弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

笹子トンネル事故の調査状況

2013-03-31 13:11:26 | 歴史・社会
笹子トンネル天井板落下事故に関しては、その後の原因調査結果がどのように発表されるのかとずっと注目しているのですが、ほとんどニュースが流れてきません。3月27日にやっと、調査結果が発表されたようなのですが、新聞ニュースを読んだところでは詳しいことが何もわかりません。たとえば以下のようなニュースです。
笹子トンネル天井板、固定用接着剤劣化で崩落か
読売新聞 3月27日(水)21時23分配信
『山梨県の中央自動車道・笹子トンネルの事故で、国土交通省の調査検討委員会は27日、天井板をつり下げるアンカーボルトを固定する接着剤が劣化し、天井板が崩落した可能性が高いとの見方を明らかにした。
長年、荷重がかかり続けたことが原因とみられる。同省では、「接着系アンカー」を使用した同構造のトンネル13か所について、天井板撤去などを要請する。
同トンネルでは区間により1・7~3・5トンの3種類の重さの天井板が使われ、崩落現場は最も重い3・5トンの板が使われていた。
調査検討委が、残っていたアンカーボルト183本の強度を調べたところ、最も重い板の区間では、平均2・2トンの力で引き抜ける状態で、他の区間の平均2・8トンに比べて低かった。』

ひょっとすると国土交通省のホームページに調査結果が掲載されているかもしれないと思い、調べてみたらありました。
国土交通省ホームページに中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故関連情報というページがあり、その中のトンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会に資料がアップされていました。
そこで、あれこれ読んでみたのですが、この資料がまた、読んだだけでは内容を把握できない大雑把な資料でした。いわゆる、パワーポイント的(昔風にいえばOHP的)資料で、「結論だけを見せるから取り敢えずそういうもんだと理解しておいてください」というもので、その論理展開過程を詳しく追いかけようとするとまるっきり不可能なのです。
今回はその中から、
第4回(2013年3月27日)配布資料中の
資料5-1 引抜き抵抗力試験結果
資料5-2 引抜き抵抗力試験の分析
第2回(2012年12月21日)配布資料中の
資料3 吊り天井板の構造設計
をピックアップして、できる範囲内で調査結果を解釈してみたいと思います。

まず、第2回(2012年12月21日)資料3 吊り天井板の構造設計中から拾います。
4ページ「①トンネル各部の名称(2)」には天井版の吊り下げ構造の図面が載っています。この図面から、
・アンカーボルトは、600mm間隔で2本1組のボルトがトンネルに打ち込まれている。
・天井版の幅は1200mm
ということがわかります。
6ページ「④S,M,Lの3断面の概要図」にあるように、笹子トンネルの断面構造は場所によってS断面、M断面、L断面の3種類に分類されます。天井板崩落が起こったのはL断面の箇所でした。
8ページ「⑥天井板設計の確認(建設当時の材料定数、SI単位に換算表記)」には、アンカーボルト(φ16)について以下のように記載されています。
 付着強度:8N/mm2
 アンカーボルト径:16mm
 有効埋め込み長:114mm(130‐16=114)
10ページ「⑧設計荷重と耐力(当初設計を再現して確認し、SI単位に換算表記)」には、アンカーボルトの引き抜き力に関する数値が記載されています。
 作用荷重:12.2kN/本
 コンクリート破壊:48.8kN/本(安全率4.00)
 接着剤部分からボルトが引き抜け:52.2kN/本(安全率4.27)
 アンカーボルト自身が破断:38.4kN/本(安全率3.14)

まず、上記「作用荷重:12.2kN/本」がどういう意味の数値なのか確認しようとしました。しかし、資料には天井板の重さが記載されていません。そこで、冒頭のニュース中の「同トンネルでは区間により1・7~3・5トンの3種類の重さの天井板が使われ、崩落現場は最も重い3・5トンの板が使われていた。」に依拠し、3.5トンとしました。そして、左右2枚の天井板(各3.5トン)のそれぞれ半分の荷重を、中央部で支えていますから、中央部の負担する荷重は3.5トンということになります。そして、天井板の幅1200mm、ボルト間隔600mmですから、左右1組の天井板を中央の4本のボルトで支えていることとなり、ボルト1本当たり0.88トンの負荷です。単位換算において、
  1N=0.11kgf
ですから、0.88トン=8kNと計算されます。
この数値は、上記資料中の「作用荷重:12.2kN/本」に近い数値であることから、この「作用荷重」が、天井板の静荷重に近い数値であることが裏付けられました。

次に、アンカーボルトの接着剤強度です。資料の別のところに、アンカーボルトを挿入するコンクリートの穴径が19mmと記載されていました。そこで、接着剤は上記「有効埋め込み長:114mm」に被着し、接着剤有効周長はπ×19であるとし、「付着強度:8N/mm2」を用いて計算してみました。
 接着剤強度=付着強度×有効長さ×有効周長=8×114×19×π=54.4kN
この数値は、資料中の「接着剤部分からボルトが引き抜け:52.2kN/本」とだいたい等しい数値となりますので、52.2kN/本がこのような論拠で定められたのであろうことがうらづけられました。

次に、第4回(2013年3月27日)資料5-1 引抜き抵抗力試験結果です。
2ページによると、合計185箇所のボルト引き抜き抵抗力を評価しています。3ページにその評価方法、4ページに評価結果のまとめが記載されています。まとめでは、測定された引き抜き抵抗力を3ランクに分けています。
Aランク:引き抜き抵抗力40kN以上 → 全体の38%
Bランク:引き抜き抵抗力12~40kN → 全体の53%
Cランク:引き抜き抵抗力12kN未満 → 全体の9%

4ページには「笹子トンネル(上り線) 引抜き抵抗力試験結果一覧(平面図)」が掲載されており、トンネル内で、A~Cランクがどのように分布していたかを知ることができます。この図によると、天井板崩落が起きたのはL断面の領域内であり、この区間において、Cランクの発生比率が極めて高いことが明らかです。

18ページ「10.L断面(東京側)のボルト引抜き抵抗力Cランクの傾向」には、落下区間の隣接区間について、Cランクの発生頻度と、細かい区間ごとの平均引き抜き抵抗力が示されています。最も劣化している区間が2区間あり、それぞれCランク発生率が50%、平均引き抜き抵抗力が12.0~14.1kNです。

さて、調査報告では、今回の引き抜き力調査結果を踏まえた上で、「天井板落下はどのようなメカニズムによって発生し得るのか」という点に関しては何も表明していません。そのような評価については、トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会自体が今後検討していくというスタンスなのでしょうか。
そこで、私自身が簡単に検討してみることとしました。

アンカーボルトは、2個一組で並んでいます。一組の2個がたまたま両方ともCランクであったら、この一組は天井板を支えることができず、自分の役割を放棄することとなります。そして、引抜き抵抗力試験結果12ページの図面にあるように、ボルトが2mmほど引き抜かれたところで抵抗力は最大の12kNを示したとしても、さらに引き抜かれるとともに抵抗力は低下し、4mm引き抜き時点では5kNまで低下してしまいます。つまり、一度抵抗力を失ったら、そのボルトはもはや役に立たないのです。
そうすると、役に立たないボルトが分担していた荷重は、そのボルト近辺の別のボルトが受け持つことになります。どのような受け持ちになるのか、その詳細は、ボルト周辺の上部CT鋼、天井板周辺の下部CT鋼の変形挙動を計算しなければ算出できません。ここでは、最も苛酷な前提として、「役に立たなくなったボルト組の前後のボルトが引き受ける」という仮定を置きましょう。すると、前後のボルトは、自分の役割に引き抜かれたボルトの役割の半分を負荷するので、負荷が1.5倍に増えます。もしもこのボルトの引き抜き抵抗力が18.3kN(=12.1×1.5)以下であったら、このボルトも耐えることができません。そして、今回の調査結果では、上記のとおり、区間によっては平均引き抜き抵抗力が12.0~14.1kNなのですから、たまたま引き抜かれたボルトに隣接するボルトの抵抗力ががいずれも18.3kN以下であることは十分にあり得ます。
そして、隣接するボルトまで抜けてしまったら、さらにそのとなりのボルトには一層大きな荷重がかかることになり、あとは、たとえ十分な引き抜き抵抗力を有しているボルトであっても、とても荷重を支えることはできなくなるでしょう。

こうして考えると、今回のボルト引き抜き抵抗力調査結果を踏まえ、天井板崩落事故は起こっても何ら不思議はないことが推定できます。
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日経新聞「大機小機」

2013-03-27 20:32:32 | 歴史・社会
日経新聞朝刊の17ページに、「大機小機」というコラム欄があります。執筆者は日によって異なるようで、特にアベノミクスの評価については執筆者によってニュアンスが異なります。

2月16日の日経朝刊に載った「大機小機」ですから、もう1ヶ月も前の古新聞になりますが、アベノミクスの評価について印象に残ったのでメモしておきます。「桃季」氏の執筆です。
『政権交代後2ヶ月間の日本経済の動向は、マクロ経済学の進歩によって理論的には明らかになっていた、信頼される期待が経済に与える影響の大きさを実証した、世界経済史に残る事例である。インフレ目標政策の正しさはこれだけで十分証明されたと言ってよい。』
○ 株高による時価評価での資産増加のために企業収益はかさ上げされ、第4四半期ではフルに貢献する円安効果で税増収は相当大きな額になる。
○ 株式評価益はキャッシュフロー(現金収支)を伴わないから、納税資金需要も増えて銀行貸し出しは増加する。
○ 銀行も利益の上がっている企業には貸し出すからマネーサプライも自動的に増加する。
○ 累積損失の引当のために税金支払いが滞っていた銀行の納税にもつながる。
○ 景気が回復すれば、累進課税のため税収は国内総生産(GDP)の増加以上の率で増える。
『財政再建は既に始まったのである。』

『経済は先を見て動く。利益が見込めれば節税目的の経費支出も増加し、人材獲得競争も起きて政府が要請せずとも給与もおのずから上がる。この好環境を生むのがインフレ目標である。今後は2%目標の達成時期と日銀の責任を明示した、期待を裏切らない世界標準の実行あるのみである。20年間のデフレで失った400兆円のGDPを取り戻す動きが始まっている。』

アベノミクスのうちの金融緩和が、実は財政再建にも有効であるという点を解釈するコンパクトな記述と思いました。


次に、3月23日の「大機小機」は、「恵海」氏の執筆です。
『過去5年間、日本の金融政策は世界の主流経済理論とは異なったものだった。
・・・
この結果、日本では20年もの間デフレが継続し、国民は雇用環境悪化と低所得に、企業は円高と低収益に苦しんだ。』
(黒田体制が)『即座に実行すべきは、①長期国債の保有を銀行券の発行残高以下に抑えるという銀行券ルールの廃止、②資産買い入れ基金を廃止し資産勘定に統合、③国債の月間買い入れ額を3~4兆円に増加、④期日落ち分はすべて購入、⑤非伝統的資産の購入拡大--などだ。』

世界の投資家らは、日本の経済政策が科学性に立脚し、世界の主流と同様になれば一段と投資を増加させると語っているそうです。逆に、世界の投資家らは、これまでの日本の経済政策は科学性に立脚していなかった、と評価していたことになります。
また、上記①は、バーナンキ氏が10年前に提案していたことですね(ベン・バーナンキ著「リフレと金融政策」)。


ところで、白川総裁が退任時の記者会見で
『「期待に働き掛ける」という言葉が、「中央銀行が言葉によって、市場を思い通りに動かす」という意味であるとすれば、そうした市場観、政策観には、私は危うさを感じます。』
と発言したそうです。この発言をもって、マスコミは「日銀:白川総裁が退任会見 リフレ政策に懸念の発言」(毎日新聞)などと報道しています。上記発言から明らかなように、白川総裁は「・・・であるとすれば」と仮定の話をしているのです。この仮定が黒田路線に当てはまるかどうかの検証はなしです。ここでも報道のいい加減さが見えています。
去年11月、自民党安倍総裁が発言した金融緩和について、日銀白川総裁の記者会見で記者が質問し、白川総裁は「安倍氏の発言は知らない」とした上で、「日銀による直接引き受けはやってはならない」と発言しましたた。これをマスコミは「日銀の白川総裁が安倍発言を批判した」と報道したのです(安倍さんの政策は?維新の会の政策は?)。このとき実は、安倍総裁は「直接引き受け」とは発言していませんでした。
今回も同じ構図ですね。


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陸山会事件・秘書3人に対する控訴審判決

2013-03-24 10:14:35 | 歴史・社会
郷原信郎が斬る
「刑事裁判の絶対権力者」による「ざまあ見ろ」判決の傲慢
投稿日 2013年3月19日
『3月13日、石川知裕衆議院議員など小沢一郎氏の秘書3人に対する政治資金規正法違反事件について、東京高裁(飯田喜信裁判長)は、弁護人の控訴を棄却し、一審の執行猶予付懲役刑の有罪判決を維持する判決を言い渡した。』

郷原氏によると、この控訴審判決は全くもってひどい内容になっているようです。

この裁判の地裁判決については、11年10月に「陸山会事件判決」として記事にしました。この中で書いたように、郷原氏は地裁判決について『まあその結果は本当に、ここまで大きく軌道を外れた、この種の事件の刑事裁判史上あり得ない、画期的な判決だと思いますよ。すごい。どうしてこんな判決がまともな裁判官によって出されるのかというくらい、すごい判決ですね。』と評価しました。どこがどう凄いのか、なぜそうなってしまったのか、については上記記事を参照してください。

だとしたら、控訴審では間違いなく原判決が破棄されるはずです。そころが蓋を開けてみたら、逆に控訴が棄却されてしまったのです。

陸山会事件は、小沢一郎氏を被告とする裁判と、石川知裕氏ら秘書3人を被告とする裁判が別々に進行しています。このうち、小沢一郎氏を被告とする裁判では、昨年11月12日に控訴審判決(小川正持裁判長)が出されました。一審の無罪判決が維持されただけでなく、一審判決は認めていた小沢氏の秘書3名の虚偽記入の犯意や、4億円の銀行借入れ、定期預金担保が隠蔽の意図によるものであったことも否定する判断が示され、この事件の捜査で検察が前提にした事件の構図そのものが否定されたのです。この流れでいったら、別事件である秘書3人に対する控訴審では、慎重な見直し判断が行われるであろうと誰しも思ったはずです。

しかし、その後開かれた秘書3名の控訴審第一回公判で、裁判所は、弁護側の証拠請求を情状関係を除き全て却下し、事実関係に関する審理は一切行わず結審しました。控訴審裁判所が、一審の事実認定を見直す気が全くないことがこの時点で明らかになったわけです。

『しかし、驚いたのは判決文の内容だった。一審判決が「論理則、経験則に違反しない」と念仏のように繰り返しているだけで、何の根拠も示しておらず、小沢氏控訴審無罪判決での認定や指摘は、殆ど無視しているに等しい。』(郷原氏)

今回、秘書事件の控訴審判決を出した飯田喜信裁判長は、なぜこのような判決を出すに至ったのでしょうか。
小沢氏を被告とする控訴審は小川正持裁判長です。そして、飯田裁判長と小川裁判長とは、東電OL殺人事件裁判において因縁の二人だったのです。東電OL殺人事件については、昨年11月に「東電OL・再審無罪確定」として記事にしました。東電OL事件での最大の問題点は、控訴審において逆転有罪判決を出したことだと思います。そのことが、今回の陸山会事件控訴審判決に影響しているというのです。

『今回、秘書事件の控訴審判決を出した飯田喜信裁判長は、東電OL事件の逆転有罪判決を出した裁判部の裁判官の一人であり、しかも、主任裁判官として勾留決定においても判決においても中心的な役割を果たしたとされている。裁判長だった高木俊夫氏は既に死亡しており、再審開始、再審無罪判決が確定し、ゴビンダ氏の冤罪が明らかになった今、「一審無罪になった被告人を勾留し控訴審の逆転有罪判決を出して無実のゴビンダ氏を15年にわたって服役させた冤罪裁判官」としての汚名を(飯田氏が)一身に背負うことになった。』(郷原氏)

飯田裁判長にこのような屈辱を与えることになった東電OL事件の再審開始決定、再審無罪判決を出したのが、同じ東京高裁の小川正持裁判長の裁判部でした。同じ東京高裁の小川裁判長の裁判部が、再審開始決定で異例とも思える踏み込んだ判断を下し、冤罪であることを積極的に明らかにしたのです。

『飯田裁判長は、小川裁判部に対しては、内心「恨み骨髄」だったのではないか。』

郷原氏は、小沢氏に対する小川判決と秘書3人に対する飯田判決とを対比し、「秘書事件判決の石川氏の犯意と隠蔽の意図についての判示が全く理由になっていないことは明らかである」としています。
『所有権移転登記が延期された経緯や、それについての石川氏の認識等について小沢氏控訴審判決では様々な証拠に基づいて緻密な事実認定をしているのに、秘書控訴審では、その点について、小沢氏控訴審判決が根拠とした証拠を検討しようとすらしなかったのだ。』
『小沢氏事件の公判で石川氏の犯意や隠蔽の意図を否定した小川裁判部に「喧嘩を売っている」としか思えない。』(郷原氏)

『日本の刑事裁判は、三審制とは言え、上告理由は、憲法違反、判例違反等に限られており、事実認定、法律適用については、事実上控訴審が最終判断であり、その当否が上告審で見直されることは殆どない。こうした日本の刑事裁判の現実の下では、控訴審の裁判長を務める高裁部総括判事というのは、まさに「刑事司法の絶対権力者」なのだ。』(郷原氏)

恐ろしいことです。その「刑事司法の絶対権力者」が、常に良識に基づいて審理し判断してくれればいいのですが、もしも個人的な感情に基づいて行動し、いい加減な判断をする高裁裁判長がいるとしたら・・・。

特許権の侵害訴訟においても、地裁で妥当でない判決が出された場合、当然ながら知財高裁での控訴審で十分な審理を行ってもらい、まっとうな控訴審判決を出してもらえるものと信じています。ところが場合によっては、控訴審でまともな審理がなされない場合があり得るということでしょうか。

石川氏は即日上告しました。憲法違反、判例違反等の上告理由はなくても、高裁の二つの判決で同一の事実についての認定・評価が真っ二つに割れているのですから、郷原氏は『「原判決を破棄しなければ著しく正義に反する」事由が問題になることは明らかだ。』といいます。ぜひ最高裁はこの事件を取り上げ、事実審理を行った上で裁判所としての最終判断を示して欲しいものです。
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花粉症対策メガネ

2013-03-22 21:34:04 | Weblog
私は、1年前に花粉症を発症しました。昨年3月29日に「花粉症デビュー」で書いたとおりです。読み直してみると、去年はまず2週間ほど鼻水が出て、それから3月末に目のかゆみが出たとあります。
それに対して今年は、まず目のかゆみから始まりました。鼻水はさほどではありません。
目に対する入ってくる花粉からどのように防護するのか。
私は冬山用のサングラスを持っていまして、そいつは横から目に入ってくる紫外線を防止するため、両側に革製のガードがついています。下の写真です。まずはこのサングラスとマスクを用いての花粉症対策です。

私のサングラスで隙間が空かない理由のひとつは、メガネの鼻パッドが低いことです。そのため、目頭側についてはメガネそのものが顔に密着しており、隙間がないのです。そのため、側面の革ガードと相まって眼球を外界から遮断する機能は万全なのですが、如何せんこのスタイルではがらが悪すぎます。そこで花粉症メガネを探し始めました。

近くのめがね屋さんに行って、花粉症メガネを見せてもらいました。いくつも置いてあり、いずれも透明の風防で外気を遮るタイプなのですが、どれも風防と顔面との間に隙間が空いてしまいます。上のサングラスの方がよほどピタッと来ます。
そのため、めがね屋さんでの購入は止めました。

アマゾンで検索すると、いろいろと出てきます。その中に、下の商品がありました。
花粉症めがね 目マスク (Lサイズ) 花粉・紫外線からの目の保護、防塵・花粉対策。メガネに付けるだけ花粉防止インナーゴーグル
クリエーター情報なし
株式会社プラネット・ビジョン60
これなら、度のついた自分のメガネをそのまま花粉症メガネに変身させることができそうです。使い勝手は全くわかりませんでしたが、とにかく購入してみることとしました。

私のメガネに装着した状況が下の写真です。

メガネに装着した風防と顔の曲線とが合致せず、側面側に隙間が空いています。その点では不完全ですが、ないよりはずっとましでしょう。現在、外出するときは必ずこのメガネをかけています。効き目についてはわかりません。少なくとも、歩いていて目がかゆくなることはありません。恐らく効いているのでしょう。

しかし、去年花粉症になったばかりの初心者である私がここまで防備をしているのに、町で見かけるマスクをしている人で目を本格的に防備している人はまったく見あたりません。そこがよくわからないところです。
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ベン・バーナンキ著「リフレと金融政策」

2013-03-20 15:10:48 | 歴史・社会
リフレと金融政策
ベン・バーナンキ 著/高橋洋一 訳
日本経済新聞社

この本が発行されたのは2004年1月です。著者のベン・バーナンキは、その時点でアメリカFRBの理事になっていましたが、議長に就任するのはこのあと(2006年)です。
翻訳はあの高橋洋一氏です。バーナンキはFRBの理事に就任する前、プリンストン大学の経済学部長でした。そのとき、高橋氏はプリンストン大学に留学しており(1998~2001)、バーナンキ氏と親交を結んでいたのです。
本の内容は、バーナンキ氏の講演を高橋氏が訳出したものです。
《目次》
1.デフレ--アメリカで「これ」が起きないようにするためには
2.インフレ目標の展望
3.インフレの好ましくない下落?
4.ミルトン・フリードマンの90歳の誕生日を祝して
5.日本の金融政策に関するいくつかの論考
解説① バーナンキ理事入り後のFRB 日経新聞・吉次弘志
インタビュー バーナンキFRB理事に聞く
解説② バーナンキの業績と各章の解説 高橋洋一

私がアマゾンで購入したのが2009年8月でした。発行から5年も経過しているのに、私が入手したのは第1版第1刷でした。よほど売れなかったのでしょう。
その後、しっかりと読んだ記憶はなく、内容も全く覚えていません。今回、「5.日本の金融政策に関するいくつかの論考」と、解説①、インタビュー、解説②を読んでみました。

「5.日本の金融政策に関するいくつかの論考」は、2003年5月に日本金融学会で講演した講演録です。
以下のような内容となっています。
○ 日本は、5年にわたってデフレ基調にある。この期間に、GDPデフレーターは9%近く下落し、民間消費デフレーターは5.5%落ち込み、賃金と給料は4.5%下がった。
○ 日本の物価指数には測定バイアスが存在しており、長期的な真の物価安定を達成するためには測定値で見れば、少なくとも1%のインフレ率が必要である。
○ すでに5年間の物価下落があった。この5年が適切なインフレだったとしたときの適正物価よりも大きく下落しているので、今後のインフレ目標は1%よりも高くしないと、あるべき物価に追いつかない。そこで当初は、インフレ率目標ではなく「物価水準目標」を掲げ、あるべきだった物価に追いつくべきである。これを政策の「リフレ期」と名付ける。
○ 上記リフレ期には、通常のインフレ目標よりも高い短期的インフレ率を必要とするので、懸念を抱くだろう。しかし心配には及ばないとバーナンキ氏は説明する(128ページ)。
○ 日本のデフレを収束させるひとつの可能なアプローチは、限られた時間ではあるが、金融及び財政当局間の政策協定・協力関係を強化することだ。具体的には、日本銀行は、望むらくは減税その他の財政刺激との明示的な連携をとって、国債の買い入れをさらに一段と増やすことを検討すべきだ。
○ 日銀幹部は、上記金融緩和によって日銀のバランスシートが毀損することを心配しているが、心配には及ばない(130ページ以降で説明)。
しかし、日銀の懸念を取り除く提案をする。日銀の保有する日本国債の金利を固定金利から変動金利へ転換すればよい。このようなボンド・コンバージョン(金利スワップ)さえあれば、国債の売買でどのような副作用が出ても日銀のバランスシートは十分に守れる。
○「本日私は、デフレを終息させて日本経済の再スタートを支援するために、従来とは異なったアプローチをして、日本銀行が一時的に政府と協力して金融および財政の一体的な緩和政策の環境を作り上げることを提案します。これを行うためには、日銀は自らが設けたルール--たとえば、バランスシート上の長期国債額を発行した日銀券の流通残高以下に抑えるという非公式ルール--を撤廃する必要があるでしょう。」(134ページ)
○「日本財政の悲惨な状態を考えると、減税の勧めは無責任なことではないか? その反対です。」(138ページ)
○ 日本銀行の独立性の重要さ
インフレに直面したとき、独立した中央銀行が政府に「ノー」といえる能力が重要である。しかし、長引くデフレのもとでは、中央銀行側のより協力的なスタンスが求められる。現状では、日本銀行と財政当局の当面より一段の協力は中央銀行の独立性と決して矛盾するものではない。
『財務省が日銀のバランスシートを金利リスクから保護し、代わりに日銀が国債の買い入れを増額するというやり方は、日本で進行中のデフレを撃退するよい方法であると私は本実主張してきました。私は、すでに指摘した点--消費者物価のデフレの終息は日本経済を完全回復の軌道に戻すためになすべきことの一つでしかないと言うこと--を繰り返すことでお話を締めくくりたいと思います。銀行システム改革と構造改革は決定的に重要なことであり、できるだけ早急かつ積極的に実行される必要があります。しかし、改革の重要性については議論の余地がないとはいえ、デフレは日本の全体的な問題のマイナーな部分に過ぎないと主張する人々に私は同意できません。デフレ問題への取り組みは、日本経済にとって現実的かつ心理的に大きな利益をもたらすでしょうし、デフレを終息させることは、日本が現在直面しているその他の問題の解決をその分だけ一層容易にするでしょう。日本経済のみならず世界経済のためにも、これらすべての点で早急な前進がなされることを私は望むものであります。』(140ページ)

高橋氏の「解説②」によると、バーナンキ氏は上記金融学会での講演後、控え室で高橋氏と二人きりとなったとき、「金融政策と財政政策が協力するのは中央銀行の独立性に反しない。これは本当に簡単で確実な効果がある。日銀が『できないことばかりだ』というのは不思議だ」と語りました。バーナンキ氏はむしろ、日銀ができることをやらないと本来の独立性すら維持することが危うくなるといいたかったのではないだろうか、というのが高橋氏の推測です。

こうして、バーナンキ氏が10年前に講演した内容を読んでみると、「今言われているような」錯覚にとらわれます。安倍首相が日銀に要求し、白川日銀がしぶしぶ受け入れた現在の金融政策というのが、まさにそのまま、10年前にバーナンキ氏が日本に対して提案していた政策なのでした。
この10年間、バーナンキ氏と同じ主張・提案をしていた日本の専門家はごくわずかでした。マスコミに至っては完全無視でした。
それが、安倍首相が強力に推進し、それに呼応してマーケットが円安と株高で応えるに至ってはじめて、専門家やマスコミも囃すようになったのでした。

バーナンキFRB議長は最近、安倍首相による日本の金融政策に賛同する証言をしましたが、それもそのはず、「10年前に私が提案したことが実行されているに過ぎない」ということなのです。
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開戦暗号「ヒガシノカゼ、アメ」

2013-03-13 21:57:16 | 歴史・社会
3月7日の朝日新聞朝刊1面は以下の記事でした。
「ヒガシノカゼ、アメ」 外交文書に真珠湾奇襲時の暗号
朝日新聞デジタル 3月7日(木)11時57分配信
『日米や日英関係の緊迫を知らせる暗号「ヒガシノカゼ、アメ」や「ニシノカゼ、ハレ」――。1941年の真珠湾攻撃の際、気象情報を装った暗号を海外向けラジオで放送したと当時の日本の担当者が認めていたことが、7日に外務省が公開した外交文書で判明した。真珠湾奇襲を許した米側が、暗号発信の経緯を熱心に調べた様子もうかがえる。
「ヒガシノカゼ」が日米関係が緊急事態に陥った際に放送される暗号だったことはこれまでも米側の資料などで示されているが、今回、戦後の米側の聴取に対し、日本当局者がこうした暗号を実際に放送したと認めた文書が公開された。
真珠湾攻撃をめぐる暗号電文では、攻撃を命じた「ニイタカヤマノボレ」や、奇襲成功を示す「トラトラトラ」が知られているが、在外公館や海外居留民向けにもラジオ放送で暗号が流されていたことになる。
【写真】外務省が7日に公開した文書「開戦直前ノ『ラヂオ』放送ニ関シ米軍ニ報告ノ件」で、暗号放送をめぐり米軍将校と日本外務省の担当者のやりとりが記されている』

公開されたのは、1945年11月に米占領軍の将校が、開戦時に外務省電信課長だった亀山一二氏らから聴取した内容を日本側が記録した文書といいます。亀山氏は、当時の電信事務を担った職員は過労死したとしつつ、暗号放送が「行われたりと聞き及べり」と認め、その時期を41年の真珠湾攻撃の前日か、当日にあたる「12月7日、8日ごろ」と回答しています。

「ヒガシノカゼ、アメ」・・・
この暗号電報が真珠湾攻撃の前に発せられたのか否か、そして、米国政府がこの暗号電報を傍受していたのかどうか、という点は、実は米国において非常に重大な意味を持っていたのです。米国では『ウィンド・メッセージ』と呼ばれています。

ジョン・トーランド著「真珠湾攻撃 (1982年)」から拾います。
開戦を目前にした1941年11月19日、日本外務省は領事館暗号で、在外公館に対して警告を発しました。
 日米関係が危機になれば・・・東の風、雨
 日ソ関係が危機になれば・・・北の風、曇
 日英関係が危機になれば・・・西の風、晴
このメッセージを受信した場合にはすべての暗号書を処分するように・・・という開戦準備命令でした。
この電報が11月28日に米国当局によって解読されると、米国海軍省は警戒態勢に入り、ウィンド・メッセージを受信次第報告するように命令が出ました。
この話は、エドウィン・レートン著「太平洋戦争 暗号作戦―アメリカ太平洋艦隊情報参謀の証言〈下〉」にも出てきます。

アメリカでどのように問題になっているかというと、このウィンド・メッセージを、果たして米国当局は受信したのかそれとも受信しなかったのか、ということです。
「受信した」と主張している人は、『12月4日か5日に「ヒガシノカゼ、アメ」を受信した』と言います。一方、「受信しなかった」という人たちが大勢いるのです。なぜこのような議論がなされたのか、それは、『真珠湾攻撃の直前、ワシントンは日本による対米開戦を知っていたのに、そのことをハワイに十分に警告していなかったのではないか』という疑いが生じていたためです。ウィンド・メッセージを確かに受信したと主張すると、真珠湾攻撃に無防備だった責任の第一はワシントンにある、という結論に達します。そしてそのような結論を否定しようとする人たちが、「ウィンド・メッセージは存在しなかった」と主張することになるのです。
1945年当時、「ウィンド・メッセージを確かに受信した」と主張するのはサフォードただ一人でした。結局サフォードは、嘘つき呼ばわりされることになったのです。1945年9月から1946年2月にかけて、真珠湾の真相を調べる上下両院合同調査委員会が開催されました。そのなかでサフォードは「ウィンド・メッセージを確かに受信した」と証言しましたが、他のすべての証人は「存在しない」と証言したのです。サフォードが調べたところ、存在していたはずの電信綴りがすべて消え去っていたのです。

さて、今回の朝日新聞記事で、日本が「ヒガシノカゼ、アメ」を発信したとの証拠が見出されました。
占領軍がこの聴取を行ったのは1945年11月です。1946年2月にサフォードが喚問された際、すでに占領軍は亀山氏の聴取を終え、ウィンド・メッセージが確かに発信されたことを知っていたことになります。しかし、調査委員会ではそのような話は一切なされませんでした。
一方で、発信時期については、サフォードの記憶では「12月4、5日頃」ですが、亀山氏の伝聞では「12月7、8日」となっています。さて、どちらが真実なのでしょうか。
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発明の単一性とシフト補正禁止の審査基準案

2013-03-10 16:36:42 | 知的財産権
特許庁が公表した「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂案等に対する意見募集から、
特許・実用新案 審査基準「第Ⅰ部第2章 発明の単一性の要件」(案)<PDF 1,182KB>
特許・実用新案 審査基準「第Ⅲ部第Ⅱ節 発明の特別な技術的特徴を変更する補正」(案)<PDF 202KB>
特許・実用新案 審査基準「第Ⅸ部 審査の進め方」新旧対照表(案)<PDF 183KB>
を読んでいます。

まず「発明の単一性の要件」ですが、いやはや読みづらい文章ですね。一時は解読を諦めようかとさえ思いました。気を取り直して読み進めた結果、以下のように単純化できるように思います。

---審査対象に加える発明は以下のとおり。---
A.請求項1から直列に審査を行い、(1)特別な技術的特徴が発見された場合には、発見された特別な技術的特徴と同一の又は対応する(注3)特別な技術的特徴を有する発明(基準案5ページ3.1.2.1(4)の後半)、(2)及び直列に審査を行った発明

B.請求項1に記載された発明の発明特定事項を全て含む(注1)同一カテゴリーの請求項に係る発明(基準案5ページ3.1.2.2(1))(注2)

C.特別な技術的特徴に基づいて審査対象とした発明について審査を行った結果、実質的に追加的な先行技術調査や判断を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明(基準案6ページ3.1.2.2(2))
例えば当該箇所の(i)~(v)のいずれかに該当する発明

D.請求項に係る発明間に特定の関係がある場合(基準案8ページ4.1)
(物とその物を生産する方法、物とその物を使用する方法、方法とその方法の実施に直接使用する機械など)

(注1) 発明の「発明特定事項を全て含む」場合には、当該発明に別の発明特定事項を付加した場合に加え、当該発明について一部又は全部の発明特定事項を下位概念化した場合や、当該発明について発明特定事項の一部が数値範囲である場合に、それをさらに限定した場合等も含まれる。

(注2)ただし、請求項1の課題と追加された特徴の課題との関連性が低い場合、請求項1の技術的特徴と追加された技術的特徴との技術的関連性が低い発明、を除く。

(注3)「対応する特別な技術的特徴」については、基準案3ページ2.2(3)参照
---以上---

基準案の順番に従って上記A~Dを記述しましたが、一番広いのはBですね。BとDでだいたいケリがつくように思います。それと、Aにより、特別な技術的特徴が発見された場合には、対応する特別な技術的特徴まで拡大することができます。


次にシフト補正です。

---以下の文章に集約できるようです---
補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される全ての発明が、補正前に新規性・進歩性等の特許要件について審査が行われた全ての発明の後に続けて記載されていたと仮定したときに、「第Ⅰ部第2章 発明の単一性の要件」の「3.1 審査対象の決定」に照らして発明の単一性の要件以外の要件についての審査対象となる補正後の発明を、第17条の2第4項以外の要件についての審査対象とする。(基準案2ページ3.1.2 具体的な手順)
---以上---

「発明の単一性の要件」における上記Bと(注1)から、許容される補正範囲を考えてみましょう。
[例1]
(補正前)
請求項1:α  (特別な技術的特徴なし)
請求項2:α&β  (特別な技術的特徴なし)
(補正後)
請求項1:α&γ
(判断)補正前に請求項3にα&γを記載していたら審査対象になるのだから、上記補正は許される。ただし、αとγの関係が上記(注2)に該当しないこと。

[例2]
請求項1:α  (特別な技術的特徴なし)
請求項2:α&β  (特別な技術的特徴なし)
(補正後)
請求項1:α’(αを減縮した発明)
(判断)α’は、上記(注1)により発明の「発明特定事項を全て含む」場合に該当するので、例1と同様に補正は許される。

取り敢えず、私が以前から改善してほしいと考えていた部分は、今回の審査基準の改訂で改善されることが間違いないようです。
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シフト補正の審査基準改訂案公表

2013-03-07 19:09:41 | 知的財産権
昨日3月6日、発明の単一性とシフト補正に関する審査基準改定案が特許庁から公開されました(「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂案等に対する意見募集)。
平成25年3月6日 特許庁 調整課 審査基準室
『産業構造審議会知的財産政策部会 特許制度小委員会 審査基準専門委員会の第8回会合(平成24年11月12日開催)及び第9回会合(平成25年1月10日開催)において、「発明の単一性の要件」及び「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂について検討が行われ、第9回会合において審査基準改訂骨子が了承されました。
上記審査基準改訂骨子に沿って、「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂案を作成するとともに、当該改訂案に関連する部分について「審査の進め方」の審査基準改訂案を作成しましたので、下記の要領で意見募集をいたします。』

そして、以下の3文書が収録されています。
特許・実用新案 審査基準「第Ⅰ部第2章 発明の単一性の要件」(案)<PDF 1,182KB>
特許・実用新案 審査基準「第Ⅲ部第Ⅱ節 発明の特別な技術的特徴を変更する補正」(案)<PDF 202KB>
特許・実用新案 審査基準「第Ⅸ部 審査の進め方」新旧対照表(案)<PDF 183KB>

今日明日とちょっと緊急案件がたまっているので、審査基準案の内容の検討については、週末以降になりそうです。

パブリックコメントの提出期限は平成25年4月5日(金)(必着)となっています。ということは、この審査基準の適用開始時期は5月ごろになるのでしょうか。

一方、今回は法改正を伴わない運用基準の改訂ですから、実際の審査では新しい基準の趣旨に則った審査をされる審査官もおられるでしょう。
従って、適用開始前であっても、審査官に新しい基準の趣旨での対応をお願いしてみる価値は十分にあると思います。
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審査基準専門委員会議事録

2013-03-01 21:49:04 | 知的財産権
産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会 審査基準専門委員会は、この1月10日に第9回を開催しています。
1月16日にアップした第9回審査基準専門委員会では、その第9回(平成25年1月10日)の配布資料の中身について話題にしました。
配付資料中の『「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂の骨子(案)』には、シフト補正の審査基準案として以下のように記述されているのです。
『Ⅱ 「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂の骨子(案)
1 基本的姿勢
先行技術調査・審査のやり直しとなるような補正を制限するという、発明の特別な技術的特徴を変更する補正を禁止する規定を設けた趣旨を踏まえ、発明の特別な技術的特徴を変更する補正か否かの判断を、必要以上に厳格に行うことがないようにする。
2 審査の進め方
補正後の特許請求の範囲が補正前の特許請求の範囲に続けて記載されていたと仮定したときに、改訂後の「発明の単一性の要件」の審査基準によって審査対象となる補正後の発明については、特許法第17条の2第4項の要件を問わないこととする。』

その後、当該委員会の議事要旨も議事録もなかなか公表されませんでした。それが先日(2月26日頃)、やっと公表されたのです。
議事要旨議事録

議事録には何と書かれているでしょうか。

『事務局が提案した「「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準改訂の骨子(案)(資料5)に沿って、審査基準改訂の作業を進めることが了承された。各委員から出された意見の概要は以下のとおり。

○ 事務局提案に賛成する。
・・・
事務局提案によると、EPOと実体的なハーモができるところまで来ており大変結構である。シフト補正の事実上の廃止に近いのではないかとも感じる。単一性やシフト補正は、審査の負担とユーザーの利便のバランスの話であり、審査官の裁量の幅が広いほうが好ましい。
○ 事務局提案を支持する。従前からのユーザーの要望である、単一性の要件の判断における原則と例外の考え方を逆にしてほしいとか、原則全ての請求項を審査してほしいというところは、改訂後の審査基準に具体的に明記されることはなさそうだが、実質上ユーザーの希望している方向と、軌を同じにしていると考える。
・・・
○ ・・・非常に投機的な請求項1が記載されて幅広い発明が請求項1に従属する形で一の願書で出願される恐れや、シフト補正についても同様に投機的な請求項に基づいて補正がなされることの懸念に対してしっかりと対応できるのか。
・・・
○ ・・・今回の事務局提案によれば、従来と比べてかなりユーザーフレンドリーになり、かつ特許庁の負担もそれほど増えないというところで落ち着くではないか。
○ 今回の事務局提案は、前回の議論を踏まえて、効率性を考えつつもユーザーの意見に耳を傾け、柔軟な対応ができるような審査基準になるものと考えるので、これを支持する。』

専門委員の方々は、事務局提案を読んで私が感じたと同じ方向の感想を持たれているようです。そしてその旨、専門委員会で議論がされているようです。
ただし、議論からもわかるとおり、1月10日の専門委員会で提示されたのは、あくまで審査基準の骨子というか考え方までです。これを実際の審査基準に落とし込んだときにどのような表現になるのか、こればかりは蓋を開けてみるまでわかりません。

TBさんからの情報では、2~3月に審査基準案が公表されるのではないかということでした。3月に入りましたが、実際にはいつごろ公表されるのでしょうか。
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