「もっと光を!」

2008-05-14 | 【樹木】ETC
 住まいの隣に小さい神社がある。その神社には、木々が繁っている。密集気味である。ベランダから見下ろせる公園の側、空間に向かって、木々は光りを求め、枝を伸ばしている。それは、それぞれ生きるためである。それらの木のなかに、いま、白い小さな花をつけているものが見える。花のついているのは、光のあたる枝である。
 可憐さを感じさせる花で人の気持ちをやさしくするエゴノキである。樹木の名をもっと知ろうとしだした頃、覚えた木である。花は下向きにつくので、木の下に行って、見あげてやるのがいい。
 それにしても、今日も天気がわるい。向こうの丘が煙っている。「もっと光を」というところである。

雛色の木香薔薇

2008-05-12 | 【樹木】ETC
 バラ科バラ属の常緑・低木である木香薔薇(モッコウバラ)。いま、うす黄色で小輪の花を咲かせ、5月の景色に彩りをつけている。棘がなく、蔓性があって、よくフェンスにからませた生け垣として植えられている。
 大輪の紅の薔薇などとは、まるで違って、幼さがのこる初々しさを感じさせる薔薇である。

荒川流域在住のN氏も

2008-05-12 | 読書
 旧与野市在住の和田一仁氏と、同じマンションに住む森林インストラクターの豊島襄氏の新著「荒川流域 ジョーさんの植物そぞろ歩き」(まつやま書房)のことを話していた。その同じ席に、旧浦和市在住のN氏がいて、N氏も、その本を手にすることになった。付近のそぞろ歩きが、ひと味変わるかも知れない。(5月5日Blog記事に、豊島氏の新著紹介)


「ののはなさんぽ」

2008-05-12 | 読書
 「そこらの草花のことが、絵入りで載っていて、いい本だ」と息子が言っていたので、「その本をくれ」と頼んでいたら、買ってくれた。
 絵と文は、五味玖壬子という私と同世代の女性である。「原寸図鑑 ののはなさんぽ」(けやき出版)という本である。サブタイトルに、「多摩丘陵のいちねん」とあるように、私の住む多摩で、普通に見かけられる草花が、イラスト付きで、季節ごとに区分されて、紹介されている。
 ここのところ、よく見かけるナガミヒナゲシのことも、ちゃんと載っていた。大手出版社の写真入りガイドブック(ポケット版)より、紹介に身近さを感じさせ、説明も丁寧だった。「自動車のタイヤによって種が運ばれているのではないか?」との説も載っていて、「そうかなあ」と思わせた。
 その名を知って、改めて気づいたが、通勤の電車の窓から、線路脇に、道ばたに、このナガミヒナゲシのサーモンピンクの花がいやに目立つ。目立ちすぎと言っていい。花はきれいだけれど、ちょっと気になる。
 ナガミヒナゲシはさておき、この愉しそうな図鑑「ののはなさんぽ」をポツポツ開いて見ようかと思う。

うつろいのなかで

2008-05-12 | 【樹木】ETC
 多摩動物公園の遊歩道には、山桜が並んで生えているが、その花の真っ盛りを眺めたことがない。ちょうどその時期に、そこを歩く機会がないからである。今年も、気にしていたが、いいタイミングが得られなかった。
 昨日、聖蹟桜ヶ丘駅近くの通りをクルマでだが、通った。並木をなすベニバナトチノキの花が真っ盛りであった。電車の窓から見ていた花を、路上から見た。間近で、あんなに見事に咲いているのを見たのは、長年、近くに住み、その道もよく通のに、初めてではないだろうか。
 花の季節、季節のうつろい。うつろいの中で、わたしたちには、いろんな出会いがある。いろんなタイミングで。いいことも、よくないことも。

ベニバナトチノキ花盛り

2008-05-09 | 【樹木】ETC
 電車の窓から、ベニバナトチノキ(紅花栃の木)の並木道を見る。聖蹟桜ヶ丘駅周辺だ。トチノキほど葉は大きくはない。あせた紅のような色をし、円錐形をなして、花がついていた。高架の電車からで、木のうえの花がよく見える。
 パリの街路樹として知れ渡っているマロニエは、トチノキの近縁。これも葉が小ぶり、セイヨウトチノキという。ギリシャやブルガリアあたりが原産である。実には棘がある。
 アカバナアメリカトチノキ(アカバナトチノキ)というのは、名前にあるように、北アメリカ南部が原産。ベニバナトチノキは、セイヨウトチノキとアカバナアメリカトチノキの交配種である。
 とりあえず、トチノキには、こういう種類があるということ、マロニエも同類ということでした。「マロニエ並木をわが街に」、渡来文化好きな日本人には、そう思う人も多い。

ドラセナ・コンシンネの夢

2008-05-08 | 【樹木】ETC
 俺は、伐られて、いっぽんの棒になってしまった。
 ただ、俺は、自分が死んだとは思えない。
 まどろみのなかで、靄のむこうから「生きよ」という声がかすかにする。
 その声に従うことは、目を閉じて、千里の道を駆けることのようにも思える。
 俺は土に挿さっている。
 俺の肌は、光をうけている。
 なにか、痒いような落ち着かなさが感じられる。

可憐なシャガの増殖力

2008-05-07 | 【草花】ETC
 この季節、野の花で目をひくひとつがシャガ(射干)。アヤメ科で、その形をして、薄紫の花びらに、濃い紫、黄色がアクセントとなっていて、派手さはないが、美しい。
 休日、雑木林を歩いていて見かけた。そんなにめずらしいものではない。日陰の林内が生息地。その名は、檜扇(ヒオウギ)の漢名である射干が訛ったものだとか。
 いにしえ、中国から渡来したと言われる。地下茎で増えるということである。わが国に広く分布している。土の中、シャガの地下茎がと想像すると、たいしたものだと思う。

サーモンピンクの花つけて

2008-05-06 | 【草花】ETC
 このブログでは、草花について触れることはほとんどなかった。関心も薄い。
 ただ今後、気がおもむけば、草花も登場させようかなと思う。
           ◆
 最近よく見かけるようになったように感じる。
 道端で、ひょろひょろと長い茎のあたまにサーモンピンクの花を咲かせた奴。
 一見して、罌粟(ケシ)の類と思わせる。罌粟の花には、昔から何故か魅かれる。きれいだなと感じる。そのヒラヒラした透明感のゆえか。道端の雑草みたいにしておくのはおしいように思う。
 昨日、その名を知った。長実雛罌粟(ナガミヒナゲシ)と言うそうだ。やはり、ケシ科で、地中海地域原産とのこと。
 地中海の青い海のこと思い出したりするのかい。

喪われし邯鄲の夢

2008-05-06 | 【断想】ETC
 先般、知り合いが演じる舞囃子「邯鄲」を見たのを契機に、三島由紀夫の「近代能楽集」に収められている「邯鄲」を読みなおしてみた。謡曲からは、かなりアレンジされている。あくまで三島由紀夫の作品である。のびのび文が走っている感じで、読みやすい。
 主人公の若い男性と彼をとりまく乳母や美女との会話で成り立っている。邯鄲の枕での一炊の夢に、動じることのない主人公が描かれている。それはそれでいい。そこに時代の淵のようなものを見ることもできるかも知れぬ。
 ただ、かつて三島由紀夫に感じていたことが思い出された。洒落や辛辣さ、気の利いた会話のつもりの連なりが、トータルとして、よくできているが平板と感じさせるのである。ひらめき、霊感というようなものに欠けていると。作品全体に俗物的な印象をもってしまうのある。
 以上、あくまで私の感性によるものです。

霽れた朝のイチジクの葉と芽

2008-05-06 | 【樹木】ETC
 霽れた朝。空は薄青。少し風があり、欅はサワサワいっている。シャツ一枚では肌寒い。
 鉢植えのイチジクのひとつは、もう大きな葉をつけ、あたらしい枝も伸ばしている。
 2月下旬に挿し木をしたひとつは、まだ小さいが、何枚も葉をつけて、命を感じさせる。
 挿し木のもうひとつは、芽の膨らみが増したようにも見えるが、どうなのか。
 葉をつけてくれればと祈らせる。

散歩に出かけませんか

2008-05-05 | 読書
●荒川流域 ジョーさんの植物そぞろ歩き/豊島襄著/まつやま書房/2008年3月15日発行/1700円
 書名から察せられるように、著者の豊島氏は、荒川流域に在住。さいたま市である。近隣に住む人で、自然の中の散歩が好きだったり、植物に興味のある方は、この本を片手におおいに楽しめるのではないだろうか。天気のよい一日など、ぶらりと出かけられる範囲のなかで見ることの出来る草花、樹木のこと、それに巨樹、古木のことなどが語られている。あわせて、植物に関する知識を得ることができる。「へぇー、そうなのか」とおもわせる面白く、楽しくもある知識である。また、知れば、人に教えてやりたくなるようなものである。
 複葉と単葉の見分け方などが、実際、そこにある植物を例に語られている。
 氏の本を読むのは二冊目である。いずれも氏と同じマンションに住むW氏の薦めである。前著「森林入門」(八坂書房)で、印象に残ったのは、「土」に関して、記されているところであった。今回は、「葉っぱ」に関して多く記されている。葉っぱは、光や空気という無機物から有機物を生み出し、その有機物が、植物自身を含め地球上に生息する生物を養っている。そして、その生が終わるとき、土の中の生き物、菌類は、有機物を分解し、無機物へと還していく。「土」「葉っぱ」を通じ、生と死のサイクル、われわれの生がどのような中にあるかが思われるのである。
 本書の書名に「森林インストラクターのフィールドノート」と添えられている。豊島氏は、30数年に及ぶビジネスの世界から引退して以降、森林インストラクターとして過ごされているとのことである。人によって、感じ方は異なるであろうが、いまの時代柄もあり、凄くカッコイイように、私は思う。
 思わず、森林インストラクターの資格に関して記されたページのコピーをとった次第である。