波止場のタンポポ

2008-05-14 | 【草花】ETC
 「汝等カルタゴの波止場に咲くタンポヽの毛を吹く者よ。」
 西脇順三郎の“LE MONDE MODERNE”「紙芝居」のなかの一行である。
 ここに登場するタンポポは、セイヨウタンポポ。自家受粉で種をつくり、綿毛は風に乗ってフワフワ、落ちた地に季節も気にせず芽を出すという繁殖力旺盛なタンポポである。
 一方、「和」の国に古くから育つタンポポ(カントウパンポポやカンサイタンポポ)は、蜂や蝶に花粉をはこんでもらう。自家受粉で種ができることはなく、単独でどこででも生きていくというたくましさはない。周りに仲間が群れていなくてはならない。まさに、「和をもって貴しとする」で「和」の国の草本。
 そう言うことで、人が行う開発で、人里から追いやられた。街中で見かけるのは、セイヨウタンポポ。日本在来のタンポポは、どちらかというと、人の少ない山里でひそやかに暮らしている。

「もっと光を!」

2008-05-14 | 【樹木】ETC
 住まいの隣に小さい神社がある。その神社には、木々が繁っている。密集気味である。ベランダから見下ろせる公園の側、空間に向かって、木々は光りを求め、枝を伸ばしている。それは、それぞれ生きるためである。それらの木のなかに、いま、白い小さな花をつけているものが見える。花のついているのは、光のあたる枝である。
 可憐さを感じさせる花で人の気持ちをやさしくするエゴノキである。樹木の名をもっと知ろうとしだした頃、覚えた木である。花は下向きにつくので、木の下に行って、見あげてやるのがいい。
 それにしても、今日も天気がわるい。向こうの丘が煙っている。「もっと光を」というところである。