カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

草間彌生的混乱と熱狂

2013-09-16 | 感涙記
 草間彌生を見て来た。
 草間彌生を最初に知ったのはごく最近のことで、NHKで特集か何かをやっていたからだ。いや、少しくらいは噂に聞いていたかもしれないが、まったく興味がわかず、知らなかった。
 テレビの草間は奇矯なだけでなく、非常に病的に思えた。まあ、それは僕の職業からの経験上の感覚かもしれない。そうしてさらにしばらく見ていくと、その通り、精神を病んでいる人だった。
 やっぱりね、という話で終わるものではない。そうであるからこそ素晴らしいというのがあるのである。同情心とか意外性ということでは無くて、本当に天才の到達点というのは、そうでなければならないのではないか。そういう必然として草間に備わった能力として、精神病ということが本当に大切なのである。さらにさらに作品も素晴らしいのだけれど、草間彌生自体が作品そのものなのである。

 ということで、どんなものかお見せしよう。先ずはこんな感じ。





 写真を撮っていい部屋はこれだけだったので、絵の方はネットなどでご確認ください。

 白黒の細かい絵も凄いけれど、どこか可愛い。
 原色たっぷりの絵もまた凄まじい狂気だけど、でもやはり非常にポップだ。

 デカイ顔の三作品が並んでいたが、これがまた素晴らしかった。悲しげで寂しげで、しかしぶっ飛んで可愛らしい。そんなことが同時にありえる顔があるなんて、素晴らしすぎる。

 光を用いた部屋では、ブルース・リーの戦いの部屋みたいだった。単純そうでいて奥行きが深く、楽しいのだった。

 観賞が終わって外に出ても、こんな感じ。





 僕ら以外の人たちも思い思いに一所懸命写真を撮っている。





 たぶんカボチャなんだろうか。ま、そうでなくてもいいんだけど。



 外にはこんなものも並んでいた。





 場所は大分の美術館。



 たぶん、ツアーのようなもので全国を回っているのではなかろうか。お近くに来たらお見逃しなく。今のタイムリーな価値も大切なのである。


 あんまり長く観ていると自分も少しきてしまいそうになるが、それも含めて本当に素晴らしいです。


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古き良き時代を思うより無い   有りがたうさん

2013-09-16 | 映画

有りがたうさん/清水宏監督

 山間を走る乗り合いバス。その運転手の愛称が「有りがたうさん」なのである。それは狭い山道を歩いている人が、バスに道を譲ってくれる度に「ありがとう」と声をかけるからなのだ。原作は川端康成で、そうしてそういうのどかな時代の、さらに田舎の風景スナップなのである。
 それで面白い話になるのか、と疑問に思う人は普通だろう。殺人事件が起こる訳でもないし、大きな事故を起こす訳ではない。ほとんど一日ちょっとといった時間を、あんがいのんびりと描写している。今風にいうとロードムービーだが、なんというか和風過ぎて、ちょっとそんな感じでは上手く言えない。
 出てくる人は主に乗客だが、確かに癖のある人も居ないではないが、基本的にはその時代に本当にバスに乗っていた人たちであるだろう。事情がある人もその時代ならではの問題だ。今に通じることも無いではないが、やはりもう分からない人ばかりじゃないだろうか。そういう僕も現代人だが、本当にはそんなこと知りはしないが、なるほどそうかもしれないな、ということくらいは理解できる。当人たちには深刻な話に違いないのだろうけれど、何となくユーモラスだ。恐らく苦労している人がたくさん居て、際だって自分だけが不幸という訳ではない。そうすると不幸というのは相対的なもので、自分だけが不幸だというのが一番不幸なのかもしれない。そんなことを考えさせられる時代風景なのである。
 じゃあ現代が一番いいか、という問いを立てると、何となく自信が無い。このようなみんな貧乏で悲惨な人がいる世界でも、心の持ちようの面白い人たちが工夫して暮らしているという感じがする。いい加減の仕方が時代に合っているというか、深刻なことをそれなりに受け入れて楽しんでもいる感じだ。とても現代人には出来るものではない。
 いろんなことがそれなりに未解決だったり治まったりするのだけれど、そういう解決の仕方で本当にいいのかもかなり疑問だ。いや、それは現代的な目から見てであって、実はそれでいいのだろう。まったく変に面白い話だ。
 実は何度も爆笑したのだが、落語のようなものかもしれない。古いからすぐに見つかる映画なのかは知らないが、見つけたら手に取った方がいいと思う。もちろん、おおらかな気持ちの余裕のある人に限る訳だが…。
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