錦帯橋の架かる錦川、それは清流として知られ中国山地から瀬戸内海へと下っていく。時には荒れくるい人々に恐怖を与えることもある。平穏なその川は流域の人々の生活を支え、地域の産業を興してきた。
この川のほとり、錦帯橋から上流には見事な竹林が茂っていた。いま、河川改修で竹林は大方姿を消した。かって竹林ごしに見える対岸は格子戸越しに見ているようであったが、今は大戸を開け広げとこからの眺めとなり風情が消えた。
そんな残された竹林の中に、腰のあたりから折れ曲がり頭を地面に接している1本の竹。曲がったあたりから根元にかけ裂けている。裂けて根から離れた片は鋭く何かを射るように伸びている。
腰を曲げた竹は青く若くしなやかさを感じる。竹が折れて裂けるほどの雪は降っていない。それほどの風も吹いていない。何の因縁でこうなったのだろうか。枯れるまでそう長い時間は必要なさそうだ。これも定めなのだろう。
立春まであとわずか、このところの寒さがやわらいだ。この竹林でタケノコが見られるのは桜の咲くころ、どんなタケノコが伸び始めるのだろう。
(写真:何かの力に曲げられた青竹)
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