8月30日、久しぶりにテレビで鳥人間コンテストを観ました。
まずは、各部門の1位から3位までの記録です。
滑空機部門
優勝 Team 三鷹茂原下横田 460.76m
2位 飛ん女の会 with FlightWorks 383.04m
3位 Iwatani クリーンエネルギーチーム 337.61m
人力プロペラ機部門
優勝 BIRDMAN HOUSE 伊賀 69,682.42m
2位 東北大学 Windnauts 42,837.78m
3位 大阪工大 人力飛行機プロジェクト 8,566.72m
わが母校、東京工業大学 Meisterは、記録3851.83mで13機中4位でした。
人力プロペラ機部門の今年のコースは、琵琶湖の湖上に設けられたスタートから2つの方向で距離17km附近にそれぞれマークがあり、一方のマークを回ってスタート地点に戻り、その後他方のマークを回ってスタート地点に戻るのが最長のコースで、ゴールに到達すれば70km達成となります。
上の記録にあるように、優勝したBIRDMAN HOUSE伊賀の記録は69,682.42m、即ち、70kmのコースをほぼ飛びきり、残り300mで力尽きた、という、劇的な幕切れでした。
2位の東北大学も、自大学新記録、そして全大学新記録達成でした。
人力プロペラ機ディスタンス部門 歴代ランキングを掲載します。
順位 記録 チーム名 氏名 年齢 年度
1位 69,682.42 BIRDMAN HOUSE 伊賀 渡邊 悠太 36 45回
2位 60,000.00 BIRDMAN HOUSE 伊賀 渡邊 悠太 32 42回
3位 42,837.78 東北大学 Windnauts 岩田 大地 21 45回
4位 40,000.00 BIRDMAN HOUSE 伊賀 渡邊 悠太 30 40回
5位 38,010.28 日本大学理工学部航空研究会 森田 順也 21 42回
6位 36,868.80 東北大学 Windnauts 丹治 開 22 44回
7位 36,000.00 東北大学 Windnauts 西脇 渉 21 32回
8位 35,367.02 東北大学 Windnauts 松島 昂汰 20 38回
9位 34,654.10 日本大学理工学部航空研究会 平綿 甲斐 21 27回
10位 32,177.99 東京工業大学 Meister 田中 宗介 21 27回
歴代の10位までで、登場するのは4グループのみです。BIRDMAN HOUSE 伊賀、東北大学 Windnauts、日本大学理工学部航空研究会、東京工業大学 Meisterです。
私はこの4グループを「強豪」と呼んでいます。
以下に、各年度の優勝チームと優勝距離を上げてます。2001年の25回大会以降、優勝しているのはこの4チームのみです。
人力飛行機で優勝を争うためには、機体を徹底して軽量化し、その中で空力特性を最適状態とし、パイロットは卓越した脚力と持久力が要求されます。これらの條件を満たして優勝を争うためには、歴代の設計ノウハウが蓄積されている「強豪チーム」のみが傑出しているのだろうと。
最近はその中でも、大学では東北大学、そしてその上をいくBIRDMAN HOUSE 伊賀の実力が際立っています4強のうちの日本大学と東京工業大学はだいぶ引き離されています。
開催年 回 優勝距離 優勝チーム
1986 10 512 チームエアロセプシー
1987 11 436 日本大学
1990 14 1,810 日本大学
1991 15 500 日本大学
1992 16 2,020 チームエアロセプシー
1993 17 2,181 日本大学
1994 18 2,372 日本大学
1995 19 8,764 チームエアロセプシー
1996 20 9,762 大阪府立大学
1998 22 23,688 チームエアロセプシー
1999 23 4,913 大阪府立大学
2000 24 7,946 大阪府立大学
2001 25 3,824 東京工業大学
2002 26 6,201 東京工業大学
2003 27 34,654 日本大学
2005 29 22,813 日本大学
2006 30 28,628 東北大学
2007 31 3,998 東京工業大学
2008 32 36,000 東北大学
2009 中止
2010 33 18,556 東京工業大学
2011 34 18,687 東北大学
2012 35 14,129 東北大学
2013 36 20,399 東京工業大学
2014 37 強風途中中止
2015 38 35,367 東北大学
2016 39 21,415 日本大学
2017 40 40,000 BIRDMAN HOUSE 伊賀
2018 41 競技不成立
2019 42 60,000 BIRDMAN HOUSE 伊賀
2020 中止
2021 43 36,868 東北大学
2022 44 42,837 東北大学
2023 45 69,682 BIRDMAN HOUSE 伊賀
第10回から第45回までの優勝チーム名と優勝距離を眺めると、10回から22回まではチームエアロセプシー、40回から45回まではBIRDMAN HOUSE 伊賀が飛び抜けていることがわかります。両チームとも社会人です。何か理由があるのでしょう。
BIRDMAN HOUSE 伊賀について、「工学教育」誌の座談会記事を見つけました。パイロットの渡邊さんは、東京大学在学中にサークルで鳥人間コンテストを目指しましたが書類選考で落とされました。森精機に入社し、社内でサークルを立ち上げ、リーダー兼パイロットとして活動し、現在の最強チームを作り上げたようです。大西禎さんという強力な共同リーダー的人材も擁しています。
鳥人間コンテストには2016年から参加し、その年は約17kmを飛んで3位でした。飛べる機体だということがわかったので、細かい調整とパイロットのトレーニングを行い、2017年には最大距離40kmを飛行して優勝、2018年は台風で不成立、2019年は延長された最大距離60kmを飛んで優勝、という成果を残しました。
大学チームは毎年メンバーが入れ替わるので人から人へ技術を継承する必要がありますが、社会人チームはそのようなメンバー入れ替わりがないので強いかもしれません。
今回の各賞を紹介しましょう。
THE BEST BIRDMAN賞 新記録賞 BIRDMAN HOUSE 伊賀
人力プロペラ機部門において自身の持つ大会記録を更新。人力飛行における無限の可能性を感じさせるとともに、人々の記憶に残る感動的なフライトを披露しました。鳥人間コンテストの大会発展の可能性を顕著に示しましたので、ここに「THE BEST BIRDMAN賞」を授与するとともに、69,682.42mという大記録に対して「新記録賞」をお贈りいたします。
SUPPORTER賞 東京工業大学 Meister
チームの歴史・伝統を理解し、応援リーダーの圧倒的な熱量とともに発せられるその応援は、「魂の叫び」となり、フライト中のパイロットにも届くものとなった。「応援とは何か?」を人々に問いかけ、心を打ったその応援にSUPPORTER賞をお贈りいたします
彦根市長賞 東北大学 Windnauts
人力プロペラ機部門において、42,837.78m という記録で見事2位。プラットホーム前の折り返しにも成功し、チーム記録、学生記録を更新。人々の記憶に残る、チーム一丸となった感動的なフライトを披露しましたので、副賞として「彦根市長賞」をお贈りいたします。
まずは、各部門の1位から3位までの記録です。
滑空機部門
優勝 Team 三鷹茂原下横田 460.76m
2位 飛ん女の会 with FlightWorks 383.04m
3位 Iwatani クリーンエネルギーチーム 337.61m
人力プロペラ機部門
優勝 BIRDMAN HOUSE 伊賀 69,682.42m
2位 東北大学 Windnauts 42,837.78m
3位 大阪工大 人力飛行機プロジェクト 8,566.72m
わが母校、東京工業大学 Meisterは、記録3851.83mで13機中4位でした。
人力プロペラ機部門の今年のコースは、琵琶湖の湖上に設けられたスタートから2つの方向で距離17km附近にそれぞれマークがあり、一方のマークを回ってスタート地点に戻り、その後他方のマークを回ってスタート地点に戻るのが最長のコースで、ゴールに到達すれば70km達成となります。
上の記録にあるように、優勝したBIRDMAN HOUSE伊賀の記録は69,682.42m、即ち、70kmのコースをほぼ飛びきり、残り300mで力尽きた、という、劇的な幕切れでした。
2位の東北大学も、自大学新記録、そして全大学新記録達成でした。
人力プロペラ機ディスタンス部門 歴代ランキングを掲載します。
順位 記録 チーム名 氏名 年齢 年度
1位 69,682.42 BIRDMAN HOUSE 伊賀 渡邊 悠太 36 45回
2位 60,000.00 BIRDMAN HOUSE 伊賀 渡邊 悠太 32 42回
3位 42,837.78 東北大学 Windnauts 岩田 大地 21 45回
4位 40,000.00 BIRDMAN HOUSE 伊賀 渡邊 悠太 30 40回
5位 38,010.28 日本大学理工学部航空研究会 森田 順也 21 42回
6位 36,868.80 東北大学 Windnauts 丹治 開 22 44回
7位 36,000.00 東北大学 Windnauts 西脇 渉 21 32回
8位 35,367.02 東北大学 Windnauts 松島 昂汰 20 38回
9位 34,654.10 日本大学理工学部航空研究会 平綿 甲斐 21 27回
10位 32,177.99 東京工業大学 Meister 田中 宗介 21 27回
歴代の10位までで、登場するのは4グループのみです。BIRDMAN HOUSE 伊賀、東北大学 Windnauts、日本大学理工学部航空研究会、東京工業大学 Meisterです。
私はこの4グループを「強豪」と呼んでいます。
以下に、各年度の優勝チームと優勝距離を上げてます。2001年の25回大会以降、優勝しているのはこの4チームのみです。
人力飛行機で優勝を争うためには、機体を徹底して軽量化し、その中で空力特性を最適状態とし、パイロットは卓越した脚力と持久力が要求されます。これらの條件を満たして優勝を争うためには、歴代の設計ノウハウが蓄積されている「強豪チーム」のみが傑出しているのだろうと。
最近はその中でも、大学では東北大学、そしてその上をいくBIRDMAN HOUSE 伊賀の実力が際立っています4強のうちの日本大学と東京工業大学はだいぶ引き離されています。
開催年 回 優勝距離 優勝チーム
1986 10 512 チームエアロセプシー
1987 11 436 日本大学
1990 14 1,810 日本大学
1991 15 500 日本大学
1992 16 2,020 チームエアロセプシー
1993 17 2,181 日本大学
1994 18 2,372 日本大学
1995 19 8,764 チームエアロセプシー
1996 20 9,762 大阪府立大学
1998 22 23,688 チームエアロセプシー
1999 23 4,913 大阪府立大学
2000 24 7,946 大阪府立大学
2001 25 3,824 東京工業大学
2002 26 6,201 東京工業大学
2003 27 34,654 日本大学
2005 29 22,813 日本大学
2006 30 28,628 東北大学
2007 31 3,998 東京工業大学
2008 32 36,000 東北大学
2009 中止
2010 33 18,556 東京工業大学
2011 34 18,687 東北大学
2012 35 14,129 東北大学
2013 36 20,399 東京工業大学
2014 37 強風途中中止
2015 38 35,367 東北大学
2016 39 21,415 日本大学
2017 40 40,000 BIRDMAN HOUSE 伊賀
2018 41 競技不成立
2019 42 60,000 BIRDMAN HOUSE 伊賀
2020 中止
2021 43 36,868 東北大学
2022 44 42,837 東北大学
2023 45 69,682 BIRDMAN HOUSE 伊賀
第10回から第45回までの優勝チーム名と優勝距離を眺めると、10回から22回まではチームエアロセプシー、40回から45回まではBIRDMAN HOUSE 伊賀が飛び抜けていることがわかります。両チームとも社会人です。何か理由があるのでしょう。
BIRDMAN HOUSE 伊賀について、「工学教育」誌の座談会記事を見つけました。パイロットの渡邊さんは、東京大学在学中にサークルで鳥人間コンテストを目指しましたが書類選考で落とされました。森精機に入社し、社内でサークルを立ち上げ、リーダー兼パイロットとして活動し、現在の最強チームを作り上げたようです。大西禎さんという強力な共同リーダー的人材も擁しています。
鳥人間コンテストには2016年から参加し、その年は約17kmを飛んで3位でした。飛べる機体だということがわかったので、細かい調整とパイロットのトレーニングを行い、2017年には最大距離40kmを飛行して優勝、2018年は台風で不成立、2019年は延長された最大距離60kmを飛んで優勝、という成果を残しました。
大学チームは毎年メンバーが入れ替わるので人から人へ技術を継承する必要がありますが、社会人チームはそのようなメンバー入れ替わりがないので強いかもしれません。
今回の各賞を紹介しましょう。
THE BEST BIRDMAN賞 新記録賞 BIRDMAN HOUSE 伊賀
人力プロペラ機部門において自身の持つ大会記録を更新。人力飛行における無限の可能性を感じさせるとともに、人々の記憶に残る感動的なフライトを披露しました。鳥人間コンテストの大会発展の可能性を顕著に示しましたので、ここに「THE BEST BIRDMAN賞」を授与するとともに、69,682.42mという大記録に対して「新記録賞」をお贈りいたします。
SUPPORTER賞 東京工業大学 Meister
チームの歴史・伝統を理解し、応援リーダーの圧倒的な熱量とともに発せられるその応援は、「魂の叫び」となり、フライト中のパイロットにも届くものとなった。「応援とは何か?」を人々に問いかけ、心を打ったその応援にSUPPORTER賞をお贈りいたします
彦根市長賞 東北大学 Windnauts
人力プロペラ機部門において、42,837.78m という記録で見事2位。プラットホーム前の折り返しにも成功し、チーム記録、学生記録を更新。人々の記憶に残る、チーム一丸となった感動的なフライトを披露しましたので、副賞として「彦根市長賞」をお贈りいたします。