遅く訪れた今年の春はあっという間に晩春になり、早いもので木々の緑が初夏の装いに変わってきた。
5週間余り前の記事「大正女の生命力(その3)」で長年介護してきた母が弱って、1年9ヶ月お世話になっている特養の担当医師から「看取り介護(ターミナルケア)」ステージに入ったと宣告があったと書いた。余命は「数日から数週間、運がよくて月単位です」とのこと。
10数年に亘って妹2人の家族と続けてきた5週間ずつ輪番のそれぞれの自宅介護に続いて、入居したわが家の近所の特養でもほぼ毎日の介助を交代で続けてきた。大正女の生命力はしたたかで、数度の怪我や病気による入院にもめげず92歳の長寿になったが、昨年後半からの急激な体重減に続いて今春に入ってからは反転し浮腫(水脹れ)による20Kg以上の急激な体重増で60Kgを超えた。

認知症の進展に老衰が加わって心肺腎臓機能が急激に衰えたためという診断だったが、この2ヶ月は目を閉じたまま眠っていることが多くなった。何とかドロドロに調理された食事と飲料を、1時間前後の時間をかけて介助者の差し出すスプーンで飲み込むことができているので奇跡的に命を長らえている。大連休中には母の孫家族も次々に訪れ見舞ってくれた。

しかし顔や手足はもちろん全身が見るに耐えないほどパンパンに腫れて、心肺への負担が増し続けているようで咽喉のゼイ鳴や咳き込みが時に襲ってくる。この数日は心臓ショックのリスクを抱えたまま3段階で増量した利尿剤が少し効いてきたらしく、腫れた顔と手にほんの少し皺が生じてきた。しかし症状のわずかな緩和にすぎず、根本原因が治癒できるわけではないので予断できない。
それでも2ヶ月ぶりに少し目を開けて瞬いたとか声を発したというだけで一喜一憂している現状で、苦しまず静かで安らかな最期を迎えてほしいという家族の願いは変わらない。