弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

スライディングタックル

2006-06-30 00:03:45 | サッカー
先日のイタリア対オーストラリア戦、たまたま前半が終わる間際から前半終了までライブで見ました。

イタリアの右サイドでフォワードがボールを持ったとき、オーストラリアのディフェンスが激しいスライディングタックルを仕掛けました。左足でボールにタックルします。と同時に右足の膝が前に出ていました。イタリアの選手はもんどり打って転倒します。私の記憶では、オーストラリア選手の右足でイタリア選手の下肢をなぎ倒したように見えました。テレビの解説者は「確かにボールには行っています」とコメントしていました。左足は確かにボールに行っていますが、右足で相手を転倒させたように思いました。
そのプレーについてはノーホイッスルだったみたいです。

時間が遅いので前半終了で観戦を止め、就寝しました。しかしあのプレーが頭から離れません。
左足でスライディングタックルを行う場合、右足は後に残るのが普通です。ハードルを越える直前のような姿勢です。しかしあの場合、オーストラリア選手の右膝が前に出て、その膝で相手を転倒させたように見えました。あからさまに両足でタックルすると両足タックルということでレッドカードが出ますが、右足は膝のみが前に出ていたところが巧妙でした。

あんな乱暴なプレーは止めて欲しい。
日本対オーストラリア戦でも、中村や中田英が何回も倒されていました。ずいぶんと打撲を負ったと思います。
本大会前のオランダ対オーストラリア戦でも、オランダは主力選手が3人も負傷させられたと報道されました。

オーストラリア選手はただでさえ大柄なのですから、ラフプレーをやられたら大変な損傷を受けることになります。

本日ネットニュースを見ていたら、まさにイタリア対オーストラリア戦の上で述べたアクシデントの瞬間らしき写真を発見しました。それがためにこの発言に及んだ次第です。写真はこれです。この記事からですが、記事は写真のアクシデントとは全く関係在りません。

イタリア対オーストラリア戦の後半は、逆にイタリア選手がで退場になりましたが、試合はイタリアの勝ちで終わりました。
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第2回弁理士制度小委員会

2006-06-29 00:07:29 | 弁理士
今年の3月、弁理士会が弁理士法改正の方向性という声明を出し、これについてこのブログでも取り上げました(弁理士会声明・弁理士法改正の方向弁理士試験制度の方向弁理士試験制度の方向(2)弁理士試験制度の何が問題か実務能力評価試験は可能か)。

また、4月21日に産業構造審議会の第1回弁理士制度小委員会が開かれ、弁理士会は上記声明に沿って意見を陳述しました。小委員会の議論内容について、弁理士試験制度弁理士試験制度(2)弁理士試験制度(3)としてこのブログで取り上げました。

6月16日に第2回弁理士制度小委員会が開かれた模様で、特許庁から配付資料が公表されました
配付資料から内容を拾ってみます。

1.論文試験に条約を復活させるべきか
短答式試験での条約問題の正答率、論文試験の商標の問題で出された条約がらみの問題の正答率が悪くない、ということを根拠に、現行試験での合格者の条約に関する知識が不足していると考える根拠は薄い、としています。
特許庁は条約を論文試験に復活する気がありませんね。

もともと、「実務の場で現行制度合格者の条約知識不足が問題になっている」という問題意識からスタートしたはずです。短答式試験での正答率の解析で問題をすり替えてもらっては困ります。

2.知的財産専門職大学院、法科大学院の卒業者に対し、論文試験や短答式試験の科目免除の方向付けがされています。

3.短答式試験の合格資格を何年間か有効にする、論文試験で合格した科目については次年度の試験を免除する、という方向の検討がされているようです。
現在、税理士試験は科目合格制を採用しています。その結果どのような試験実態になっているか。受験生は各年ごとに1科目ずつ必死で勉強してきますので、複数科目の単年合格はほとんど不可能です。結果として、最低でも受験期間が5年と長期戦になります。短期合格は不可能です。
現在の弁理士試験が採用している「全科目同年合格制」は、短期合格を目指す人には好適な制度です。その点を良く考えて制度変更を検討して欲しいものです。

4.弁理士会は声明で弁理士の基本を「技術と法律の素養を具えた国際的対応ができる知的財産の実務専門家」とうたいました。第1回小委員会でも、「弁理士は技術がわかること」との意見を述べた人が多かったです。しかし今回の配付資料では、この点についは全く触れられていませんでした。

5.現行制度で実務無経験者の合格が増えて問題になっているか
合格者に占める実務無経験者の比率は、新旧の試験制度で変化していないと解析しています。また、合格者増によって無経験者の数が増えた分については、特許事務所の求人でまかなえる数であるとしています。
結局、「問題ではないだろう」という結論ですね。
この結論には納得できます。

6.研修のあり方に関し、問題の所在として、「弁理士試験の合格基準及び難易度は、旧・新の弁理士試験においてほぼ同様のものとなるように運用されている。
このため、旧弁理士試験と比べ新弁理士試験における合格者の知識及び論理的な思考能力・判断能力・問題解決能力等のレベルはほぼ同様の水準であると考えられる。」
としています。
そうだったのですか。
弁理士試験1年合格者の数が大幅に増加している実態から、合否のボーダーは下がっているものと認識していたのですが、そうでもないようですね。

この点については、試験のあり方についての配付資料14ページの「論文式試験については、短答式試験と異なり、必須科目や選択科目に関する知識等を判定するものではなく、法律や事実に対して適切な理解力を有しているか、これらに基づいて論理的な思考能力、判断能力、問題解決能力が備わっているかを判断することを目的としている。」
という主張と併せて考える必要があるでしょう。
現行の試験制度では、論文試験では知識を要求していないのですね。

勉強で身につくのは知識です。理解力、論理的な思考能力、判断能力、問題解決能力などは、勉強でレベルアップするものではありません(少しは向上するでしょうが)。

結局、現行試験制度では、「知識については短答合格レベルでよい。論文では思考能力や判断能力を見る。鍛えれば伸びる素材を選んでいる。」ということなのでしょうか。
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PCT国内移行後の処理開始時期(4)

2006-06-28 00:01:55 | 知的財産権
以下のような経過をたどるPCT国際出願(日本語)とそれに基づく日本出願があります。
優先日   :一昨年の夏
国際出願日 :昨年の夏
国内書面提出:昨年の夏
国際調査報告:昨年の秋
出願審査請求:昨年の秋
早期審査申出:昨年の秋
国際公開  :今年の冬

国内書面提出後、いつまでたっても国内出願番号通知が来ません。特許庁に確認したところ、「国際公開後に国際事務局から国際公開パンフレットを受領しない限り、国内の処理が開始できない」という状況であることがわかりました。このブログのその1その2で報告しました。

その後、今年3月に運用が変更になり、受理官庁が日本であれば、国内書面提出から2週間程度で国内出願番号が付与されるようになりました。ただし、今年3月27日以降の国内書面提出からの適用ですし、審査の開始はやはり国際公開パンフレットを受け取ってからである点は変わりません。その3に書きました。

今般、また特許庁の運用が変わりました。

「 日本を受理官庁としたPCT国際出願のうち日本語で作成された国際出願について、国際公開前に国内移行し、審査請求及び早期審査の申出を行った場合、国際公開を待たずに直ちに実体審査を開始することが可能となりました。

1. これまで日本に国内移行した国際出願については、審査請求及び早期審査の申出があった場合でも、国際公開後(正確には、WIPO国際事務局からの国際公開パンフレットの送達がなされ、庁内ファイルへのデータ格納がなされた後)まで、審査手続を開始することができませんでした。
2. この度、特許庁において、システム・運用の整備を行い、国際事務局からの国際公開パンフレットの送達前であっても、受理官庁に提出された明細書等を基に、実体審査手続を進めることが可能になりました。
3. これにより、出願人が国際公開前に国内段階に移行し、審査請求及び早期審査の申出を行った場合、国際公開(通常優先日から18月)前であっても直ちに審査着手がなされ、早期に審査結果を得ることができます。」

そうなんですか。
冒頭の私の案件がまさにその通りなのですが、特許庁の対応が1年早ければ良かったのに、ということでした。

特許庁に、私の案件の取り扱いについて電話で聞いてみました。
国際公開パンフレットが国際事務局から特許庁に届くのは、国際公開から4~5ヶ月経ってからになるのだそうです。従って私の案件も、そろそろ番号が付与され、その後速やかに実体審査が開始されるであろう、ということでした。

ところで、PCT日本語出願経由の国内出願について、早期審査の申し出が非常に簡単にできます。国際調査報告が出された後であれば、そのコピーを添付するだけで早期審査が認められるのです。早期審査・早期審理ガイドラインの20ページに解説されています。
これからはこのルートが使えますね。
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平成18年度法改正説明会テキスト

2006-06-27 00:02:54 | 知的財産権
特許庁から、平成18年度法改正説明会テキストが発表になりました。
法律の名称は「意匠法等の一部を改正する法律」ですが、特許出願を主な業務とするわれわれに関係するのは特許法の改正部分です。
以前にも1回、特許法の改正内容を紹介しました
今回のテキストに沿って見ると、実務に特に影響するのは次の3点です。
(1) 分割出願可能時期が増える(特許法44条)
(2) 分割出願での補正可能範囲が狭まる(特許法50条の2、17条の2第5項)
(3) シフト補正が禁止される(特許法17条の2第4項)
以下、順番に見ていきます。

(1) 分割出願可能時期が増える(特許法44条)
特許査定・拒絶査定から30日以内についても、分割出願が可能となります。
従来、拒絶査定を受けた後、拒絶査定不服審判を請求して併せて補正を行おうとしても、限定的減縮範囲でしか補正ができませんでした。分割出願するだけのために審判請求することもありました。
これからは、審判請求せずに分割出願のみを行うことが可能となります。

やはり以前触れたのですが(ここここ)、審判請求時の補正が限定的減縮要件を満たしていないと審判の中で認定されたとき、審判請求が棄却され、この場合は改正法でも分割出願のチャンスも与えられません。
拒絶査定不服審判は、審判請求時の補正可能範囲が狭いし、補正要件違反をすると取り返しがつかないということです。それであれば、新法のもとでは、拒絶査定を受けたら審判請求するよりも分割出願した方が賢いかもしれません。要検討です。

今回、新法の適用時期が明らかになったのですが、査定後の分割出願が認められるのは、新法施行後の出願からなのですね。これは意外でした。新法施行前の出願について適用を認めても不都合はないように思うのですが。

(2) 分割出願での補正可能範囲が狭まる(特許法50条の2、17条の2第5項)
「この審査官は厳しすぎるから、拒絶を受けているクレームについて分割出願で最初から審査し直そう」と考えて分割出願することがあります。これからはこのような場合、分割出願での審査でいきなり「最後の拒絶理由通知」相当がされてしまうことになります。

(3) シフト補正が禁止される(特許法17条の2第4項)
これがなかなか厳しいです。
[類型1]
(特許請求の範囲)請求項1:発明A
(明細書)発明Aと発明B(AとBは「単一性要件」に違反)
発明Aについて拒絶理由通知を受けた場合、Aを削除して明細書中からBを持ってきてクレームアップすることができません。

[類型2]
(特許請求の範囲)請求項1:発明A
         請求項2:発明B
(明細書)発明Aと発明B(AとBは「単一性要件」に違反)
拒絶理由通知で、「発明Aは進歩性なし、発明AとBは単一性要件を満たさないので、Bについては審査していない」との通知を受けた場合、Aを削除してBのみを残す補正が許されなくなります。

ここで「単一性要件違反」とは、「発明Aと発明Bは違いすぎるので、ひとつの出願の中で特許を与えることができない」とされるような場合です。

今回の法改正の趣旨はわかるのですが、それであれば、米国のように「選択指令」を出して欲しかったです。
類型2の場合、「発明AとBの両方を1出願に入れることができない」と判断されるのであれば、発明Aの特許化はあきらめ、発明Bのみを特許にしたかった、という場合は十分にあり得ます。
ところが、新法では、発明Aを削除して発明Bで特許を取ろうと思ったら、補正では対処できず、新たに発明Bについての分割出願をしなければならないのです。

これが米国であれば、審査の最初に発明AとBが単一要件を満たすかどうかの審査がなされ、満たさないと審査官が判断すると、「AとBのいずれかを選択しなさい」という指令が出されます。ここで出願人がBを選択すると、Bについて特許性の審査をしてくれるのです。
米国の方がずっとユーザーフレンドリーですね。
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知財学会セッション「進歩性」

2006-06-26 00:01:27 | 知的財産権
6月17日に、日本知財学会主催の学術研究発表会の一環として「進歩性はいかにあるべきか」というシンポジウムが日本弁理士会協賛で開催されました。これに参加してきました。

日本弁理士会協賛セッション
・「進歩性はいかにあるべきか」
井上正氏(特許庁審査第一部調整課審査基準室 室長)
ヨッヘン・パーゲンベルク氏(ドイツ弁護士・元マックスプランク研究所研究員)
竹中俊子氏(米国ワシントン大学ロースクール教授、ニューヨーク州弁護士)
奥山尚一氏(日本弁理士会特許委員会委員長・弁理士)
<モデレータ>
岡部讓氏(日本弁理士会副会長・弁理士)

配られたペーパーには
「まず考えなければいけないのは、産業の発展を促進するという特許法の目的を達成するために求められる進歩性の水準とは何かということである。進歩性の基準が高すぎれば、特許出願に対する意欲は減退する。権利化が困難であるとすれば、発明に対するインセンティブと投資意欲も減退し、技術革新が遅れるおそれがある。他方、進歩性の水準が低すぎれば、些末な発明に対する特許が多くなって、独占権がむしろ企業活動の足かせとなって、産業の発展を阻害する要因になる。」
とあります。まさしくその通りです。

10時から12時までの2時間ということで、さすがにこの時間内には議論を尽くすことができませんでした。
議論を、例えば「複数文献の組合せ容易をどのように扱うべきか」「商業的成功、競業他社が発明できなかったという事情などをどのように扱うべきか」「後知恵を排すためにはどうしたらいいか」といったテーマに絞り込んだ方が、有益な議論ができたことでしょう。

日本における進歩性判断の実情紹介を特許庁の井上室長が行ったのですが、特許庁を中心とした総花的な話となってしまい、議論を絞ることができませんでした。
進歩性の判断で実権を握っているのは実質的に知財高裁であり、特許庁は知財高裁で取り消されないような審決を書くことしかできません。法律改正起案の権利は持っていますが、進歩性について法改正するという話は考えづらいです。

奥山弁理士がアメリカにおけるテレフレックスの米国特許6237565号に関する事件と日本の無煙ロースタ事件(平成14(行ケ)492)を対比して説明しました。この説明に対する竹中先生の以下のコメントが印象的でした。このような観点から議論が進められたら良かったのにと思います。
「進歩性判断に関し、日本とアメリカでは出発点が違う。アメリカでは、『競業者はなぜこの発明に至らなかったのか』という点から出発する。日本ではそうではない。」
「無煙ロースタ事件については、炊飯器とロースタが同一分野か疑問である。このように作用が異なるものを組み合わせることは原則困難とするのが、米国の考え方である。」

会場には、知財高裁から篠原所長ともうひとかたが参加しておられました。内容のある議論ができたら良かったのにと残念でした。

私としては、竹中先生にお会いできたことで満足です。竹中先生は企業出身の弁理士だったと聞きましたが、今は上記のとおり米国ワシントン大学ロースクール教授、ニューヨーク州弁護士であり、さらにCASRIP及び知的財産権・技術法LL.M.プログラム所長という役職にも就かれているようです。今後ともご活躍をお祈りいたします。
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戦いすんで・・・・

2006-06-25 10:50:40 | サッカー
日本代表のどの選手も監督も、以前から応援し、成長を楽しみ、尊敬してきた人たちばかりです。一次リーグが不本意な結果に終わったからといって、とても批判する気になれないし、マスコミやネットで悪し様に言われているのを聞くのは辛くて耐えられません。

しばらくはだれかれを戦犯に祭り上げてのバッシングが続くのでしょうが、選手と一緒に耐えていきましょう。開始1ヶ月前の醒めぶりからすれば、どうせ1ヶ月もすれば何もなかったかのように皆忘れているでしょう。

代表23人が発表になった頃、本屋のスポーツコーナーにはジーコを批判するような本は1冊も置いていませんでした。おそらくセルジオ越後は変わらずに辛口批評をしていたのでしょうが、本屋には置いてもらえていなかったということです。それだけ世の中は楽観ムードだったのでしょうね。
テレビのワイドショーで、スポーツ新聞の一次リーグ突破確率予想が話題になっていましたが、セルジオ越後が30%と低かった以外は、皆80%といったような甘い予想をしていました。
マスコミとしては、甘めの予想で視聴者を盛り上げ、視聴率さえ稼げれば良かったのでしょう。

結果がわかった今になって、あれこれと批評しても意味がないことです。

しばらくすれば、優れたインタビュアーによって、ジーコや各選手からこの1ヶ月間の戦いの全貌が明らかにされていくでしょう。分析と判断はその時まで待ちたいと思います。
オーストラリア戦での小野の投入について、監督はどのような考えだったのか、そして選手はその交代をどのようにとらえ、あるいは誤解したのか。1失点目からの8分間(運命の8分間)に、ピッチ上では、ベンチでは、一体何が起こっていたのか。
本戦に向けた選手たちの準備は実のところどうだったのか。体作りを怠り、漫然と参加した選手はいたのかいなかったのか。合宿以外でのコンディション作りを選手の自主性に任せたのが間違いだったのか。
選手同士の意思統一はうまくいったのかいかなかったのか。選手間の結束は保たれていたのかいなかったのか。
最初の2試合が炎天下での試合になったのは、やはり日本のテレビ局の意向があったのか。

次期監督はオシムに決まりかけているのですね。
本屋にはオシム本が平積みされ、オシムを推す人たちがいるなと思っていたのですが、やはりそうだったのですか。川淵キャプテンもこのオシム本に感銘を受けたといっていますね。ただ現在65歳ということで、4年後は69歳です。この点はちょっと気になります。

新代表の当面の課題は相反する2つです。
まず、世代交代を図らねばなりません。4年後に中心になる選手に、国際試合を数多く経験させる必要があります。現時点でのベストメンバーを招集するのではなく、ベテランには遠慮してもらって、若手に経験を積ませる必要があります。
一方で、アジア予選を勝ち抜かなければなりません。その点で、トルシエのように予選のことを考えずに若手を起用することは許されません。
新監督には、うまくバランスを図って、若手の成長とアジア予選通過の両方を獲得して欲しいです。
次回は、アジア枠が減って同時にオーストラリアがアジア枠に入っているということであれば、予選突破は相当厳しい戦いになります。
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対ブラジル戦

2006-06-25 00:07:59 | サッカー
新聞では惨敗だの完敗だのと書かれています。

そもそも今回の試合は、「2点差以上で勝つかそれ以外か」という方針で戦ったのですから、「きわどい勝利」だの「善戦」だの「惜敗」だのは最初から放棄した試合でした。
ブラジルとの実力差を考えれば、通常であれば守りを固めてカウンターという戦法が採られるのでしょうが、前半戦の日本の戦いは最初から勝負にいっていました。ブラジルがヒートアップしない中、よくやっていたと思います。日本選手はあんなに走り回って90分もつのか?と思いましたが、そんなことはいっていられません。

玉田のゴール、玉田の走り出しもサントスのパスも玉田のシュートも良かったですね。しかしあのゴールは、稲本からサントスへのパスが通った点がラッキーでした。稲本からのパスが出た瞬間、「パスカットされる、日本は逆襲に備えなければ」と思ったのですが、案に相違してパスカットされませんでした。

後半、日本は完全に足が止まりました。前半の飛ばしすぎ、それと前2試合が炎天下の試合で選手の疲労が回復していなかったためと思います。それでも攻めに行かなければならないのですから、あの結果は当然といえば当然です。

中田英は試合前にナカタネットで、この試合は2点差以上で勝ちに行くと宣言した後、「1-0で勝つような試合ではなく、もしかしたら3-4で負けてしまうかもしれない、そんな試合をしたいと思う。」との旨を述べています。
失点数は予想通りになりましたが、やむを得ないことだと思います。

普通に戦って、日本がブラジルに2点差以上で勝利する確率が1%としましょう。そのかわり惨敗する確率も低いです。
一方、別の戦い方(ギャンブル)で2点差以上で勝利する確率が2%に上がるのなら、今回はそちらを採用した、ということです。そのかわり惨敗する確率も上がります。もちろん惨敗する確率は何十%ということで、そうなっても仕方がないということです。
フランスワールドカップ決勝戦で、2点ビハインドとなったブラジルが攻め上がり、逆にだめ押しの3点目をフランスに入れられてしまったのと似たようなものです。

ブラジル戦での負けっぷりは、オーストラリア戦で2点差で敗戦したことからの帰結ということです。

ところで、玉田のゴールシーンで稲本からのパスがカットされず、またディフェンスが玉田につかなかった点、ブラジルのディフェンスにはそういう甘いところがあるような気がします。アトランタ五輪で日本がブラジルから挙げた1点も、状況は違いますが共通点を感じます。
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佐藤優氏控訴審に東郷和彦氏出廷

2006-06-24 00:01:27 | 歴史・社会
佐藤優氏については、このブログでも1回だけ触れたことがあります。

元外務省の高級官僚だった東郷和彦氏は、鈴木宗男氏事件との関連で海外に出たきりでしたが、今回4年ぶりで帰国し、佐藤優氏の控訴審に弁護側証人として出廷しました。例えばこのニュース

佐藤優氏裁判での東郷氏の証言ということであれば、確認したいのは以下の2点です。
(1) 東郷氏は、国外に出た後、イギリスで検察の事情聴取を受け、佐藤氏裁判の一審では証人になることを拒否しています。その間、どのようないきさつがあり、今回控訴審で証人尋問に出廷することをどのような心境で応じたのか。
(2) 佐藤氏の2つの罪状のうちのひとつである、イスラエル国際学会派遣の費用をロシア支援委員会から支出したかどで背任罪に問われた件について、東郷氏がどのような証言をするのか。

6月21日に行われた弁護側の尋問に関して、ここここに詳細な記録があります。「日暮れて途遠し」という、佐藤氏裁判をフォローされている方のブログですが、すごいです。裁判での東郷氏に対する一問一答が手に取るようにわかります。

裁判での受け答えを見る限り、東郷氏は、自分の保身についてはあまり考えず、佐藤氏のために真実を語ろうということで帰国し裁判に臨んでいるようです。

佐藤優氏の「国家の罠」から、東郷氏の動きを追うと以下の通りです。
2002年5月の佐藤氏逮捕の直前、東郷氏は外国にいたようです。佐藤氏は、自分の逮捕は鈴木宗男氏と東郷氏を狙った前哨戦であるととらえ、東郷氏の奥さんに「この事件のケリがつかないうちは日本に帰ってきてはなりません」と伝えます。

翌年6月の起訴前後、拘留中の佐藤氏はイギリスで行われた東郷氏に対する検察の事情聴取について検察官に質問します。
佐藤氏「内容はどうだい」
検察官「しょうもない支離滅裂な内容だ」
「西村さんが『しょうもない』というのは僕には有利だということかな」
「そうでもないぜ。東郷は部下を守るという発想の全くない人だよ。君が思っているような人じゃないよ」
「守りに弱いからなぁ。壊れちゃったかな」

2004年春、一審で東郷氏に証人になってくれるように頼み、一度は応諾します。しかし東郷氏側が東郷氏の立場について検察に確認したところ、「共犯者の位置づけだ」との回答があり、その結果東郷氏が身の危険を感じて出廷しないとの決断をしたのです。

以上が「国家の罠」から拾った話です。

次に今回の控訴審での東郷氏の証言です。ブログ「日暮れて途遠し」から。
[2002年2月外務省で受けた事情聴取でのやり取り]
(外務省から)「東郷さん、あなたは辞表をかくべきではないですか」と言われた。
(辞表は)出してない。外務省では、お願いをもって退職するという「依願退職」というのが通例だが、「退官」という異例の辞令であった。
上司として、部下が傷ついたことは遺憾だが、そのことで辞表を出す理由はないと言ったら、「分かりました。東郷さん、あなたは切腹でなく、打ち首を望んでいるのか」と言われた。
そのときから自分の中で何かが壊れた。
退官のときまで疲労困憊の状態になった。
日本に残って何かをするつもりはなく、一刻も早く日本を出て、どこか別の場所に自分を置いて見つめなおしたいと思った。

[ロンドンでの検事の事情聴取]
A.ゴロデツキー教授招聘とテルアビブ国際学会派遣。
①外務省が組織として実行したことで、具体的にはそれぞれの決裁書が共通の構造を持っている。欧亜局がとりまとめ、(条約局が検討)
②ロシア支援協定に照らして合法性。100%の責任(権限)のある条約局がそれでOKとしたものが、違法性を問われることはありえないということを言いたかった。
そのまま書いてほしいと希望したが、それはできないと。

実に生々しいですね。

その他、佐藤氏が外交官として如何に傑出しているか、どれだけ日本外交のために奔走してきたかという点について話されています。また、国際学会派遣にロシア支援委員会の予算を使ったことについて、すべて外務省が組織として行ったことで佐藤氏の背任ではない、という点について主張されています。ぜひ、ブログ「日暮れて途遠し」で東郷氏の生の声を聞いてください。
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先使用権制度ガイドライン

2006-06-23 09:05:38 | 知的財産権
特許庁は6月16日、264ページからなる先使用権制度ガイドラインを発表しました。

もともと、昨年度の産業構造審議会特許制度小委員会において、先使用権制度の在り方について審議がなされました。
この審議会では、先発明権(いわゆるソロー封筒)の創設も提案されましたが、反対が多く取り上げられませんでした。また先使用権制度の明確化等のために法改正を行うことも議論されましたが、特許権者と先使用権者とのバランスを変える可能性があることから、法改正ではなく、ガイドライン(事例集)を作成することになりました。
今回のガイドラインは、上記答申に基づき、判例、通説や企業の実態等を参考に、委員会での議論の結果を踏まえて特許庁が作成したものです。

内容は膨大です。
33ページまでで、過去の判例に基づいて先使用権制度の内容を説明しています。
次の83ページまでは先使用権を立証するためのガイドラインです。
113ページまでは付録として事実実験公正証書の例が挙げられています。
そしてその後の261ページまでが、判例と関連条文のページです。

特許庁は、先使用権を広く使ってもらうことにより、特許出願の件数を減らすことを狙ったものと思われます。そして、ガイドラインさえできれば広く多くの人が先使用権の利用を開始し、特許出願が減るものと期待したのでしょう。

しかし、そもそも先使用権は非常に使いづらい制度であり、将来発生するかしないか全くわからない紛争に備えて証拠を収集しておく必要がありますから、とても手軽に利用できるものではありません。この点はガイドラインを作成する委員会の委員もよく心得ていますから、このような大部の文書になってしまったわけです。

ところで、去年行われた議論の中で、公証人による事実実験公正証書の話が良く出てきました。この制度を使うと、先使用権の立証が容易になるような雰囲気で議論されていました。

しかし、事実実験公正証書とは、公証人の五感で知得した結果を記載するものですから、公証人が五感で知得し得ないことはそもそも記載できません。「実験」とは「実際の体験」という程度の意味だと思います。

先使用権の立証のためには、将来他人が特許出願するかもしれない発明の、すべての構成要件が明確に記載された証拠を集めておく必要があります。他人の特許発明を予測して、その予測した発明のすべての構成要件の資料を集めるのですから、これはそのつもりで資料収集を行わない限り漏れが出ます。「公証人が見たままを記載してもらう」のでは何の役にも立ちません。
結局、十分な資料を集めた上で、その資料の存在日を立証するために確定日付を得ておく、というのが正しい公証人の使い方だと思います。

ガイドラインの中で、確定日付と事実実験公正証書とをどのように使い分けるのか、それぞれがどのような得失を持っているのか、についての解説を探したのですが、見つかりませんでした。

ガイドラインの中に書かれた「企業の実例」においても、公証人が登場するのは確定日付だけであり、事実実験公正証書を使っている企業は皆無でした。
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先使用権に対する誤解

2006-06-22 00:07:18 | 知的財産権
ちょっと古新聞ですが、日経新聞は、特許の先使用権を以下のように紹介しています。
「特許庁は技術情報の海外流出を防ぐため、出願しなくても先に発明したことを証明すれば自らの知的財産権を守れる「先使用権」の活用を企業に促す。」

こんな間違った情報を国民に流したのでは、困ったことになります。

「先使用権」というのは、他人の特許出願以前にその発明について「事業をし、またはその事業の準備をしてる」場合にのみ認められるものです。
従って、その他人の出願より先に発明をしていたことを証明したのでは足りず、先に発明の実施の事業またはその準備をしていたことを証明しなければなりません。

特許庁は1年ほど前、「先発明権」(フランスのソロー封筒のようなもの)の創設を働きかけたことがあります。しかしこの件については反対が多く、法改正には至りませんでした。
その議論の過程で、「現行法の先使用権について、使いやすいようにガイドラインを設けよう」ということになり、そのガイドラインも今回発表されました。しかしあくまで「現行法の先使用権」であって事業またはその準備が要求されるのであり、「先発明権」ではありません。
この違いを特許庁はきちんと説明しなければならないのですが、日経新聞の記者が勘違いしたところを見ると、あまり明確に説明していないのでしょうね。

特許庁は264ページからなる先使用権制度ガイドライン(事例集)を6月16日に発表しました。この内容については別途論じたいと思います。
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