東北地方太平洋岸を襲った未曾有の災害に対して、被災しなかったわれわれは一体何ができるのか。
私にとって、一番の得意技は現在の仕事です。従って、現在の仕事を精一杯頑張り、その結果得られた収入(お金)の一部をご提供して災害復興に充ててもらう、という手段が最適であると判断できます。
それでは、どのようなルートでお金を供出することがよろしいでしょうか。私は、以下のような前提に立って考えました。
(1) 懐から供出できる金額(例えば10万円としましょう)が決まった上で、その10万円にとらわれず、できるかぎり多額を災害復興に当てたい。
(2) できたら、赤十字のような巨大な組織ではなく、現地で活動するNPOなどを直接支援したい。
(3) 毎年税金を納めているが、納めた税金の使われ方は極めて非効率であると認識している。従って、税金を減らすことで災害復興に回す金額が増えるのであれば、極力税金を減らしたい。
まずは税金の寄付金控除です。寄付金控除よって納税額が例えば3万円減るのであれば、懐から供出できる10万円にこの3万円を加え、13万円を災害復興に回すことができます。税金は利用効率が悪いと認識しているので、この際税収減はのんでもらいます。
NPOに寄附して同時に寄付金控除を受けるためには、そのNPOが寄付金控除の「認定NPO」である必要があります。しかし、“小回りが利く規模で、かつ寄付金控除の認定を受けているNPO”というのを探すのがやっかいです。認定を国税庁がやっているためか、認定を受けるためのハードルが極めて高いようなのです。
瀬谷ルミ子さんのブログ
紛争地のアンテナで、
ジャパン・プラットフォームへの義援金募金が紹介されていました。こちらは、
寄付金控除の認定NPOであり、
東北大震災の支援に指定して寄附をすることができます。
何より、ジャパンプラットフォームが大西健丞氏の尽力で設立された団体である、ということが決め手になりました。大西健丞氏については、
NGO、常在戦場や
鈴木宗男氏と大西健丞氏で書いたとおりです。
しかし寄付金控除によって減る税金は、例えば所得税率が10%の人であれば、寄附した金額の10%分だけ所得税が減るに過ぎません。住民税も控除される場合も、寄附した金額の10%だけ住民税が減るということです。住民税が控除されるかどうかは、住んでいる都道府県ごとに異なるようです。東京都の場合、
こちらで調べることができます。ジャパンプラットフォームは入っていたので、私の場合住民税も控除対象です。
もっと税金を減らすことのできる寄附はないのか。
それが存在することに、本日気づきました。「ふるさと納税」です。
私は「ふるさと納税」というのを、税務署同士がお金のやりとりをするものと誤解していました。そうではなく、「任意の都道府県、市区町村に寄附を行うと、通常の寄付金控除を受けられることに加え、さらに住民税の控除をより多く受けることができる」という制度だったのです。
私はかつて新日鐵に勤務しており、現在も新日鐵とお付き合いしているので、釜石製鐵所とは深い付き合いです。今回も本当は釜石市に寄附をしたいと考えたのですが、どうしても釜石市のホームページにアクセスすることができません。そこでやむを得ず、岩手県に寄附することとしました。
岩手県のふるさと納税のページにアクセスすると、いろいろの情報を見ることができます。
「ふるさと納税」制度のしくみを見ると、事例に基づいて説明されています。詳細は読んでもらうとして、事例では所得税率10%の人が4万円寄附したとき、所得税と住民税が合わせて35300円軽減されて、自己負担額は4700円にしかならない、というのです。
ただし、ここまで税金が軽減されるのには寄付額に上限があります。それも、ご自身の所得税率によって異なります。所得税率が10%程度であれば、その人が納めている住民税の1ヶ月分プラスα程度の寄付額であれば、この事例に書かれている程度の税の軽減が得られるようです。高い所得税率で所得税を納付している人であればご自身が納めている住民税の2ヶ月分以上の寄付額でも、寄付額に近い金額が控除で返ってくるでしょう。
まずは、認定NPO法人に寄附する金額です。所得税率が10%の人で、自分の懐から10万円程度出せるとしたら、寄付金額を12万円とし、所得税と住民税の控除を合計2万円前後受けとることによって帳尻を合わせることができます。
それに加えてふるさと納税です。限度額以内、例えば岩手県のページに示されていた事例のように4万円を寄附し、35千円以上の寄付金控除を受ける場合を考えます。
結局、NPOへの寄附12万円と地方自治体への寄附4万円を合わせ、16万円が被災地に直接渡り、一方で6万円弱の税金が控除され、予定通り10万円の出費で済んだ、ということになるわけです。
「ふるさと納税」が任意の地方公共団体に対する寄附であり、各人ごとに定まる限度額以内であればほぼまるまる税金が控除される、という制度であることを私は全く知りませんでした。今回の被災に際しても、「ふるさと納税を利用して寄附しましょう」という呼びかけはまったく耳にしません。唯一の例外を除いて。
その唯一の例外とは、
高橋洋一氏によるこの記事でした。
『この制度は安倍晋三政権の時に菅義偉総務大臣の発案で私も設立の際に深く関わったものだ。いずれかの自治体に寄付すると、払っている住民税の1割までを税額控除する(詳しくは
こちら)。いってみれば、住民税の1割までについて、自らで使う先を決められるのだ。』
『ふるさと納税が誤解されているのは、財務省等の役人の反対を押し切って作ったので、財務省等の役人の情報だけで記事を書くマスコミが正確に書かなかったためだ。』
この際、私も声を大にします。
ふるさと納税を大いに有効活用して、お金を被災地に集めよう!
私も、寄附予定額の半額をジャパンプラットフォームに寄附し、残りの半額を岩手県に寄附しました。上記事例の金額よりは多い金額、と述べておきましょう。ふるさと納税のお陰で戻ってくる税金が予定よりも増えたので、もう少し他のNPOに寄附できそうです。候補としては、同じ大西健丞氏が代表を務める
CIVIC FORCEを考えています。