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レファレンス・サービス

『実践型レファレンス・サービス入門』より レファレンス事例50題・追加情報 藤村せつ子

 1.東京の信濃町は,何か長野県と関係あるのですか?
  定番の地名事典のほか、由来に関するハンディな事典も使えます。また,“信濃守についでの追加質問も考えられます。
  ■東京に関する地名事典
   ・「東京の地名由来辞典」(東京堂出版 2006) 東京23区の地名について典拠を示して解説。
  ■“信濃守”は信濃国(長野県)と関係ないの?
   ・『日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本』(新人物 往来社 2009)
    実際の領地とまったく関係のない受領名の国名を名乗っていたことや、巻末の「江戸大名官職名〈逆引き>人名辞典」には、信濃守を名乗った大名96名の一覧があります。

 2.尾形光琳の燕子花図屏風はどの美術館が持っている?
  美術作品は所蔵先が変わることもあるので、インターネットで新しい情報を確認しましょう。所蔵機関のWebサイトのほか、次のサイトで作品情報や画像を見ることができます。
  [補足] 「燕子花図屏風」の修復は2005年に終了し、根津美術館にて毎年4~5月に公開されています。

 3.赤穂浪士全員の名前と読み,役職と知行を知りたい。
  一覧表なら百科事典や日本史事典、個々の人物を詳しくなら赤穂義士関連本が使えます。掲載項目の違いや、人名の慣例的な読みかたのゆれ(例:大石内蔵助良雄→よしお/よしたか)も考慮し、複数典拠を心がけましょう。
   ・一覧表ではないが、上記7項目十αが得られる資料
   ・『忠臣蔵:時代を動かした男たち』(神戸新聞総合出版センター 2002) 家紋、雅号、辞世の歌なども掲載。

 4.十干十二支の60全部の訓読みがわかる本はどれですか?
  ■こよみ系資料や便覧類では下記の資料にも音訓読みあり
   ・『暦を知る事典』(東京堂出版 2006) 六十干支のよみ方
   ・『百科便覧 5訂版』(平凡社 2009) 干支表
   ・『日本美術図解事典 普及版』(東京美術 2011) 干支順位表
   ・『山川詳説日本史図録 第6版』(山川出版社 2013)

 7.時代劇のセリフ「持病のしゃく」とはどんな病気か?
  辞典類の解説から<癪>,<積聚>もキーワードになります。
  ■近年刊行の医学史モノ(NDC490)にも詳しい記述
   ・『「腹の虫」の研究』(名古屋大学出版会 2012) p.154-174「癩」-「腹」と「胸」の病
   ・『医心方 巻十 積聚・痛瑕・水腫篇』(筑摩書房 2009) p。3-39 積聚の種類と治療法

 9.豊田市が指定された都市制度と政令指定都市の違いは?
  名称の確定はインターネット検索が近道。概要を簡潔に知りたいのなら『現代用語の基礎知識』や「ポプラディア 新訂版」(ポプラ社 2011)などの事典類、より詳しい資料は地方自治(NDC318)のセンで探します。
  根拠法令である地方自治法の改正も考えられるので、関連サイトを確認し,最新情報を提供することも必要となります。
  ■近年刊行の図書から
   ・『政令指定都市』(中公新書 中央公論新社 2013) 政令指定都市・中核市・特例市の一覧や比較表あり。

 14.小岩井農場は創設者の名にちなんでいる。それは誰?
  ■歴史事典や<社名>のセンから次の資料でも判明
   ・『明治時代史大辞典 1』(吉川弘文館 2013)
   ・『誰かに教えたくなる社名の由来 Part2』(講談社 2003)

 15.ポツダム宣言の全文(日本語)を探している。
  「○○宣言」などの歴史的文書についてのレファレンスはたびたびあり、使える資料の特徴(原文併記,解説の有無など)をよく知って収集と保存をはかりたいところです。
   ・収録されている史料集
   ・『世界史史料 10』(岩波書店 2006) p.404-405「ポツダム宣言」日本語訳あり。原典から新たに訳出し、解説も付しています。
   ・『終戦の詔書』(文蘇春秋 1995),『開戦の詔書』(自由国民 社 2005)ともに英文・日本文併記。
  [補足]
   各種の条約集最新版には収録されていますが、『六法全書』は平成18年版以降、収録されていません。
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