きな進展がありました。
エーザイと米バイオジェンとの共同開発の結果です。
この両社のアルツハイマー病治療薬開発では、以前、アデュカヌマブで注目を集めましたが、結局うまくいきませんでした。今回のレカネマブは完成度が高まり、米国での迅速承認まで到達しました。
発表は三連休に入る直前でした。三連休が終わる1月10日のエーザイ株価が楽しみです。

私は以前、モデルナジャパン社長・鈴木蘭美さん 2022-04-25にて、日経新聞夕刊のシリーズ記事「人間発見」、4月18日~22日をもとに、鈴木蘭美さんとエーザイ、バイオジェンの関係について述べたことがあります。
『製薬会社は負担を他社と分け合っておらず、すべて自社でまかなうビジネスモデルに固執していました。そんな中、米企業と連携し、6つの化合物について、11の適応症を開発したので、かなり周りには驚かれました。』
『認知症治療薬の開発も、開発を進めていた米バイオジェン社と共同で行うことにしました。』
『アルツハイマー型認知症の新薬登場が長年滞っていたなか、先頭を走って承認を得たことで、この領域に挑戦する研究者たちを勇気づけることができたと、誇りに思っています。』

このとき以来、エーザイとバイオジェンの共同開発について、鈴木蘭美さんがどのように関わっていたのか、興味を持っていました。
今回のレカネマブの発表を契機に、もう一度ネットで調べて見ました。
がん・認知症完治、ライフワークに 鈴木蘭美さん
エーザイ執行役(キャリアの扉)
2017/1/29 日経新聞
『「私はがんを完治するために生まれてきた」。こう確信したのは、英国の大学の学生のころ。友人が2人、がんを患い1人が亡くなった。専攻を医学に変え、ロンドンの大学で乳がんを研究し博士号を取得した。』
『大学院修了後、ロンドンのベンチャーキャピタルに就職。・・・「患者に薬が届くところまでしっかり見届けたい」との思いからエーザイに転職した。
アルツハイマー型認知症の治療薬では、自らが旗振り役となって米バイオジェン・アイデックと共同開発を推し進めた。認知症は患者の人格に大きく影響し、家族にも負担がかかる病。開発が成功すれば社会に与える影響は大きい。
2016年に執行役に就任。』
〔日本経済新聞朝刊2017年1月28日付〕

この記事で見る限り、やはり、エーザイがバイオジェンと組んでアルツハイマー病治療薬の開発を手掛けた背景には、鈴木蘭美さんの力が大きく働いていたようです。もう少し調べて見ることにします。
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