慰安婦問題「甚だしい人権侵害」=北朝鮮核実験を容認せず―米韓首脳
時事通信 4月25日(金)19時53分配信
『韓国訪問中のオバマ米大統領は25日午後、ソウルの青瓦台(大統領府)で朴槿恵大統領と会談した。オバマ氏は会談後の共同記者会見で、旧日本軍の従軍慰安婦問題について「歴史を振り返るなら、実に甚だしい人権侵害と考えなければならない」と明言した。その上で「(日韓は)過去を振り返りつつ、未来に進むべきだ」と、関係改善も重ねて求めた。
オバマ氏が従軍慰安婦問題で見解を示したのは初めてで、日本に対応を求める朴大統領の立場に一定の理解を示した。』
この報道にはびっくりしてしまいました。オバマ大統領が内心でどのように考えているかは別にして、公式の場でこのように発言することは、日韓関係に大きな影響を及ぼすはずであり、軽率だったのではないか、という印象を受けました。
オバマ大統領は、韓国での記者会見で正確にはどのような発言をしたのでしょうか。その発言全文を探したのですがなかなか見つかりません。
唯一、なでしこりんさんのブログで「オバマ発言、日本は前半に怒り、韓国は後半に火病る! たぶん、オバマ発言で盛り上がっているのは日本と韓国だけでは?」を見つけました。
2014-04-26
この中で、英文とその和訳を掲載されています。ここでは、英文をそのまま転載させていただき、和訳についてはできるだけ直訳する形で私が行いました。
(1)"This was a terrible, egregious violation of human rights. Those women were violated in ways that even in the midst of war were shocking, I think Prime Minister Abe recognises this and certainly the Japanese people recognise that the past is something that has to be recognised honestly and fairly."
(1)これは、人権に対する恐ろしい、実にひどい違背である。あの女性たちは、戦争中といえどもショッキングな方法で暴行を加えられた。私は、安倍首相もこれを認めるだろうし、恐らく日本国民も過去は公平公正に認めるべきものと認めていると思う。
(2)"It is in the interests of both Japan and the Korean people to look forwards as well as backwards and to find ways in which the heartache and the pain of the past can be resolved."
(2)後だけでなく前を見ること、そして過去の悲嘆と苦痛を解決する道を見つけることは、日本と韓国いずれの国民のためにもなる。
(3)"You are both democracies; you both have thriving free markets; you both are cornerstones of a booming economic region. You both are strong allies and friends of the United States."
(3)あなたたちはどちらも民主国であり、どちらも栄えている自由市場を持ち、どちらも盛んな経済領域の基石である。どちらも合衆国の強固な同盟国であり、友人である。
(4)"My hope would be that we can honestly resolve some of these past tensions, but also keep an eye on the future."
(4)私の希望は、私たちが誠実にこれらの過去の緊張を解決できるだけでなく、未来に目を保つことができるようになることだ。
-------------------
まずは、「慰安婦」をオバマ大統領はどのように表現したのかが気になっていたのですが、実際には発言していません。「This」「Those women」という間接的な表現で済ませたようです。"comfort women"では日本びいき、"sex slaves"では韓国びいきになっていずれも問題ですが、そこをうまく避けたということでしょう。
(ps 4/29 上記(1)の前段階で、オバマ大統領は発言をしており、その中で"comfort women"と発言していることを確認しました。)
さて、オバマ発言をどのように解釈するか。
私は、オバマ発言の上記(1)~(4)のうち、(1)については、この問題を語り始めるに際しての枕詞としての意義があるのかな、と解釈しました。
あの女性たちが、ひどい人権侵害を受けたことはだれも否定できないことです。本人が希望することなく、慰安婦の仕事をさせられ、「故国に帰りたい」と言っても所定の条件が揃わない限り帰してもらえなかったことは間違いありません。
ここでは、河野談話のうち、「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」において、官憲等が直接、甘言強圧による慰安婦の募集に加担したか否かは問題ではありません。だれが募集したにせよ、また慰安婦の親が承諾したにせよ、本人の意志に反して集められ移送され、慰安婦の仕事をさせられたわけで、これを「人権侵害ではない」と逃れることはできません。
日本では、「官憲等が直接、甘言強圧による慰安婦の募集に加担した事実はない」ということを重要視していますが、アメリカでは、官憲等による強制連行があろうがなかろうが、人権侵害に変わりはない、という考え方であり、オバマ大統領の発言もそのような文脈でとらえることができます。
韓国での記者会見でわざわざオバマ大統領がこの発言をしたことは、「安倍首相、この点をきちんと押さえなさいよ」との警告だったかもしれません。
被害者本人たちが「謝ってほしい」と思っているのであれば、加害者側である日本は、常に枕詞として謝罪の言葉を差し挟むことは必要でしょう。韓国が要求している、「国費での補償」を受け入れるか否かは別問題として。
さっそく、安倍首相は反応したようです。
慰安婦問題「胸痛む」=安倍首相
時事通信 4月27日(日)15時42分配信
『安倍晋三首相は27日午後、オバマ米大統領が朴槿恵韓国大統領との会談後に旧日本軍の従軍慰安婦問題を「甚だしい人権侵害」と発言したことについて、「筆舌に尽くし難い思いをされた慰安婦の方々のことを思うと本当に胸が痛む思いだ」と述べた。その上で「今後とも日本の考え方、取り組みを説明してまいりたい」と語り、両国をはじめ国際社会の理解を得られるよう努める考えを示した。』
ps 4/29 この記事に対して松本さんからコメントをいただき、上記私が引用した英文は正確ではないことがわかりました。正確にはホワイトハウスのサイトに発言内容が掲載されていました。
また、以下のサイトで英文和訳が行われていましたので、こちらもご参照ください。
うさみのりや「ついにオバマ大統領が慰安婦問題に巻き込まれたようなんだが」4月28日
時事通信 4月25日(金)19時53分配信
『韓国訪問中のオバマ米大統領は25日午後、ソウルの青瓦台(大統領府)で朴槿恵大統領と会談した。オバマ氏は会談後の共同記者会見で、旧日本軍の従軍慰安婦問題について「歴史を振り返るなら、実に甚だしい人権侵害と考えなければならない」と明言した。その上で「(日韓は)過去を振り返りつつ、未来に進むべきだ」と、関係改善も重ねて求めた。
オバマ氏が従軍慰安婦問題で見解を示したのは初めてで、日本に対応を求める朴大統領の立場に一定の理解を示した。』
この報道にはびっくりしてしまいました。オバマ大統領が内心でどのように考えているかは別にして、公式の場でこのように発言することは、日韓関係に大きな影響を及ぼすはずであり、軽率だったのではないか、という印象を受けました。
オバマ大統領は、韓国での記者会見で正確にはどのような発言をしたのでしょうか。その発言全文を探したのですがなかなか見つかりません。
唯一、なでしこりんさんのブログで「オバマ発言、日本は前半に怒り、韓国は後半に火病る! たぶん、オバマ発言で盛り上がっているのは日本と韓国だけでは?」を見つけました。
2014-04-26
この中で、英文とその和訳を掲載されています。ここでは、英文をそのまま転載させていただき、和訳についてはできるだけ直訳する形で私が行いました。
(1)"This was a terrible, egregious violation of human rights. Those women were violated in ways that even in the midst of war were shocking, I think Prime Minister Abe recognises this and certainly the Japanese people recognise that the past is something that has to be recognised honestly and fairly."
(1)これは、人権に対する恐ろしい、実にひどい違背である。あの女性たちは、戦争中といえどもショッキングな方法で暴行を加えられた。私は、安倍首相もこれを認めるだろうし、恐らく日本国民も過去は公平公正に認めるべきものと認めていると思う。
(2)"It is in the interests of both Japan and the Korean people to look forwards as well as backwards and to find ways in which the heartache and the pain of the past can be resolved."
(2)後だけでなく前を見ること、そして過去の悲嘆と苦痛を解決する道を見つけることは、日本と韓国いずれの国民のためにもなる。
(3)"You are both democracies; you both have thriving free markets; you both are cornerstones of a booming economic region. You both are strong allies and friends of the United States."
(3)あなたたちはどちらも民主国であり、どちらも栄えている自由市場を持ち、どちらも盛んな経済領域の基石である。どちらも合衆国の強固な同盟国であり、友人である。
(4)"My hope would be that we can honestly resolve some of these past tensions, but also keep an eye on the future."
(4)私の希望は、私たちが誠実にこれらの過去の緊張を解決できるだけでなく、未来に目を保つことができるようになることだ。
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まずは、「慰安婦」をオバマ大統領はどのように表現したのかが気になっていたのですが、実際には発言していません。「This」「Those women」という間接的な表現で済ませたようです。"comfort women"では日本びいき、"sex slaves"では韓国びいきになっていずれも問題ですが、そこをうまく避けたということでしょう。
(ps 4/29 上記(1)の前段階で、オバマ大統領は発言をしており、その中で"comfort women"と発言していることを確認しました。)
さて、オバマ発言をどのように解釈するか。
私は、オバマ発言の上記(1)~(4)のうち、(1)については、この問題を語り始めるに際しての枕詞としての意義があるのかな、と解釈しました。
あの女性たちが、ひどい人権侵害を受けたことはだれも否定できないことです。本人が希望することなく、慰安婦の仕事をさせられ、「故国に帰りたい」と言っても所定の条件が揃わない限り帰してもらえなかったことは間違いありません。
ここでは、河野談話のうち、「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」において、官憲等が直接、甘言強圧による慰安婦の募集に加担したか否かは問題ではありません。だれが募集したにせよ、また慰安婦の親が承諾したにせよ、本人の意志に反して集められ移送され、慰安婦の仕事をさせられたわけで、これを「人権侵害ではない」と逃れることはできません。
日本では、「官憲等が直接、甘言強圧による慰安婦の募集に加担した事実はない」ということを重要視していますが、アメリカでは、官憲等による強制連行があろうがなかろうが、人権侵害に変わりはない、という考え方であり、オバマ大統領の発言もそのような文脈でとらえることができます。
韓国での記者会見でわざわざオバマ大統領がこの発言をしたことは、「安倍首相、この点をきちんと押さえなさいよ」との警告だったかもしれません。
被害者本人たちが「謝ってほしい」と思っているのであれば、加害者側である日本は、常に枕詞として謝罪の言葉を差し挟むことは必要でしょう。韓国が要求している、「国費での補償」を受け入れるか否かは別問題として。
さっそく、安倍首相は反応したようです。
慰安婦問題「胸痛む」=安倍首相
時事通信 4月27日(日)15時42分配信
『安倍晋三首相は27日午後、オバマ米大統領が朴槿恵韓国大統領との会談後に旧日本軍の従軍慰安婦問題を「甚だしい人権侵害」と発言したことについて、「筆舌に尽くし難い思いをされた慰安婦の方々のことを思うと本当に胸が痛む思いだ」と述べた。その上で「今後とも日本の考え方、取り組みを説明してまいりたい」と語り、両国をはじめ国際社会の理解を得られるよう努める考えを示した。』
ps 4/29 この記事に対して松本さんからコメントをいただき、上記私が引用した英文は正確ではないことがわかりました。正確にはホワイトハウスのサイトに発言内容が掲載されていました。
また、以下のサイトで英文和訳が行われていましたので、こちらもご参照ください。
うさみのりや「ついにオバマ大統領が慰安婦問題に巻き込まれたようなんだが」4月28日