<1179> 落葉の道を行く
落葉敷く 吉野への道 晴れゆけり
今日は明日香村の栢森から妹峠(芋峠・小峠)越えに吉野町の千股(ちまた)まで、俳句五句を課してドライブし、近辺を歩いた。どこの山も黄(紅)葉が真っ盛りで、麓には穫り入れを終えた田んぼが広がり、初冬の風情である。まだ秋を感じさせるところもあるが、句立ては冬である。
野菜では大根、白菜、葱。花では山茶花、菊、葉牡丹。果実では柿、樒柑などが目につく。色づくもみじはさまざま、万葉時代は黄葉の表記が主流だった。山の自然木は紅葉するものよりも黄葉するものが多く、落葉樹の多い雑木林では主に黄葉によって彩られる。自然を対象に詠んでいる歌の多い万葉歌が紅葉よりも黄葉の表記を用いているのは当然と言ってよかろう。
妹峠越えはその昔、持統天皇が吉野離宮への行幸の際に通った道だと言われ、その山道は今も残っている。以下は即席の六句である。 写真は左から落葉が敷き詰められた妹峠越えの道、落葉の道に引く自分の影、雑木の黄葉。
落葉敷く 数限りなき 命かな 西日差し 落葉踏み行く 影踏み行く 遠山に 冬日射しゐる あたたかさ
恩寵の 冬日に猫の 真ん丸な 落葉して 明るき道を 山里へ にぎやかで 少しさびしき 落葉かな