弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

日銀白川総裁が攻勢に出たらおもしろいことになる

2012-12-31 13:49:36 | 歴史・社会
現代ビジネス記事「古賀茂明 『安倍政権発足 何を期待すればいいのか』ほか―古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンより抜粋(2ページ)」で古賀氏は、
『白川日銀総裁、反撃せよ』
として提案を行っています。
『日銀が諸外国並みの金融政策緩和を行うこと自体は結構なことなのだが、問題は、先週のメルマガで指摘したとおり、アベノミクスが単なる野放図なバラマキ政策に終わる可能性があることだ。』
『白川方明(しらかわ・まさあき)総裁は来年4月に任期切れだ。もうクビになるのだから、何も怖いものはない。そこで、最後に、国民に対して、日銀マンとして少しは骨のあるところを見せてくれてもいいのではないか。・・・・・・(略)』

現代ビジネスでは、大事な提案部分が(略)になってしまいました。そこで、メールマガジンから、具体的な古賀氏の提案を拾っておきます。

日銀は政策協定にむしろ積極的に対応し、政策協定の内容を公開で提案し、安倍総理との公開討論を呼びかけるようにとのことです。日銀が思い切った金融政策を行うのと同時に、政府に大胆な構造改革の実施を迫るのです。

例えば、TPP交渉参加の決定、成長分野における規制改革の具体策などを提案するのです。これに政府が応じない時は、政策協定には応じないと先に宣言しておきます。農協改革、医療や農業での株式会社参入解禁、混合診療解禁、電力市場における発送電の完全分離のための所有権分離、八ツ場(やんば)ダム凍結や整備新幹線凍結などの公共事業改革を期限を切って実施する約束をするように求めます。

自民党のバラマキ政策でも紹介したように、安倍政権は参議院選挙まではバラマキだけをやろうと考えているようです。これを阻止して安倍政権に真の成長戦略へと舵を取らせる力が、日銀の白川総裁は持っているというのです。

そうしたところ、12月29日の日経朝刊では、1面トップに日銀白川総裁へのインタビュー記事が掲載されていました。
そのなかで白川総裁は、脱デフレのためには、「民間投資を促す日本経済の成長力の強化が不可欠」とし、新政権に成長戦略の着実な実行を求めました。具体的には、「思い切った規制緩和で企業が挑戦しやすい環境をつくる必要がある」としかほか、高齢者や女性の就業率を高めて就業者の減少に歯止めをかける必要があるとも指摘しました。

白川総裁、単に新聞社のインタビューにおいて発言するのみではなく、政府とのアコード締結に際しては、ぜひ政府に対して、白川総裁が発言した政策の実施を約束させてください。
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外務省ホームページ「世界が報じた日本」

2012-12-29 15:28:28 | 歴史・社会
外務省のホームページに「世界が報じた日本」というページがあります。1週間に1回程度更新され、その1週間に世界の主要新聞・雑誌が日本についてどのように報道しているかをダイジェストしているものです。
トップページ>報道・広報>世界が報じた日本
で行くことができます。

私はこのページを結構閲覧し、諸外国が日本についてどのように報道しているか、チェックのネタとしていました。

ところが、昨日アクセスしたところ、今までの記事がすべて閲覧不可能になっていました。そして、以下のコメントのみが掲載されていました。
『平成24年12月
本ページに掲載していた海外メディアにおける日本関連報道については,リニューアルのため当分の間閉鎖させていただきます。ご迷惑をおかけいたしますが,よろしくお願いいたします。』

一体何があったのでしょうか。
民主党連立政権から自公連立政権に政権交代したことが原因でしょうか。それであれば今までのようなスタンスの報道紹介記事を掲載することをやめてしまうことになりそうです。
それとも単なるリニューアル休止であって、ほどなく再開されるのでしょうか。

自公連立政権の外交・広報スタンスを占う上で、このページの今後の方向が注目されます。
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安倍官邸の陣容が固まった

2012-12-27 21:25:09 | 歴史・社会
第2次安倍政権の官邸の陣容について、わかった範囲で記録しておきます。

総理大臣 安倍晋三
 ├副総理 麻生太郎
 ├官房長官 菅義偉
 │ ├官房副長官(事務)杉田和博(警察庁66年)元危機管理監
 │ │ └官房副長官補
 │ │   ├兼原信克(外務省81年)国際法局長
 │ │   ├佐々木豊成(大蔵省76年)財務省理財局長
 │ │   └桜井修一(防衛庁79年)防衛省運用企画局長
 │ ├官房副長官(政務)加藤勝信(衆院)
 │ └官房副長官(政務)世耕弘成(参院)
 ├政務秘書官 今井尚哉(経産省82年・前エネ庁次長)安倍1次内閣首相秘書官
 └事務秘書官
     ├中江元哉(財務省84年)安倍官房長官秘書官
     ├柳瀬唯夫(経産省84年)麻生政権の首相秘書官、06年の安倍第1次内閣時代に原子力政策課長として原子力政策大綱を策定
     ├鈴木浩(外務省85年) 安倍官房長官秘書官
     ├島田和久(防衛省85年)
     └大石吉彦(警察庁86年)

  内閣官房参与 谷内正太郎 安倍1次内閣で外務事務次官
  内閣官房参与 浜田宏一  エール大学名誉教授
  内閣官房参与 丹呉泰健(やすたけ) 元財務事務次官・小泉総理秘書官
  内閣官房参与 飯島勲   小泉総理秘書官
  内閣官房参与 藤井聰 京大大学院教授
  内閣官房参与 本田悦朗 静岡県立大学教授
  内閣官房参与 宗像紀夫 元名古屋高検検事長

  総理補佐官 木村太郎 衆院
  総理補佐官 礒崎陽輔 参院
  総理補佐官 衛藤晟一 参院
  総理補佐官 長谷川栄一 前東大教授、元内閣広報官(経産省76年)
  総理補佐官 和泉洋人 野田政権で内閣官房参与(建設省76年)

12月19日の記事「前回安倍政権崩壊の轍を踏まないために」では、前回安倍政権の官邸にどのような問題があったのかについて、上杉隆著「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」の記述をベースにして論じました。
さて今回の第2次安倍政権における官邸の布陣は、第1次と比較してどのような特徴を有しているのでしょうか。

《官房長官》
第1次は塩崎恭久氏で、調整能力が待たれる官房長官という役職にあって、政策能力を誇示する人物でした。それに対して今回の菅義偉氏は、安倍総理の女房役には徹することができそうです。全体統制能力はまだわかりませんが。

《官房副長官(事務)》
第1次の的場順三氏は当時72歳、元大蔵官僚ですが当時は大和総研理事長でした。事務担当の官房副長官職は「事務次官の中の事務次官」といわれるように、官僚にとって最高のポストですが、そのポストの人事に安倍総理が手を突っ込んだということで、霞が関全体に対する宣戦布告と受け取られ、霞が関がサボタージュしました。
今回は杉田和博氏71歳、危機管理監を最後に2004年に退官しています。前回の的場氏と同じような問題をかかえているように思いますが、どうなんでしょうか。安倍総理の記者会見のときにぶっ倒れたようですね。
事務副長官に元警察キャリア起用へ」TBS系(JNN) 12月26日(水)9時38分配信では、『関係者によりますと、危機管理に強い内閣にしたいという安倍総裁の強い意向で起用が固まったということです。』と書かれていますが、ちょっと安直に決まっている印象です。

《政務秘書官》
第1次の井上義行氏は総理秘書としてあまりにも非力でした。
今回の今井尚哉氏は、経産官僚の中のエース級を政務秘書官として抜擢したようです。事務次官候補であるという話と、“今回は片道切符で官邸入りした”という話とがあります。本人の覚悟はどうなのでしょうか。

《総理補佐官》
第1次は、小池百合子、根本匠、中山恭子、山谷えり子(小川惠里子)、世耕弘成の5氏が就任し、フールファイブと呼ばれていたようです。補佐官には国会議員は不適との意見もあるようですが、今回も4人のうち3人は国会議員です。

《参与》
谷内正太郎(安倍1次内閣で外務事務次官)、浜田宏一(エール大学名誉教授)、丹呉泰健(元財務事務次官・小泉総理秘書官)、飯島勲(小泉総理秘書官)と、すごい陣容ですね。
谷内氏は、第1次安倍政権を支えた2人の官僚のうちのひとりにカウントされています。今回、尖閣や日米同盟をはじめとして外交が重要と考え、招聘したのでしょう。うまく機能してくれると良いのですが。
浜田氏は、金融政策で日銀と張り合う上でのブレーンですね(『歌を忘れたカナリヤ』白川日銀総裁から送り返されてきた公開書簡)。
飯島氏はどのような目的で呼んだのでしょうか。第1次で政務秘書官が非力だったというのも、その直前の小泉政権における飯島秘書官があまりにも有能だったので、それと比較されたところがあります。しかし今回、政務秘書官は有能と言われる今井氏が就いているのですから、飯島氏が口を出すとまたやっかいかもしれません。

官邸には有能と思われる人材が集まりました。また閣僚も、総理総裁経験者や重鎮が揃っています。安倍総理は、この人たちをコントロールして方向をひとつにできるのでしょうか。

ps 2013.1.5. 柳瀬唯夫氏、長谷川栄一氏経歴修正
ps 2013.1.20 官房副長官補など追記
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笹子トンネル事故は人災だ

2012-12-21 12:33:19 | 歴史・社会
笹子トンネル天井落下事故を受け、
「この事故(笹子トンネル崩落事故)は、インフラの老朽化を象徴する事故である。これから、インフラの老朽化対策として大量の公共投資が必要になるであろう」という議論が活発です。

私はまず、事故の名称を、上記のとおり、「笹子トンネル崩落事故」から「笹子トンネル天井落下事故」に変更すべきと思います。

次に、笹子トンネル天井落下事故は、老朽化による事故ではないと考えます。
笹子トンネル天井落下事故は、“設計ミス”と“設計ミスの見落とし”が引き起こした人災です。

12月3日に「笹子トンネル崩落事故」として書いた記事に対して、xls-hashimotoさん、merry224さんからコメントをいただきました。
そして、その後の新聞記事(読売新聞 12月9日(日)記事
『天井板をつるす鋼材をトンネル内壁に固定していたアンカーボルトの大部分が、樹脂製の接着剤に覆われた状態で脱落していたことが8日、捜査関係者への取材で分かった。』
『現場に落ちていたほとんどのボルトに腐食はなく、接着剤に覆われた状態だった。県警は、接着剤が劣化して固定力を失い、1枚1トンを超える天井板などをボルトが支えきれず、鋼材ごと脱落したとみている。』
から、人災であるとの思いを強くしました。

1トンもの重さがある天井板を支えるのに、下から打ち込んだケミカルアンカーボルトを用いたのです。樹脂製の接着剤がボルトとコンクリートを固定しています。樹脂が劣化すれば当然に接着力は低下し、天井板の重さに耐えきれなくなれば抜け落ちるのは必定です。

まずは、このような設計を行ったという“設計ミス”があります。
このような設計を行ったのであれば、樹脂の劣化を見越して定期的にアンカーボルトの付け替えを行う必要があったはずです。ところが、そのようなメンテナンスを行わなければならないという視点が全く欠落し、“設計ミスの見落とし”に至ったのです。

この18日から、笹子トンネルに残ったアンカーボルトの引抜力を測定する試験が始まっています。まだ結果は全く公開されていないようですが、まずはこの結果が注目されます。
その上で、今回の事故の原因を「老朽化」と整理するのではなく、「設計ミス」と「設計ミスの見落とし」と正しく整理することが必要です。
そうすれば、「トンネルの老朽化対策として膨大なメンテが必要」という結論に至らずに済むでしょう。
最近の自動車は排気ガスが減っているので、そもそも笹子トンネルのような天井板で仕切った排気ダクトは不要になっているそうですから、事故対策としては、天井板を撤去すれば事足ります。簡単なことです。
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前回安倍政権崩壊の轍を踏まないために

2012-12-19 21:33:58 | 歴史・社会
2回目の安倍政権誕生間近です。
前回の安倍政権は、小泉政権の後を受けて2009年9月に鳴り物入りで誕生し、当初は支持率70%を誇ったといいます。しかし人気は急降下し、翌年夏の参議院選挙大敗の後に政権を投げ出す結末となりました。

安倍政権崩壊の顛末については、上杉隆著「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」に詳しいです。このブログでは、上記書籍を読んだ内容について、上杉隆「官邸崩壊」上杉隆「官邸崩壊」(2)で記事にしました。

今回、上記記事を読み返して、今次の安倍政権が前回の轍を踏まずに安定政権となるために何が必要か、考えてみました。

前回安倍政権人気凋落の原因として、大きくは以下の事項が上げられます。
○ 郵政造反議員の復党問題
○ 不祥事による閣僚や主要ポストの辞任・自殺は5人(本間正明税調会長、佐田玄一郎行革担当大臣、松岡利勝農水大臣、久間章生防衛大臣、赤城徳彦農水大臣)
○ 米下院での従軍慰安婦問題に対する安倍首相の不用意発言
○ 消えた年金記録問題
○ 衆議院本会議で14回、両院の委員会まで含めて70回以上に及ぶ強行採決を敢行

上杉氏著書によると、首相官邸に大きな問題があったようです。
安倍官邸の以下の5人は「フールファイブ(5人のバカ)」と呼ばれていました。
内閣官房長官 塩崎恭久(衆院議員)
内閣官房副長官(政務)下村博文(衆院議員)
内閣官房副長官(事務)的場順三
内閣総理大臣補佐官(広報担当)世耕弘成(参院議員)NTT広報から政界入り。
内閣総理大臣秘書官 井上義行

なお、安倍官邸の以下の内閣総理大臣補佐官がフールファイブだ、という話もあるようです。
小池百合子、根本匠、中山恭子、山谷えり子(小川惠里子)、世耕弘成

それでは、上杉著書の指摘に基づいて、前回は何が悪かったか、今回何に気をつけるべきか、リストアップしてみましょう。

《総理秘書官の井上義行氏が秘書官としては非力だった》
経歴からすると総理秘書官としてふさわしくない人でした。実力もありませんでした。組閣に際しての閣僚候補者の身体検査手法も知らず、後の主要閣僚不祥事と辞任多発の原因となりました。
今回は、適当な人材がいるのでしょうか。

《内閣官房副長官(事務)に、霞が関以外の人材を充てた》
的場順三氏は、大蔵省出身ですが当時民間人でした。この人事により、霞が関は一斉にサボタージュに走り、事務次官会議は機能しなくなりました。
今回、安倍新総理はどのようにして霞が関をコントロールしようとしているのでしょうか。

《内閣官房長官の塩崎恭久氏は、調整役に徹しきれなかった》
塩崎氏は政策論争が得意であり、調整能力が待たれる官房長官という役職にあって、政策能力を誇示する人物でした。総理補佐官の世耕氏を含め、これらの人たちは、力を合わせて首相を補佐するどころかその反対で、お互いに反目しあって協力せず、功を競っていたようです。黒子に徹するのではなく、目立ちたがり屋たちでした。
世耕氏と井上氏は、同じ広報担当ということで互いに張り合いました。世耕氏と塩崎氏も、お互いが情報を秘匿しあい、連繋の取れていない世耕、塩崎、井上各氏がそれぞれ独自の情報を安倍首相にあげる状況でした。
今回、官房長官に予定されている菅義偉氏はどうでしょうか。少なくともオレがオレがの人ではなさそうです。

《首相直属政策スタッフを、政権発足後に公募した》
「特命チーム」の公募は、安倍首相が自ら人選することを放棄している、公募という形で自らその権力を放棄している、という印象を与えてしまいました。また、役人は巧妙に「役所を通して応募」との条件を紛れ込ませます。その結果、一人を除いて出身官庁に向いて仕事をする人しか集まりませんでした。その一人とは高橋洋一氏です。
霞が関と闘うのであれば、霞が関の戦法を熟知した、優秀で改革派の官僚出身者を官邸に招き入れるべきです。高橋洋一氏、古賀茂明氏、原英司氏のような人たちです。今回、安倍さんはどのように準備しているのでしょうか。

《従軍慰安婦問題への対応》
前回安倍政権時、米下院で例年の如くホンダ議員が決議案を提出した際、日本の正しい対応は「無視する」ことでした。ところが安倍首相が「強制性を裏付ける証拠はなかったのは事実」と語ってしまい、米国のマスコミと米議会を完全に敵に回すこととなりました。結果として米国議会ではホンダ議員の決議案が賛成多数で成立してしまったのです。
このときは、井上秘書官が「河野談話」の見直しを主張して安倍総理がこれを支持し、世耕氏がアメリカへ飛んで動き回ったので注目を受け、最後に安倍総理の上記発言でアメリカを敵に回してしまいました。
今回、韓国は安倍総理を従軍慰安婦問題で窮地に追い込もうとして虎視眈々と狙っているでしょう。安倍新総理には、ぜひ細心の注意をもって従軍慰安婦問題に対応して欲しいものです。

《経済財政諮問会議の活用》
前回安倍政権では、経済財政諮問会議を強力な武器として活用していたようです。今回はどうでしょうか。
昨日今日の新聞によると、経済財政諮問会議を活用するように書かれていますが、同時に内閣に日本経済再生本部を新設するようです。
小泉時代や前回の安倍政権のときは、経済財政諮問会議が有効に使われました。霞が関が嫌がる政策について、同会議の民間議員ペーパーで政策を提言し、最後は総理の決裁で政策が実現していきました。総理大臣と日銀総裁がともにメンバーなので、両者が定期的に会う機会がある、という点も重要なポイントでした。
それにも拘らず、経済財政諮問会議と並立して経済再生本部を新設しようとしているのは、官僚の側が諮問会議を忌み嫌っているからだ、というのが岸博幸氏の見立てです(自民党のバラマキ政策)。
経済財政諮問会議が強力なのは、法律でその権限が規定されているからです。新設の経済再生本部については、法律で権限を規定しない限り、霞が関がいやがる政策を実現することは不可能でしょう。民主党政権の国家戦力局で実証済みです。

両方の司令塔となる経済再生担当大臣にだれを据えるのか、そして、経済財政諮問会議の民間議員にだれを配置するのか、というあたりで、安倍新総理の本気度がわかるでしょう。
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日本国憲法前文・三たび

2012-12-16 11:17:33 | 歴史・社会
「みっともない憲法、はっきり言って」安倍・自民総裁
朝日新聞デジタル 2012年12月14日20時35分
■安倍晋三・自民党総裁
『日本国憲法の前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書いてある。つまり、自分たちの安全を世界に任せますよと言っている。そして「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」(と書いてある)。
自分たちが専制や隷従、圧迫と偏狭をなくそうと考えているわけではない。いじましいんですね。みっともない憲法ですよ、はっきり言って。それは、日本人が作ったんじゃないですからね。そんな憲法を持っている以上、外務省も、自分たちが発言するのを憲法上義務づけられていないんだから、国際社会に任せるんだから、精神がそうなってしまっているんですね。そこから変えていくっていうことが、私は大切だと思う。(ネット番組で)』

日本国憲法の前文を巡り、安倍総裁の国語能力に関して疑義が発生」によると、Googleの政治家と話そうと言うイベントでの安倍総裁の発言のようです。このページに発言全文も掲載されています。このページの主は、「安倍総裁の国語能力に関して疑義が発生」とコメントしていますが、それは言い過ぎでしょう。

私は、「日本国憲法前文・再び」において、日本国憲法前文のこの部分について言及しています。

憲法前文の第2段落の第1文と憲法9条1項とを並べてみます。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」

以上から感じられる印象は以下の通りです。
「我々日本人は戦後、人間相互間の崇高な理想を自覚しました。そこで、平和を愛する皆さんの公正と信義に信頼して、永久に武器を持たないことにします。もし悪者が現れたら、皆さんが武器を取って戦い、われらの安全と生存を保持してください。なぜ日本人だけ武器を持たないかって?悪いのは日本(と枢軸国)だけで、日本さえ武器を捨てれば世界は平和になるのです。(日本人が武器を持つとまた悪いことを始めちゃうのですよ)」
何と無責任で、克己心のない、自己向上意欲のない精神でしょうか。私が勝手に想像しているだけですが・・・。
本来であれば、日本が世界を苦しめる行動を取った根本の原因を徹底解明し、その原因を取り除いた上で、「もう日本は大丈夫ですから、必要があれば皆さんと一緒に武器を取ります」という態度を取るべきです。

以上のとおり、日本国憲法の前文と第9条を並べて素直に読んだら、安倍総裁が抱いたと同じ印象が得られるのです。
安倍総裁だけではありません。2010年1月19日の朝日新聞朝刊に「安保条約50周年 日米同盟 成果と展望」という特集記事が載っていました。岡本行夫氏(外交評論家・元外務官僚)、山口昇氏(防衛大学校教授)、長島昭久氏(防衛政務官)の3氏が話し合った内容です。
その中で岡本氏が、日本人固有の安全保障に対する市民感覚について、以下のように述べていたのです。
『憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」日本の安全を保持するとある。日本さえ悪いことをしなければ世界は平和だという理屈でやってきた。それが最近変わってきている。テロの恐怖とか、世界の紛争地で日本人が危ない目に遭うことも多くなってきた。一方で憲法9条から離れるのは嫌だと。』
安倍総裁や私と同じような解釈ですね。

ところで、日本国憲法には英文があります。それも2種類あります。一方は、連合軍総司令部から「これを参考に作れ」と渡された英文で、もう一方は、日本語の憲法ができたあとでその内容を翻訳した英文です。
ところが私の記憶では、憲法前文に関しては、第1の英文と第2の英文が同じであり、即ち現在の憲法前文は、連合軍から示された英文をそのまま逐語訳したものであるようなのです。

そして、前文第2段落第1文の英文を見ると印象が変わります。
"We, the Japanese people, desire peace for all time and are deeply conscious of the high ideals controlling human relationship and we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world."
"we have determined"と現在完了になっているのですね。

憲法前文を構成する英語文章の動詞は、大部分が現在形です。第1段落に過去形が2個所あります。そして、現在完了になっているのは前文の中ではここだけなのです。なぜ現在完了なのでしょう。
ひょっとすると、既に過去に起きた事象、例えばポツダム宣言の受諾、を指しているのではないか、と想像しています。そうだとしたら、この文章は単に過去の事実を述べているだけである可能性が高くなります。
そしてそのように解釈すると、安倍総裁、岡本行夫氏やかつての私のように、自虐的に憲法前文を解釈するくびきから開放されます。

次期日本国総理大臣が確実視されている安倍晋三氏です。現行憲法を遵守すべき人です。その人が現行憲法にいちゃもんをつけるのであれば、憲法前文をどのように解釈すべきなのかを詳細に検討することは非常に大事だと思います。ぜひ、上記の私のようなスタンスで憲法を論じ、解釈していただきたいと切に願います。

なお、憲法前文が英文の逐語訳に近いことが納得できる点について、こちらの日本国憲法前文(1)をご覧ください。また、第1段落に登場する5つの述語の時制が現在分詞1個、過去形2個、現在形2個である点について、こちらの日本国憲法前文(2)をご覧ください。
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生分解性の印鑑証明カード

2012-12-12 21:12:26 | Weblog
日曜日に近くの杉並区役所出張所で印鑑証明をもらおうと考え、前日の土曜に印鑑証明カードを収納ケースから取り出しました。
するとどうでしょう。カードが割れていたのです。それだけではなく、カード全体にヒビ割れが入り、あらゆるところから割れが進行しそうです(下写真)。
  
このカードはほんの数ヶ月前に使用したばかりであり、そのときは異変に気づきませんでした。ごく短時間にカード全体が変質し、割れに至った模様です。こんなことがあり得るでしょうか。
カードの裏面に「このカードは生分解性の素材を使用した環境にやさしいカードです。」と記載されています。「生分解性」の文言が引っかかります。そこで、この文言と「印鑑証明」でネット検索してみました。
ありました。多くの自治体で、生分解性の素材を用いた印鑑証明カードでトラブルが発生している模様です。地元の杉並区役所は以下のコメントを掲載していました。

杉並区役所のホームページ
生分解性素材のカードの引き替えについて
カード裏面に「このカードは生分解性の素材を使用した環境にやさしいカードです。」の文言が記載されているカードは、生分解性素材(土中に埋めると水と二酸化炭素に分解される素材)を使用したカードです。
このカードは時間の経過により破損しやすくなっており、自動交付機内で割れて詰まってしまう現象が発生しています。
該当するカードをお持ちの方は、下記窓口で引き替え後自動交付機をご利用いただきますようお願いします(手数料は無料です)。
なお、平成17年以降導入し現在交付しているカードは、異なる素材を使用しており、引き替えの必要はありません。』

もう1箇所、瀬戸市のページからひろいます。
生分解性プラスチック製印鑑登録証の保管方法と引換えについて
ページ更新日:2011年3月28日
『理由
瀬戸市では、平成13から16年度の間、印鑑登録証の材質を、焼却時にダイオキシンを発生しない生分解性プラスチック製のカードで作成しました。生分解性プラスチックは、環境にやさしい特性を持つ素材ですが、その反面、幾つかの条件が重なると生分解の速度が促進され、結果的に劣化が進みやすくなる性質を持っています。
最近、カードの劣化によって破損した印鑑登録証をラミネート加工したものと引換える事例が見受けられるようになりましたので、保管方法のご注意をするとともに、劣化した印鑑登録証については、簡便な方法で引換えができるようにしています。
対象となる印鑑登録証
印鑑登録証裏面の左下に「このカードは穀物からできています。土に戻り、焼却しても有毒ガスを発生しません。」の表示があります。』

塩ビは焼却時にダイオキシンを発生する、との理由で別の材質に変更することはよろしいと思いますが、そのとき、何で「生分解性」などという材質を採用したのでしょうか。印鑑証明カードは、普段は使用せずに1年に1回か数回程度使用するのみであり、10年以上のオーダーでしまい込まれる性格のものです。材質選定に際しては、長期安定性を第一に考えるべきでしょう。
採用当時は、東京都のゴミ収集でプラスチックは「燃えないゴミ」であって埋め立てていましたから、埋め立て後に分解することを重要視したのでしょうか。現在では「燃えるゴミ」扱いですから、埋め立て後に分解する必要はなく、耐久性が良好で燃焼時にダイオキシンが生成しさえしなければいいわけです。杉並区の現在のカードには「PET-G」の表示があります。

日曜の朝に区役所に電話してみましたが、カードの交換サービスは平日の時間帯しかやっていないそうです。従って、月曜まで待たなければ印鑑証明を取得することはできません。月曜の朝、出勤の途中に出張所に立ち寄り、新しいカードに更新してもらいました。どうしても日曜中に印鑑証明が必要な場合だったらどうするのでしょうか。全くのお手上げです。
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小選挙区の政党別立候補・東京都

2012-12-08 22:54:13 | 歴史・社会
東京都は、総選挙の小選挙区が1区から25区まであります。政党別に立候補の有無をまとめてみました。

-- 自 民 公 み 維 未
-- 民 主 明 ん 新 来
1区 ◎ ◎ - ◎ ◎ ◎ 千代田・港・新宿
2区 ◎ ◎ - ◎ ◎ - 中央・台東・文京
3区 ◎ ◎ - - - ◎ 品川
4区 ◎ ◎ - ◎ ◎ - 大田
5区 ◎ ◎ - ◎ ◎ ◎ 目黒・世田谷
6区 ◎ ◎ - ◎ ◎ - 世田谷
7区 ◎ ◎ - - ◎ ◎ 渋谷・中野
8区 ◎ ◎ - - - - 杉並
9区 ◎ ◎ - - - ◎ 練馬
10区 ◎ ◎ - - - ◎ 豊島・練馬
11区 ◎ ◎ - - ◎ ◎ 板橋
12区 - - ◎ - - ◎ 北・足立
13区 ◎ ◎ - - ◎ ◎ 足立
14区 ◎ ◎ - - ◎ ◎ 荒川・墨田
15区 ◎ ◎ - ◎ - ◎ 江東
16区 ◎ ◎ - ◎ ◎ ◎ 江戸川
17区 ◎ ◎ - - ◎ - 葛飾
18区 ◎ ◎ - - ◎ ◎ 武蔵野・小金井・府中
19区 ◎ ◎ - - ◎ ◎ 西東京・小平・国分寺・国立
20区 ◎ ◎ - - ◎ - 東久留米・武蔵村山など
21区 ◎ ◎ - - ◎ ◎ 立川・昭島・日野
22区 ◎ ◎ - ◎ ◎ - 三鷹・調布など
23区 ◎ ◎ - ◎ ◎ ◎ 町田・多摩
24区 ◎ ◎ - ◎ ◎ - 八王子
25区 ◎ ◎ - - ◎ ◎ 奥多摩・青梅

1.私の選挙区は8区ですが、他にはない無風選挙区です。自民と民主が立候補している以外、第三極からはだれも立候補していません。なんという張り合いのない選挙区でしょうか。
私は、維新からの立候補者がいないであろうことは予想していました。自民候補者が石原伸晃氏であり、「維新の会はメルトダウンするのか」に書いたとおり、古賀茂明氏のコメントによれば、維新の会代表の石原慎太郎氏は、伸晃氏の選挙区に維新の会から候補者を立てないでくれと希望していることから、元たちあがれ系の候補者を大量に維新が公認するごり押しを止める動きはしなかった、ということだからです。
それにしても、維新のみならず、みんなの党と未来の党の候補も立たないというのは寂しい限りです。
前回総選挙、東京の小選挙区では自民の候補者が一人を除いて全滅しました。その一人が石原伸晃氏だったのです。あれだけの逆風下で当選したのですから、今回の順風のもとでは伸晃氏に刃が立たない、とみなが敬遠したのでしょうか。

2.みんなの党と維新の党の競合選挙区が9選挙区もあります。みんなが立って維新が立っていない区は一つしかありません。みんなの党と維新の会はもともと政策がほとんど一緒だったのに、選挙協力はとうとうできなかったのですね。今となっては維新の会は旧たちあがれ日本に乗っ取られてしまいましたから、これもしょうがないのでしょう。
都民が維新の会の変節に気付き、改革を求めるのであればどちらに投票すべきか正確に判断できることを願うばかりです。

ps 23区に誤りがあったので修正しました。
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自民党のバラマキ政策

2012-12-04 21:44:43 | 歴史・社会
自民党の政権公約については、もっぱら金融政策に議論が集中しています(自民党安倍総裁の金融政策安倍さんの政策は?維新の会の政策は?)。
安倍総裁が掲げる金融緩和政策(インフレ目標2~3%を掲げる。目標達成のために日銀に最大限の努力をしてもらう。ただしその手段については日銀の独立性を認める。)について私は賛成です。金融緩和でデフレ脱却と円高是正を図ることは、成長戦略を構築する上での前提条件であって避けて通れないからです。

一方、あまり議論になりませんが、自民党政権公約の中のバラマキ政策は要注意です。この点については、岸 博幸氏の「自民党の政権公約で本当に日本経済は再生するか?“大胆な金融緩和”に隠れたバラマキ政策への警鐘」が参考になります。
『経済成長に関しても、企業を徹底的に競争に晒して競争力を強化させるよりも、“長期資金に対する政策金融の強化”など政府が予算措置などで関与していこうという姿勢が目立ちます。
地方に対しても、“地域の経済活性化と雇用増のための交付金制度の創設”、“中小企業予算の倍増”、“中小企業の資金繰りを徹底サポート”など、予算措置による政府の関与の増大を匂わせる内容が多く見られます。
農林水産業になるともっとひどく、農林水産業の競争力強化にもっとも必要な規制改革への言及は一切ない中で、“需給安定・輸出対策の強化”、“担い手の育成確保対策の推進”など、予算措置と政府の関与ばかりが強調されています。』(岸氏)

金額的にも、国土強靱化計画で10年間に100兆円を投じるというのですから、消費税増税での税増収を見込んでバラマキを増やしているとしか見えません。
自民党の政権公約に予算バラマキと政府関与の増大を示す政策がたくさん入った理由は、政権公約の政策の多くが霞ヶ関の官僚の入れ知恵に基づいて作られているからだろうと岸氏は推定します。

自民党の政権公約では、経済を立て直すために“日本経済再生本部を新たな司令塔に”すると書かれているのです。
小泉時代や前回の安倍政権のときは、経済財政諮問会議が有効に使われました。霞が関が嫌がる政策について、同会議の民間議員ペーパーで政策を提言し、最後は総理の決裁で政策が実現していきました。総理大臣と日銀総裁がともにメンバーなので、両者が定期的に会う機会がある、という点も重要なポイントでした。その経済財政諮問会議、民主党政権はお蔵入りさせていますが法律上は存続しています。
それにも拘らず自民党の政権公約で諮問会議に代わる司令塔を設置しようとしているのは、官僚の側が諮問会議を忌み嫌っているからだ、というのが岸氏の見立てです。

また、岸氏によると、自民党の政権公約には、官僚が大好きな予算措置とか政府の関与増大を匂わす政策がこれだけたくさん入っているのに、“諮問会議”と同様に官僚が忌み嫌う言葉である“規制改革”は一言も出てこないとのことです。

前回の安倍政権では、1年間の短い期間でしたが、公務員制度改革をはじめとして多くの改革が進展しました。その後の麻生政権や3年間の民主党政権ですべて元の木阿弥になってしまいましたが・・・。

前回の安倍政権はあれだけ改革を実行する方向の力を持っていたのに、なぜ今回の安倍総裁率いる自民党ではそれができないのでしょうか。
ひとつには、前回はあれだけ改革志向だったために霞が関から徹底的に妨害され、それこそが短命政権に終わった最大の原因かも知れません。それに懲りた安倍氏自身が、改革に対して及び腰になっている可能性もあります(安倍晋三氏総裁選出馬をどう受け止める)。
また、3年前の衆議院総選挙で自民党議員が激減するに際し、改革派の議員が特に多く落選した可能性があります。そのため、現職(前職)の自民党議員に改革志向が乏しかったのではないかと。この点については、今回の総選挙でどれだけ改革派自民党議員が当選して帰ってくるか次第です。
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笹子トンネル崩落事故

2012-12-03 22:11:25 | 歴史・社会
トンネル崩落:コンクリ劣化の可能性
毎日新聞 2012年12月03日 13時59分(最終更新 12月03日 14時21分)
『中日本高速によると、トンネル最上部のコンクリートの内壁には、T字形鋼材(長さ6メートル、幅40センチ)が1枚につき16本のボルト(長さ230ミリ、直径16ミリ)で固定され、この鋼材1枚につき5本のつり金具の上端がつないであった。つり金具の下端も鋼材につながれ、この鋼材の上に左右から2枚の天井板を乗せてある構造だった。3日未明から実施した緊急点検で、この内壁に打ち込まれたボルトが抜け落ちていたことを確認したという。ボルトが腐食していたり、さびたりしていたという情報はなく、ボルトとの接合部分のコンクリート自体が経年劣化していた可能性もある。』

私は当初、天井板を吊り下げているボルトや金具などの鋼材が破断して崩落したのかと推定していました。そうだとするとコンクリートの劣化が原因ではありません。
それに対して上記報道によると、コンクリート自体の劣化も原因として挙がってきたようです。

今年1月にこのブログで「山陽新幹線のコンクリートの状況」として記事を書きました。小林 一輔 (著)「コンクリートが危ない (岩波新書)」に基づく話です。
山陽新幹線のトンネルや高架橋などのコンクリート構造物は、劣化の進行が速く、1983年の段階で高架橋が激しく劣化していることが判明しました。建設後わずか10数年です。その原因は、コンクリート材料として使われた海砂でした。
山陽新幹線高架橋がかかえているもう一つの難病は、アルカリ骨材反応です。この難病による劣化現象も1983年頃から、六甲トンネルや岡山、広島地区の高架橋で顕在化していました。アルカリ骨材反応は、アルカリ分(Naなど)の異常に多いセメントの使用が引き金になって起こりますが、海砂中の塩分もアルカリ骨材反応に加担するのです。
アルカリ分の異常に多いセメントが市場に大量に出回った時期は、1969~79年の約10年間でした。山陽新幹線建設の時期と重なります。

著者によると、東京オリンピックが開催された1964年頃を境にして、それ以降に建設された橋梁、建築物のいずれも寿命が短くなっているということです。

今回事故を起こした笹子トンネルは、1975年(昭和50年) 完成といいますから、まさにアルカリ骨材反応を起こしやすい時期に建設されています。
まだ事故原因調査は始まったばかりです。どのような原因に収斂していくのでしょうか。
報道では、建設後年月が経過した結果として劣化した、としていますが、トンネルが40年程度の経年で崩落するようでは話になりません。そもそも笹子トンネルと名がつくトンネルは、今回の中央高速のほかに、JRの上り線、下り線、国道、県道など合わせて5本存在しますが、中央高速の笹子トンネルはこの中で一番新しいトンネルです。もし、劣化の進行が原因だとしたら、それは、当初の設計に比較して極端に劣化速度が速くなったということで、その点にこそ原因が求められるべきです。

ps 12/3 23:50 そもそも、コンクリートに下から打ち込んだボルトで、重量物の吊り下げ力を確保するという設計思想がよくわかりません。ボルトは間違いなく鉄製であり、当然錆びていきます。錆びれば膨脹してコンクリートを破壊し、その部分のコンクリートによるボルト保持力が失われます。また、コンクリート中の鉄筋は錆びませんが、それはコンクリートがアルカリ性だからです。コンクリートは大気中の二酸化炭素との反応で、コンクリート表面から順次アルカリ性が失われ(中性化)、中性化した部分では鉄筋が錆び、同じく体積膨脹でコンクリートを破壊します。打ち込んだボルトは、表面側からボルト自身の酸化、コンクリート中性化による酸化促進が相まって、経時的にコンクリートのボルト保持力が失われていくでしょう。何でこのような設計にしたのか、また数年に一度の点検も目視観察だけで終わっていたのか、理解に苦しみます。
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