カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

やっと出どころが分かった件(一般には関係なし)

2013-09-26 | ことば

 「10倍返しだ!」みたいなモノ言いが増えているのは感じていた。ところでこれが半沢直樹だというのは、やっと先日知ることになった。で、放送は終わったのか…。子供が観ているのを一度チラ見したことはあるが、銀行の、それもバブルの頃の話なんだってね。凄い視聴率だったんだってね(関東で)。ということもここ数日チラチラ目に入る。で、何倍か返すのは逆襲するという意味なんだろうね。少し前に「リベンジ」とか流行ってたし、そういう名誉挽回汚名返上の様な言葉って、生活の中で響きやすいものなのかもしれない。僕みたいな見てない人間にも、受け入れやすい感じも少しする。堺雅人がすっかり国民的な俳優さんとして定着したということは理解できるし、こういう感じが増えると、科白回しの強弱が激しくなりそうな(既にそうかもしれん)感じもする。静かな生活を守りたいというのはあるが、やはり「じぇじぇじぇ」より強いのかな、とは思ったりする。今週で終わるというだけで、つれあいはなんだかもうブルーになっているし。
 普通に考えるとやられたらやり返すというのはどこで終わりかな、というのが気になるタイプだ。ずっと行ったり来たりするのは嫌だな、と思う訳です。でもまあぶたれたら反対側の頬を突き出すような人間でも無い訳で、やり返されないように気をつけたいと思います。
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暗く悲しいが快楽の読書   戻り川心中

2013-09-26 | 読書

戻り川心中/連城三紀彦著(光文社文庫)

 名作として名高い作品。まったく異論なし。ミステリとして素晴らしいだけでなく、情緒ある小説として素晴らしいという感じ。昔の悲恋ということもあって、ちょっと演歌的な所も無いではないが、しかし粘着質な感じがする訳でも無い。人間の情念というものはこのような狂気や不可解さを持っているもので、その抗いがたい感情に命までかけるものなのかもしれない。小説としての話なのだが、どこか過去に現実に起こった事件であるかのような錯覚を起こす。特に表題作などは、過去の有名な作家の実話なのではないかという構成の見事さが光っている。事実よりも事実らしい奇抜さ。いや、事実というのはもっと不思議な事が起こったりするものだが、小説だから素晴らしい構成を持ったお話しに収斂していくのかもしれない。ただ身を任せて読むだけでこれだけの感銘を味わえるのだから、本当に素晴らしい体験だと言えるだろう。
 それにしてもこのような短編集ということになると、ものによっては多少作品としての出来が劣るものが混じってしまっても仕方のないような気がする。ところがこの本はまったく別のお話であるにもかかわらず、一定のトーンというものが揃っているだけでなく、作品としての水準や、トリックの驚きの質の高さも非常に高水準なのである。作者の文章の上手さもあるのだろうが、その構成の見事さが何より光るということを思う。一度ひっくり返ったトリックが、再度ひっくり返る場合もあって、それは多くの推理小説が名探偵の比類なき才能によって解決にいたるようになされるものでは無く、あるきっかけや引っかかりなどからふいにひも解かれるように、一転して視界が開けていくような感覚なのである。ああ、確かにそういうことなのか!という驚きを、作中の人物と共に読者も味わうことになる。それがある種の快感で無くてなんであろう。ただしかし、事実を知った快感も、人間の悲しさを知るという意味として受け入れなくてはならない訳だが…。
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