「氷菓」振り返り、第11.5話「持つべきものは」はOVAとなりますが、以前BS11で再放送された際には、最終回の後にこの回が放送されていました。
「第11.5話」のとおり、「愚者のエンドロール」の一件を通していつも以上に活気が無くなってしまった奉太郎。そんな彼の心境を知ってか知らずか、姉・供恵が帰国したところから物語は始まります。
・姉から弟へのコミュニケーション
ちょいちょい奉太郎の髪を触る供恵。奉太郎も電話中以外はいつものことだと言わんばかりに無反応を決め込んでいます。この仕草だけで姉弟仲が表現されているの、良いですよね……千反田が姉を欲しがる気持ちが分からなくもないです。
にしても、入須先輩に良いように操られたとはいえ、奉太郎のテンションの低さよ……
・プールと古典部
バイト先のプールに現れたのは里志!のみならず、千反田と摩耶花も一緒。奉太郎は摩耶花には目もくれず、視線が千反田に向くのが良いんですよね(笑。この後、ちょっとだけ声が上ずっていることからも、奉太郎の動揺を感じられます。
また、千反田が罰ゲームとして奉太郎に水をかけるシーンがありますが、プールから上がる際の動きが何か好きです。
・古典部とお昼
頬に手を当てて口をもぐもぐさせてる千反田が可愛すぎる……!あと、水着にパーカーってのも可愛くて好き。
とまぁ、こちらや千反田たちが盛り上がる一方で奉太郎のテンションは一向に上がらずじまい。悪気が無いにせよ、ここまで無反応だとさすがに気にするなというのが無理であって……千反田も何と声をかけて良いものかと戸惑っていました。
・普通の人間と特別な人間
と、ここまで反応が極めて薄かった奉太郎ですが、水泳選手と思しき人物たちが練習する風景を見ている際、千反田の「金メダルを取る選手が出て来るかもしれない」という言葉に「さあな」と初めて返事らしい返事をしました。
特別な人間ならなる、普通の人間ならならない。そして自分は普通の人間だという奉太郎。入須先輩の一件が余程応えたのでしょう。この時の口調は、二度とあんな真似はするまいと自分に言い聞かせているように聞こえました。
・「主観じゃダメですか!?周りと比べて普通とか特別とか、そんなこと気にしなくたっていいじゃないですか。誰か一人でもいい、特別と思ってくれる人がいれば、私はそれで十分だと思うんです」(千反田)
千反田にとって、自分と関わった人はみな特別。奉太郎はあくまでも主観での「特別」を語ろうとしますが、それを遮るように言い放たれたのがこの言葉。金メダルを取った選手など、誰から見ても「特別」な人間はもちろんいるでしょうけれども、何もそれだけが「特別」ではない。誰かにとって特別と思われていればそれで十分。誰もが誰かにとっての特別。奉太郎は「特別」の言葉の意味を、重さを、必要以上に大きくとらえ過ぎてしまっていたのかもしれませんね。
・消えた「白いもの」
親子で来ていた赤い水着の女性の耳についていた白いものが無くなった、と千反田から聞かされた奉太郎。もしもそれがピアスやイヤリングだったら、誰かが踏んで怪我をしかねない。かといって話を聴こうにも、彼女の夫がもめ事を起こしているのを見ていた以上、話しかけづらい。
ということで、奉太郎はやむなく古典部共々白いもの探しに赴くことに。探偵役としての行動なら拒んでいたでしょうが、今の奉太郎は監視員。立場上、プールの安全を確保しなければならない。「やらなければいけないことなら手短に」という奉太郎のモットーにも反せず、今の奉太郎が最も嫌うであろう探偵役とは異なる立場での捜索。上手いこと話を進めるなぁと。
なお、千反田に懇願された際の奉太郎の動揺っぷりも見所です(笑。後に第16話でも似たようなシーンがありますが、千反田で夢中になると自分の今の行為が他人にどう映っているのか気にしなくなりますよね……
併せて「広大な敷地内から小さな白いものを探す」というシチュエーションは、続く「クドリャフカの順番」における「大勢の中からたった一人の犯人を見つける」に通じるものがあります。奉太郎の立ち直りのみならず、こうした点でも次の話へと続く要素が盛り込まれているので、ますます本放送時に流して欲しかったエピソードだなと感じさせられますね。
・里志と摩耶花からの言葉
里志は若干遠回しに、摩耶花はストレートに。それぞれ今の奉太郎を心配して、言葉を投げかけます。それは著名な人間が残した特別な言葉ではなく、普通の人間が発する普通の言葉。ですが、奉太郎を思って発せられた特別な言葉。それが奉太郎の心に響く、というのが良いんですよね。
しかし、プールで物を探している時の千反田、明らかに奉太郎のフィルターがかかっているんじゃないか?と思ってしまうくらいに、里志のシーンとは違ってキラキラしていましたね(笑。
・「大丈夫だ」(奉太郎)
赤い水着の女性の行動と子供がソフトクリームを食べているのを見て、何かに気づいた奉太郎。それを千反田たちに言う前に一呼吸置き、内心こう呟いてから話を始めました。自分の中で再度物事を整理するのと共に、間違っていれば里志たちが指摘してくれる、という信頼がこの言葉には込められていたのかもしれません。
・摩耶花を抱っこ
特に恥ずかしがらずに抱っこしようとする里志と、照れる摩耶花が印象的であるのと同時に、仮設の裏付けのためとあらばと恥を忍んで千反田に抱っこされることを選ぶ摩耶花からは、無意味なことをさせようとしているわけではないという、奉太郎への信頼を感じます。
しかし、千反田も摩耶花も文科系故に色は白めですが、千反田は水着の白も相まって一層色白に見えますね。
・千反田と摩耶花の謝罪
真相が明らかになったあと、騒がせて申し訳なかったと二人。奉太郎にしてみれば、気落ちしていた自分を気遣ってあれこれ言ってくれた二人から謝られることに申し訳なさを覚えたのでしょうね。
・千反田と奉太郎
里志が摩耶花に連れられて行った後、二人きりになるのですが……ここからのやり取りが最高なんですよね!奉太郎の「いい迷惑だ」に「ひどいです」とちょっとむくれる千反田からは、二人の距離が縮まってきたことを感じますし、そして何よりも「プールにもう一つあった白いもの」の件ですよ!あそこからの千反田の表情がもう可愛すぎるんですよね!どこか照れくさそうに立ち去る千反田も良いし、互いに目を合わせづらいものの、「白いもの」を見送る奉太郎も良いし、一部始終を見ていたっぽい監視員さんの笑顔もまた素敵。
とまぁ、奉太郎が立ち直る回であるのと同時に、奉太郎と千反田が「特別」を意識し始める話としても素晴らしいものとなっています。原作はあの後どうするんですかねぇ……
「第11.5話」のとおり、「愚者のエンドロール」の一件を通していつも以上に活気が無くなってしまった奉太郎。そんな彼の心境を知ってか知らずか、姉・供恵が帰国したところから物語は始まります。
・姉から弟へのコミュニケーション
ちょいちょい奉太郎の髪を触る供恵。奉太郎も電話中以外はいつものことだと言わんばかりに無反応を決め込んでいます。この仕草だけで姉弟仲が表現されているの、良いですよね……千反田が姉を欲しがる気持ちが分からなくもないです。
にしても、入須先輩に良いように操られたとはいえ、奉太郎のテンションの低さよ……
・プールと古典部
バイト先のプールに現れたのは里志!のみならず、千反田と摩耶花も一緒。奉太郎は摩耶花には目もくれず、視線が千反田に向くのが良いんですよね(笑。この後、ちょっとだけ声が上ずっていることからも、奉太郎の動揺を感じられます。
また、千反田が罰ゲームとして奉太郎に水をかけるシーンがありますが、プールから上がる際の動きが何か好きです。
・古典部とお昼
頬に手を当てて口をもぐもぐさせてる千反田が可愛すぎる……!あと、水着にパーカーってのも可愛くて好き。
とまぁ、こちらや千反田たちが盛り上がる一方で奉太郎のテンションは一向に上がらずじまい。悪気が無いにせよ、ここまで無反応だとさすがに気にするなというのが無理であって……千反田も何と声をかけて良いものかと戸惑っていました。
・普通の人間と特別な人間
と、ここまで反応が極めて薄かった奉太郎ですが、水泳選手と思しき人物たちが練習する風景を見ている際、千反田の「金メダルを取る選手が出て来るかもしれない」という言葉に「さあな」と初めて返事らしい返事をしました。
特別な人間ならなる、普通の人間ならならない。そして自分は普通の人間だという奉太郎。入須先輩の一件が余程応えたのでしょう。この時の口調は、二度とあんな真似はするまいと自分に言い聞かせているように聞こえました。
・「主観じゃダメですか!?周りと比べて普通とか特別とか、そんなこと気にしなくたっていいじゃないですか。誰か一人でもいい、特別と思ってくれる人がいれば、私はそれで十分だと思うんです」(千反田)
千反田にとって、自分と関わった人はみな特別。奉太郎はあくまでも主観での「特別」を語ろうとしますが、それを遮るように言い放たれたのがこの言葉。金メダルを取った選手など、誰から見ても「特別」な人間はもちろんいるでしょうけれども、何もそれだけが「特別」ではない。誰かにとって特別と思われていればそれで十分。誰もが誰かにとっての特別。奉太郎は「特別」の言葉の意味を、重さを、必要以上に大きくとらえ過ぎてしまっていたのかもしれませんね。
・消えた「白いもの」
親子で来ていた赤い水着の女性の耳についていた白いものが無くなった、と千反田から聞かされた奉太郎。もしもそれがピアスやイヤリングだったら、誰かが踏んで怪我をしかねない。かといって話を聴こうにも、彼女の夫がもめ事を起こしているのを見ていた以上、話しかけづらい。
ということで、奉太郎はやむなく古典部共々白いもの探しに赴くことに。探偵役としての行動なら拒んでいたでしょうが、今の奉太郎は監視員。立場上、プールの安全を確保しなければならない。「やらなければいけないことなら手短に」という奉太郎のモットーにも反せず、今の奉太郎が最も嫌うであろう探偵役とは異なる立場での捜索。上手いこと話を進めるなぁと。
なお、千反田に懇願された際の奉太郎の動揺っぷりも見所です(笑。後に第16話でも似たようなシーンがありますが、千反田で夢中になると自分の今の行為が他人にどう映っているのか気にしなくなりますよね……
併せて「広大な敷地内から小さな白いものを探す」というシチュエーションは、続く「クドリャフカの順番」における「大勢の中からたった一人の犯人を見つける」に通じるものがあります。奉太郎の立ち直りのみならず、こうした点でも次の話へと続く要素が盛り込まれているので、ますます本放送時に流して欲しかったエピソードだなと感じさせられますね。
・里志と摩耶花からの言葉
里志は若干遠回しに、摩耶花はストレートに。それぞれ今の奉太郎を心配して、言葉を投げかけます。それは著名な人間が残した特別な言葉ではなく、普通の人間が発する普通の言葉。ですが、奉太郎を思って発せられた特別な言葉。それが奉太郎の心に響く、というのが良いんですよね。
しかし、プールで物を探している時の千反田、明らかに奉太郎のフィルターがかかっているんじゃないか?と思ってしまうくらいに、里志のシーンとは違ってキラキラしていましたね(笑。
・「大丈夫だ」(奉太郎)
赤い水着の女性の行動と子供がソフトクリームを食べているのを見て、何かに気づいた奉太郎。それを千反田たちに言う前に一呼吸置き、内心こう呟いてから話を始めました。自分の中で再度物事を整理するのと共に、間違っていれば里志たちが指摘してくれる、という信頼がこの言葉には込められていたのかもしれません。
・摩耶花を抱っこ
特に恥ずかしがらずに抱っこしようとする里志と、照れる摩耶花が印象的であるのと同時に、仮設の裏付けのためとあらばと恥を忍んで千反田に抱っこされることを選ぶ摩耶花からは、無意味なことをさせようとしているわけではないという、奉太郎への信頼を感じます。
しかし、千反田も摩耶花も文科系故に色は白めですが、千反田は水着の白も相まって一層色白に見えますね。
・千反田と摩耶花の謝罪
真相が明らかになったあと、騒がせて申し訳なかったと二人。奉太郎にしてみれば、気落ちしていた自分を気遣ってあれこれ言ってくれた二人から謝られることに申し訳なさを覚えたのでしょうね。
・千反田と奉太郎
里志が摩耶花に連れられて行った後、二人きりになるのですが……ここからのやり取りが最高なんですよね!奉太郎の「いい迷惑だ」に「ひどいです」とちょっとむくれる千反田からは、二人の距離が縮まってきたことを感じますし、そして何よりも「プールにもう一つあった白いもの」の件ですよ!あそこからの千反田の表情がもう可愛すぎるんですよね!どこか照れくさそうに立ち去る千反田も良いし、互いに目を合わせづらいものの、「白いもの」を見送る奉太郎も良いし、一部始終を見ていたっぽい監視員さんの笑顔もまた素敵。
とまぁ、奉太郎が立ち直る回であるのと同時に、奉太郎と千反田が「特別」を意識し始める話としても素晴らしいものとなっています。原作はあの後どうするんですかねぇ……