
この時期なのに、「寒の戻り」が気象予報士の口から聞かれる日があるものの、日中は身に沁みる寒さは遠のいた。それにつれ、冬の間は避けていた川ぞいや風の強い散歩コースにも足を向け始めた。どのコースも緑が輝いている。
何か月ぶりかに川沿いの道を歩いた。中洲は枯れススキに覆われている。その下には雑草や小木などが茂り、そこで小鳥の鳴き声がそこここから聞こえる。川の対岸、淵になっているあたりに紅白のブイが何個か見える。何年も見慣れた風景への闖入物、新しい工事でも始まるのだろうか。
この道沿い、河川敷だが多くの人が野菜作りを楽しんでおられる。耕作地はジャガイモが芽を出している。収穫途中の玉ねぎ、ネギ、ソラマメなどが陽ざしを受けている。そんな一角に、雑草に覆われた荒れた畑が増えていた。その一つ、キャベツ畑の人に「いれば持って帰って」と声をかけられた畑も、種類はわからないが未収穫のまま放置さた野菜を雑草が覆っている。
そのキャベツを勧めてくれた人は「娘婿が転勤になり作っても持っていく先が無くなった」と嘆いておられた。それが原因で耕作放棄された、と勝手に解釈した。娘やその婿へのかわいさや思いやりを、今はどう表しておられるのだろう、素性も知らない人の心中を思っていた。
もったいない、そんな気もします。