大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより~ 写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年11月14日 | 写詩・写歌・写俳

<1166> 草 紅 葉

           川に鷺 岸は一面 草紅葉

  奈良市内では初霜を見たという今日の冷え込み。我が家の辺りでは見られなかったが、強い風があって、昨日よりも冷たく感じる朝だった。里山のクヌギなどはまだのようであるが、辺りの木々は色づきつつある。風は木枯らしを思わせるところがあり、強い一日だったが、日中はそれほど寒いという感じはなかった。斜めに射す日差しに輝いて岸辺の草紅葉が美しく見えた。これは自然の気象がつくり出す彩である。

 草木の枯れ色は茶系統であるが、この時期の枯れ色には艶があってまだ葉や茎は息づいているように感じられる。棚田の畔や川岸などは、いつの間にか草紅葉が進んで、本格的な冬を迎える。川の水は少なくなっているが、絶えることなく流れている。その流れはひんやりと見え、その水の中に青鷺が一羽細い二本の脚で立っていた。

               

 カメラを向けても動じない。ただ、じっと立っている。見るところ、この川岸の光景は草紅葉や川の流れや川の流れの中に立つ青鷺によって構成され、一つの舞台のようになっているのが感じられる。空は青く冴えわたり、日差しは暖かく、今の季節を盛り上げている。写真左は川の流れの中に立つ青鷺、右は川の中に立つ青鷺(いずれも、もみじの名所で知られる斑鳩の里の竜田川で)