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白黒フィルム

2018年06月01日 | エッセイサロン
2018年06月01日 中国新聞セレクト「ひといき」掲載
 
 富士フイルムの白黒(モノクロ)フィルムと白黒印画紙の全てについて販売を終了するという。フィルムは今年10月、印画紙は2020年3月までに出荷を終える。
 カラー写真が当たり前となり、さらにデジタルカメラが普及した現在、こうした日が来ることは分かっていた。しかし、若い頃に愛用した者の一人として、残念な気持ちを隠せないでいる。
 自分のカメラを月賦で買ったのは、社会人となった春である。もう60年近く前になる。フィルムは白黒で36枚撮り、プリント(DPE)は写真店依頼でスタートした。
 小遣いはわずかだったので支払いが負担だった。そのため1枚撮るにも構図、絞り、シャッター速度などよく考えてシャッターを切った。デジカメと違い、DPEを受け取るまで撮れ具合が分からない。不安でもあり楽しみでもあった。
  「白黒写具は、被写体が赤なら、見る者に赤と感じさせる撮り方がある」。愛好家の先輩はよく言った。私の写真を細かく評してくれもしたが、習熟しないままカラーの時代に移った。
 フィルムとDPE代は膨らんだ。アルバムを繰ると、子の成長記録としてはカラーでよかったと思う。
 デジカメが普及して、従前とは一線を画す時代になった。一枚一枚を考えて撮る慎重さを忘れていった。
 白黒のネガフィルムは大事に保存している。いつかスキャンし、丁寧に撮った若い頃を回顧してみたい。
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