膨らむ防衛費、自衛隊改革迫る 2021年12月31日 日経新聞
陸自中心、海空シフト米中に遅れ 海空シフト、組織の硬直が壁
『政府は国家安全保障戦略の改定に向けた検討に着手する。世界をみると米国や中国などは陸軍から海空軍などへの人員や予算のシフトが進む。日本は冷戦期の体制を引きずり硬直的な側面が目立つ。防衛予算の増額だけでなく構造改革が不可欠となる。』
『米国は10年と20年を比べると20万人規模の戦力を削った。・・・主に陸上戦力が対象になった。
陸軍は66万人から48万人に減り、全体に占める割合は42%から35%に下がった。海軍や空軍の規模は維持した。』
中国、ドイツ、ロシアも、陸軍の比率を下げています。
『日本の傾向はこれらと異なる。陸自は14万人から15万人に増えた。海自は3000人規模、空自は1万2千人規模でそれぞれ増やしているが、陸自の割合は6割でほぼ変わらない。』
陸上自衛隊の配置には冷戦期に旧ソ連を意識した名残が見えます。全国15の師団・旅団のうち4つをロシアに近い北海道に置いています。
--以上、日経記事から------------------
日本に上陸したソ連陸軍との間で、北海道を舞台にして野戦を戦おうというわけです。
現代、沖縄や九州に上陸した中国陸軍に対して、民間人が多く在住する沖縄・九州を舞台に戦車戦を展開するなど考えられません。
私は2014年、『飯柴智亮著「2020年日本から米軍はいなくなる」』を題材としたブログ記事(2014-08-31)で以下のように述べました。
東アジアにおける中国の軍事力が拡張し、以下のいずれかの事態に陥った場合には、日米同盟による日本付近の制空権の確保が難しくなり、在日米軍は日本から後退することになるだろうとしています。
「台湾が中国のものになったあと」
「中国空軍が保有するスホーイ系戦闘機が2000機を超えたあと」
「中国海軍が潜水艦発射型弾道ミサイルJL-2のような長距離高性能ミサイルを200発、実戦配備したあと」
「中国が衛星撃墜能力を持ったあと」
「2014年1月に中国が実験したマッハ10の速度をもつ超高速飛翔体WU-14のような新兵器が登場したときもハワイまで下がる。」(2022.1.20.追記)
そして、その後の日本が対中国で抑止力を確保するためには、日本独自での海空戦力で中国と戦う体制が必要としています。
そのときに必要な日本の陸上戦力については、以下の通りです。
陸上自衛隊が日本本土で中国上陸軍と対峙する事態となっているとしたら、それは、日本及び近海の制空権を中国軍に握られ、中国軍が日本本土に上陸していることを意味しています。日本の負けが確定です。「そうはさせない」との対応が、まさに対中国の抑止力になります。
『対中国は統合空海戦闘だから、陸上兵力の出番はない。もし陸上兵力が必要な状況に陥ればその時点でもう、100%勝負はついている。
Jマリーン水陸両用団は、1500名でよい。
陸自で本当に使えそうなのは、宇都宮の中央即応連隊、九州の水陸両用団の基幹連隊になる西部方面普通科連隊、習志野第1空挺団、松本の山岳レンジャーであり、あとは要らない。
日本に戦車は1台も要らない。
ストライカー(機甲車両)旅団がアメリカに3個あるので、その1個旅団分の装備を買い取るのだ。日本の国産車両より安くて性能は上だ。しかもC-130輸送機で空輸できる。
日本の陸自に必要なのは機動力と展開力だ。米軍の第160特殊作戦航空連隊ナイトストーカーズのような航空部隊が必要。さらにMV-22オスプレイ。
旅団には、CAS(近接航空支援)能力と、JTAC(統合末端攻撃統制官)が必要。1個小隊に2名ほしい。
各方面隊に沖縄を含めて6個旅団必要。オスプレイは各旅団に10機、補用2機の計12機。1個旅団で兵員が600名。
第1空挺団などを含め、全体で7200人。陸自はこれで十分。これに戦闘支援、後方支援を含めると、総兵力は5万人。
これにより、日本は中国にとって攻めがたい国になる。中国は勝てると判断するまでこない。絶えず日本が準備して、中国が勝てない国になっていれば、来ない。』
陸自の必要な総勢力は5万人である、としています。現在は、2010年時点よりも増えて15万人である、ということですか。税金の無駄遣いであるとしか言い様がないですね。防衛費を対GDP比で1%から2%に増やすか否か、との議論がありますが、総枠を増やす前に、現行の枠内で予算配分を見直さなければなりません。
日本の戦前・戦中は、陸軍省と海軍省に別れており、互いに妥協ということを知らずに張り合い、省益の確保のみを目的としていました。戦後はその反省のもと、防衛省の下に陸自・海自・空自が統括されているのですが、それでも、陸自の規模縮小は難しいのですね。
陸自中心、海空シフト米中に遅れ 海空シフト、組織の硬直が壁
『政府は国家安全保障戦略の改定に向けた検討に着手する。世界をみると米国や中国などは陸軍から海空軍などへの人員や予算のシフトが進む。日本は冷戦期の体制を引きずり硬直的な側面が目立つ。防衛予算の増額だけでなく構造改革が不可欠となる。』
『米国は10年と20年を比べると20万人規模の戦力を削った。・・・主に陸上戦力が対象になった。
陸軍は66万人から48万人に減り、全体に占める割合は42%から35%に下がった。海軍や空軍の規模は維持した。』
中国、ドイツ、ロシアも、陸軍の比率を下げています。
『日本の傾向はこれらと異なる。陸自は14万人から15万人に増えた。海自は3000人規模、空自は1万2千人規模でそれぞれ増やしているが、陸自の割合は6割でほぼ変わらない。』
陸上自衛隊の配置には冷戦期に旧ソ連を意識した名残が見えます。全国15の師団・旅団のうち4つをロシアに近い北海道に置いています。
--以上、日経記事から------------------
日本に上陸したソ連陸軍との間で、北海道を舞台にして野戦を戦おうというわけです。
現代、沖縄や九州に上陸した中国陸軍に対して、民間人が多く在住する沖縄・九州を舞台に戦車戦を展開するなど考えられません。
私は2014年、『飯柴智亮著「2020年日本から米軍はいなくなる」』を題材としたブログ記事(2014-08-31)で以下のように述べました。
東アジアにおける中国の軍事力が拡張し、以下のいずれかの事態に陥った場合には、日米同盟による日本付近の制空権の確保が難しくなり、在日米軍は日本から後退することになるだろうとしています。
「台湾が中国のものになったあと」
「中国空軍が保有するスホーイ系戦闘機が2000機を超えたあと」
「中国海軍が潜水艦発射型弾道ミサイルJL-2のような長距離高性能ミサイルを200発、実戦配備したあと」
「中国が衛星撃墜能力を持ったあと」
「2014年1月に中国が実験したマッハ10の速度をもつ超高速飛翔体WU-14のような新兵器が登場したときもハワイまで下がる。」(2022.1.20.追記)
そして、その後の日本が対中国で抑止力を確保するためには、日本独自での海空戦力で中国と戦う体制が必要としています。
そのときに必要な日本の陸上戦力については、以下の通りです。
陸上自衛隊が日本本土で中国上陸軍と対峙する事態となっているとしたら、それは、日本及び近海の制空権を中国軍に握られ、中国軍が日本本土に上陸していることを意味しています。日本の負けが確定です。「そうはさせない」との対応が、まさに対中国の抑止力になります。
『対中国は統合空海戦闘だから、陸上兵力の出番はない。もし陸上兵力が必要な状況に陥ればその時点でもう、100%勝負はついている。
Jマリーン水陸両用団は、1500名でよい。
陸自で本当に使えそうなのは、宇都宮の中央即応連隊、九州の水陸両用団の基幹連隊になる西部方面普通科連隊、習志野第1空挺団、松本の山岳レンジャーであり、あとは要らない。
日本に戦車は1台も要らない。
ストライカー(機甲車両)旅団がアメリカに3個あるので、その1個旅団分の装備を買い取るのだ。日本の国産車両より安くて性能は上だ。しかもC-130輸送機で空輸できる。
日本の陸自に必要なのは機動力と展開力だ。米軍の第160特殊作戦航空連隊ナイトストーカーズのような航空部隊が必要。さらにMV-22オスプレイ。
旅団には、CAS(近接航空支援)能力と、JTAC(統合末端攻撃統制官)が必要。1個小隊に2名ほしい。
各方面隊に沖縄を含めて6個旅団必要。オスプレイは各旅団に10機、補用2機の計12機。1個旅団で兵員が600名。
第1空挺団などを含め、全体で7200人。陸自はこれで十分。これに戦闘支援、後方支援を含めると、総兵力は5万人。
これにより、日本は中国にとって攻めがたい国になる。中国は勝てると判断するまでこない。絶えず日本が準備して、中国が勝てない国になっていれば、来ない。』
陸自の必要な総勢力は5万人である、としています。現在は、2010年時点よりも増えて15万人である、ということですか。税金の無駄遣いであるとしか言い様がないですね。防衛費を対GDP比で1%から2%に増やすか否か、との議論がありますが、総枠を増やす前に、現行の枠内で予算配分を見直さなければなりません。
日本の戦前・戦中は、陸軍省と海軍省に別れており、互いに妥協ということを知らずに張り合い、省益の確保のみを目的としていました。戦後はその反省のもと、防衛省の下に陸自・海自・空自が統括されているのですが、それでも、陸自の規模縮小は難しいのですね。