かみさんが一手に面倒をみている我が家の植栽、鉢植えの「サボテン」もその一つだ。何種類かあるが10数年前に亡くなった岳父が育てていたものと、通りすがりに始末しようとしていたお宅から貰って来て育てているものがある。
後者はこの数年一年に一回開花するようになったが、昨年は大切にするあまり移動させる時に蕾を落としてしまって楽しむことができなかった。
そして今年は晩夏がやけに暑く、この数週間は台風の上陸騒ぎで雨が多かったが、花が咲くほうのサボテンは健気にまた蕾をもった。
いよいよ開花しそうになった一昨日の夕方、Macchanは頼まれて植木鉢を玄関に取り込んで開花過程をじっくり観察することができた。棘と硬い皮に包まれたサボテン本体の、どんなところから花芽が出てくるのかはさっぱりわからない。おおよそ無骨で花とは無縁な姿の一部から、ある日突然花芽が出てかなりのスピードで大きく育っていく。
どこにこんなエネルギーを潜ませていたのか、本体の細胞やDNAからどうしてこんなに似ても似つかない花を咲かせることができるのか。疑問や驚きが連続する。玄関から更に明るく見やすい居間へ移動させ、15分おき位に観察を続ける。そうだサボテンの花は「一夜限り」だということを想い出し、南こうせつさんがその昔「夢一夜」という歌を自作して歌っていたのが突然頭に蘇った。
あ・・ 夢一夜 一夜限りに咲く花のよう 匂(にお)い立つ
あ・・ 夢一夜 一夜限りと言い聞かせては 紅(べに)をひく
「一夜限りの花」は香りのよい南方系が多いような気がするが、サボテンの花は華やかで妖艶ではあるが無香だ。歌詞を調べていて、なんとこれも阿木耀子さんの作詞だと知った。理性では律しきれない恋する女の揺れ動く心を、一夜限りの花に例えた。畏るべし阿木さんの才能!見事としか言いようがない。
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