弁理士の日々

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ロシア軍用機、ロシアの誤射で撃墜の可能性

2023-05-15 12:36:53 | 歴史・社会
ロシア軍用機、ロシアの誤射で撃墜の可能性…プリゴジン氏が疑惑提起
5/15(月) 中央日報日本語版
『ロシアの民間軍事企業ワグネルグループ創設者のプリゴジン氏が最近ウクライナ国境地域で墜落したロシアの軍用機がロシア軍の誤射により撃墜された可能性を示唆したとAP通信が14日に報道した。
プリゴジン氏はこの日テレグラムチャンネルを通じ、前日ロシア軍用機4機が墜落した地点を示しながらロシアの防空システムが墜落に関与した可能性があるという趣旨の発言をした。』
『これに先立ちロシアのタス通信などは13日、ウクライナ北東部と隣接するロシアのブリャンスク地域でSU35、SU34戦闘機各1機とMi8ヘリ2機の4機の軍用機が墜落したと報道した。』

そのような可能性があるのですね。
私はこのブログの「レッド・ストーム・ライジング再読 2022-05-27」で、
トム・クランシー著「レッド・ストーム作戦発動(ライジング)」(上・下)
文春文庫 1987年第1刷
について言及しました。
この本が出た直後に読んでいたと思います。今から35年前です。
当時のソ連とNATO軍の間の全面戦争(通常兵器)を描いたものです。
主戦場は、東ドイツ国境から西ドイツになだれ込んだソ連陸軍と、NATO陸軍との陸戦です。
《西ドイツ上空の制空権》
『(空軍の将軍の説明に)「いまの話だと、NATO軍が制空権を握っているということだな」とアレクセーエフが言った。
「いや、そんなことはない。双方とも握っていない。戦線上空を敵が支配することはわれわれの地対空ミサイルが拒んでおり、われわれによる支配は敵戦闘機が--彼らの地対空ミサイルと、それから味方のミサイルに助けられて!--拒んでいるのだ。戦場の上空はどちらのものでもない」死者のものだ、と空軍の将軍は思った。』(下・17)

35年前にトム・クランシーが描いた、ソ連軍とNATO軍との戦闘において、ソ連軍の戦闘機が味方の(地対空)ミサイルの誤射で撃墜されている、と記述されています。35年後の現在でも、ソ連軍の地対空ミサイルは、敵味方識別ができず、味方の航空機を誤射している、ということなのでしょうか。

また、上記『戦場の上空はどちらのものでもない」死者のものだ』
は象徴的です。
地上戦闘を支援する航空機は、敵の航空機のみならず、敵の地対空ミサイル(ロシア軍の場合には味方のも含め)の餌食になります。現在のウクライナ戦争においても、ウクライナ側、ロシア側のいずれも、地上戦の支援のために戦場に航空機を派遣したら、地対空ミサイルの餌食になるだけでしょう。地上戦の上空においては、「制空権」との考え方は成立せず、この点については35年前にトム・クランシーが見通していたのでした。

なお、日本と中国の間が有事となった場合、航空機の主戦場は海上であり、近くに敵艦船がいない限りは(近距離)対空ミサイルの脅威がないので、ウクライナ戦争の現状とは状況が大きく異なります。
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