政府は11月20日にデフレ宣言を出しましたが、デフレ対策には触れずじまいです。一方の日銀はどこ吹く風で、自分からは何ら動き出そうとしません。そうこうするうちに、円高は進み、日経平均株価は泥沼のように下がり続けました。政府は日銀とどのような連繋をしようとしているのか。デフレ対策と円高対策のため、日銀は量的緩和政策に打って出ないのか。こちらでも、デフレ克服のためにどうすべきか、再びデフレについて、デフレ対策・もう一つで話題にしました。
日銀の発言を聞いていると、学会発表を聞いているようです。日銀は今やれることは実施済みで、新たな対応で有効な対応はもうない、という説明に終始しています。
この時点で必要なのは、「さらにここまで対策を打つ」という決意の表明とメッセージで市場を安心させることではないでしょうか。
11月29日の日曜に、鳩山首相は政権の主要メンバーを集めて協議しました。協議後に直ちに記者会見で対策を発表すべきシチュエーションですが、「具体的な対策はこれから考える」という状況です。鳩山首相が日銀総裁と会合するのは、当初12月1日といっていましたが、2日に延びたようです。
一方、日銀の白川総裁も30日に発言しました。
デフレ克服に最大限努力=必要なら迅速・果敢に行動-日銀総裁
11月30日13時1分配信 時事通信
『日銀の白川方明総裁は30日、名古屋市で講演し、デフレ問題への対応について、「日銀は必要と判断される場合には、迅速・果敢に行動する態勢を常に整えている」と強調。その上で、「金融緩和と金融市場の安定確保の両面で、デフレ克服のために最大限の努力を行う」と述べ、金融政策面からも全力で対応する方針を示した。
白川総裁は、政府が11月の月例経済報告で示した「緩やかなデフレ状況にある」との見解に関し、「日銀の物価に関する判断は政府見解と同じ」と言明。その上で、日本経済を支えるために緩和的な金融環境を維持する方針を「堅持している」と改めて強調した。
また、物価の先行きに関して、経済の持ち直しのテンポが緩やかにとどまる場合、「物価の下落圧力もある程度長期間残る可能性が大きい」との認識を示した。』
「日銀の見解は政府見解と乖離していない」「日銀もやるときはやるよ」という情報発信ですが、「もう既に必要な対策は済んでいる」とも読め、新たなデフレ対策・円高対策は行わないようにも聞こえます。
この点に関して市場はどのように見ているのでしょうか。
海外勢注目の「政治リスク」、政府・日銀の連携に疑問符
11月30日13時44分配信 ロイター
『[東京 30日 ロイター] 円高と一段のデフレ懸念が急速に広がる中で、政府と日銀が連携して政策に対応できるのか、疑問視する声が出ている。
海外勢の間では、日本の政治リスクが高まっている、との声が出ており、円高/株安の連鎖が一服している間に早急な対応を示すことができなければ、世界的にリスク志向が回復したときに日本が再度取り残される可能性は高い、という。』
『日銀の対応策については、「日銀はデフレに対応する姿勢を示した。量的緩和やデフレ対応としての為替介入を連想させるが、このコメントでは現在の政策を継続するのか、新たな対応に踏み込むかどうか判断しにくい。為替市場ではストレートな反応は出ていない」(大手銀行)という。
鳩山首相と白川日銀総裁との会談について、市場では、政府がデフレ対応としての一段の金融緩和や国債買い入れ、企業金融対策などを要請するとみる声が多い。平野官房長官は会談について「量的緩和するかどうかを含めての意見交換と理解している」と語った。
ステート・ストリート銀行金融市場部長、富田公彦氏は「日銀はデフレの要因は需要の弱さで、マネーの蛇口を大きくしても効果はないとの立場。金融政策にできることはないと表明するとみており、政府・日銀の足並みが乱れそうだ」とみている。
ある外銀筋は「海外では日本が考えている以上に、政府と日銀の連携プレーに対する危機意識が強い。これは政治リスクだ。このままでは、リスク志向が回復した後も、取り残されている日本株が立ち直れない可能性がある」と話している。
円債市場でも、日銀が先手を打って動くという見方は少ない。
みずほ証券・チーフマーケットアナリスト、三浦哲也氏は「金融危機、もしくは不安な場合は、なんらかの措置をとる可能性が高いが、今の段階では、すぐに日銀の方から動き出すということはなく、マーケットから催促されて動くという感じだ」と話している。ニッセイ基礎研究所・主任研究員の徳島勝幸氏も「(きょうの)白川総裁のコメントは、基本的にはこれまでの日銀のスタンスと変わっていないという印象だ。昔でいえば量的緩和政策のような非伝統的な措置を行うのはなるべく回避したいというのが本音で、日銀はしばらく前からその姿勢をしっかりと維持している」という。』
市場が抱いている懸念は、われわれ素人が抱いている懸念と同様であるようです。
日銀が行う量的緩和が理論的に確実に効果を出すのか否かは今の段階では問わず、「強い決意で量的緩和に踏み切る」という日銀の意思表示が必要なように思います。
もしそれができず、日銀総裁が相も変わらず学者が解説するような発言しかしないのであれば、2年前、当時の民主党は日銀総裁選びを誤った、ということになるでしょう。
11月30日、日経平均株価は前日比264円高、外為は1ドル86円台です。しかし、この状態で「小康状態に入ってほっとした」などと考えてほしくないです。日経平均が9345円というのは安すぎますし、1ドル86円も高すぎます。政府と日銀には不退転の決意を望みます。
日銀の発言を聞いていると、学会発表を聞いているようです。日銀は今やれることは実施済みで、新たな対応で有効な対応はもうない、という説明に終始しています。
この時点で必要なのは、「さらにここまで対策を打つ」という決意の表明とメッセージで市場を安心させることではないでしょうか。
11月29日の日曜に、鳩山首相は政権の主要メンバーを集めて協議しました。協議後に直ちに記者会見で対策を発表すべきシチュエーションですが、「具体的な対策はこれから考える」という状況です。鳩山首相が日銀総裁と会合するのは、当初12月1日といっていましたが、2日に延びたようです。
一方、日銀の白川総裁も30日に発言しました。
デフレ克服に最大限努力=必要なら迅速・果敢に行動-日銀総裁
11月30日13時1分配信 時事通信
『日銀の白川方明総裁は30日、名古屋市で講演し、デフレ問題への対応について、「日銀は必要と判断される場合には、迅速・果敢に行動する態勢を常に整えている」と強調。その上で、「金融緩和と金融市場の安定確保の両面で、デフレ克服のために最大限の努力を行う」と述べ、金融政策面からも全力で対応する方針を示した。
白川総裁は、政府が11月の月例経済報告で示した「緩やかなデフレ状況にある」との見解に関し、「日銀の物価に関する判断は政府見解と同じ」と言明。その上で、日本経済を支えるために緩和的な金融環境を維持する方針を「堅持している」と改めて強調した。
また、物価の先行きに関して、経済の持ち直しのテンポが緩やかにとどまる場合、「物価の下落圧力もある程度長期間残る可能性が大きい」との認識を示した。』
「日銀の見解は政府見解と乖離していない」「日銀もやるときはやるよ」という情報発信ですが、「もう既に必要な対策は済んでいる」とも読め、新たなデフレ対策・円高対策は行わないようにも聞こえます。
この点に関して市場はどのように見ているのでしょうか。
海外勢注目の「政治リスク」、政府・日銀の連携に疑問符
11月30日13時44分配信 ロイター
『[東京 30日 ロイター] 円高と一段のデフレ懸念が急速に広がる中で、政府と日銀が連携して政策に対応できるのか、疑問視する声が出ている。
海外勢の間では、日本の政治リスクが高まっている、との声が出ており、円高/株安の連鎖が一服している間に早急な対応を示すことができなければ、世界的にリスク志向が回復したときに日本が再度取り残される可能性は高い、という。』
『日銀の対応策については、「日銀はデフレに対応する姿勢を示した。量的緩和やデフレ対応としての為替介入を連想させるが、このコメントでは現在の政策を継続するのか、新たな対応に踏み込むかどうか判断しにくい。為替市場ではストレートな反応は出ていない」(大手銀行)という。
鳩山首相と白川日銀総裁との会談について、市場では、政府がデフレ対応としての一段の金融緩和や国債買い入れ、企業金融対策などを要請するとみる声が多い。平野官房長官は会談について「量的緩和するかどうかを含めての意見交換と理解している」と語った。
ステート・ストリート銀行金融市場部長、富田公彦氏は「日銀はデフレの要因は需要の弱さで、マネーの蛇口を大きくしても効果はないとの立場。金融政策にできることはないと表明するとみており、政府・日銀の足並みが乱れそうだ」とみている。
ある外銀筋は「海外では日本が考えている以上に、政府と日銀の連携プレーに対する危機意識が強い。これは政治リスクだ。このままでは、リスク志向が回復した後も、取り残されている日本株が立ち直れない可能性がある」と話している。
円債市場でも、日銀が先手を打って動くという見方は少ない。
みずほ証券・チーフマーケットアナリスト、三浦哲也氏は「金融危機、もしくは不安な場合は、なんらかの措置をとる可能性が高いが、今の段階では、すぐに日銀の方から動き出すということはなく、マーケットから催促されて動くという感じだ」と話している。ニッセイ基礎研究所・主任研究員の徳島勝幸氏も「(きょうの)白川総裁のコメントは、基本的にはこれまでの日銀のスタンスと変わっていないという印象だ。昔でいえば量的緩和政策のような非伝統的な措置を行うのはなるべく回避したいというのが本音で、日銀はしばらく前からその姿勢をしっかりと維持している」という。』
市場が抱いている懸念は、われわれ素人が抱いている懸念と同様であるようです。
日銀が行う量的緩和が理論的に確実に効果を出すのか否かは今の段階では問わず、「強い決意で量的緩和に踏み切る」という日銀の意思表示が必要なように思います。
もしそれができず、日銀総裁が相も変わらず学者が解説するような発言しかしないのであれば、2年前、当時の民主党は日銀総裁選びを誤った、ということになるでしょう。
11月30日、日経平均株価は前日比264円高、外為は1ドル86円台です。しかし、この状態で「小康状態に入ってほっとした」などと考えてほしくないです。日経平均が9345円というのは安すぎますし、1ドル86円も高すぎます。政府と日銀には不退転の決意を望みます。