ロンドンの傘・刑事コロンボ/リチャード・クワイン監督
とにかくあちらの人はシェイクスピアが好きなんだな、と思う。演劇をする人たちは、やはりその科白回しに堪能されるというのはあるんだろう。実のところその醍醐味は僕にはあんまり分からないのだが、麻薬的なものがあるということなんじゃなかろうか。まあ、シェイクスピアの所為で殺人まで発展する訳ではないのだけれど、関係の無い訳ではない。
舞台とはいえ、演技のプロが行き当たりばったりだけれど殺人を上手くやり遂げる。それをアメリカから来たコロンボが、違った演技で覆すという趣向もあるようだ。
子供の頃はよく知らなかったが、大人になってみると、アメリカと英国はずいぶん違う国らしいということが分かるようになっている。文化の違いというのがこんなふうに行き違う程度というのは、かえって際だって面白いものかもしれない。日本には他国に日本語文化圏が無い(戦争時代を除いて)のでよく分からないが、さらにオーストラリアとかいう国があったり、ものすごい数の植民地や元植民地、そしてやはり英語である程度どこでも通用するような人たちが見る世界というのは、僕らとはまったく違った文化の見方をしているに違いない。沖縄に行った程度でも十分面白いから、そういうところはちょっとだけ羨ましいかもしれない。
まあ、そういう話なんだが、少し酔って観てたせいか、あんまり印象は残って無い。いつものコロンボと違うので、異色作ということなのかもしれない。これでアメリカが勝って良かったね、ということでも無いから、コロンボさんも御苦労さまでした。
ああ、でも英国の車は小さくてなかなかカッコいいのでありました。