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反映対比表 Week16

 04月13日

  職安からの給付金 9.8.3.4 国家の安全保障
  メールのトラウマ 7.5.3.1 メールはトラウマ
  未唯空間第7章 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第8章 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第9章 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第10章 1.4.3.4 社会の有り様
  スタバの地味なキャンペーン 9.8.4.3 スタバの付加価値
  知識表象 8.8.3.2 ライフスタイル
  新しい政治経済学 10.2.4.4 新しい民主主義
  騎馬遊牧民が生み出すユーラシアの時代 4.2.1.3 ナショナリズム

 04月14日

  短いセンテンスで表現 1.5.2.3 言葉の空間
  書き起こし中心の入力 1.5.1.1 書き起こし
  自由と平等のトレードオフ 10.2.4.1 自由に対する姿勢
  イスラーム帝国が注目される理由 4.7.4.2 イスラム・コミュニティ
  世界史を変動させたイスラームの「大征服運動」 4.7.4.2 イスラム・コミュニティ
  世界的に重要となる太平洋 4.7.4.3 太平洋連合は分解
  二一世紀以降、持続する世界への模索 4.8.2.2 地球課題に対応
  日本経済3つのシナリオ 3.1.3.4 未来のシナリオ

 04月15日

  ヨーグルトフラペチーノ 7.3.1.4 シンプルな生活
  フェイスブックの「個人情報の共有」 9.6.3.1 循環社会の役割
  誰とどのように分人化するか? 1.3.3.2 組織の中の個人

 04月16日

  玲子のギリシャ 4.7.3.2 ギリシャに独立心を要求
  部屋を片付けるつもりだったか、一切止めた 7.6.2.4 奥さんはよく分からない
  真理の地平ギリギリまで 「君自身に還れ」(大峯顕、池田晶子著) 1.3.1.2 絶対孤独が正しい
  孤高の表現者との対話 「池田晶子 不滅の哲学|(若松英輔著) 1.3.1.2 絶対孤独が正しい
  イスラムの歴史記述 4.2.2.3② 一神教の力

 04月17日

  Iさんのサンロードへ 9.8.4.3 スタバの付加価値
  3週間ぶりのIさんと5分の会話 9.8.4.3 スタバの付加価値
  私に見せたいもの 1.2.3.1 偶然の意味
  待ってくれる人がいる 7.5.3.1 心を開く
  パートナーからのメール 7.3.1.1 パートナーの相談
  新刊書争奪戦 6.3.1.1 まとまった情報

 04月18日

  日本人論に反発 9.3.1.2 ガラパコスの危機感
  ハメリンナ市図書館に気づかなかった 6.3.2.2 10倍以上の来館者
  奥さんとの奇跡の二ヶ月 7.6.2.3 一人で生きていける
  赤いモスレキンのダイアリー 7.3.4.1 スケジュール表
  ヨーグルトフラペチーノ 7.3.3.1 シンプル
  ハメーンリンナ市図書館 6.3.2.2 多様なニーズに対応
  ヘルシンキ市ライブラリー10 6.3.2.2 多様なニーズに対応
  エスポー市セロー図書館 6.3.2.2 多様なニーズに対応
  ケルン市中央図書館 6.3.2.2 多様なニーズに対応
  シュツットガルト市中央図書館 6.3.2.2 多様なニーズに対応
  無条件の肯定としての愛 1.2.2.1 愛の存在
  時間は流れる? 1.8.1.1 放り込まれた存在

 04月19日

  存在がある限り 1.1.2.2 承認は不要
  出会いに興奮するもの 6.3.2.2 生活と一体化
  未唯空間の位置づけ 1.5.2.3 未唯宇宙を表現
  歴史編の構成 4.2.3.1 歴史ができた
  「真・自由主義」が平和をつくる 10.2.2.1 共有意識を入れ込む
  自然を傷つけることはできない 9.6.2.2 企業エネルギー
  組織としての政党 8.3.3.4 地域のコンパクト化
  個人ではダメな理由 9.5.4.4 個人を生かす決定
  地方分権の効果 8.3.3.4 地域のコンパクト化
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反映対比表 Week15

 04月06日

  玲子の入院を知らなかった 7.6.2.4 家族で生きる
  分け与えること 9.8.1.3 所有権を放棄
  シェアリング・エコノミー 9.8.1.3 所有権を放棄
  町起こしは簡単 9.5.3.3 社会インフラの姿
  シェア車開発はメーカーの責任 8.8.4.3 地域から作る
  カーシェアリング 8.8.4.2 クルマの共同利用
  著作権フリー 6.7.3.3 著作権問題
  時代を先行する図書館 6.8.3.2 先駆者の思い
  携行ICレコーダー 7.1.3.4 ツールを活かす
  個人のデジタルライブラリ 6.2.3.3 電子書籍に市民が反応
  ハイブリッドの父 9.1.4.4 電気自動車はシェア対応
  哲学とは言語分析 10.2.1.4 ウィトゲンシュタイン

 04月07日

  医者との会話 7.2.2.2 新しい世界
  カテーテル検査の感想 7.2.2.2 新しい世界
  携帯ICレコーダー 7.1.3.4 ツールを活かす
  入院環境 7.3.3.1 外なる世界
  スタバでのマーケティング 9.8.4.3 スタバの付加価値
  パートナーのお見舞い 7.3.1.1 居なくなる

 04月08日

  無事退院 7.3.3.1 外なる世界
  居ない間に奥さんが衣類の整理 7.6.2.4 奥さんはよく分からない
  夕張炭鉱 9.1.2.2 9.1.2.2② 化石燃料クリーン化
  日本で必要な高度なサービス業 8.1.2.3 高度サービス
  日本では高度サービス産業が発達していない 8.1.2.3 高度サービス

 04月09日

  スケジュール表から再スタート 7.6.1.1 スケジュール
  加藤内科での問答 7.3.3.1 健康状態
  どう見ても、他人事 7.3.3.1 健康状態
  キリマンのサイフォン 7.3.3.1 シンプル

 04月10日

  心臓が痛む 7.3.3.1 健康状態
  車という移動手段 8.2.4.2 地域の交通体系
  玲子との遭遇 7.5.3.1 女性に望む
  「世界全史」 4.4.2.3 137億年の物語

 04月11日

  通り一遍の歴史 4.4.2.2 社会を循環で見る
  おとなしくしている 7.3.3.1 外なる世界
  狭心症・心筋梗塞 7.3.3.1 健康状態
  心不全 7.3.3.1 健康状態
  ユーモアは愛である 7.4.2.1 女性への期待
  変化に開かれた態度 7.4.2.1 女性への期待
  2020年には1600万人の巨大マーケットヘ 7.4.2.1 女性への期待
  未婚のおひとりさま女性が抱く将来不安 7.4.2.1 女性への期待

 04月12日

  農協の地産地消 9.1.4.3 地産地消エネルギー
  おとなしくしている 7.3.3.1 外なる世界
  プリンター 6.1.3.4 文化のバロメーター
  ICレコーダー 7.4.2.1 ICレコーダー
  未唯空間の狙い 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第1章 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第2章 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第3章 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第4章 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第5章 1.4.3.4 社会の有り様
  未唯空間第6章 1.4.3.4 社会の有り様
  ヒトラー像 4.1.1.1 ドイツにナチは必然
  書物の歴史 6.8.2.3 グーテンベルグ以来
  ナショナリズムと近代国民国家 4.2.1.3 ナショナリズム
  グローバリゼーションと近代国民国家の揺らぎ 4.2.2.4 国民国家の歴史
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アメリカのすべきこと

ヒラリーのリセット

 ヒラリーはグローバル企業を擁護することで、アメリカの雇用を守るというカタチしか持っていない。ヒラリーには理念というものがなく、ロシアとの関係も、「リセット」はメドベージェフではできたかもしれないけど、プーチンには相手にされなかった。

 あまりにも、自分たちがグローバルであることによって、世界をどれだけ混乱を引き起こしているのか、それに対して、それを推し進めることでしか答えが見いだせない。それを個別のことで解決しているという、自己満足。

 国内での天然ガスの採掘を「心躍る出来事」として、喜んでいる。単純すぎる。このまま、大統領になると、操り人形になる。ケネディの当初のイメージ。ナイジェリアとか南スーダンの問題を置いておいて、という感じですね。判断基準が「国内雇用」にされているけど、それは実感というよりもアピールでしょう。

アメリカのすべきこと

 アメリカを21世紀のクリーンエネルギーの超大国にする以前に、やることは大きいです。まずは、エネルギーを使うということ自体をなくすことです。「エネルギーが在れば、幸せになれる」時代ではない。

 アメリカにはパブリックな技術があり、それぞれを活かすための体制つくりがある。これは地域でやられている。それを活かして、エネルギーに依存しないカタチ、そういう次元を超えた社会を作りだすのが、大統領の責任でしょう。

 雇用を生み出す以前に、生活をどうしていくのか、生活スタイルそのものを変えてしまう時代です。そのために、先人たちは色々なモノを作り出している。図書館から見るとよく分かります。いかにして、皆を公共の立場に持ってくるか、その場でいかに活躍できるようにするのか。

反映作業

 起きている現象が全て、未唯空間に絡んでいる。だから、反映もすべて絡ませます。反映作業は、パソコンとタブレットの組み合わせ、週間単位のまとめ方が合っています。

 未唯空間の説明資料も使えそうです。削除しなくてよかった。もう一度、これで言葉を関係付けます。これに拘ると、また、時間だけが過ぎていきます。これは最後に行うことにします。

スタバのバリスタ

 ここのところ、めざめを見ないですね。どこへ行ったのか。後日、聞いたら、風邪からの体調が悪かったということです。一ヵ月もIさんの笑顔を見ていない。精神が不安定になっている。
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「アラブの春」の失敗と「イスラム国」の成功

『テロリストが国家をつくる時』より

ツイッターによるイランの「緑の革命」、フェイスブックによる「アラブの春」、ユーチューブによる「ウォール街を占拠せよ」そして香港の「雨傘革命」。これら社会変革の試みが必ずしも成功しなかった理由は何か?

欧米の軍事介入の行方

 本書の執筆中、「イスラム国」が中東で火の手を上げる一方で、民主主義を求める若者が「雨傘革命」で香港を麻痺させた。二つの出来事に共通性はあるのだろうか。また、国家を名乗り中東の地図を血で塗り替えようとする残忍なテロ組織と、民主化を要求した「アラブの春」の間には何らかの関連性が存在するのだろうか。

 この一〇年間の民主化運動の多発とカリフ制国家の出現は、いずれも多極化した今日の世界秩序の産物だと言える。世界の多極化は、冷戦が終わったときに始まった。「アラブの春」と「イスラム国」は、現代におけるヤヌス(前向きとうしろ向きの二つの顔を持つローマ神話の双面神)なのだ。つまり、中東の腐敗した指導者という同じ問題に対する二つの答である。では、前者が失敗に終わったのに、後者がいまのところ成功しているのはなぜだろう。

 本書で見てきたように、「イスラム国」はけっして新種のテロ組織ではないが、きわめて今日的な存在ではある。このことが、成功の原動力になっているのだろうか--その可能性はある。欧米とイスラムの同盟国は新しい国際政治環境の出現を認めたがらないが、「イスラム国」はそれにうまく適応し、さらに徹底的に活用した。

 世界が多極体制に移行し、中国を始めとする新興勢力がアメリカのパワーに対抗できるようになると、従来の外交政策は通用しなくなる。中国とロシアが拒否権を行使する現状では、欧米が国連決議を得てシリアに軍事介入するといったことは、考えにくい。仮に、表向きは国際機関のお墨付きを得た大規模な有志連合をオバマ大統領が編成できたところで、「イスラム国」への軍事介入はイラク周辺に限定され、しかも地元の正規軍や民兵組織を援護するという形にとどまるだろう。言い換えれば有志連合は、「イスラム国」と地上戦を交える意志を持つ集団であれば、何によらず支持するということである。それは、すでに広い範囲で戦われている代理戦争をひたすら拡大するだけだ。このアプローチは、他の集団による「イスラム国」の模倣・追随を促しかねない。同じような集団が次々にスポンサーから資金援助を受けて独自の国家を名乗り、中東を一段と混乱に陥れる危険性は十分にあるのだ。

第三の道はあるか?

 クルド人民兵組織ペシュメルガとクルド労働者党(PKK)は、いまだにアメリカが「外国テロ組織」に指定している組織である。しかしアメリカとヨーロッパは、彼らに武器を提供する決定を下した。この決定によって、クルド人が人口の二〇%を占めるトルコにおける独立派クルド人の戦いの構図は、はやくも書き換えられた。トルコのいくつかの都市では、クルド人とトルコ人の激しい武力衝突がすでに起きている。ヨーロッパ各地ではクルド人の独立を支援するデモが繰り広げられており、欧州議会を一時的に占拠する事態も発生した。

 一方、軍事介入の問題は引き続き有志連合軍を困惑させている。空爆だけでは「イスラム国」の進撃を止められないことは、次第にあきらかになってきた。となれば、イラクに再び地上軍を投入するかどうかが早急に議題に上るだろう。結果がどうなるにせよ、外国の軍事介入が中東の不安定化の解決にならないことははっきりしている。これまでにも解決できなかったし、これからもできまい。したがって、これ以上の犠牲や破壊を食い止めるためには、より現実的なアプローチが必要になる。その際には、この地域に新しいパワーが存在することをまず認識し、代理戦争は結局ブーメランのように我が身に跳ね返って来るだけであることを理解しなければならない。この新しいパワーに対抗するには、戦争以外の手段を模索すべきである。

 多極体制の出現は、ゲームの新しいルールを知り尽くした人間に、これまでにない機会を提供した。「イスラム国」がシリアにおける代理戦争をいかに巧みに活用したかは、すでに本書で述べたとおりである。彼らはまた、強力なプロパガンダを通じて、オバマ率いる有志連合の非現実的な矛盾を鋭く突いてみせた。

 「イスラム国」は近代政治の駆け引きに長けているだけでなく、最新のテクノロジーの応用にも通じており、布教、志願兵の募集、資金調達に活用している。これもまた、彼らの近代性の表れと言えよう。バーチャル・コミュニティにおけるプロパガンダを駆使して国家を建設していく彼らの手腕は、まるでコミュニケーション術活用法のお手本のようでもある。ここ一〇年間に展開された民主化運動には、残念ながらそうしたスキルが見られなかった。

 なるほど二〇〇九年に大統領選挙の結果を巡ってイランで起きたいわゆる「緑の革命」は、ツイッターを介して広がった。二〇一一年の「アラブの春」では、フェイスブックを通じて、世界中の人がカイロで起きていることを知った。その一年後には、アメリカの政財界に抗議する「ウォール街を占拠せよ」運動がユーチューブを通じて世界に発信された。そしていまは香港の「雨傘革命」が、ブルートゥースを使って当局によるインターネット検閲を巧みにすり抜けている。だがこれらの運動はどれも、「イスラム国」がこれまでに引き起こしたような政治・経済・社会面の大変動をもたらすにはいたらなかった。

 最新のテクノロジーと世界秩序に関する知識だけでは、成功は保証されないということである。となれば、次のように言うことは可能だろうか。「アラブの春」を始めとする「スマートフォン蜂起」が失敗する一方で、「イスラム国」が成果を上げているのは、後者を率いるのがプロフェッショナルなエリートであって、命令によって兵員を統率しているのに対し、前者は自主的な参加にゆだねられ、参加メンバー問の関係性や相互交流に翻弄されがちだからだ、と。もしそうだとしたら、「イスラム国」による国家建設モデルは、「アラブの春」よりもすぐれているのだろうか。これは、じつにおぞましい問いである。しかし新手の権威主義の増殖を防ぎたいなら、民主主義を奉じる合法的な国家は、この問いに答えなければならない。

 「アラブの春」の失敗。「イスラム国」の成功。これ以外に、第三の道はありうるのだろうか。答はイエスだ。第三の道には、教育、知識、そして変化の速い政治環境に対する深い理解を必要とする。これらは、過去にも流血のないコンセンサスによる体制変更で使われてきた手段である。だがスマートフォンを駆使する若い戦士も、グレーのスーツに身を包んだ政治家も、まだこのことに気づいていない。
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国家たらんとする意志

『テロリストが国家をつくる時』より

グローバル化と貧困化は、世界のあちこちで武装集団が跋扈する無政府状態を生み出した。しかしこれらの武装集団と「イスラム国」を分けるのは、「イスラム国」が明確に国家たらんとする意志をもっていることだ。崩壊過程の国民国家の血を吸って。

二〇一四年六月からこの方、世界の指導者たちは「イスラム国」の台頭に頭を悩ませている。そしてあれこれと苦し紛れの説明を駆使して、この脅威に立ち向かう計画を国民に示してきた。これに対して「イスラム国」は、ときにはジェームズ・フォーリーやスティーヴン・ソトロフの斬首という残虐行為によって、ときにはヨーロッパ出身のメンバーや人質のジョン・キャントリーによる声明発表という形で反応している。

つまり三年前まではほとんど無名だった一武装組織が、世界の大国を悩ます存在になったのである。シリアとイラクの戦闘地域で、武力だけにモノを言わせてのし上がったわけではない。

最新のコミュニケーション手段を駆使して、イデオロギー的にも脅威となった。なぜそんなことが可能だったのか--シリアとイラクという国民国家が崩壊過程にあったからだ。どちらの国の政府も、国民を代表する役割を果たさなくなった結果、シリアもイラクも小集団が点在する前近代的な社会に退行してしまったのである。

近代国家の再定義

 「イスラム国」は、ヨーロッパの国民国家の建国者たちが抱いた野心的な目標をある意味で共有しており、それをきわめて現代的な方法で表現しているのだと言える。彼らの考える国民国家とは、同一民族で構成されるだけでなく、民族と宗教を共にする国家である。この点はイスラエルに似ている。「イスラム国」はまた、近代国家の要件をすべて満たそうと試みている。それはすなわち、領土であり、主権(目下のところは内部的に認められているだけだが)であり、正統性であり、行政制度である。だから彼らは、小さな飛び地のような領土では満足しない。求めるのは二一世紀のカリフ制国家の建国であり、他の集団のように恒久的な無政府状態を望んではいない。その証拠に、制圧地域で彼らがまっさきにしたのは、シャリア(イスラム法)の遵守を強制することだった。

 「イスラム国」は、法と秩序の維持を自らの務めと心得ており、やり方は乱暴で原始的にせよ、ともかくもそれを実行している。制圧地域を敵の攻撃から守ることも任務としているから、国家安全保障も担っていると言える。法と秩序すなわち治安の維持と、国家安全保障の二つは、じつに近代国家と部族社会や封建国家とを分ける二大要素である。また住民のコンセンサス醸成、ルソーが「社会契約」と呼んだ国家としての正統性の確保も、「イスラム国」の重要な特徴と言えよう。

 「イスラム国」があらゆる手段を駆使して住民の承認を得ようとしていることは、まちがいない。油田や水力発電所などの戦略的資源から得た収人を、戦争に投入するだけでなく、制圧地域内の社会・経済的インフラの整備にも充当している。この点も、他の武装集団とはまったくちがう。

 本物の国家だというイメージを植えつけ、ムスリムの問で正統性を確立するために、中東に限らず全世界を対象に洗練されたプロパガンダも展開している。アル・バグダディは、預言者ムハンマドを継ぐ新しいカリフとして姿を現し、全イスラム世界に向けてメッセージを発した。また正規軍を思わせるような映像を公開し、アルカイダやボコ・ハラムのようなごろつき集団とはちがうことを見せつけている。「イスラム国」の軍隊が戦うのは、最新の兵器(その大部分はイラクとシリアの正規軍から奪ったもので、皮肉にもアメリカ製かロシア製である)を使った伝統的な戦争であり、戦場の定まらないゲリラ的な戦いとは一線を画する。またプロパガンダの威力により、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、北アフリカ、さらにはオーストラリアやニュージーランドからも志願兵を呼び込むことに成功している。「イスラム国」がやっているのは「宗教的浄化」だとしても、彼らとしては布教活動をしているのであり、誰であれスンニ派サラフィー主義に改宗し、市民になる機会を与えている。しかし改宗を拒絶し、逃亡できない者は処刑する。

 「イスラム国」が近代国家とちがうのは、国家建設のために使う手段がテロだという点にある。近代国家としての正統性を確立する手段として、革命は認められるが、テロは認められない。

 多極化する世界で民主主義が存在の危機を迎える中、そして中東全域が不安定化する中、第三次世界大戦の脅威を背景に、「イスラム国」が世界に突きつけた切り札は「国家建設」である。カリフ制国家再興の試みが近い将来に成功するかどうかはともかく、いずれ他の武装集団が同じような野望を抱く可能性はなしとしない。欧米と世界がこの問題への対応を誤るなら、世界秩序に悲惨な影響をもたらすことになろう。
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図書館の歴史におけるイスラムの図書館

『中世イスラムの図書館と西洋』より

このキリスト教西洋に対して、偶然と言うか、それこそ知の後退を嘆く神の御業によるものか、かつて知の芽生え栄えた中東にイスラム教が成立する。この宗教はキリスト教と同じく唯一神を戴く兄弟の宗教といえるものだが。知や学問に対する姿勢が全く異なっていて、知を尊び学問を奨励し、「知を求めよ、それがムスリムの努め」(ハディース:ムハンマドの言行録)としm「真理の探究は神により近づく方法」であるとした。学問への対処法がキリスト教とは正反対だった。

占代の伝統を引き継ぐ図書館は、イスラム世界が負うようになり、図書館と知の連続性がここに繋がった。東西7000kmに及ぶ広大な帝国内にやがて外種の図書館が林立するようになる。イスラムの図書館に蓄えられた、古代の知が改良を加えられ、技術開発され、より洗練されたものとなった。また新たな発見も加わった。特に化学分野における業績は、ほとんどの物がイスラム地域を起源とする。

自分たちの祖先がエジプト、バビロニアで最古の文明を生み、数学、幾何学、天文学、哲学、医学などの分野で輝かしい業績を残しギリシア及びその他の地域に移植された。その伝統を再び中東の地--イスラム地域--に回帰させるという彼らの思いが、図書館や夥しい写本の製作に駆り立てるのである。イスラムによって保存され、改良され、新たな知見を加えられ、一歩も二歩も「知」の歴史を前進させた成果が、やがてアラビア語からラテン語への翻訳活動によって西洋に伝達され、ルネサンスと科学技術革命を促した。知はこうして、からくも繋がったのである。

グラント(Grant Edward)は「ヨーロッパの17世紀の科学革命は、ギリシア語からアラビア語に移転されていた科学を、ラテン語への翻訳が開始される12世紀初頭のままであったなら起こらなかった。イスラムによる翻訳がなければ、西洋人の知の形成が欠け、続いておこる出来事はなく、従って17世紀の科学革命は不可能であった。(略)イスラムによる中世の科学に対する探求や考察がなければ、近代の科学の進展はなかった」と書いている。またクレーマーも「ムスリムはアテネやアレクサンドリアは外国と考えていなくて、ギリシア人は東洋から学んだと考えていた。ファラービ(イスラム初期の科学者)は哲学の祖をイラクに置き、そこからエジプトにそしてギリシアに移植され、その後シリアを経てアラブに伝わり、そしてバグダッドにおいて哲学のルネサンスが興ったと、完全な円環による伝播を述べている。

ギリシア人自身も数学と幾何学はエジプト起源であることを告白している。天文学、日時計や、1日を12区分するのは、バビロニアからギリシアに伝わった。ピタゴラスは東方に旅をして、科学の知識をギリシアに持ちかえったと古代に信じられていた。これらは事実である。ギリシア人は乗算や有理数概念をエジプト人から学び、トレミーはバビロニア人から受け継いだ60進法で計算し,天文学者は60進法を用いて分と秒を表した。これは現在の我々も使っている。現在使われている数は西アラビアの記数法であるが、古くはインドからもたらされたものである。そしてイスラムはこれらすべてを図書館に回帰させることになる。

これほど大きく世界に貢献したイスラムの図書館活動が、アレクサンドリアやギリシア世界の図書館ほど歴史の舞台で、なぜその輝きや業績が評価されないのかという素朴だが重要な疑問が著者に常に付きまとってきた。これは世界史を西洋キリスト教歴史観が支配してきたことと深い関係がある。図書館の歴史もこれに準じてきた結果、一言で言えば、イスラム地域の図書館は等閑視されてきたのである。

ユダヤ教(旧約:トーラ、モーセ五書)、キリスト教(新約:福音書)、イスラム教(クルアーン)は、唯一の神から授けられた啓典を戴く兄弟宗教である。教義においても大きな差異がなく、むしろ共通する部分のほうが多く存在する。単純化すると、近しいこと、まさにここに人間が本源的に持つ優劣感情にもとづく反目関係が生じたのだろうか。

この反目関係を決定的にした事件が, 1095年11月にクレルモン公会議において、ウルバヌス2世の演説から始まった。十字軍である。大義はともかく実情は、顔をそむけ目を覆うばかりの暴力的理不尽な侵略であった。ダマスクスや地中海沿岸地域にあった図書館もこのとき破壊された。イスラム教徒ばかりでなくユダヤ教徒やビザンツのキリスト教徒までも巻き込まれ、多くの人々、女性、幼児まで殺戮されるという修羅場をなして、しかも8回にわたって繰り返された。この事件を契機としてイスラムとキリスト教の反目関係が決定的となる。 14世紀が生んだ最も有名な歴史家であり、社会学者で自制心に富んだイブン・ハルドゥーン(lbn Khaldun, 1332-1406)でさえ。その箸『歴史序説』のなかで「憎むべきキリスト教徒」という言い回しを何度も使っている。これは十字軍によってイスラムに根付いたものである。この彫響は不幸にして今日にまで及んでいる。

これより前、キリスト教徒はイスラムの文化・知の先進性を讃え称賛し、アンダルス(スペイン)の首都コルドバに子女を留学させる者、アラビア語による音楽や詩に傾倒し、図書館に入り浸る若者が急増し、これを見たカソリックの司祭たちがため息をついていた。イスラムの哲学、科学にあこがれ、学びとるためイングランドや西洋中からパリを飛び越えて、コルドバやトレドのイスラム支配地域にやって来る者が後を絶たなかった。何世紀間か両教徒たちは互いに平和的に共存していたのである。それがキリスト教司祭たちによる様々な宗教的プロパガンダの刷り込みにより(この刷り込みには、もともとイスラム教を知らない上での、多くの誤解や偏見があった)、西洋のイスラム礼讃が次第に妬みに変わる。そして憎悪し、あるいは無視するという姿勢を鮮明にしたのが十字軍だった。8回180年にわたっての戦乱は、双方に憎しみと土地の荒廃(図書館を含む)と人心の疲弊だけをもたらした(しかも十字軍の多くは失敗した)。

西洋に、イスラムは敵とする考えが広がると、清潔さや豊かな食生活等をイスラムから学び、生活様式の恩恵を享受する一方で、イスラムの膨大な業績を無視するか、または初めから自分たちが所有していたと言い、相手に触発・啓発され、恩恵を被ってきた事実を故意に忘れ、あるいは事実を捻じ曲げることさえいとわなかった。

こうした文脈から図書館も例外ではなかった。イスラム地域に展開した無数の図書館やその知の歴史上での輝かしい成果は無視され、イスラムに図書館はなかったかのようになった。西洋の図書館史上で取り上げられることは稀であり、ほんの数行で済ますことが常となった。西洋中世には一館の図書館もなかったにもかかわらず、中世に存在した修道院の写本室をもってこれに代えたのである。これは知の伝播の上で、重大な疑問を生み、到底説明のつかないことであった。
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