弁理士の日々

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STAP問題改革委員会提言書

2014-06-15 08:25:18 | サイエンス・パソコン
STAP問題について私は、以下のように記事にしてきました。

3月16日-理研は一体どうなっている?
4月1日-小保方事件・理研最終報告
4月11日-小保方氏記者会見
4月16日-理研の監督責任
4月19日-実験ノート

最初の頃より今まで、私の最大の疑念は、
--実績のない若い研究者に全責任を押しつけ、理研はどんなつもりなのか?--
ということでした。

6月12日、理研が設けた「研究不正再発防止のための改革委員会(委員長 岸輝雄氏)」が、「研究不正再発防止のための提言書」を公表しました。理研の研究論文(STAP細胞)に関する情報等についてページで見ることができます。
全32ページの大部であり、ざっと目を通しただけですが、私の上記疑問にダイレクトに答えてくれるものでした。

『4 STAP問題の背景には、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDB(発生・再生科学総合研究センター)の組織としての構造的な欠陥があった
STAP問題の背景は、その組織体制に由来するものでもあった。
小保方氏のRUL(研究ユニットリーダー)への採用過程においては、竹市雅俊センター長、西川伸一副センター長(当時)、相澤慎一副センター長(当時)を始めとする人事委員会メンバーはSTAP細胞の研究成果獲得を第一義とするあまり、客観的資料を基に本人の資質と研究内容を精査する通常の採用プロセスの手順を、悉く省略した。小保方氏がPI(研究室主宰者)として率いる研究ユニットは、国立大学法人大学院においては准教授クラスが運営する研究部門(講座)に匹敵するのであり、そのようなハイレベルの研究ユニットを運営するPIとしてのスタンダード域に達していない研究者を職権により杜撰なプロセスを以て採用した、竹市センター長をはじめとする理研CDBのトップ層の責任は極めて重いと言わざるをえない。
またCDBの運営にあたるGD(グループディレクター)会議は、STAP研究の秘密保持を最優先とする方針を容認し、結果としてSTAP研究について多くの研究者による研究内容の評価の機会が失われた。
さらに、CDBにおいてはデータの記録・管理の実行は研究者任せであり、CDBの組織全体としての取り組みはほとんどなかった。
これらSTAP問題の背景にある原因は、いずれもCDBが許容し、その組織体制に由来するものでもあった。言い換えれば、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDBの組織としての構造的な欠陥があり、これを背景にSTAP問題が生じた、と言わなければならない。』11ページ

『竹市センター長、笹井GD(当時。現CDB副センター長)をはじめ小保方氏の採用を決めた人事委員会のメンバーは、・・・小保方氏は研究者としてのトレーニングが不足している、と認識していた(竹市センター長の本委員会での証言)。・・・
そこで竹市センター長は、笹井GD、丹羽プロジェクトリーダー(PL)を小保方氏の助言担当(メンター)に指名すると共に、STAP研究の成果を記した論文がNature誌に採択されるよう、論文の作成指導を笹井氏に依頼した。』7ページ
『笹井GDは共著者であることに加え、小保方氏が研究者としてのトレーニングが不足していることを十分認識しており、かつ、小保方氏のメンターでもあったのであるから、データの慎重なチェックを行うことがむしろ通常であり、かつそうすべき職責を負っていたというべきであった。「(ノートを持ってきて見せなさい、というような)ぶしつけな依頼をすることが難しい」としてその職責を回避できるような問題ではなかったというべきである。』8ページ

今まで散見していた事実から予測されるとおりの展開となっています。
竹市センター長、笹井副センター長、西川・相澤両特別顧問が厳しく断罪されるべきはそのとおりでしょう。
提言書ではさらに、「発生・再生科学総合研究センターを解体すべき」とまで提言しています。

ところで、今回断罪された竹市センター長、笹井副センター長、西川特別顧問は、いずれも京都大学を母体とする学者です。相澤特別顧問の学歴はわかりませんでした。
一方、理研を断罪した改革委員会のメンバーは以下の人たちです。

委員長 岸輝雄 東京大学 名誉教授
委員長代理 間島進吾 中央大学商学部 教授、公認会計士
委員 市川家國 信州大学医学部 特任教授
   塩見美喜子 東京大学大学院理学系研究科 教授
   竹岡八重子 光和総合法律事務所 弁護士
   中村征樹 大阪大学全学教育推進機構 准教授

気になるのは、改革委員会メンバーに京大を母体とする生物系の学者がいないことです。塩見美喜子氏は京大の博士出身で現東大教授ですが。
理研の生物系の研究機関については、東大閥と京大閥との学閥争いがあり、京大閥がその争いを制して優位にあるということです。今回のCDB幹部が軒並み京大を母体とする人たちであることからもうなずけます。CDBが神戸に立地されたことも京大優位に由来するとのことです。
そうであれば、改革委員会にも京大系の学者を入れておいた方がよかったでしょう。そうでないと、「STAP問題を奇貨として、東大閥が京大閥を追い落とす反撃に出た」と邪推されかねません。
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