知財高裁の案内によると、審決取消訴訟(特実)の進行はA方式とB方式の2種類で行われています。知財高裁の第1~3部はA方式、第4部はB方式ということで、事件がどの部に配点されるかによって方式が定まります。
【A方式】
「訴状 → 答弁書 → 原告準備書面1 → 第1回弁論準備手続期日 → 被告準備書面1 → 原告準備書面2 → 第2回弁論準備手続期日 → 口頭弁論 → 判決言渡し」と進行します。
【B方式】
「訴状 → 原告準備書面1 → 答弁書+被告準備書面1 → 原告準備書面2 → 第1回弁論準備手続期日 → 口頭弁論 → 判決言渡し」と進行します。
ここから下は、無効審判で特許が無効となり、審決取消訴訟が提起された場合について述べます。原告が特許権者、被告は無効審判請求人です。
特許無効審判の審決取消訴訟では、訴状提出から90日以内に訂正審判請求ができます(特許法126条2項)。その場合、裁判所は事件を審判官に差し戻すために審決取消決定をすることができます(特許法181条2項)。
A方式であれば、第1回弁論準備手続期日において裁判官から原告に問いかけ、訂正審判請求を予定しているとの回答であれば、90日経過までまって次の段階に進むことができます。訂正審判が請求され、差し戻し決定が出されるのであれば、結局被告側は被告準備書面1を作成する手間をかけずにすみます。答弁書は提出しますが、どうせ紙1枚で済む答弁書ですから、手間はかかりません。
私が以前特許無効審決取消訴訟に被告代理人として関与した事件がそうでした。結局、差し戻し決定後の2度目の審決で再度無効審決をもらいましたが。
一方B方式では、訴え提起から90日の前に被告準備書面1の提出期限が来てしまいますから、どうしても被告準備書面1を準備せざるを得ません。提出後に訂正審判が請求され、訴訟が差し戻し決定されてしまうと、被告準備書面の作成が無駄になってしまいます。
特許権者(原告)が訂正審判を請求したが、知財高裁は差し戻し決定を出さずに審理を進める場合、これもやっかいですね。
訂正審判は当事者系で、「そのような訂正をしても別の証拠からやはり進歩性がない」という主張を無効審判請求人ができません。訂正が認められてしまう可能性があります。たとえ知財高裁で無効審決を維持する判決(請求棄却判決)が出たとしても、その判決が確定する前に訂正審判請求が認められ確定してしまうとやっかいなことになります。
無効審判で無効審決を勝ち取った審判請求人にとって、審決取消訴訟で特許権者が無効審判請求を行った場合、差し戻し決定をもらわない方が有利なのかもらった方が有利なのか、よく分かりません。
【A方式】
「訴状 → 答弁書 → 原告準備書面1 → 第1回弁論準備手続期日 → 被告準備書面1 → 原告準備書面2 → 第2回弁論準備手続期日 → 口頭弁論 → 判決言渡し」と進行します。
【B方式】
「訴状 → 原告準備書面1 → 答弁書+被告準備書面1 → 原告準備書面2 → 第1回弁論準備手続期日 → 口頭弁論 → 判決言渡し」と進行します。
ここから下は、無効審判で特許が無効となり、審決取消訴訟が提起された場合について述べます。原告が特許権者、被告は無効審判請求人です。
特許無効審判の審決取消訴訟では、訴状提出から90日以内に訂正審判請求ができます(特許法126条2項)。その場合、裁判所は事件を審判官に差し戻すために審決取消決定をすることができます(特許法181条2項)。
A方式であれば、第1回弁論準備手続期日において裁判官から原告に問いかけ、訂正審判請求を予定しているとの回答であれば、90日経過までまって次の段階に進むことができます。訂正審判が請求され、差し戻し決定が出されるのであれば、結局被告側は被告準備書面1を作成する手間をかけずにすみます。答弁書は提出しますが、どうせ紙1枚で済む答弁書ですから、手間はかかりません。
私が以前特許無効審決取消訴訟に被告代理人として関与した事件がそうでした。結局、差し戻し決定後の2度目の審決で再度無効審決をもらいましたが。
一方B方式では、訴え提起から90日の前に被告準備書面1の提出期限が来てしまいますから、どうしても被告準備書面1を準備せざるを得ません。提出後に訂正審判が請求され、訴訟が差し戻し決定されてしまうと、被告準備書面の作成が無駄になってしまいます。
特許権者(原告)が訂正審判を請求したが、知財高裁は差し戻し決定を出さずに審理を進める場合、これもやっかいですね。
訂正審判は当事者系で、「そのような訂正をしても別の証拠からやはり進歩性がない」という主張を無効審判請求人ができません。訂正が認められてしまう可能性があります。たとえ知財高裁で無効審決を維持する判決(請求棄却判決)が出たとしても、その判決が確定する前に訂正審判請求が認められ確定してしまうとやっかいなことになります。
無効審判で無効審決を勝ち取った審判請求人にとって、審決取消訴訟で特許権者が無効審判請求を行った場合、差し戻し決定をもらわない方が有利なのかもらった方が有利なのか、よく分かりません。