大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年11月03日 | 写詩・写歌・写俳

<1156> 奈良県美術展作品鑑賞

       美術展 外面(そと)は 紅葉真っ盛り

 今日は文化の日。奈良県では今、奈良市の県文化会館で美術展覧会(県展)が開かれている。七日(金)までということで昨日雨をついて出かけた。日本画、洋画、彫刻、工芸、書芸、写真の部門に895点の作品が応募され、うち入選者528作品と審査員並びに招待者等の作品103点を含めた631作品が展示されていた。

          

 写真の応募が280点と一番多く、次いで、洋画の277点、書芸の147点だった。最高賞の「県展賞」は次の通り(敬称略)。日本画は中村七海の「花影」。「抑えられた色彩、掘り起された線描の力強さが、孤高の鶏頭の生命力に深く感情移入した表現にマッチしている」という評を得ている。洋画は乾幸久の「赤レンガ倉庫」。評は「赤レンガ倉庫の重厚さと見事に対峙し、相当な表現力、観察力を感じます」とある。彫刻は小林真由美の「みはる」。評は「対象をよく観察しており、少女の可憐な表情に好感がもてる」という。

              

 工芸は松末博子の「蒼天」。評は「手捻り技法で、あたかも天空を浮遊しているが如く、雲像の形体を造形し、焼成は鮮やかなブルー色釉に加え、美麗な結晶による融合が、素晴らしい」と述べている。書芸は池田幸子の「春過ぎて」。評は「無理のない運筆で、一文字一文字に動きのある造形が行間に響き、心地良い行間の間が生かされている」とある。写真は栗原義孝の「冬茶物語」。「晩秋の茶畑から、冬の茶畑を大きく上下に組み、中央に霜の茶花、雪の覆ったお茶の大木など、いろいろな角度から被写体をじっくり眺めて作品化している」と評されている。

 各部門とも作品にボリュームがあって見応えがあったが、反面、印象散漫になる傾向があるのは否めない。入賞している作品でも印象に残るものとそうでないものがある。作品を仕上げる技術もさることながら、技術を越えた個性の発揮された作品が望まれるように思われる。写真上段は展覧会場風景と会場の外のサクラの紅葉。  写真下段は県展賞の作品。左から日本画、洋画、彫刻、工芸、書芸、写真の受賞作。