弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

日本国憲法前文(3)

2006-03-01 00:21:33 | 歴史・社会
憲法前文の第2段落の第1文と憲法9条1項とを並べてみます。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」

以上から感じられる印象は以下の通りです。
「我々日本人は戦後、人間相互間の崇高な理想を自覚しました。そこで、平和を愛する皆さんの公正と信義に信頼して、永久に武器を持たないことにします。もし悪者が現れたら、皆さんが武器を取って戦い、われらの安全と生存を保持してください。なぜ日本人だけ武器を持たないかって?悪いのは日本(と枢軸国)だけで、日本さえ武器を捨てれば世界は平和になるのです。(日本人が武器を持つとまた悪いことを始めちゃうのですよ)」
何と無責任で、克己心のない、自己向上意欲のない精神でしょうか。私が勝手に想像しているだけですが・・・。
本来であれば、日本が世界を苦しめる行動を取った根本の原因を徹底解明し、その原因を取り除いた上で、「もう日本は大丈夫ですから、必要があれば皆さんと一緒に武器を取ります」という態度を取るべきです。

しかし、前文第2段落第1文の英文を見ると印象が変わります。
"We, the Japanese people, desire peace for all time and are deeply conscious of the high ideals controlling human relationship and we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world."
"we have determined"と現在完了になっているのですね。前文の中ではここだけです。なぜ現在完了なのでしょう。
ひょっとすると、既に過去に起きた事象、例えばポツダム宣言の受諾、を指しているのではないか、と想像しています。そうだとしたら、この文章は単に過去の事実を述べているだけである可能性が高くなります。

この点についても、事情をご存じの方がおられましたら、ぜひ教えてください。
コメント
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