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公共建築による都心再生 バーミンガム公共図書館

『ツーリズムの都市デザイン』より 公共建築と広場戦略 図書館による都市再生

20年構想、Big City Plan

 シティセンター戦略は次の段階に入る。最新版のマスタープラン「Big City Plan」が発表されたのは、2010年9月のことである。2030年までを視野に入れた20年間におよぶこの長期計画では、「世界に通用するバーミンガムの実現に向けた総合計画」であることがうたわれた。

 具体的には、都心を「City Core」として想定、歩行者に優しく24時間稼働する「機能混合エリア」とすると同時に、周辺の6エリアに卜リガーとなるプロジェクトを用意しようというものだ。「Big City Plan」では、達成するべき都市の姿として、Loveab le City、Connected City、Authentic City、Creative City、Smart Cityの5つの「都市像」が掲げられた。

 いっぽうで着眼点、および取り組みの目標として、Growth、Sustinability、Connectivity、Walkability、Building Height という5つのキーワードが明示された。

 ここで示された基本方針のもとに、事業がすすめられることになる。計画では、来街者の回遊性を高めるべく、各公共施設の整備・再配置、賑わい機能の新設を行い、エリア内にある主要なストリート間の接続性を強化することがうたわれている。都市のビジュアルイメージに直結する歴史的建造物やランドマーク、景観要素の適切な維持・管理を行うことも重視されている。さらに市民の多様なニーズに応じるべく商業地区の多様性を確保すると同時に、プレステージとなるオフィス空間の整備を継続することも明記されている。また既存のニューストリート駅周辺、およびスノーヒル駅周辺の再開発事業をトリガーとし、都心全体の改善をはかることも強調されている。

 概していえば、先行するシティセンター戦略での成功体験を踏まえて、歩行者を優先する都心のコンパクトシティ化を継続しようという姿勢を見て取ることができる。併せて、150万㎡の新たな床面積の供給、5万人の新規雇用、21億ポンド(約3854億円)の経済効果、6・5万㎡の公共空間の創出、延長28㎞の歩行者空間の確保などが、数値目標として掲げられている。「Big City Plan」に記載されたプロジェクトのなかでは、幹線鉄道の敷設を契機とする再開発事業が特に注目されている。バーミンガムではカーソンーストリートに、新たな高速鉄道「HI SPEED 2」の新駅の建設が予定されている。「HS2」と略される英国版の新幹線は、既存の「HS1」とつながることで大陸と英国中部、さらには北部のスコットランドまでを連絡する大動脈となることが期待されている。時速400㎞で運行、ロンドン・ユーストン駅とバーミンガムとの間を45分で結ぶ構想である。新駅の開業を意識、バーミンガム・シティ大学の新キャンパス構想など、再開発に向けた気運がすでに高まりつつあるという。

 もっとも首都であるロンドンと、きわめて短時間で連絡され利便性が向上することが、「第2の都市」にとって有益なのか、あるいは、いわゆるストロー効果による弊害が顕著になるのか、双方の考えがあり、地元でも議論が継続されているとバーミンガム市役所の担当者は話していた。

公共建築による都心再生

 バーミンガムのシティセンター再生の戦略にはいくつかの柱がある。そのひとつが公共建築と主要な広場を重点的に整備しつつ、各広場の連携を強化、歩行者を優先した街路網を確保する一連の事業である。

 事業の成果を象徴する施設が、政府によって建設された欧州最大の公立図書館「バーミンガム公共図書館」である。総面積3万5000㎡、建築費は約1億8800万ポンド(約345億円)、蔵書は約100万冊を誇る。前身となるバーミンガム中央図書館から搬送された図書は総数6万6000箱を数えたとい

 2013年9月3日に開館式が挙行された。セレモニーでは、女性が教育を受ける権利を主張、パキスタンでイスラム武装勢力に銃撃されたマララ・ユスフザイ氏が招かれ、女性に対する教育の意義を訴えた。ユスフザイ氏は、バーミンガム市内のクイーン・エリザべス病院で治療を受け、一命を取り留めた。このことが、バーミンガムとの強い絆となっている。

 バーミンガム公共図書館は、装飾性の高い外観が話題となった。オランダの事務所であるメカノー・アーキテクツと技術コンサルティング会社ブロ・ハッポルドが設計を担当した。「バーミンガム地方の金属産業と歴史ある宝石生産、人と知識を連動させるストーリーのある場所」が、デザインのコンセプトであるという。

 内部空間もユニークである。2階・3階・4階をつなぐ吹き抜け空間を書架が囲み、知を集積する場であることを可視化している。さらに上層部には、1882年に設計されたバーミンガムのシェイクスピア図書館の一室をそのまま移築、「Shakespeare Memorial Room」とした。4万4000冊におよぶ厖大なシェイクスピア関連の蔵書で著名な前身の図書館を継承する姿勢を具体的に示している。

 図書館の隣地には、先行して整備されたICC(国際展示場)やNIA(国立屋内アリーナ)、複合化するシンフォニーホールなどが立地、広場を共有している。公共施設と広場を魅力的に改善する施策を通じて、市民が都心にアクセスする機会を増やす狙いがある。欧州最大級の公共図書館は、公共投資を活用したバーミンガムにおける都心再生のフラッグシップとなるプロジェクトである。
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身体がなぜ、あるのか

他者との関係の空間

 なぜ、こんな他者との関係みたいな空間に放り出したのか。もっと、違う世界があるでしょう。それが故に、絶対的な孤独に入り込んだ。他者さえ居なければ、絶対的孤独にはならないのに。

 全てを知りたいというのは、夢なのかな。当たり前のことですよね。そんなことばかり。

身体がなぜ、あるのか

 郵便屋、本屋、そして、身体。こんな手段というのは中途半端ですね。一番の原因は、人間に身体があることなんでしょうね。

 その挙句に、車を作り出した。破滅への道を歩き出した。人に身体させなければ、こんなことは起こらなかった。

未唯へ

 ICレコーダーの音を消しているから、録音状態なのかどうかが分からない。音はやはり、セットしておきましょう。
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