弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

審決取消訴訟の進行

2006-05-31 00:01:56 | 知的財産権
知財高裁の案内によると、審決取消訴訟(特実)の進行はA方式とB方式の2種類で行われています。知財高裁の第1~3部はA方式、第4部はB方式ということで、事件がどの部に配点されるかによって方式が定まります。
【A方式】
「訴状 → 答弁書 → 原告準備書面1 → 第1回弁論準備手続期日 → 被告準備書面1 → 原告準備書面2 → 第2回弁論準備手続期日 → 口頭弁論 → 判決言渡し」と進行します。

【B方式】
「訴状 → 原告準備書面1 → 答弁書+被告準備書面1 → 原告準備書面2 → 第1回弁論準備手続期日 → 口頭弁論 → 判決言渡し」と進行します。

ここから下は、無効審判で特許が無効となり、審決取消訴訟が提起された場合について述べます。原告が特許権者、被告は無効審判請求人です。

特許無効審判の審決取消訴訟では、訴状提出から90日以内に訂正審判請求ができます(特許法126条2項)。その場合、裁判所は事件を審判官に差し戻すために審決取消決定をすることができます(特許法181条2項)。

A方式であれば、第1回弁論準備手続期日において裁判官から原告に問いかけ、訂正審判請求を予定しているとの回答であれば、90日経過までまって次の段階に進むことができます。訂正審判が請求され、差し戻し決定が出されるのであれば、結局被告側は被告準備書面1を作成する手間をかけずにすみます。答弁書は提出しますが、どうせ紙1枚で済む答弁書ですから、手間はかかりません。
私が以前特許無効審決取消訴訟に被告代理人として関与した事件がそうでした。結局、差し戻し決定後の2度目の審決で再度無効審決をもらいましたが。

一方B方式では、訴え提起から90日の前に被告準備書面1の提出期限が来てしまいますから、どうしても被告準備書面1を準備せざるを得ません。提出後に訂正審判が請求され、訴訟が差し戻し決定されてしまうと、被告準備書面の作成が無駄になってしまいます。

特許権者(原告)が訂正審判を請求したが、知財高裁は差し戻し決定を出さずに審理を進める場合、これもやっかいですね。
訂正審判は当事者系で、「そのような訂正をしても別の証拠からやはり進歩性がない」という主張を無効審判請求人ができません。訂正が認められてしまう可能性があります。たとえ知財高裁で無効審決を維持する判決(請求棄却判決)が出たとしても、その判決が確定する前に訂正審判請求が認められ確定してしまうとやっかいなことになります。

無効審判で無効審決を勝ち取った審判請求人にとって、審決取消訴訟で特許権者が無効審判請求を行った場合、差し戻し決定をもらわない方が有利なのかもらった方が有利なのか、よく分かりません。
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知財高裁と弁理士会との座談会

2006-05-30 00:04:11 | 知的財産権
パテント誌5月号に知財高裁と弁理士会との座談会が掲載されています。添付資料と合わせ、28ページにもなる大作です。事前準備も当日の座談会も大変だったろうと推察します。パテント編集委員会の皆様、ご苦労様でした。編集後記を見ると、従来なら絶対に不可能な企画だったようですね。

知財高裁が受任する事件の8割が審決取消訴訟であり、弁理士が単独代理できるのが審決取消訴訟ということで、座談会の話題の中心も審決取消訴訟と弁理士との関わりです。
「裁判所から見た審決取消訴訟代理人弁理士」の話になるといつも出るのですが、「訴訟代理人弁理士の中には、うまく訴訟活動ができていない人がいる」という話が今回も出ています。弁護士の能力も千差万別だとは思うのですが、やはり弁理士の方が低レベル層の比率が高いのかどうか、わからないところです。

知財高裁との座談会であれば、私が聞きたかった点は以下の2点です。
1.進歩性の判断基準(ハードルの高さ)
以前の私の発言(進歩性判断のハードル高さパネル討議「発明の進歩性」)でも述べたように、進歩性有無判断のハードルの高さ設定は、発明の保護と利用のバランスをとって産業の発達を図る上で最も重要な基準の一つであると思っています。それに対し、最近の知財高裁は進歩性のハードルがものすごく高くなっており、これでは産業の発達が損なわれるのではないか、と心配しています。
この点に関し、知財高裁の内部ではどのような認識がされているのか、進歩性のハードルの高さを適切、一定に保持するために、何らかの議論がなされているのかどうか、という点についてはぜひ質問して欲しかったです。

2.技術事項に関する裁判官の事実認定の適切
裁判の審理過程で、裁判官は自分が技術事項をどのように認識したかを発言しません。ひょっとしたら裁判官が技術を間違って認識している可能性があるのに、それは判決を見るまでわからない、という実情があります。特に相手方が争点にしていない部分について誤認識された場合には、当方も十分には準備書面で論じていません。判決を見てびっくり、いわゆる「不意打ち判決」ですね。「当業者の技術常識に照らして、技術をこのように誤認識するなど思いもしなかった。こんな誤解が生じ得るのなら、追加証拠を出し、準備書面で十分に説明するんだった。」と反省することになりますが後の祭りです。
最高裁は門が狭く、事実上知財高裁判決が最終審で、いわば「一審制」に近い制度になっているのですから、知財高裁における事実誤認の影響は甚大です。
特に、準備書面のやりとりは原則1往復半、弁論準備手続期日は1回限り、という最近の運用では、上記のような不都合が発生する可能性が高くなっていると思います。
生海苔異物除去装置審決取消事件で特許が無効とされた判決が、やはり技術の誤認識に基づく不意打ち判決だったのではないか、と危惧しています。
上記のような不都合の発生を防止するためにはどうしたらいいのか、その点についてぜひ座談会で議論して欲しかったです。

座談会の発言では、準備書面のやりとりで、相手が主張したから反論する、という繰り返しで論点から外れた議論にどんどん拡大していくことが話題になっています。「論点から外れたら反論しない」方向で主張して欲しい、との要望だと思いますが、上記のように「裁判官に誤解されたら大変」という意識に立ったら、相手方のあらゆる主張に対して丁寧に反論しておかないと危険、ということになってしまいます。
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グーグル活用

2006-05-29 00:02:43 | サイエンス・パソコン
いろんなところで、グーグルの検索手法に精通することによってグーグルの有効活用を図っている話を聞きます。そこで私も、グーグル活用本を1冊買ってきました。

今までも、複数のキーワードをスペースで区切ってアンド検索を行うこと、キーワードを""でくくって完全一致検索を行うことは知っていました。ワイルドカードが使えることは知っていましたが使ったことはありませんでした。

今回、キーワードの頭に-を付けることによってそのキーワードを含むページを検索から除外できること(ノット検索)、キーワード間に | を挿入することによってオア検索ができることを知りました。
その他、検索キーワードから自動的に除外されるストップ語の存在と、そのストップ語を検索キーワードに加えるための+の挿入も新たな知識です。ヴァイオリンとバイオリンのようなゆらぎ文字を区別する場合にも、+の挿入が有効だそうです。
オア検索の検索式をかっこ()でくくると、オア条件について優先順位を付け、検索式の左に現れるキーワードを優先して表示してくれるようです。

最小限、従来のアンド検索にノット検索とオア検索が加わったことで、検索条件の自由度が増しました。

ところで、以下のような検索式で検索したいときがあります。

( A and B ) or ( C and notD )

このような場合、グーグルの検索式に

( A B ) | ( C -D )

と入力して検索を実行しても、思い通りの検索をしてくれません。どうも、かっこの意味が通常の論理式とは異なるようです。グーグルのサイトで論理式の文法を説明したページを探したのですが、見つけることができません。私が購入した活用本でもここまでは説明してくれていません。
どなたか、グーグル検索式の文法を説明しているページをご存じの方がおられましたら教えてください。こんなことこそ、グーグルで見つけ出さなければいけませんね。
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国家の品格

2006-05-28 00:02:56 | 趣味・読書
藤原正彦著「国家の品格」が大ベストセラーになっているようですね。私も遅ればせながら読んでみました。小気味よい本ではあります。
なるほどなあ、と思う点、おもしろいけどそううまくは運ばないだろう、と思う点、ちょっと勘違いあるいは考えが浅いよ、と思う点など、満載です。以下、《》の部分が藤原先生の文章です。
国家の品格 (新潮新書)
藤原 正彦
新潮社

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《「論理」だけでは世界が破綻する》
《論理には出発点が必要》
「AならばB、BならばC」という三段論法で、前提Aが間違っていたら論理がどれだけ厳密でも結論Cは誤りになる、ということです。
私は、「太平洋戦争中の神風特攻は、論理的には正しかった」という見解です。もちろん「○○という前提のもとでは」ということで、前提条件によってはとんでもない論理の帰結に至る証左と考えています。この点は別の機会で。

《マスコミが第一権力に》
現在の日本やアメリカは主権在民の民主主義だが、主権在民とは「世論がすべて」ということで、事実上、世論とはマスコミだ、という主張です。そのとおりですね。現代日本もそうだし、満州事変から日中戦争、太平洋戦争に至る日本の進路もおなじ力学で決まっていたように思います。

《国民は永遠に成熟しない。放っておくと、民主主義すなわち主権在民が戦争を起こす。それを防ぐために必要なものが、実はエリートなんです。・・・
真のエリートには二つの条件があります。第一に、文学、哲学、歴史、芸術、科学といった、何の役にも立たないような教養をたっぷりと身につけていること。
第二条件は、「いざ」となれば国家、国民のためによろこんで命を捨てる気概があることです。》
この点は納得です。ただし、「エリート」と聞いただけで拒否反応を示す現在の日本で、これを実現することは至難の業でしょう。

《世界中の指導者が例外なく、国益しか考えていないからです。日本の指導者だけが「ナショナリズムは不潔」などと高邁な思想を貫いていると、日本は大損をしてしまう。》
アメリカ人は、普段は意見が違う人同士でも「国益」と聞いたとたんにがっちりとスクラムを組む。日本人は普段仲良くても「国益」と聞いたとたんにそっぽを向く、という傾向があります。「国益=悪」という認識ですね。これでは厳しい国際競争で勝てるはずがありません。

《「武士道精神」の復活を》
私も、明治期の日本を支えていたのは武士道精神かもしれない、とは思います。しかし、武士道精神は昭和初期(昭和5年~20年)に狂った進化をし、終戦と同時に日本人は武士道精神全体を、ボロぞうきんの如く捨て去ってしまいました。あたかも、健全な武士道精神という組織にガン細胞が発生したのに対し、健全な部分も含めてすべてを切除してしまったようなものです。
一度完全に捨て去った文化を、もう一度取り戻せるか、という問題ですね。私は無理じゃないかと思っているのですが。

《美しい情緒は、「戦争をなくす手段」になる》
この本の最大の弱点は、日本の戦争責任を軽く見ていることです。先の戦争中、日本軍は現地の住民に対して残忍な行為に及んだ事例が多すぎます。藤原先生がいう日本の美しい情緒と武士道精神とがありながら、なぜこのような残忍な行為を止めることができなかったのか、それをきちんと解明しない限り、「日本人が有している美風で世界を平和にできる」と主張しても説得性がありません。詳しくは別の機会に。

《日亜化学工業の元社員が・・・、一審の東京地裁は法外な二百億円もの・・。企業は強者だから悪、一研究者は弱者だから善という、マスコミをはじめとする「ポリティカリー・コレクト」の気運に迎合したのでしょう。》
このように、私が経緯を熟知している事件の話になると、「この先生はひとつひとつの話題について掘り下げた上で評論しているわけではないな」というのが見えてきます。そういった点では、他のすべての論点についても少し引いて眺めた方がよさそうです。

この本は全体として、「いい話だけど、そんなに簡単にいかないよ」という感想を持つ内容ですが、とにかく二百万部売れたということですから、この日本に何らかの影響を及ぼすことが可能になるでしょうか。
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NGO、常在戦場

2006-05-27 00:01:21 | 趣味・読書
何かのきっかけで大西健丞氏の「NGO、常在戦場」を知り、読んでみました。
NGO、常在戦場
大西 健丞
スタジオジブリ

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いや、すごい若者(今では壮年期か)です。「走り続けるNGO」ですね。
1967年大阪生まれ。英国で大学院在学中にイラクのクルド人自治区に入り込んだのを皮切りに、1996年にNGOピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)を設立します。その後、イラクのクルド人自治区、コソボ、東ティモール、アフガニスタンで支援活動を推進します。

突発的な内戦などを契機として、大規模な難民が発生する場合を考えます。コソボや東ティモールの場合がそうです。このような場合、世界各地からいち早くNGOグループが現地入りし、難民保護の活動を開始します。NGOグループは集まって協議し、活動分担を決めます。この初期段階において現地で十分な足場を固めておかないと、そのグループは主導的な活動の場を確保することができません。先行したグループの下請け作業に甘んじることになります。
このような実態を痛感した大西氏は、紛争の第1報が入ったら即座に、その現地に活動の足場を築くように活動します。それにより、コソボではPWJの緊急支援活動を軌道に乗せることができました。阪神・淡路大震災で使われた仮設住宅をコソボに運び、他のグループと共同で500戸の建設をしました。
そして体力回復のため一息つく暇もなく、東ティモールで紛争が勃発します。PWJのスタッフは「もう団体としての力の限界を超えている」という慎重論を持っていましたが、大西氏は東ティモール行きを決断します。まあ、グループの人たちはこのようなリーダーのもとで大変だったでしょうね。

大西氏と鈴木宗男氏との対決は、この本を読むまではあまり意識していませんでした。2002年1月のできごとなのですね。
大西氏は、政府主催のアフガニスタン復興支援国際会議に出席するために日本にいました。
朝日新聞の「ひと」欄に、大西氏の発言として「お上の言うことはあまり信用しない」というフレーズが引用され、これに対して鈴木宗男氏が激怒し、そういうけしからん団体は出席させるな、と外務省に圧力をかけたようなのです。
外務省は大西氏に「とにかく鈴木さんに謝って欲しい」と要請しますが、大西氏は徹底的に戦うことを決意します。一度は外務省が鈴木氏の意向を入れて大西氏の出席を取り消しますが、すったもんだの末、2日遅れで大西氏の出席を認めることとなります。
朝日新聞の記事は、「なぜ国連や政府機関に職を得なかったのか」との質問に大西氏が、出身地の大阪の風土はお上をあまり信用しないところがある、と答えた文脈から抜き取られたものだそうです。ほんと、朝日新聞は余計なことをします。

佐藤優氏が書いた「国家の罠」では、鈴木宗男氏の良い面を取り上げました。対して大西氏に対する鈴木氏の態度は、鈴木氏の悪い面がもろに出ています。権勢に任せてバカなことをしたものです。また外務省も、鈴木氏の横やりに対して何の抵抗もできなかったのですからひどいものです。

イラク戦争後、大西氏はバグダッドの国連本部のセキュリティーチェックがいい加減であることを体感します。そのころ、PWJから一人の女性スタッフがバグダッドの国連本部に出向していました。たまたま彼女が日本に立ち寄ったときに、大西氏は不吉な予感を感じます。彼女に「組織同士のケンカになっても構わないから、バグダッドへの赴任は拒否すべきだ。契約違反等の責任はこちらで被るから、バグダッドにだけは行くな」と強く意見を述べます。そして2003年8月、バグダッドの国連本部が爆破されます。その前に彼女の異動は認められていました。もし異動していなければ、命がなかった模様です。
大西氏の危険予知能力はすごいものです。

これからも大西氏には活躍して欲しいし、同じように若い人たちが後に続いて欲しいものです。
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会社法入門

2006-05-26 00:14:55 | 趣味・読書
新会社法がすでに施行されています。
勉強しなきゃとは思うものの、旧会社法(商法の会社編)すら満足に勉強していないので、どこから取りかかったらいいかが問題です。

新聞の書評で、神田秀樹著「会社法入門」(岩波新書)が紹介されていました。ちょうど手頃そうなので、まずはこの本から攻めることにしました。
会社法入門 (岩波新書)
神田 秀樹
岩波書店

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神田先生は、新書の範囲内でできるかぎり読者に理解してもらおうと、詳細はできるかぎり省略して説明を進めてくれます。しかし、とにかく対象が会社法ですから、一読しただけではもちろん理解にはほど遠いです。

あとがきが新会社法の姿を如実に物語っています。
「今回の『会社法』とその委任を受けた法務省令に接して、私はその条文の量の膨大さにただただ圧倒されるとともに、二つのことを感じた。
 一つは、こうした膨大な量の条文を全く新しい平仮名口語体で書き上げるには、能力と根気に加えて、相当の気合いを必要とする。その意味で今回、法務省が並外れてモチベーションの高い立法担当官の人々に恵まれたことは、歴史的にみて実に幸運であったということである。
 ただ一方で、これは大学で授業をしてみての感想であるが、今回の会社法の条文を日本語として読むことだけでは、実際のイメージをつかむことは難しい上、その内容も良く理解できないと思われることである。
 ・・・・・
 会社法は、本書刊行の直後に施行される。会社法が成功するかどうかについては、正直なところ未知数である。今後、実務でのさまざまな経験を通じて、数年後、あるいはさらにその先になってから、歴史が答えを出してくれることになるだろう。」

私が旧商法会社編で疑問に思っていたことは、会社における意思決定のメカニズムにおいて、条文から読み取れる内容と実態とが大きくかけ離れていたことです。
条文を読むと、株主総会が頂点にあり、株主総会で選出された取締役が取締役会を形成し、そこで選任された代表取締役が業務を執行します。取締役会はまさに代表取締役の職務を取り締まります。
一方実態はというと、社長(代表取締役)が取締役を選任し、株主総会はそれを追認するだけであり、取締役会は社長のイエスマンたちの会合にすぎません。取締役が社長にたてついたら、「誰のお陰で取締役になれたと思っているんだ」の決まり文句で追放されるだけです。
このように法の精神と実態とが乖離していたら、法が予定する企業統治などできるはずがありません。このような点に関し、新会社法がどのように変化したのかを知りたかったのですが、そこまで踏み込むとやはり「入門」ではだめなようです。

しかし、会社法入門によると、今回の会社法の条文は読みづらいらしいので、やはり適切な解説書を入手しないことには理解は難しそうです。
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優先権の効果・まとめ

2006-05-25 00:06:44 | 知的財産権
ピジョン事件写ルンです事件も、以下のような点で同じ状況でした。
《優先権主張出願Yの特許請求の範囲に記載された発明Aは、先の出願Xにも記載されている。
出願Yではじめて記載された実施例a2がある。
XとYとの間の先願に、実施例a2が記載されている。》

ところが結論は相違し、ピジョン事件では優先権の効果が認められず、写ルンです事件では優先権の効果が認められました。
このような判断の相違を統一的に説明できるのかどうか。

パテント誌4月号で田辺徹先生は、特許権の本質について専用権説、排他権説、専権説を挙げ、このような観点から議論されました。私もこの議論を理解しようと努めましたが、やはりどうもよくわかりません。

ここは自分流に考えるしかなさそうです。
前報でも書いたように、「特許請求の範囲の記載を変えずに、実施例を追加した場合、実施例追加によって特許の権利範囲が実質的に拡張するようであれば、優先権の効果は認められない。実施例を追加しても特許の権利範囲が実質的に変わらないのであれば、優先権の効果は認められる。」のように考えると、何となく納得できます。

あまりまとめになりませんでした。
パテント誌4月号の田辺徹先生のご意見は異なります。49ページ右欄中程で、「アメリカのmeansクレーム解釈のように、本願発明1の「伸張部」を限定解釈して、たとえば螺旋形状の実施形態は先の出願に記載された環状の実施形態の均等の範囲外であるという理由で、「超える」部分があると判断できたかもしれない。しかし、本判決では、「超える」と結論するために、このような限定解釈をする論理展開をしていない。」とし、「二重特許(とくに権利者が異なる場合の二重特許)を避けるという特段の事情があると判断したからであろう」とし、「特段の事情とは、共通する実施例による二重特許であると考えるほかない」と論じておられます(49ページ左欄上1/3、中程)。
ただ、私は田辺先生の議論が良く理解できなかったので、これ以上は踏み込みません。

このブログをご覧になっている諸兄のご意見をいただければ幸いです。

一所員さん、上記の私の理解は、あくまで私の私見です。田辺先生の議論も踏まえ、考えるきっかけにしてください。

もう1点、ピジョン事件の後、「実施例補充型の優先権出願はしてはならないのか」という議論がありました。この点も一所員さんが議論されているポイントです。
私は、「実施例補充型の優先権出願は、今後も利用すべきである」という意見です。

先の出願X(実施例a1)に対して優先権出願Yをなし、特許請求の範囲Aはそのままに、実施例a2を追加します。
出願Yの前にa2が公知となり、あるいは先願が出現するようなことにならない限り、実施例a2を追加することによって権利は強力になります。また、公知例との関係から、実施例a2のみが特許になるということもあり得ます。

もし先の出願Xの前にa2が公知になり、あるいはa2を記載した先願が現れたら、優先権出願の如何にかかわらず特許が得られません。

結局、先の出願Xと優先権出願Yとの間にa2が公知あるいは先願となった場合のみが問題となるのであり、そのようなことにならない可能性の方が高いのです。
また、たとえそのようなことになったとしても、写ルンです事件のように、発明の性格によっては優先権の効果が認められる場合の方が多いでしょう。
ピジョン事件のような事例であれば、いさぎよく補正で実施例a2を削除すればいいのです。ピジョン事件でも、もし出願人が図11実施例を削除すれば、審判で特許が与えられたと思われます。

一所員さんのコメント「ピジョン事件のクレームは、機能的クレームであって、権利範囲の解釈は実施例に限定されると考えてよいのでしょうか?」という点に関しては、今回の事件が侵害事件ではないので、判決の中では何も論じられていません。私としては、このクレームから機能作用的クレームのにおいがし、機能作用的クレームであると考えると良く理解できた、ということです。
今まで日本の裁判所でどのようなクレームが機能作用的クレームと判断されてきたのかという点については、私の以前の発言を参照してください。
ピジョン第1クレームは、上位概念抽出クレームであることは確かでしょう。それが、権利解釈において機能作用的クレームと同じ扱いを受けるかどうか、という点ですね。

一所員さんの最後の議論「改良発明は、被改良発明の技術的範囲に属さないと考えてよいのでしょうか?」については、私も実は疑問に感じている点なのです。
この点についてはあらためて議論したいと思います。
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優先権の効果「写ルンです」事件

2006-05-24 00:04:07 | 知的財産権
[優先権の効果が認められた例]
東京高裁平成16(ネ)1563特許権差止請求権不存在確認「レンズ付きフィルムユニット」事件(裁判所ホームページ
なお、裁判所ホームページでは図面を見ることができませんが、最高裁ホームページの方は図面及び先の出願の明細書を見ることができます。
事件名が長いので「写ルンです」事件と呼びます。

[先の出願X:昭和61年10月17日富士フイルム出願]
 明細書には、下記Yの「構成A~Iを有するレンズ付きフィルムユニット」が実質的に記載されている。
 Yの第3実施例は記載されていない。

[優先権出願Y:昭和62年8月14日富士フイルム出願]
 特許請求の範囲には、「構成A~Iを有するレンズ付きフィルムユニット」が記載されている。構成Fは、「シャッタ手段が操作された後に、未露光フィルムをパトローネ内に巻き込み可能としていること」
 構成Fを実現するための具体的な機構を詳細に記載した「第3実施例」が存在する。

[先願Z:昭和62年1月19日富士フイルム出願の実用新案分割出願]
 Yの第3実施例と同一のの考案について実用新案権が発生している。

出願Yについて特許権が成立しています。富士写真フイルムが特許権者です。1審原告・2審控訴人の3社(大東貿易、ハマ・コーポレーション、フィールテック)は、レンズ付きフィルムユニットを外国で製造し、日本に輸入し、日本で販売しています。3社は、その製品が富士フイルムの上記特許権に基づいて差止されないことを確認する訴訟を提起しました。
3社のロジックは以下のようです。
「優先権出願Yの優先権の効果は認められず、そうとすると先願Zと同一であるから、先後願の関係でこの特許は無効とすべきである。従って3社の行為について富士フイルムは差止請求をすることができない。」
「① 発明の構成Fについて、その構成Fをサポートする実施例は実施例3である。先の出願Xには実施例3が記載されていないので、構成Fは記載されているとはいえない。優先権出願Yではじめて実施例3が記載されたのであるから、構成Fは出願Yではじめて記載されたものであり、優先権の効果は生じない。」
「② 出願Yに記載の実施例3と、先願Zに記載の実施例とは同一である。実施例が同一ということは、先後願の判断における特許請求の範囲の発明が同一であるということであり、先後願の関係で出願Yに係る特許は無効である。」

ここでは、上記①について高裁の判断を検討します。

高裁は以下のように判断します。
《構成Fの意味するところは一義的に明確であって、その技術的意義が詳細な説明を参酌しなければ理解することができない、ということはない。従って、本件発明の要旨を第3実施例記載のものによって認定することは、要旨認定のあり方として相当でない。
フィルムの巻き込み、巻取り、巻き上げ手段に関する構成については種々の周知技術が存在するので、本件発明は当然にそのような周知技術を踏まえているものと解される。その上で、構成Fのように特定し、具体的にどのような構成の装置にするかについては特段の限定はしなかったと解するのが相当である。
第3実施例の機能や効果は、周知技術に比べて格別ではない。第3実施例は、本件発明の要旨の範囲内で、具体的な1態様を示したにすぎない。本件発明は、先の出願Xに記載された第1実施例により十分に裏付けられている。》
 特許権者は「構成G、Hが本件発明の特徴である」と主張しており、そうであれば構成Fについて明細書中に具体的に記載していなかったとしてもうなづけます。
 そして、以上のように発明の要旨を認定した上で、優先権の効果が有効であると認めます。

争点となった発明の構成Fは、特許性を主張する発明の特徴部分ではなかったこと、構成Fを実現するための具体的手段は周知であり、問題の第3実施例も周知技術に比べて格別ではなかったこと、からすると、ピジョン事件のときとは反対に、優先権出願Yではじめて第3実施例が追加されたとはいえ、優先権の効果が認められて妥当だと考えられます。
ピジョン事件では、図11実施例を加えることによって、優先出願Yの発明の要旨となる技術的事項が、先の出願Xの記載範囲を超えると認定されました。機能作用的クレームの権利解釈の観点からも、図11実施例が加わったことで権利範囲が拡大する可能性が大きいです。
一方この写ルンです事件については、第3実施例が入ろうが入るまいが、権利範囲に差が生じることはないと考えられます。判決では、構成Fは特許性の特徴点ではないし、構成Fを実現する具体的手段は周知であるし、第3実施例も周知技術でしかないという認定でした。そうとしたら、明細書中に第3実施例が記載されていなくても、だれかが第3実施例を実施したら出願Yに係る特許権を侵害するという判断になるでしょう。
つまり、第3実施例の有無は権利侵害判断に影響を与えないだろうということであり、その点からも、第3実施例追加の影響を受けずに優先権の効果が認められたことの妥当性がうなずけます。

次回の記事でまとめを書きます。一所員さんのコメントに対する議論も、その中でできればいいなと考えています。
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優先権の効果「ピジョン」事件

2006-05-23 00:00:15 | 知的財産権
[優先権の効果が認められなかった例]
東京高裁平成14(行ケ)539審決取消「人工乳首」事件(裁判所ホームページ
ドキッとする事件名なので「ピジョン」事件と呼びます。

[先の出願X:平成10年10月20日ピジョン出願]
 特許請求の範囲1~3を合成すると、「伸張する伸張部と、この伸張部に隣接して伸張部より剛性のある剛性部が設けられ、伸張部と剛性部が交互に配置されている、人工乳首」が記載されています。
 実施例として、伸張部122である薄肉部が環状に形成されたものが図1に記載されています。これをa1とします。剛性部は123です。図面を各明細書から引用します。

[優先権出願Y:平成11年10月8日ピジョン出願]
 補正した特許請求の範囲は「壁面より肉厚の薄い伸張部が形成され、この伸張部に隣接して、この伸張部より肉厚が厚い剛性部が交互に形成されている、人工乳首」です。この発明をAと呼びます。
 実施例として、先の出願Xと同じ図1(a1)の他、伸張部522が螺旋状に形成された図11が記載されています。剛性部は523です。図11実施例をa2とします。


[先願Z:特願平11-85326(特開2000-271193)平成11年3月29日ジェクス出願]
 厚肉部と薄肉部が交互に配置され、薄肉部16が螺旋状に形成された人口乳首が記載されています。上記a2と同一といえます。


優先権出願Yの特許請求の範囲に記載の発明Aは、先の出願Xにも記載されているといっていいでしょう。ですから
先の出願X:発明A、実施例a1
優先権出願Y:特許請求の範囲の発明A、実施例a1、a2
先願Z:a2が記載されている。
ということになります。

査定不服審判の審決、東京高裁の判決ともに、優先権の効果を認めず、出願Yよりも早い先願Zにa2が記載されていることを根拠に、特許を認めませんでした。

優先権の効果は、優先権出願の特許請求の範囲に記載された発明について、先の出願日に出願されたとして新規性・進歩性・先後願の判断を行います。本件に関しては、優先権出願Yの特許請求の範囲に記載された発明Aは、先の出願Xにも記載されています。先の出願に記載されたと同じ発明Aについて、なぜ優先権の効果が認められなかったのか。この点が非常に理解しがたいので、大きな反響を呼びました。「実施例補充型の優先権出願は無意味なのか」といった議論までなされました。

高裁判決のロジックを簡単に見てみましょう。
《優先権出願Yに係る発明(特許請求の範囲に記載された発明A)が先の出願Xの明細書類に記載された範囲内といえるか、の判断では、
「優先権出願Yの特許請求の範囲に記載された発明の要旨となる技術的事項(①)」と、
「先の出願Xの明細書類に記載された技術的事項(②)」との対比によって決定する。
優先権出願Yの詳細な説明に、先の出願Xに記載されていなかった技術的事項(③)を記載することにより、①が②の範囲を超えることになる場合には、その越えた部分については優先権主張の効果は認められない。》

本件では、図11実施例(a2)が③に該当します。
まず、図11実施例(a2)③(伸張部が螺旋状に形成)は、本願発明Aの実施例に相当します。
そして、a2は、哺乳しやすい、製造しやすいなどの螺旋形状特有の効果を奏します。
《そうすると、a2はa1(伸張部が環状に形成)が奏する効果とは異なる螺旋形状特有の効果を奏するので、a2を優先権出願の明細書に加えることによって、優先権出願Yの特許請求の範囲に記載された発明の要旨となる技術的事項①が、先の出願Xの明細書類に記載された技術的事項②を越えることになるのは明らかであるから、その越えた部分については優先権主張の効果は認められない》とします。

「優先権出願Yの特許請求の範囲に記載した発明Aは先の出願Xに記載されている。実施例a2を追加しただけで、発明Aについての優先権が認められないとはどういうことか。実施例を追加したらいつでも同じ判断となるのか。」という疑問が生じます。

私は以下のように自分の中で整理しました。
実施例a1は伸張部が輪状に配置されています。実施例a2は伸張部が螺旋状に配置されています。そして特許請求の範囲の記載Aは、輪状のa1、螺旋状のa2をともに包含する記載であるといえ、Aはa1、a2の上位概念を抽出したということができます。この「上位概念抽出」は、特許請求の範囲を機能的、抽象的に記載した場合と相通じるところがあります。

もしピジョンの優先権出願Yが、実施例a2を含まない状態で特許になったらどうでしょうか。第三者が螺旋状伸張部の製品(a2)を実施した場合、権利侵害と判断されるでしょうか。たしかに文言上は第三者の製品a2はピジョンの特許発明Aに包含されますが、ピジョンの明細書には実施例a1(輪状伸張部)しか記載されておらず、a1を見た当業者が容易にa2を想到し得るとは言い難いところがあります。そうすると、機能作用的クレームの権利解釈についての私の発言でも述べたように、第三者の製品a2はピジョンの特許発明Aの権利範囲から外れる、と判断される可能性が高いです。
一方、ピジョンの優先権出願Yが実施例a2を含んでいたら、当然のことながら、第三者の製品a2はピジョンの特許発明Aの権利範囲内ということになります。
即ち、明細書中にどのような実施例が記載されているかによって、特許発明Aの権利範囲が変わってしまうのです。

そう考えると、「優先権出願Yで実施例a2を追加したことに起因して、発明Aは優先権の効果を生じない」とした高裁判断がうなずけます。

特許庁での審判段階では、審判官は「明細書から実施例a2を削除したら特許にしてもいい」という心証を示したようです。特許請求の範囲の記載はそのままでです。
この点からも、上記私の整理の妥当性が理解できます。
ピジョン事件と反対の結論となった写ルンです事件について、及びピジョン事件と写ルンです事件の両方を対比した検討については、このあとに発言します。
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優先権主張の効果

2006-05-22 00:13:48 | 知的財産権
特許出願では、国内優先権主張出願をよく利用します。

特許出願(ここでは「先の出願」という。)をした後、その1年以内に、国内優先権主張出願(「優先権出願」という。)を行うことができます。先の出願の記載にさらに新たな事項を記載して優先権出願を行います。先の出願は自動的に取下げになります。
すると、優先権出願のうち、先の出願にも記載した事項については、先の出願をした日に出願したとして、新規性・進歩性・先後願などの判断が成されます。

先の出願は実施例に近い部分のみを請求項に記載した。良く考えたらもっと広い範囲で発明の効果が発揮されることがわかった。そこで、その広い範囲について新たな特許出願を行いたいと考えることがあります。この広い範囲の発明で独立に特許出願を行うとどうなるでしょうか。先の出願を残しておくと、先後願の関係で後の出願が拒絶されてしまいます。かといって、先の出願と新たな出願との間に同じ発明が公知になったような場合、後にした出願は全体として拒絶になってしまいます。

後の出願を国内優先権主張出願とすれば、この問題を解決することができます。優先権出願には、先の出願の狭い範囲の発明と、新たな広い範囲の発明とをともに記載します。
もし先の出願と優先権出願との間に公知発明が出現したとしても、少なくとも先の出願でした狭い範囲の発明については優先権効果が認められ、特許にすることができます。

先の出願において、実施例は一つしか記載しなかったが、特許請求の範囲には広い範囲の発明を記載することがあります。特許はなるべく広い範囲をカバーすべきですから、こういったことはよくあります。1年以内に、その広い範囲の中に入り、より効果的な実施例を思いついたとします。その場合にも優先権主張出願を使うことができます。優先権出願では、特許請求の範囲はそのままにして(もちろん変更してもいいのですが)、実施例のみを追加します。「実施例補充型」と呼ばれています。
例えば、先の出願X、優先権出願Yのいずれも特許請求の範囲に記載した発明がA、先の出願Xに記載した実施例がa1、優先権出願Yに記載した実施例がa1とa2であるとしましょう。

先の出願Xと優先権出願Yの間に出願した先願Zの存在が明らかになりました。その先願Zにはa2が記載されています。
さて、優先権出願Yの特許請求の範囲に記載した発明Aは特許になるでしょうか、という問題です。
もちろん、先願Zではなく、先の出願Xと優先権出願Yとの間に公知になった公知例Pでもかまいません。
発明Aについて優先権の効果が認められれば、出願日はX出願日とされるので、先願Zの存在があっても、優先権出願Yにおける発明Aは特許になるはずです。ところが、優先権の効果が認められなければ、出願日はY出願日とされるので、先願Zの存在に基づいて拒絶になってしまいます。

最近、結論の異なる2つの判決が相次いでされました。
[優先権の効果が認められなかった例]
東京高裁平成14(行ケ)539審決取消「人工乳首」事件(裁判所ホームページ
ドキッとする事件名なので「ピジョン」事件と呼びます。

[優先権の効果が認められた例]
東京高裁平成16(ネ)1563特許権差止請求権不存在確認「レンズ付きフィルムユニット」事件(裁判所ホームページ
事件名が長いので「写ルンです」事件と呼びます。


パテント誌4月号で、田辺徹先生がこの2件を取り上げて論じられています。そこでは、特許権の本質について専用権説、排他権説、専権説を挙げ、各判決がこのうちのどれに該当するか、という観点で議論されています。
そこで、私もこの2つの判決を読み直してみました。

次回以降に、ピジョン事件写ルンです事件両者のまとめのそれぞれについて論じます。
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