弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

PCT出願と日本指定除外

2006-03-08 00:12:42 | 知的財産権
特許庁の発表によると、PCT国際出願の日本指定の除外が、今年4月からPCT願書でできるようになるのですね。

現在は、PCT出願段階でみなし全指定され、自動的に日本も指定国に入ります。日本出願を優先権基礎としてPCT出願した場合、このままですと、基礎出願が自動的に取り下げられてしまいます。そうしたくない場合、現在であれば、出願とは別に指定取下げ書を提出する必要がありました。

PCTにみなし全指定が導入された当初から、ドイツ、韓国、ロシアについては、指定を除外するチェックボックスが願書についていました。ここにチェックを入れれば、当該国については最初から指定除外されます。
なぜ日本についてはこのようなチェックボックスが用意されなかったのか。特許庁の説明では、このチェックボックスは上記各国の国内法が整備されるまでの経過措置であるとしていました。日本については、みなし全指定で基礎出願がみなし取下げされる制度でかまわないとの判断から、経過措置の適用を受けなかったということです。
ずいぶんと不便なことにしてくれたな、と不満を感じていました。

今年4月からは、ドイツ、韓国、ロシアに並んで、日本の指定を除外するチェックボックスが登場するようですね。
日本は、みなし全指定に伴う国内法の改正の予定はありません。従って、今回の措置は、決して経過措置ではないということになります。
ユーザーの不満の声に耐えかね、恒久措置としてこのようなPCT規則の改正がなされたのでしょうか。今回の改正に伴い、チェックボックスが増えるのは日本だけなのでしょうか。

日本出願を優先権基礎としてPCT国際出願を行った場合、日本出願をどちらで行くか思案しなければなりません。PCT出願を利用する場合、別途国内書面を提出して16000円を払わなければなりません。一方、PCT日本語出願をした場合、審査請求料が異なります。通常の日本出願であれば20万円前後かかる審査請求料が、PCT出願を利用すると12万円程度にまで下がります。国内書面提出時の弁理士手数料さえ安ければ、PCTを利用した方が安く上がります。
どちらを選択するか、出願人に決めてもらわなければなりません。
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